転生したらTSして悪魔になったので、ロールプレイします   作:メスシリンダーガキ

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主人公組の身長教えろお尻の穴増やすぞって脅されそうなので(被害妄想)ここで教えときます

素の身長だと
天秤ちゃん<レイラ(16歳時点)<マスター

ただ天秤ちゃんはヒールの付いた靴を好むので、ヒール込みだとレイラちゃんと同じか少し高くなるときがあります。
これで、これで良いんだな!言われた通り教えたぞ!エ⚪︎ン!


十五話

 

 

 

 

 無駄に広い屋敷内のダンスホール。

 ユーシスとマスターが互いに剣を持ち、対峙していた。

 それらを円形に取り囲むように、招待客たちが集まっていた。

 まるで闘技場だ。

 そんな中、私と突然現れたイケオジ――マーティム・フォン・コーデリックは、上階のテラスから豪華な椅子に座っていた。

 ほら、よく偉い人が高みの見物してそうなあれよ。

 まぁ確かに上から見てるためよく見えるが――

 

「――何故私までここに? マーティム・フォン・コーデリック様」

 

「名前で呼んでもらって構わないよ、素敵なレディ」

 

「ではマーティム卿と」

 

「おう、いいね。耳に心地良い声だ! それとここに座るのは当たり前だろう? 彼は私の最近のイチオシの騎士、対するはレディの騎士だ。我々は特等席で応援してやらねばというものだろう」

 

「まぁそれは確かに」

 

 ご丁寧にワインとチーズも用意されていた。

 

「――そういえば、今のうちにお聞きしても?」

 

「なにかな?」

 

 チーズを一欠片口に運んで、舌の上で転がす。

 そして歯ではなく、舌と口蓋を使って小さく潰す。

 そして飲み込んでから続きを話した。

 

「何故あの()()()()()で止められたのです? 彼……ユーシスとほぼ同じくらいにあの場に既に居たのでしょう?」

 

「なんだ、そんな事か。簡単な話だよレディ――面白そうだから見物に徹していただけだよ。そうしたら決闘だなんてもっと面白い事を言い出すものだから、つい出てきてしまった」

 

「まぁ、趣味の悪いこと。彼をストーキングでもしていたのですか?」

 

 イチオシというからには、相当気に入っているのだろう。

 しかしストーキングするくらいとは……もしかしてびーとえるのつくアレだったり――

 

 

 

「いや? ストーキングは事実だが、彼ではなく君を追っ掛けていたよ。レディ」

 

「…………ほわい?」

 

 私を?

 いやまぁ確かに視線を感じるとは思ってたけど、私の美しさに身惚れたモブなのかと思っていた。

 というか変態だー!

 

「まぁ途中からユーシス()も君を追っ掛けていたよ?」

 

 変態が2人だったー!

 ダブルストーキング、略してダブスト。

 いやぁ、これも全部天秤の悪魔ってやつのせいなんだ……

 かわいくてごめんね?

 

「……かのマーティム卿のお眼鏡にかなったようで何よりですわ、おほほほ。しかし私の何処がそんなにお気になさったので?」

 

「強いていうなら、その容姿かな。我が家に代々伝えられている教訓――家訓か? それに君そっくりの人物が登場してね」

 

 マーティム卿がワインのグラスを軽く揺らす。

 

「家訓ですか?」

 

「あぁ、かつてコーデリック家を繁栄させた男が残した言葉でもある。曰く『物乞いに施しを求められたら、必ず施せ』というものだ」

 

 ほう、それは中々志の良いことだ。

 あれか、なんちゃらオリーブオイルってやつか。

 実に良い家訓だ、感動的だな、だが私には無意味だ(^U^)。

 

「その男もかつては物乞いだった。通りかかった人々に無視をされ、唾を吐かれるのが日常だった。だがある日――」

 

 

 

 え、ちょっと待ってここで本筋と関係ない回想入るの?

 正気か? ただでさえ三話も掛かってそろそろ短編詐欺だろって言われる手前だよ?

