転生したらTSして悪魔になったので、ロールプレイします   作:メスシリンダーガキ

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女魔法使い<アリシア<馬の悪魔(人間換算するなら)<元盗賊<レイラ(16歳)<女エルフ<天秤ちゃん<姉御(大胸筋含む)<双子ちゃん


二十八話

 

 

 

 

「——————お?」

 

 久しぶりのご指名(召喚)だ。

 年に数回、大陸中に私の召喚方法というなの名刺を何枚かばら撒くので、誰がそれを手にし、どう人々の手に渡り、最終的に誰が私を呼ぶのか自分でも分からないようにしている。

 あ、ちなみに悪用や使い回しできないように定期的に呼び出し方は変えてるよ!

 みんなも出来ればパスワードとかは定期的にチェックして変えようね!

 かわいい悪魔ちゃんからの忠告だぞ!

 じゃないとみんなの大事なフォルダの中身をネットにバラまくぞ♡

 

「…………あれあれぇ、見覚えのある双子ちゃんだなぁ」

 

 やけに質素な石造りの小部屋。

 私を呼び出したのは、いつぞやの——

 

「——そう、十八話に出てきた双子ちゃんだ! 久し振りだねぇ」

 

 聖火隊の教区長の少年(老人)が連れ添っていたあの双子っぽい女の子たちだ。

 

「「…………」」

 

 双子ちゃんは何も言わない。

 お喋りは苦手なのかな?

 

「単刀直入にお聞きします」

 

「あなたは天秤の悪魔と呼ばれる存在で間違いないですか?」

 

「うわ、急に喋ったかと思えば、まさに双子っぽい話し方だねぇ……まぁそうだよぉ。というかこの前会ったじゃん」

 

 声までそっくりだから、どっちがどう喋ってるのか視界に収めないとよく分からんな。

 強いて違いがあるとすれば、片方は右目が、もう片方は左目が髪の毛で隠れているという点か。

 メカクレさん達なんだね!

 

「事実確認です」

 

「誤認があってはいけないので」

 

 わー、もうこれハッキリと分かっちゃうやつだぁ。

 クソ真面目なタイプの双子キャラだね!

 

「別に良いけどさぁ。それより双子ちゃんは聖火隊の人たちなんでしょ? いーのー? 私をご指名なんてしちゃってぇ」

 

「構いません」

 

「この召喚には正当な理由があります」

 

 ほわっと?

 

「…………事情は知らないけど、まぁ呼んだからには取引してあげるよぉ。さぁ何がお望みかなぁ?」

 

「……いえ、取引相手は」

 

「私たちではありません」

 

 ほわい?

 

「私たちの役目は」

 

「あなたを召喚し、取引相手までお連れすることです」

 

「……それぇ、要するに何があってもいいように使い捨てにされてなぁい?」

 

 とはいえ、別によくあることだ。

 召喚時にいきなり危害を加えられないように、侍従や下僕、奴隷にまずは召喚させるなんてことは。

 

「では失礼ながら」

 

「姿形を変えたり、姿を消したりしながら私たちに付いてきてください」

 

「えー? ……あぁそういうことぉ。ここ大聖堂かぁ。私の姿を他の連中に見られたくないのね」

 

 となると、取引相手というのは……

 なるほどね、大体わかった。

 

「——だが断る」

 

「……それはなぜでしょう?」

 

「……何か無礼を働きましたでしょうか?」

 

 おや、キョトン顔がとってもキュートだこと。

 

「いいかねお嬢ちゃんがた。私に私の力を使わせるならそれはもう取引なんだよぉ。つまり、取引はもう始まっている! 要するにその要求を通したいのなら代価をよこしなぁ!」

 

 金と銀の天秤をかっこよく取り出す。

 あとついでにジョ⚪︎ョ立ちも。

 

「…………なるほど」

 

「理解しました」

 

 双子がそう言う。

 そして続けて——

 

「「では私たちの()で。」」

 

 …………重たいよ。

 そもそもそれ通したら案内できなくない?

 どうしてこう、この小説の女性キャラはどこかぶっ飛んでるのかなぁ?

 いや、野郎にも何人かいるけどさぶっ飛んでるやつ。

 

「いやあのねぇ、もうちょっと遊び心というか……天秤なんだから綺麗に釣り合わせてよ。そろそろ銀の方が『ざぁこ♡毎回私に負けてる♡』って煽ってくる頃だよ。金の方を」

 

 ただでさえ最近というか、常にうっすらと空気になってるんだから私の天秤。

 おかげで読者さん達ですら私のこと、天秤の悪魔って呼んでくれなくなってきてる気がするよ?

 もっとかっこいい活躍の場作ってやれよ書いてる奴。

 あ、ごめん脳みそスカスカだから無理か。

 代わりにカニ味噌でも詰めたら?

 

「代価がお気に召さないようです」

 

「では仕方がありませんね」

 

 双子ちゃん達がお互いを見合わせてから、再び私に向き合った。

 

「それでは代案です。要するにあなたに力の類は使わせず」

 

「普通に私たちがお連れする分には、何の文句もありませんか?」

 

「まぁそうだねぇ。出来ればお姫様抱っこで運んで欲しいなぁ」

 

 たまにはそういうのもね?

