盾の勇者と天の聖杯   作:三途豆

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蛮族の鎧と龍刻の砂時計

翌日、俺たちは武器屋に顔をだした。

「おっ、アンちゃんたちじゃないか」

「頼んだものは出来てるか?」

「出来てるぜ」

そう言って武器屋の親父はカウンターの奥の部屋に行き、一つの鎧を持ってきた。

その鎧を尚文は着用した。

「名付けて、蛮族の鎧だ」

「親父、あんたは俺を盗賊団のボスか世紀末の雑魚にしたいのか?」

これを見て俺はこの言葉が真っ先に出た。

「アニメと同じだな。似合ってると思うぞ。目つきとかが特に」

そういうと尚文はこちらを睨んできた。

ラフタリアはというと、

「ナオフミ様、似合っていてかっこいいです!」

ラフタリアはキラキラした笑顔でそう言った。

あれは本心で似合っていると思っている顔だ。

心から似合っているというのを感じ取った尚文は「亜人と人間では美的感覚が違うのか」と呟いていた。

 

その時近くの通りに人が集まっていた。

野次馬感覚で近づいてみると、馬に乗った騎士たちが移動していた。

「そういえば、最近城下町の雰囲気がピリピリしていますね」

「波が近いからだろうな。一体どこで、何時ごろに起こるんだ?」

そういえばこの日だったな。龍刻の砂時計に行ったのは。そこで誰かに遭遇したはずだ。えーっと誰だっけ?なんかよく思い出せない。

「マスター」

「なんだ」

「俺、その波が発生するまでの時間を確認する方法知ってるよ」

「どうやるんだ?」

「確か町のどこかにあるでかい砂時計で確認できるよ。ただその砂時計が町のどこにあるかのは、知らないんだ。ごめん」

「アニメだと建物とかも作らないといけないから移動シーンを全カットされたってところか?」

「正解」

「武器屋の親父さんに聞いてみるか」

俺は、そう言って武器屋の親父に龍刻の砂時計はどこにあるか聞いた。

親父の話によると、国が管理している時計台が広場の方は行くと見えるので、そこに龍刻の砂時計があるらしい。

 

「マスターどうする?一回見に行く?」

「そうだな」

確かこの後、龍刻の砂時計に行って、その後翌日の朝になって、波が始まったんだよな。

他の勇者たちとは波で出会うはずだ。

 

まぁ、波で出会う勇者たちと、波以外ですぐに遭遇するわけないよな。

 

そう思って俺たちは、時計台の方へ向かった。

かなり大きい建物だ。

外見は四角い教会の上にドームのようなものがあり、その上には時計台がある。

出入りは自由なようで中から人が出入りしている。

入ってみると真っ直ぐに道があり、道の横には長椅子が均等におかれている。尚文は「かなり羽振りがよさそうだな。一体いくら搾り取ったんだか」と言っている。

するとシスターがやってきた。

「…盾の勇者様ですね」

「ああ、そろそろ期限だからな。様子を見にきた」

「…ではこちらへ」

そう言ってシスターは俺たちを案内する。

そして奥にある大きな扉が開く。扉の先には道があり少し進むと大きな部屋に出た。

そして、その大きな部屋の中央には大きな砂時計がある。

全長は7メートルはある。

これが、龍刻の砂時計か。

龍刻の砂時計には装飾がされており、なんとも神々しい印象を受ける。

そして、アニメと明確に違うところがある。それは砂の色だ。アニメ版は黄色っぽい、普通の砂の色だったのに対し、この砂時計の砂は赤色だ。

それに、砂は今も落ち続けている。もうかなりの砂が落ちており波の時間が近いことが、予測できる。

そう考えていると、尚文の盾から一本の光が龍刻の砂時計へ飛んでいった。

すると、突然俺のステータスアイコンが反応し、盾のマークが勝手に拡大し、時間が表示された。

残り20:12 と出た。

少しすると12が11に減った。

なるほど、これが波のカウントダウンか。

すると誰かが声をかけていた。

「そこにいるのは尚文か?」

声のした方向を振り向くと槍を持った金髪の男性がこちらにやってきた。

周りには女の人しかいない。

 

この声と手に持っている槍を見るにもしかして槍の勇者だろうか?

