俺たちは今城下町へ向かっている。
尚文は砥石の盾にラフタリアの武器と俺の使う剣を入れて研磨中だ。
「さて、そろそろ城下町に戻ってラフタリアの装備を一新するか」
「……ナオフミ様?」
「いや、マスター。ラフタリアさんの装備を一新するのいいことだけど。自分のことを少しは考えようよ。」
「なんか変か?」
「盾以外、村人と殆ど変わらないですよ」
「ラフタリアさんの言う通りだよ」
「んー……必要無いからな……着替えがある程度で大丈夫だろ?」
尚文がそう言うとラフタリアが尚文の方を掴んだ。
ガシ!
そして満面の笑みを尚文に向ける。ちょっと怖い。
「ナオフミ様? 戯れは程々にしませんと死んでしまいます」
「いや、大丈夫だろ。資質を向上されてから防御力が上がってダメージをほぼ受けてないんだぞ。」
そう言って尚文は尚文自身の装備の新調を拒んでいる。
資質を向上させた結果、変な方向に自信がついたな。
「ホムラさんも何か言ってください」
ラフタリアは俺のことを、名字のホムラにさん付けでホムラさんと呼んでいる。
尚文の説得か。これをやってみるか。
「マスター。装備品を付けると防御力に目が行きがちだが、武器屋の親父なら防御カよりも付与効果とかを優先してほしいといえば防御力をほぼ最低にして付与効果に特化させた鎧とかを作ってくれるかも知らないぞ。あの人メルロマルク内では上から数えた方が早い優秀な鍛治師だからな。それに、親父はオーダーメイドもやっているらしいから金を払えば作ってくると思うよ。それに波もいつおこるかわからないし」
「……なら作れるか聞いてみるか」
これは説得できたのと見ていいのかな?
「ナオフミ様…」
なんかラフタリアが微妙な顔で尚文を見ている。
なんかごめん。
城下町に入り商店街を歩いていると道行く人たちがこちらを見る。
視線はラフタリアに向かっている。この1週間でかなりの美人に育ったからな。
他にも倒した魔物を買取商に渡すと銅貨1枚をおまけしてもらえてた。
それに対し尚文は、「この町はロリコンばかりなのか?」と呟いていた。
そうして武器屋についた。
「盾のアンちゃんたちか。1週間と少しぶりだな」
武器屋の親父は俺たちを見てから、ラフタリアを見てフリーズした。
すぐに治ったけど。
「しばらく見ないうちに見違えたなぁ……別嬪さんに育ったじゃないか」
「わかるよ。親父」
「はぁ?」
そう、ラフタリアさんの見た目はもう大学生ぐらいまで成長している。
並ばれたな。
俺と初めて会ったときは、中学生か高校生程度だったのに。
実年齢は俺の方が9歳ぐらい上なのに。
「恰幅も良くなって……前来た時の痩せこけた姿とは大違いだ」
「太ったみたいな言い方しないでくださいよ」
ラフタリアはもじもじと手を捏ねて答えている。
かわいい。
「ガハハ、可愛く育ってるじゃないか」
「そうか?前とそんなに変わってないだろ」
「ふうむ……アンタは朴念仁になってきたな」
「何を訳のわからん事を」
尚文の中ではラフタリアはまだ子供と思っているのだろうか?
