「さて、戻ってきたがどうするか」
「そうですねぇ、村の復興のお手伝いでもしましょうか」
ひとまず村の手伝いをすることにして、村人に何か手伝えることはないかと聞いた。
「では、前にお願いした木材の運搬をしていただけませんか?」
村人の手伝いは前回と同じだった。
報酬は少ないが必ず支払うと村人は言っていた。
俺たちは前回と同じ木材の運搬をした。
運搬中に俺とラフタリアは、フィーロの馬車に酔わないための訓練をした。
最初の方は、俺もラフタリアも平気だったが、しばらくすると酔ってきた。
前のように寝床に行くほどではないが俺とラフタリアはぐったりしている。
今日は村人の手伝いをしてからリユート村の宿屋に泊まった。
翌日、俺たちは村人の手伝いとレベル上げをすることにした。
しかし、村人から「もう木材は十分集まったので勇者様に手伝ってほしいことは特にはありません」と言ってきた。
なので、俺たちはレベル上げと乗り物酔いの訓練をした。
俺とラフタリアもフィーロの馬車に慣れてきて、今日はそんなに酔わない。ただ、フィーロはときどきかなり早い速度で移動することがあるので、それをされると俺とラフタリアは酔ってくる。ちなみに尚文は薬の調合に関する本を読んでいた。フィーロの荷車に乗ってるのに全く酔わないとは尚文は一体どうなっているのか気になってきた。気になって聞いてみると尚文は生まれてから一度も酔ったことがないそうだ。乗り物酔いも酒による泥酔などもだそうだ。盾の勇者になる前から酔ったことがないらしい…体質なのかな?
その後、リユート村に戻り、文字と魔法の勉強を行った。
フィーロは退屈だったそうで、村の周りを探検しに行くと言った。
不安なので俺がフィーロの探検について行くことにした。
ついて行ってもこれといってやることもないので途中で狩りを行った。
狩りを行えば自然と経験値が入るのでレベルが上がった。
人間形態のレベルが1上がった程度だったけど。
ついでに魔物の素材を幾つか持って帰った。
宿屋に戻ってくると尚文とラフタリアがボール遊びをしていた。
そういえば、ラフタリアは成長したとはいえ、実年齢はまだ10歳そこらだったな。
10歳そこらなんてまだまだ遊び盛りだ。
フィーロは、ボール遊びをしている尚文とラフタリアを見つけた。
「あー!ごしゅじんさまとお姉ちゃんが遊んでる。フィーロもまぜてー」
「いいですよ」
「一緒に遊んでも良いが、ボールは割るなよ。後、力を入れないこと」
「はーい」
フィーロがラフタリアと尚文に話かけている間に俺は尚文に素材を持ってきたことを話して、宿の部屋に素材を置いていた。
尚文たちも元に行くとフィーロが話しかけてきた。
「ホムちゃんもいっしょにあそぼ!」
「ホムちゃん?」
なんでホムちゃん呼びなのか聞いてみると変身能力を使って変身した時のホムラとヒカリの姿と人間形態の姿の3つをみて、女性が2つで男が1つ、で女性の方が多いのでホムちゃんだそうだ。ヒカリの姿になってもみんなホムラと呼んでいるので、ホムちゃん呼びが定着したらしい。
その後は、みんなでボールをパスし続ける遊びをした。バレーってやつか?
ボールが回ってくる順番はラフタリア→フィーロ→俺→尚文→ラフタリアの順番だ。
みんなでパスを回して少しすると、
「あ」
尚文がボールをラフタリアの後ろの方に投げてしまった。
ラフタリアはボールを追いかけて、
「えい」
そんな掛け声をしながら、尻尾で地面に着く前にボールをフィーロの方に飛ばした。
「フィーロもー。てい!」
フィーロは人型の背中の羽でボールを俺の方に飛ばしてきた。
俺はホムラに変身して、首の後ろの伸びているマフラーのような部分をまとめて、
「そいや」
ホームランバットの様に振ってで尚文にパスした。
「ほっ」
尚文は盾でボールを弾いた。
「えい」
ラフタリアは剣の鞘でボールをフィーロにパスした。
「てい!」
フィーロはヘディングで俺にボールをパスしていた。
「そいや」
俺はヒカリに変身して腰布の部分でボールを尚文の方に飛ばした。
「あ」
俺は尚文の遥か右側にボールを飛ばしてしまった。
その結果俺が負けという扱いになった。
解せぬ。
その後も俺たちボール遊びを続行した。
日も傾いてきたので、俺たちは部屋に戻り文字と魔法の勉強をしてから眠りについた。尚文は俺たちが眠るまで、薬を作っていた。
翌朝。
俺たちは宿屋で朝食を済ませて宿屋を出た。
宿屋を出ると村人が俺たちに話しかけてきた。
「盾の勇者様。こちらに来てください」
そう言われ、俺たちは村人について行くと、そこには立派な馬車があった。
俺たちが馬車を見ていると村長らしき人が俺たちの元へきた。
「盾の勇者様。こちら、お約束していた馬車になります」
「それと、こちらがもう一つの報酬である商業通行手形になります」