 

 

 

 

 

 

『お願いします……お恵みを――』

 

 男はいつもの通りでいつもの物乞いをしていた。

 かつては手に職を付けて、それなりの地位にいた。

 しかし脚を悪くしてしまい、そこからの人生は転落するばかりだった。

 しかし、男はその日運命に逢う。

 

 

 

 

 『あー! そのパンちょーだい!』

 

 

 

 

 突然通りかかった、ピンク髪に山羊の角が付いた少女に、食べようと手にした、少しカビたパンを取られた。

 それは男にとって食い繋ぐための貴重な食糧だった。

 そして酔っ払いの横暴がそれを横取りしたのだ。

 

『あ、あぁ……』

 

『ありがとぉー、おつまみが欲しかったのぉ』

 

 男が嘆く声も気にせず、少女はパンをあっという間に平らげ、酒で流し込んだ。

 

『――ぷはぁ、ご馳走様ぁ。じゃあこれパンの代金ねぇ』

 

 少女は小さな革袋を男に渡した。

 やけに重かった。

 

『あれぇ、その脚どうしたのぉ? いたそー、でも唾でも付けとけば治るよたぶんきっとー』

 

 少女が人差し指を己の口に入れ、唾液が付いたその指で塗り付けるように男の脚を撫でた。

 きたない。

 

『じゃあねぇ、ひっく』

 

 そうしてフラフラした足取りで少女は去った。

 男は呆気に取られていたが、あることにようやく気が付いた。

 

「……? な、脚が……!」

 

 脚の痛みも不快感もなくなり、問題なく動かせるようになっていた。

 一体何が起こったのか頭が理解する前に、脳は別のものを認識する。

 それは少女が男に渡した革袋だった。

 紐を緩めると、そこにはパン一切れの代金どころではない、金貨の山が入っていた。

 

『あ、ああ……ありがとう、ありがとうございます……』

 

 男は幸運に恵まれた。

 あの少女が何だったのかは分からない。

 しかし男は、そこからさらなる幸運と実力で貴族へと成り上がっていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――とまぁそういう昔話が語り継がれているのさ」

 

「えー、人様のパンを勝手に食べるとか最低ですね。きっと極悪非道な悪魔の類ですよそいつ」

 

 なんて酷い奴が居たものだ、そして実に甘っちょろい。

 私ならそんな一方的でなく、相手の意思や尊厳を刺激しながらじっくりと楽しむよ。

 

「ははは、そうだな。所で庭園で君は彼に悪魔とか呼ばれて――」

 

「あ、ほら始まりますわよ! きゃー頑張ってマスター! 負けたら1週間メイド服ねー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 本来は舞踏のために呼ばれた音楽家や楽器の使い手達が、一斉に音を奏で始めた。

 闘争心を刺激されるような音楽だった。

 

 決闘のルールはシンプルだった。

 有効打になりうる剣による攻撃を相手の鎧に当てる。

 先にそれを2回達成した方の勝ちだ。

 そして致命傷を与えるのはなし。

 刃傷沙汰を起こしたら即敗北扱いとなる。

 だが使うのは木剣などではなく、互いに己の剣を。

 緊張感は充分だった。

 

「――始め!」

 

 マーティム卿の従僕で、今回は決闘の見届け役が宣言した。

 今ここに、王国騎士と名も知らぬ騎士の決闘が始まった――

 

「――ノーバル王国の王国騎士団所属、ユーシス・ストライジ」

 

 改めて所属と名前を名乗る。

 決闘が開始される時の伝統、風習だった。

 

「…………」

 

 対峙する騎士は何も語らない。

 代わりに、黒色の剣を垂直に持ち、兜の前辺りまで掲げる。

 そしてゆっくりと、胸の下辺りまで剣を垂直にしたまま下げる動作を見せた。

 フェンシングの試合における敬礼(サルート)のような動作だった。

 美しく洗練された動きだった。

 それが無口な彼なりの名乗りだと、すぐに理解できた。

 

「――――」

 

「――――」

 

 両者とも剣を構え直した。

 両者ともまずは様子見、牽制が始まる――というわけではなかった。

 

(走っ……はやい!?)

