盾の勇者と天の聖杯   作:三途豆

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フィーロの服

「親父親父親父」

時刻は夜。俺たちは時間的に閉店したと思われる武器屋に来ている。

武器屋に着くと尚文はドアを叩いて武器屋の親父を何度も呼ぶ。

少しすると、武器屋の親父が出てきた。

 

「盾のアンちゃんじゃねーか。今日はもう店じまいなんだが…」

「そんな状況じゃないんだ!」

「なんかよくわからないが、ひとまず上がれよ」

 

そう言って親父は俺たちを店の中に入れてくれた。

尚文は少女の姿になったフィーロを武器屋の親父に見せる。

「アンちゃん。いい奴隷を手に入れたからって俺に見せびらかしに来るなよ」

「違う」

「ごしゅじんさまー?どうしたのー?」

「お前は黙ってろ」

「やだー」

すると、フィーロが何かの匂いを嗅ぎ取ったようで、「なにかいい匂いがするー」と言っている。

フィーロがそう言うと武器屋の親父が、反応した。

「ああ、これから晩飯にするところなんだ」

 

どうやら俺たちは親父が晩御飯を食べようとしたところで店の扉を叩いたようだ。

「よかったら一緒に」

「ほんと!」

フィーロのやつ親父の言葉を最後まで聞かずに匂いのするところまで走って行きやがった。

そして、親父の晩御飯らしい鍋の前に到着すると、

ボフン、と音と煙を出して、フィロリアルクイーンの姿になって、鍋を丸ごと食べた。マントを脱がず人形態からフィロリアルクイーン形態になったことでマントがビリビリに破れている。

「「あー!」」

「この鳥!」

俺とラフタリアが悲鳴をあげ、尚文がキレる。

武器屋の親父は変身したフィーロを見て絶句している。

フィーロは鍋の中身を全て食べ、空になった鍋をペッと吐き出した。

「すまん親父、後でなにか奢る」

尚文は、武器屋の親父に謝罪と埋め合わせをする約束をした。

尚文はフィーロの元に行き、頭を掴んで親父に下げさせた。

「…親父事情は分かったか?」

「あ…ああ」 

 

俺たちは店の中で話を再開する。

「で、あれはなんなんだ?」

「奴隷商曰く、あれはフィロリアルの女王種らしい。ただ、目撃情報が少なくて奴隷商も正確にはわからないそうだ。

しかも、通常の魔物紋は効かないから高位の魔物紋を刻む必要があるから新しく刻み直したんだ。予想外の出費だ」

フィーロは武器が珍しいのかいろんな武器を嘴でつついている。

俺はフィーロが武器を破壊しないか監視する。

「で、俺の元に来たのはその子の装備品のことか?」

「そうだ。変身するたびに服を破かれたらあっという間に破産だ。ホムラのは服装も装備も変わるから問題ないんだがな」

「まて、盾のアンちゃん。仲間のアンちゃんが変身するってのはどういうことだ?」

そういえば、俺の変身能力は武器屋の親父には話してなかったな。

この際だ。俺も自身の能力を話すとするか。

「親父それは、俺が説明するよ。ラフタリア、フィーロを見ておいてくれ」

「わかりました」

そう言ってラフタリアにフィーロのことを任せる。

「親父。俺の能力についてなんだが…」

そう言って親父には俺の能力を全て見せて話した。

親父は驚きの連続だったようで何度も目を丸くしていた。

実際に見せている時に親父にホムラの剣を見せたら、親父は「とんでもない業物だな」と言っていた。

ヒカリの剣は「さっきのと同じくらいの業物に加えて装飾も豪華だな」と言ってた。

 

「なるほどな。相当すごい魔法だな」

「魔法?この変身能力は魔法なのか?」

「ああ、おそらくだがな。俺も詳しくは知らないが、人間が使う変身魔法は非常に不安定でちょっとした事で解除されるんだ。例えばちょっと攻撃されるだけで解除されることもあるらしい。まあ、詳しい話は魔法屋に聞くべきだな」