ちなみに、俺たちの食事は尚文が作ってくれている。
俺も尚文に見てもらって料理をしたが尚文ほど上手く作れなかった。
ラフタリアと親父の会話はこの1週間の出来事を話している。
そしてすぐに、尚文の防具を買う話になった。
「さて、じゃあアンタの防具で良いんだな。予算はどれくらいだ?」
「銀貨180枚の範囲でお願いします」
「そうだなぁ……その辺りでバランスの良い防具となるとくさりかたびらだな」
「くさりかたびら……ハッ!」
くさりかたびらと聞いた瞬間、尚文の表情がとても険しく、嫌そうになった。
「まあ……盾のアンちゃんがそこまで嫌ならしょうがないな」
そう言うと親父は別の防具に視線を向けた。
「となると、ちと厳しいかもしれないが、鉄の鎧が妥当な範囲か?」
そう言って親父が目を向けた方向にはフルプレートの鎧があった。
どうやらあの鎧はエアウェイク加工というものがされてないらしい。
エアウェイク加工というのは、装着者の魔力を吸って重量を減らす効果があるようだ。
エアウェイク加工がされてない鎧は動かすのが大変らしい。まぁ、鉄の塊みたいなものだしな。
試しに尚文が装備してみたが、尚文要素が皆無だった。
親父とラフタリアは笑いそうになっていた。俺は微妙な顔をしていたと思う。
「後は……素材を持って来ればオーダーメイドをしてやっても良いが……」
「良いな、そういうのは好きだぞ」
「俺も」
「アンちゃんたちは好きそうな顔しているからなぁ……そうだなぁ」
武器屋の親父は材料名と完成予想図の書かれた羊皮紙を広げる。
「読めない」
「同じく」
俺も尚文もこの世界の文字はまだ読めない。翻訳はしてくるんだけどね。話を聞くと必要な素材を教えてくれた。素材は銅と鉄それと、ウサピルとヤマアラの皮、そしてピキュピキュの羽のようだ。
「皮と羽はありますよ」
そう言ってラフタリアはウサピルとヤマアラの皮とピキュピキュの羽を取り出した。
ピキュピキュの羽は布団と毛布の代わりに使っていたので品質が少し悪くなっているが問題はないらしい。
銅と鉄は親父が紹介状を用意してくれているので安く売ってくれるそうだ。
そして、そのオーダーメイドの鎧の性能は防御力はくさりかたびらと大差ないらしい。その代わりに防御できる範囲が広く、防寒能力があるらしい。
ちなみに、魔物の骨をつければ魔法効果も付くようだ。
この魔法効果の付与は材料が揃えば後からできるらしい。
その後尚文とラフタリアは武器屋の親父に教わった工房で銅と鉄を買った。
「マスター」
「なんだ」
「俺も一応自分用の鎧を買っていいか?流石に防具なしで波に挑むのは不安だから」
「そうか。鎧ば自分の金で買えよ」
「了解」
そう言って尚文とラフタリアは出て行った。
「さて、じゃあ親父俺にも鎧を売ってくれ。予算は銀貨300枚だ。」
「かなりあるな」
「頑張って貯めたので」
その後、武器屋の親父は俺を採寸した。
採寸が終わると
「ちょっと待っててくれ」
そう言うと親父はカウンターの奥の部屋に行った。
少しすると、一つの鎧を持ってきてくれた。
「今うちあるやつでお前のサイズに合うやつだ」
そう言って俺に鉄の鎧の腕当、肘当、肩当てがセットになったものと、胸当てを出してくれた。デザインはかなりシンプルだ。
つけてみるとちょうどいいサイズだった。
「似合ってるじゃねぇか」
そう言われ鏡で見てみると、グラ◯ルのグ◯ンの初期装備みたいになった。
これで、ホムラ・ヒカリの剣を使ったら違和感がすごいことになりそうだな。
そう思うと剣も欲しくなってきた。
「親父ついでに剣と膝当はないか?足方面も固めておきたいんだ。」
「おう。ならこれとこれはどうだ?」
そう言って親父は2つの武器を見せてくれた。
1つは普通の鉄の剣。もう一つは魔法鉄の剣だ。
「手に持ってみて持ちやすい方を選びな」
そう言われ、2つの剣を持つ。その結果、魔法鉄の剣が持ちやすかった。
「親父、この魔法鉄の剣にするよ。これかなり持ちやすくて、扱いやすいからな」
「そりゃ良かったな。それとこれが膝当だ。ついでに、脛当も用意したぞ。防御できる範囲は少しでも広くしておいた方がいいだろうからな」
「良いのか?脛当まで用意してくれて」
「いいよ。オマケだ。」
そう言ってくれた。
「それじゃあ、武器と防具をまとめて銀貨230枚だ。オマケで魔法鉄の剣にはブラッドクリーンコーティングをしておいたぜ」
銀貨230枚か。これだけの装備に魔法鉄の剣にブラッドクリーンコーティングをしてるならもうちょっと高いだろう。親父さん、少しオマケしてくれたんだな。