 

 鎧の金属が擦れる音を立てながら、名無しの騎士がいきなり駆け出した。

 とても鎧を着ている人間の出せる速度ではない。

 数秒もしないうちに、名無しの騎士の剣が王国騎士へと迫った。

 

「ぐっ……!」

 

 左肩を狙ってきた、剣を振るって弾く。

 次は右脚、ステップして躱す。

 だがすぐに追撃がきた。

 今度は――胸か!

 

「ふっ……!」

 

 上体を逸らす。

 そして己も防戦ばかりでは勝てない。

 剣を持つ相手の腕を狙った剣戟を繰り出す。

 ――難なく剣で弾かれた。

 

(まずい、ペースは完全に向こうが、一撃が重い、はやい……!)

 

 剣を振るう速度よりも、脳内の思考がさらに速くなる。

 だが思考に身体が追い付かない。

 そして確実に体勢を崩されていき――

 

「がっ……!」

 

 黒色の剣が右の脇腹辺りの鎧部位を叩いた。

 その衝撃が鎧を貫通して身体に痛みを与えてくる。

 そしてそれは、時間にすれば1分にも満たない攻防だった。

 

「……一本! 異国の騎士!」

 

 見届け役の従僕が宣言する。

 同時に招待客(観客)達が興奮したように歓声が上がる。

 上品さも優雅さも忘れ、闘争を愉しむ人間の本能を剥き出しに、ただ純粋にさっきまでの騎士2人の攻防(ダンス)を讃える。

 

「……一筋縄でいかないか」

 

 一本を取られたことにより、仕切り直しが始まる。

 お互い最初の定位置に戻り、見届け役の合図があるまで待機する。

 ――あっという間に敗北まで追い詰められた。

 そして直感で理解した。

 このままでは、次も同じように負ける。

 ではどうする?

 どうするのだユーシス・ストライジ。

 

「――決まっているさ」

 

 ()()を出し尽くせ。

 ただそれだけの話だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 とんだ茶番だ(決闘だ)

 だが悪くない。

 かつての己を思い出す。

 動いてない筈の心臓が弾むような感覚だ。

 

「――始め!」

 

 2回目の開戦の合図。

 それと同時に、若き騎士(ユーシス)が勢いよくこちらに向かって走り出した。

 ――ほう、今度はそちらから来るか。

 迎え打つ姿勢をとった。

 

 若き騎士よ、お前は強いのだろう。

 素質もある、きっと良い騎士に大成する。

 だが、積み上げてきた年数が違う。

 踏んできた場数も、その内に宿した決意も。

 天と地ほどの差がある。

 ――あぁそうだ、これはきっと驕りだろう。

 しかし驕りであっても、お前を打ち負かすことが出来る。

 タイミングを合わせて剣を水平に振った。

 避けるか? それとも弾いて受け流すか?

 

 

 

「っ……! あぁ!」

 

 どちらでもなかった。

 若き騎士は己の剣を、自らの剣で受け止めて、()()()に逸らした。

 強引でデタラメな逸らし(パリィ)

 人間の力とは思えないその威力で、己の剣は押し返された。

 

 

 

 ――このデタラメのカラクリは、本人であるユーシスにしか知らない。

 それは騎士団に入団してすぐに開花し、自覚した『加護』だった。

 瞬間的に身体能力を向上させる、シンプルな加護。

 それこそが、若くして実力ある騎士へとなったユーシスの秘密だった。

 

 

 

 

 ――そして、ガラ空きになった胴部分に剣を当てられた。

 痛みはないが、衝撃は伝わってきた。

 

「……一本! 王国騎士ユーシス!」

 

 時間にすればさっきのよりも短い。

 だが招待客(観客)たちはより大きな歓声をあげた。

 …………そうか、やはり驕りはするものではないな。

 たった一撃、たった一回の敗北。

 その事実が鈍った己の心を駆け巡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――油断したでしょ?」

 

 2回目の仕切り直し。

 定位置に戻って剣を握り直したら、目の前に主人がいた。

 そして気が付く。

 鳴り響いていた歓声も、音楽も鳴り止んでいたことに。

 ――いや、正確には()()()()()()

 音も人も何もかも、静止した世界。

 動いているのは己と主人だけ、2人だけの世界(時間)だった。

 

「…………」

 