この世界の変身魔法ってそんなに不安定なのか。

ちょっと攻撃されるだけで解除されるって不安定というか使い勝手が悪いというか。

「それで親父、あの鳥の変身でも破れない服はないか?」

「すまんが、うちじゃ取り扱ってないな。だが、心あたりはある。明日の朝に魔法屋か洋裁屋に行ってみるといい。鳥の嬢ちゃんの服をどうにかしてくれるはずだ」

「そうか。ありがとな親父」

「おうよ。それとメシの件忘れるなよ」

「ああ」

そんな感じで親父との会話は終わり俺たちは城下町の宿屋で一晩を明かした。馬小屋は満席らしくフィーロは仕方なく、人間用の部屋で一晩を明かすことになった。フィーロはかなり喜んでいた。なんでも尚文と一緒が嬉しいらしい。部屋に入り、寝る時間となると、フィーロは、尚文と同じベットに入ろうとした。尚文は断ると思っていたが意外なことにフィーロのお願いを聞いて一緒に寝た。なんでも子供が親と一緒に寝たいのと同じことだろうと言っていた。ラフタリアは納得しかねるといった顔をしていた。

 

翌朝。

俺たちは魔法屋に来ている。要件はもちろんフィーロの破れない服だ。

「変身しても破れない服はあるわよ」

「本当か!」

「ええ。変身能力のある一部の亜人用にあるし、私が変身魔法を使って自分よりも大きな生物に変身しても服が破れないようにするための服を作る技術があるのよ。

ただ、その服を作る材料の宝石が壊れてるのよねぇ。市場で買うとしてもかなり高額なのに加えて、今市場にあるのかわからないし…」

「なんとかならないのか?」

「そうねぇ。宝石の取れる場所に行くのも手なんだけどねぇ。今その場所には少し面倒な魔物が住んでるのよ。まあ、勇者様が同行してくれるならなんとかなると思うわ。それさえできれば、すぐに破れない服の材料の糸を作れるわ。それにフィロリアルならそんなに時間はかからないわ」

「マスター。どうする?」

「そうだな。なあ、店主。俺たちが同行してくれれば問題ないんだな?」

「ええ、私だけなら不安だけど勇者様が同行してくれるのなら問題はないと思うわ」

 

そうして、俺たちはフィーロの服を作るための材料に必要な宝石を取るために南西方面にあるとある洞窟に向かった。

魔法屋の指示に従って進むと目的地に到着した。その場所は洞窟というよりも、なんというか入口が屋敷のみたいになっていた。

ちなみに目的地まではフィーロの足で1時間ほどかかった。

「ここか?」

「いいえ、ここじゃなくてその近くの横穴よ」

しかし、ここで問題が発生した。

それは、

「う…うう…」

「ちょっときもち悪い…」

俺とラフタリアが乗り物酔いでダウンしたのである。

「大丈夫か2人とも」

「だ、だいじょう…うぷ…」

「き、きのうよりは…マシにはなったが…うう…」

「仕方ない。お前たちはここで休んでろ」

「で…でも…」

「い…いや俺は…」

「ダメだ。2人とも休んでおけ。これは命令だ」

俺とラフタリアは尚文に抗議の声を上げるが尚文に休めと命令された。

「…すみません」

「…すまない。マスター」

俺とラフタリアは揃って尚文に謝罪した。

尚文とフィーロと魔法屋の店主は目的地の横穴に入っていった。

 

3人が洞窟に入って行って少し経過した時、俺はふと思った。

今は酔っているが、ホムラかヒカリに変身したら酔いは解除されるのではと。

そう思い俺はヒカリに変身する。

結果は、変わらず酔って気持ち悪かった。

ホムラでも同様だ。

結果は変わらなかった。そう考えていると、メッセージが表示された。

[状態異常は、人間形態、ホムラ形態、ヒカリ形態の3つの形態全てに共有されます。例えば人間形態で毒状態になり、ヒカリ形態に変身しても毒状態は解除されません]