「お前も波に備えて来たのか?あと、まだその程度の装備で戦っているのか?」

俺はすぐに違和感を感じた。なんか槍の勇者の装備がアニメで見た物と異なる。

アニメ版では赤系の服と灰色のような鎧なのに対し、今は銀っぽい輝きを放つ鎧を着てその下に緑系の服を着ている。

まぁ、ここは現実だし、ゲームでも装備品も優秀なゲットすれば変更することもあるし。違うのは当たり前か。

「……」

尚文はずっと無視している。

「何よ、モトヤス様が話しかけているのよ! 聞きなさいよ」

ビッチが槍の勇者の後ろから顔を出す。

尚文がめっちゃ睨みつけている。

「ナオフミ様? こちらの方は……?」

そういえば、ラフタリアは槍の勇者?と会ったことがないから、これが初邂逅か。

そんなことを考えていると入り口から剣の勇者?パーティーと弓の勇者?パーティーがやってきた。

四聖勇者それぞれのパーティーが集まって部屋の人口比率が一気に増えた。4+12+2。この部屋に今18人にもいる。

尚文が部屋を出ようとしたので俺とラフタリアがついて行くと、槍の勇者がラフタリアの手をつかんだ。

「始めましてお嬢さん。俺は槍の勇者の北村元康と言います。以後お見知りおきを」

「は、はぁ……勇者様だったのですか」

ラフタリアは戸惑っている。そりゃ急に手を掴まれて、言われたことが自己紹介だしな。

その後ラフタリアは自分の名前を聞かれたらので名前を教えた。

尚文を見るとかなり不機嫌になってきていた。

「アナタは本日、どのようなご用件でここに? アナタのような人が物騒な鎧と剣を持っているなんてどうしたというのです?」

「それは私がナオフミ様と一緒に戦うからです」

「え? 尚文の?」

槍の勇者がそう言った瞬間。尚文がさらに不機嫌になりはじめた。ここは俺も動くとするか。

「すまないな槍の勇者殿。ラフタリアは俺たちの仲間なんだ。スカウトは別の子にしてくれ」

「誰だお前?」

槍の勇者はそう言ってきた。

そういえば、まだ名前を言ってなかったな。

「俺は穂村光野だ。尚文の仲間をしている」

そう言ってラフタリアのを連れ尚文の元へ行く。

尚文は推定剣の勇者と弓の勇者の横を通って出て行く。

出て行く際に、「波で会いましょう」と「足手纏いになるなよ」と言われてた。

尚文はさらに機嫌が悪くなった。

 

俺たちは時計台を出てから城下町を抜け草原に来ている。

「な、ナオフミ様? どうしたのです?」

「別に……」

「あの……」

俺はラフタリアの肩を無言でつかんで首を横に振った。今は話しかけない方がいいとジェスチャーで伝えた。

俺とラフタリアは尚文の後ろをついて行く。

少しするとバルーンが現れた。

俺とラフタリアが剣を抜く。

「ああ、今回は俺一人に任せてくれ」

「え……でも」

「良いんだ!」

尚文が怒鳴った。

その後尚文は他にも追加で襲ってきたバルーンを殴り倒した。

俺たちは草原で薬草を回収して宿に向かった。

 

宿屋に着いた俺たちは部屋を取り明日の波に向けて準備をしていた。

ラフタリアは薬草を調合している尚文に話しかけた。

「ナオフミ様」

「……なんだ?」

「昼間、時計台に居た方々がナオフミ様と同じ、勇者様なのですね」

「……ああ」

「一体……何があったのですか?」

「言いたくない。知りたかったら酒場にでも顔を出して聞いて来い」

尚文はぶっきらぼうに言った。

 

夜。

俺はラフタリアを呼び出した。

「ホムラさん、私に用とは一体」

「そのことなんだが、ラフタリアお前は知りたいか。なぜマスター。盾の勇者である尚文が迫害されているか」

「はい知りたいです」

「わかった。なら、教えよう」

そう言って俺は、俺が知ってる範囲で尚文の評判とそこからあったと思われることを推測も交えて話した。

尚文は、盾の勇者として召喚され、3日目でやってもいない強姦の冤罪をかけられ、勇者も国の連中も誰一人として尚文の味方をしなかった。その結果、人間不信になり、誰も信じられなくなった。

尚文が疑り深い人物なのは知っているし、冤罪をかけられたら心が折れる自信がある。もし、心が折れなかったとしても、人間不信になるかもしれない。

たぶん、尚文は俺のこともラフタリアのことも心の奥底では信じていないのかもしれない。

おそらく、資質の向上を教えたことと日本人補正でなんとかラフタリアより少し下ぐらいには信じてもらっている。と思っている。

「ラフタリアは尚文のことが信じられない?」

「いいえ、私はナオフミ様のことを信じます」

ラフタリアは断言した。

「そうか。なら俺も信じてもらえるように頑張らないとな」

「そうですね」

そう言って俺とラフタリアは部屋に戻った。

「話は終わったのか」

「ああ、問題なく」

「そうか。明日も早い。早く寝ろ」

そう言われたので俺とラフタリアは眠った。

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