 あぁ、油断したとも。

 驕ったとも。

 完全な勝利を捧げられず申し訳ないな、主人よ。

 

「本当に反省してるのぉ? ……まぁいっか、ちゃんと勝ったら許してあげる」

 

 それは実に寛大だ。

 心配しなくとも、ちゃんと勝つとも。

 

「そう、じゃあちゃんと――()()出しなよ。でなきゃ本気出してくれたユーシス君に失礼だからね――私の騎士」

 

 主人がそう言って、右手の甲を差し出した。

 ――剣を置いて、その場に跪く。

 そして主人の手を取り、その甲に兜の面頬を軽く押し当てた。

 

「――勝ちなさい、()()()()()()()

 

 その激励(勅命)で、剣を再び手にして立ち上がった。

 

 

 

「――始め!」

 

 時間が動き出す。

 主人は目の前にはもう居なかった。

 だが、やるべき事はハッキリとしているとも。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんだ?」

 

 三度目の合図。

 これで勝敗が決まる。

 タイミングよく楽曲の音やリズムが変化し始めた。

 音楽もこの決闘のように佳境へと入ったのだろう。

 おそらく、あちらも最初のように速攻で仕掛けてくるはずと睨んで、ぶつかる勢いと覚悟で脚に力を込め始めた。

 ――だが、その読みは外れた。

 名無しの騎士はその場で、両手を使って剣を大きく天へと掲げた。

 そして、ガキンと、何か金属が外れたような音が響いた。

 それと同時に、楽曲のフレーズが著しく変化し、より激しい音楽へと。

 男と女のコーラスも聞こえ始めた。

 

「…………剣が、()()……?」

 

 名無しの騎士が円を描くように、両手をそれぞれ上から下へと降ろした。

 その両手には、黒い直剣が握られていた。

 あの大剣に近い大きさの剣が、()()()()()()()()のだ。

 

 そして先に動いたのは、騎士アルベールだった。

 疾走ではなく跳躍、飛び掛かるように二つの剣が騎士ユーシスを襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、かっこよかったよぉ。マスター」

 

 決闘も社交界も終わり、主人と騎士は別邸近くの湖畔近くを歩いていた。

 主人が帰る前に酔いを醒ましておきたいと言ったからだ。

 

「でもぉ、勝てたから良かったけど、あの油断はやっぱりないと思うなぁ。やっぱり3日くらいメイド服着る?」

 

「…………」

 

「えー、じゃあ私とレイラちゃんで着るかぁ――え? ユーシス君に最後何を言ったのかって?」

 

 騎士が主人に聞いた。

 

「……単なるサービスだよ。彼は決闘には負けたけど、一本はマスターからもぎ取ったしね。ヒントを一つ教えてあげただけ」

 

 そのヒントは、とある騎士の男の名前だった。

 

「面識がなくても同じ騎士団なら、調べればすぐにコンタクト取れるでしょ。あとは勝手に自分でどうぞーってね――あ、そういえば……」

 

 何かを思い出したように、主人が足を止めたので騎士も同じように足を止めた。

 

「あんなに練習したけど、結局踊らなかったねぇ。残念無念またらいねーん」

 

「…………」

 

 騎士がその言葉に、主人の手を優しく取った。

 

「お? …………ここで? んー……いいよぉ、じゃあ踊ろうか」

 

 騎士が主人をダンスに誘った。

 主人はそれを承諾した。

 

「――――――」

 

 練習のときのように、主人が音楽を口ずさむ。

 陽光が差し込み始めた湖畔で、主人と騎士が踊る。

 

 

 

 

 

 

 

「――さぁ、今日も頑張るかー」

 

 金髪碧眼の少女が家を出て、気合を入れながら小走りで宿場町に向かう。

 坂道を転ばぬように、バランスを取りながら。

 ――ふと、坂道の先。

 少女とは逆に坂道を登っている人影が見えた。

 それは少女と同じ、金髪碧眼の青年だった。

 2人は間も無くして、その顔を見合わせた。

 ……それはなんてことはない、2人にとって数年ぶりの再会だった。

 

 

 

 




どうしてこんなに掛かったのですか?
私にもわからん
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