どうやら、状態異常は全ての形態で共有のようだ。

戻ってきたら尚文にも伝えておこう。

そういえば、状態異常といったデバフは共有だが、強化魔法と言ったバフは共有されるのだろうか。

そう思っていると、メッセージが表示された。

[強化魔法といったバフは人間形態、ホムラ形態、ヒカリ形態の3つの形態全てに共有されます。例えば人間形態で攻撃力強化の魔法を受けた状態でヒカリ形態に変身したとしても、強化魔法の効果は維持されます]

強化状態は維持されるのか。ポ◯モンみたいに引っ込めたら能力の強化・弱体化は全て解除にはならないようだ。

このことも尚文に伝えておこう。

 

しばらくすると、尚文とフィーロと魔法屋の店主の3人が帰ってきた。

目的の宝石はちゃんとゲットできたようだ。

それと、尚文は少し怪我をしていた。すでに応急処置は済んでいるようだ。なんで怪我をしているか聞くと、なんでも魔物にやられたらしい。その怪我を見てラフタリアはとても心配していた。

見たところ数日で治りそうだけど。

尚文は早く回復魔法を使えるようになりたいと愚痴っていた。

それと、尚文には俺が変身して、酔いを治そうとしたが治せなかったこと、強化魔法などのバフ、弱体化や状態異常のデバフは全て共有されることを報告した。尚文は変身しても状態異常が共有されるのはゲームのジャンルとかによって扱いが違うからなと言っていた。

俺は沢山のゲームをするわけじゃないし、1人の人物が複数の形態を使い分ける能力を持ったキャラを使うことなんてなかったからよくわからないんだよな。

 

帰りは乗り物酔い対策として俺とラフタリアはフィーロの背中に乗ることになった。尚文と魔法屋の店主はフィーロの引く荷車に乗った。

帰りは俺もラフタリアもそこまで酔わなかった。ちょっとぐったりはしたが。

そんなこんなで俺たちは魔法屋まで戻ってきた。

そして、今フィーロは魔力を糸に変える機材を回している。フィーロ曰く「これ(機材)回してるとなんだか疲れてくる」そうだ。現状疲れ知らずのフィーロが疲れてくるとは一体このどういうことなんだ?そう思って魔法屋に聞くと、魔法屋曰くフィーロの魔力を糸に変換してるかららしい。

 

「ホムラ」

フィーロを見ていると突然尚文に呼ばれた。

「なんだい、マスター」

「フィーロが糸を作っているうちにお前の変身について魔法屋に聞いておけ、専門家なら何かわかるはずだ」

尚文の言う通りだな。武器屋の親父は魔法の専門家ではない。詳しく知るためにも魔法屋に聞いた方がいいな。それにフィーロの監視なら尚文とラフタリアがやってくれるだろう。

「了解、魔法屋に聞いてみるよ」

尚文に言ってから俺は魔法屋を呼んで奥の部屋に行った。

 

俺は魔法屋に変身のことについて実際に見せて知っていることを話した。

魔法屋は武器屋の親父と同じように目を丸くした。

その後、魔法屋の協力の元さまざまなことを調べた。

まず、解除魔法は効果があるのか?

結果は効果がなく、俺の変身は解除されなかった。

次に軽く戦闘行為を店の裏側で行うも、変身は解除されなかった。

続いて、変身解除の道具も試そうとしたが今はないらしいので諦めた。

他にもいろいろなことをしたが効果はなかった。

魔法屋曰く、あなたの変身は魔法か技能、どちらかと言うと技能に近いものらしい。ようはスキルのようなものだそうだ。

俺は魔法屋との実験の結果を尚文に伝えた。

尚文はフィーロと同じような感じか。服や装備がついているのはお前が天の聖杯だからなんじゃないのかと言っていた。

 

実験が終わって、店に入るとちょうど糸が完成したところだった。

「あとはこれを洋裁屋に持っていけば変身しても破れない服を作ってくれるよ」

そうして、俺たちは洋裁屋に行きフィーロの服の制作を依頼した。

洋裁屋にフィーロを見せ、服の材料の糸を渡すと洋裁屋は明日の朝には作って見せます!と言っていた。

ちなみにこの服関係のことだけで銀貨350枚ほどした。

 