その後すぐに尚文とラフタリアが帰ってきた。
「おかえりマスター。どうだマスターたちが工房に買い出しに行ってる間に装備品を選んだんだ。似合ってるかな?」
「似合ってますよ。冒険者って感じでかっこいいです」
「俺もラフタリアと同じだ。ただ、ポーチとかをつけた方がいいと思う。薬類は持っていた方がいいだろうからな」
前者はラフタリア、後者は尚文だ。
尚文の言うこともあってるな。怪我をした際の薬品はあった方がいい。
「なるほど、ポーチか。親父、ポーチの類はあるか」
「あるぞ。少し待ってろ」
そう言って親父はいろんなポーチを持ってきてくれた。
魔物の皮で作られたのが大半だが、大きさが違う。おそらくストックできる本数が違うのだろう。
「これが今うちにあるポーチだ。あまり嵩張るといけないから基本的には2、3本ほど薬を入れておくのがセオリーだな」
なるほどな。確かに薬を大量に持つとなると鞄を背負ったりしないといけないから、それを防ぐためにポーチがある。ゲームとかだと無限に入るとかが多いけど、ここは現実だからな。
「3本入るポーチにするよ」
うちのパーティーは今はちょうど3人だし。
「ならこのポーチだな。銀貨3枚と銅貨10枚ってところだが、勇者の仲間だから銀貨2枚と銅貨10枚にオマケしておいてやるよ」
また、親父はオマケしてくれた。本当にいい人だ。尚文が信じるのもわかる。
「ありがとう。はい、銀貨2枚と銅貨10枚だ。」
俺は親父に銀貨2枚と銅貨10枚を渡した。
その後は、尚文たちの話だ。
なんでも武器屋の親父の紹介で安くなり、ラフタリアの可愛さに工房の連中がおまけをしてさらに安くなった。
尚文は親父を呼んで、親父の知り合いも街の連中もロリコンが多すぎないか?という話をしていた。
まぁその話もすぐに終わった。
「明日までには完成させておく、それまで待っていてくれ」
「早いな、最低でも二日以上は掛かると思っていた」
「俺は3日から5日ぐらいだと思っていたよ」
「ま、知らない野郎ならそれくらい掛けるが、なんたってアンちゃんだからな」
「一応、礼は言っておく」
「「ありがとう(ございます)親父(さん)」」
俺とラフタリアは同時に礼を言った。
「ははは、ケツが痒くなるな」
その後は親父が伝説の盾が自動で研磨してくれたりする盾を便利な盾で欲しいと言っていた。
尚文はその代わりに武器が装備できないけどな。渡せるなら渡したいと言っていた。
そして、ラフタリアは俺と同じ魔法鉄の剣を買った。
ラフタリアに魔法鉄の剣を渡した時に親父は尚文に、「アンちゃんが頑張ってるのは知ってるからな」と言ってた。
それに対して尚文は、
「ありがとう……」
そう言った。
その言葉を聞いた武器屋の親父は、
「アンタ。初めて会った時と同じ目をしたな、それで良い。良いものを見せてもらったよ」
と言っていた。
……親父が初めてみた尚文ってどんな人物だったのだろう。俺が知っているのは、今の厳しい尚文だけだ。
俺は、まだ尚文のことを何も理解してないんじゃないのか。と思った。
「それじゃあ、明日、今くらいの時間に来てくれ」
「ああ」
「「ありがとうございました!」」
俺とラフタリアは同時に改めて礼を言った。
「いいってことよ」
武器屋への用事が終わった俺たちは、飯屋に向かった。
飯屋に入った際、ラフタリアに客たちの視線が集まった。
ラフタリアの耳と尻尾を見て亜人かよと言う客もいれば、かわいいという客もいた。…反応としては、かわいいが6割、3割が不快、1割は無関心といったところか。
席に着くと腹の虫が鳴った。どうやら尚文のようだ。
「俺には1番安い定食を」
「俺も1番安い定食で」
「この子(ラフタリア)にはお子様ランチを」
「ナオフミ様!私を子供扱いしないでください!私も同じ定食を!」
そう言ってラフタリアは注文内容を変えた。
「別に無理に大人ぶらなくてもいいんだぞ」
「別に無理なんてしていません!ホムラさんも何か言ってください!」
「マスター。もうラフタリアさんはもう立派な大人だよ」
「何言ってるんだ。ラフタリアはまだ10歳の子供だろ」
ラフタリアの実年齢を言われた。
ラフタリアの見た目は今や大学生ぐらいだけど実年齢はまだ10歳ぐらいなんだよなぁ。
見た目は20歳ぐらいには成長しているのに。
ホムラ(人間形態)では、剣を装備することは可能です。
ただ、弓や槍は装備できない。
ホムラとヒカリ…武器も剣も固定
人間形態…剣であればなんでも装備可能
剣以外の攻撃について判明していること
殴る、蹴るは攻撃力が1/3になった状態でダメージが出る