 

「それでは」

 

「しばしお待ちを」

 

 そして、何故か双子の片割れ——右目がメカクレして左目が露出している方が小部屋から退出してしまった。

 

「なに? 連れてくだけなのに何かいるの?」

 

「…………」

 

「2人いないと会話できないの?」

 

 何か気まずい空気の中待ち続けること数分。

 双子の片割れちゃんが帰ってきた。

 ——何かいっぱい持ってる。

 

「それでは」

 

「こちらをご着用ください」

 

 部屋の隅に置かれていた机に持ってきた色々を並べ始める双子の——めんどうだな、左目ちゃんって呼ぶねもう。

 左目ちゃんがそれらを綺麗に並べ始めた。

 

「……なにこれ?」

 

 私には何か、薄い本とかでよくある、えすえむぐっず(拘束具)とかにみえるのだが。

 あと囚人が着てそうな麻の服と下着。

 

「罪人に使う拘束具です」

 

「罪人に着用させる衣類です」

 

「そのまんまかい。いやそうだろうなと思ったけどさ!」

 

 ちょいまてぇい。

 まさか今ここで自縛プレイならぬ拘束プレイをしろと?

 私どっちかというとSタイプだよ?

 そもそも拘束プレイはもうやったよ?

 

「これもお気に召しませんか?」

 

「……我儘」

 

「おい、右目ちゃんそれ本音でしょ。こら、こっちを見なさい」

 

 普通に人払いなり何なりするか、その取引相手を連れてくればいいじゃないか。

 

「それは無理です。人払いすれば"何かあったと"気付かれます」

 

「それに"お連れしろ"という命令ですから」

 

 はいはい、要するに罪人を連行している体で連れて行きたいということね。

 

「……やだ!」

 

 これ以上、読者さんに私の醜態を晒すわけにはいかない!

 というわけで帰る。

 こんな場所にいられるか、俺は帰らせてもらうぜ!

 

「……そうですか」

 

「……仕方ありません」

 

 おろ、何だ潔い諦めではないか。

 

「命令を遂行できないのなら」

 

「私たちに生きる意味はありません」

 

 ——なんて?

 

「——ちょいちょいちょい、その短刀どうするのよ。何で互いの首筋に刃先向けてるのよおーいまてまてまて!」

 

 思わず双子ちゃん達の短刀を持つ手を掴む。

 いや、びっくらぽんだよ。

 これ演技とかじゃないよみんな。

 互いに本気で純粋に()()()でいるんだよ。

 

「(命を軽々しく)投げちゃダメだから! ダメだからぁ! ナゲチャダメダカラーァ!」

 

 このままじゃ召喚の形跡がある小部屋に死体が2つできちゃうでしょ!

 下手したら癇癪でも起こした私の犯行だって勘違いされるでしょ!

 頭脳が大人な小学生とか、じっちゃんの名が好きなやつとか、謎を食べるほど食いしん坊な魔人とかきたらどうするのよ!

 ヤメ、ヤメロー!

 

 

 

 

 

 

 

「——それは何かな?」

 

 扉をノックされ、入室を許可した。

 最近自分の部下になった双子が入室。

 何故か、2人で大きな樽を抱えて。

 

「妥協です」

 

「妥協です」

 

 双子がそう言うと同時に、樽の蓋が勝手に開いた——というより内側から押し出された。

 

「妥協だよぉ」

 

 そして、ピンク髪で山羊の角を生やした少女が樽から顔を出した。

 

「……確かに召喚できたらお連れしろと言ったが——悪目立ちしなかったのかなそれで?」

 

 頭痛がしてきそうな頭のこめかみを抑える。

 

「聖職長のためのワイン樽と誤魔化しました」

 

「みな疑問に思うことなく納得しました」

 

「聖職者で聖火隊のトップなのに、お酒好きでそれも周知の事実なのぉ? それ聖職者としてどうなのぉ?」

 

 少女——召喚に成功した天秤の悪魔で間違いないだろう。

 以前、教区長から聞いた通りの姿だ。

 樽からゆっくりと出てきた。

 

「まぁ、悪魔()を秘密裏に召喚する時点でもうアレだよねぇ——それでぇ? 私に何を望んで何を差し出すのかなぁ?」

 

 金と銀の天秤が出現する。

 ……なるほど、これが噂に名高い天秤の悪魔か。

 正直、入隊したばかりの頃の座学で初めてその名を聞いた時はイマイチその恐ろしさが分からなかった。

 亡くなった己の師でもあり、友人でもあった教区長から話を聞いた時でさえも。

 だが、今この瞬間、この歳になって、相対することでようやく理解できた。

 この悪魔は、己のことなど歯牙にもかけてない。

 それは恐ろしいことだ。

 敵対を宣言している聖火隊の聖職長という肩書きすら、天秤の悪魔にとっては何の意味にもならない。

 天秤の悪魔にとって、己など単なる人間の1人に過ぎないのだ。

 

「——ははは、確かにそれは()()だな」

 

「なに? 1人で心情に浸らないでよぉ」

 

 それは否定であり、侮辱であり、屈辱でもある。

 だが、天秤は公平だ。

 天秤の悪魔にとって取引する相手の地位や肩書きなどどうでも良いのだろう。

 何故なら、彼女は天秤のように公平なのだから。

 例えそれが彼女による価値観だったとしても。

 

「ねぇー、こっちも暇じゃ——暇だけど——ないんだからさぁ。何もないなら帰るよぉ?」

 

「——すまない、ちゃんと呼んだからには取引するとも」

 

 ——それならば、天秤の悪魔という理不尽で強大な存在を聖火隊はどうすべきか?