時刻はすでに夕方になっていた。

「そういえば、昨日フィーロが武器屋の親父の晩飯を全部食べた件で何か奢るんだった。親父に伝えるために武器屋に行くぞ」

「はい」

「了解」

「はーい」

俺たちは尚文に返事をして武器屋に向かった。

 

「よう親父」

「盾のアンちゃん。どうしたんだ」

「ああ、昨日食事を奢るって言っただろ。これから晩飯にするんだか親父も一緒に食うか?」

「メニューはなんだ?」

「親父の意見を聞いてからにしようと考える」

「そうだな。俺の希望はバーベキューだな」

「バーベキューか。だか、鉄板はどうする?」

「うちに鉄板があるからそれを使えばいい」

「そうか。それで、どこでやるんだ?」

「裏庭とかだと煙が出るから。城下町の近くの草原で良いと思う」

「となると、次は食材だな」

バーベキューをするには食材が足らないので、俺たち5人は肉や野菜、それとを炭を買いに市場に向かった。

親父はすぐに店を閉め、俺たち買い物に同行した。

 

その後俺たちは雑談をしながら草原についてバーベキューを始めた。

基本的に尚文が調理して俺とラフタリアとフィーロと親父が食べる。

親父は店を出せる次元だと尚文の料理を絶賛していた。

フィーロは魔物の姿で食べまくっている。人型用の服は今作ってもらっている最中だからな。

しばらくして、食事は終わった。

ちなみにフィーロは食べ足りないと尚文に言っていた。

尚文はウサピルを狩ってこいと言ったら、フィーロは取ってくるーと言って森に走って行った。

少しすると、10匹近く狩ってきたので、尚文が追加で調理した。

その後、後片付けを行なってから城下町に戻り、親父は武器屋へ、俺たちは宿屋に行き文字の勉強をして眠った。

 

翌朝。

俺たちはフィーロの服が完成しているか確認するために洋裁屋にいる。

洋裁屋に入るとフィーロの服を作っている人が出てきて、フィーロの服を持ってきてくれた。

フィーロの服はアニメで見たやつと同じだ。

洋裁屋の人は目にクマができていた。徹夜して作ったんだろうな。

服も完成したので、俺たちはリユート村に向かうことにした。

フィーロが荷車を引き、荷車に尚文、俺、ラフタリアが乗る。

城下町の途中で魔法屋に会い、目的地を聞かれたのでリユート村に行くと答えると、魔法屋もリユート村に用があるらしい。お金を払うから乗せて欲しいと言ったので俺たちは魔法屋も乗せることになった。

 

フィーロは4人も乗っているのに軽いと文句を言っていた。

4人も乗っているのに軽いとか、フィーロの力はどうなっているんだ?

そうしていると、リユート村に着いた。

魔法屋はリユート村の前で降りた。

「これはここまで乗せてくれた代金だよ」

そう言って魔法屋は、尚文に銅貨25枚を渡した。

魔法屋はリユート村に入って行った。

尚文は何かを考えていた。




槍の勇者のやり直しで、元康が尚文の配下の奴隷たちらフィロリアルの馬車乗り始めて3日目あたりでみんな酔わなくなったと言っています。
1日目 フィーロの荷車に乗って酔う
2日目 レース後のフィーロの馬車に乗る。フィーロがスピードを抑えていたので酔わなかった。
3日目 そして、フィーロの服作りの宝石入手のために荷車に乗る。2日目が数分だったのでラフタリアも平気だったが、1時間となると酔う
2人ともそろそろ酔わなくなってくる

元康が植物の種を持ち出したのは召喚されてから3週間後です

Q.なんで銀貨350枚?
A.宝石の料金をなしにしたので50枚ほど引いています。
それでも高位魔物紋が200枚、服の依頼で50枚、卵くじで100枚となっています。
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