そう言って村長は、尚文に金属製の名札の様なものを渡していた。
「基本的にこの国では、村や町に入る際に通行税を払う必要があるのですが、その商業通行手形があれば通行税を支払う必要がありません」
と村長らしき人が俺たちに商業通行手形の詳細を話してくれる。
「感謝する。ありがたく使わせう」
その後、俺たちは行商をするためにリユート村で幾つかの販売するものを購入した。主に香辛料や薬類、薬草の類だ。
それから、数時間後。俺たちは行商を開始するために準備を終わらせてリユート村を出る準備が完了した。
リユート村を出ようとすると村長と大勢の村人がやってきた。
「盾の勇者様。我々を助けていただき本当にありがとうございました」
「「「ありがとうございました」」」
村長に続き村人たちが俺たちに頭を下げてきた。
「私達も勇者様の仕事の助けになるよう。色々とご協力させていただきます」
「自分たちの生活に無理のない範囲でな」
「「「はい!」」」
そんな会話を尚文は村長と村人たちに言うとフィーロに出発する様に指示を出した。
「「「盾の勇者様ー。お気をつけてー!」」」
村人たちはそう言って俺たちを見送ってくれた。
俺とラフタリアは村人たちに手を振った。
行商を開始して、始めに行ったのが薬の販売だ。
基本的に薬類と栄養剤をメインで販売し、村の特産品も売ると言った感じだ。
いろんな村を回るので薬類の値段はちょっとだけ安く売っている。
尚文曰く、俺たちは流れの行商人だ。それに、薬屋がある村や町で薬を平均的な値段で売るとなると、町の薬屋と俺たち流れの行商人。薬の値段はほぼ同じ。その状態で薬を売るとなると、すでに町や村で信頼を得ている可能性が高い薬屋の薬を買った方がいい。
そんな状態だ。だから薬を少し安くすることで俺たちの薬を買ってもらえる。とのことだ。
他にも薬草を買い取ったり、郵便物の運搬なども行っている。
郵便物の運搬は盗まれる可能性があるので、盗まれてもいいような安物や手紙などが多い。
それと、俺たちの行商は乗合馬車としての仕事も始めた。
例えば、どこそこの村に急ぎで行きたいといえば料金を支払い、俺たちが客を馬車に乗せて目的地まで行くと言った感じだ。
目的地までの距離に応じて、料金が変わるといった内容だ。
行商のために次の村に行く道中。
俺はフィーロの手綱を握る御者をしてる時にそれは起こった。
「ホムちゃん。まえにだれかいるよー」
馬車の前を1人の男が走っている。ゼェゼェと息を切らして走っているので、俺はフィーロにゆっくり走る様に指示を出した。
フィーロの走る速度が落ちたことに尚文が気づいて馬車から顔を出した。
尚文は俺と同じ様に、息を切らしながら走っている男に気づいた。
「何を急いでいるんだ?」
尚文はそう言いながら前を走っている男に声をかけた。
「は、早く山向こうにある村まで急いで戻らないと」
「急いで山向こうの村に行きたいのか?」
「はい。早く母に薬を飲ませないといけないのです。もう一刻を争う状況なんです」
「フィーロ。最高速度で走ったらどれくらいだ?」
「すぐだよー。でも馬車を引かなかったらもっとはやくつくよー」
「わかった。銀貨1枚で運んでやる。どうする?」
「で、ですが薬代でもうお金は…」
「なら、銀貨1枚相当のものでもいいし、ツケでもいい。シラを切ったら許さんが」
「そ、それなら」
「わかった」
そう言って、尚文は俺とラフタリアに目を向けた。
この人をフィーロに乗せて村まで運ぶからその間馬車を頼むってところね。
俺とラフタリアは何も言わず頷いた。
「フィーロ。馬車を道の端に停めろ」
「はーい」
そう言ってフィーロは馬車を道の端に停めた。
俺は手綱を尚文に渡した。
尚文は男をフィーロの背中に乗せて、走っていった。
…走り出したフィーロはあっという間に見えなくなった。
俺とラフタリアは盗賊や魔物を警戒して、馬車で待機している。
しばらくすると、尚文とフィーロは戻ってきた。
尚文は、次の目的地は先ほど男を送り届けた村にするそうだ。なんでも銀貨1枚相当のものを用意するので来て欲しいそうだ。
少しして、俺たちは村に着いた。
俺たちが商売の準備をしていると、先ほど送り届けた男が尚文に話しかけていた。あなたの何者なのかと。尚文は自身の正体を一切話さなかった。
まぁ、そりゃそうだよな。盾の勇者って名乗ったら何をされるかわからないし。
俺たちはいつも通り行商を終え、次の村に送る郵便物を確認した。
次の村に送るものを確認し終えた時には、時刻は夕方になっていた。
そして、村での行商を終えた俺たちは次の村を目指して移動を開始した。
Q.ホムラのマフラーみたいな部分とヒカリの腰布の部分でボールを弾けるの?
A.細かいことは気にするな。