 見かけたら退治しろという表向きの命令は勿論必要だが、それは現実的ではない。

 悪魔という存在は、消滅させられる手があるアンデッドとは違うのだから。

 実際過去の記録では何度か討伐しようとしたらしいが——読むのが嫌になるくらい揶揄われて敗北し続けているらしい。

 

 ならば、取引すれば良い。

 天秤の悪魔は、取引相手を取引中に好んで害するような存在ではない。「嫌がらせくらいはするよぉ?」

 ……なんか今頭の中で誰かに言われた気が——

 とにかく、取引だ。

 有用な対処法が見つかるまでは、取引相手として接する。

 ——それ以上に、今回の厄介ごとには、厄介な存在をぶつけるしかないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

「——求めるもの……それは、『メドゥーサ』の討伐だ」

 

「メドゥーサ……? もう絶滅認定された魔獣でしょ? まだいたのぉ?」

 

 何か語り部が長くなりそうだったから、欠伸をかみ殺していた悪魔ちゃんだよぉ。

 やっと本題だねぇ。

 

「正確に言えば暫定だが——近隣のとある村から、石匠の青年が聖都に駆け込んできて、こう証言した」

 

 "村の連中が石像になっちまった! 怪物の仕業だ!"

 

「ふーん。まぁ石化魔法って言ったらメドゥーサだもんねぇ——」

 

 石化……トカゲ……バジリスク……うっ、頭が。

 幸いにもこの世界には存在しないからよかったね!

 

「あれぇ、でもそれならご自慢の聖火隊使って退治させればぁ? それともアンデッドじゃないのは専門外だからやりませーん的な?」

 

「……既に調査隊を送った。そして消息を絶ってもう2週間だ」

 

 あー、もう返り討ちにあったパターンね。

 

「なおさらわからないなぁ。それなら国に助けを求めなよ。隣国でもいいし、傭兵でもいいじゃん——なんでわざわざ私なの?」

 

 私もお馬鹿さんではないからね。

 これが私を陥れる罠とかの可能性も考えてるんだよ!

 え? お前ほぼチートだから罠でも平気だろって?

 ははは、そうだけど駆け引きも楽しまないとだからね。

 

「……君に隠し事をするのは無理そうだ。だから建前などは一切なしにして、本音と結論だけを言おう」

 

 聖職長が椅子から立ち上がった。

 そしてどこか怯えながらも、不屈の意志を宿した瞳で見つめてきた。

 

「天秤の悪魔、その力を、その実力を知りたい。ただ純粋に——そしてあわよくば、メドゥーサと相打ちになったりしないかな——こんなところだね」

 

「へぇ、正直さんは好きだよぉ。ちなみに私が相打ちになって石像になったらどうするのぉ?」

 

「——そうだな、その時は大聖堂の飾りにでもしようか」

 

 …………まぁいいだろう。

 どの道、代価を差し出せるなら応える存在なのだから。

 

「——いいよぉ! じゃあ取引しようかぁ! それで、何をくれるのかなぁ?」

 

 天秤の金の皿にカードが出現し、大きく金の方へ傾いた。

 

「……聖火隊が捕らえている君の同胞——悪魔を3柱解放しよう」

 

 聖職長のその宣言により、銀の皿の上に小さな錘が三つ出現した。

 銀の方に天秤が傾く——しかし釣り合うまでにはいかなかった。

 

「…………」

 

「あ、いいねその表情! もしかしてそれだけで天秤が釣り合うって確信してたぁ? 甘ちゃんだねぇ——別に私、仲間意識が強いわけじゃないよ?」

 

 悪魔がどんな人間とどんな取引をして、どちらが得をして損を被るのか。

 そんなの私には関係ない。

 ぜーんぶ自己責任さんだからね。

 だからまんまと捕まった連中を解放してやる義務なんてないね!

 むしろ、「聖火隊に捕まった悪魔の面汚しめ……(ター⚪︎ス)」って煽ってやりたいね!

 

「それでぇ? もう終わりぃ? 最後の切り札とかダメ押しとかないのかなぁ?」

 

「くっ…………仕方がない」

 

 聖職長が執務机の下に潜り込んで何やらゴソゴソとしている。

 床下の収納スペースから何かを取り出しているようだ。

 

「——では、これを追加するならどうかな?」

 

「なっ……それはまさか!?」

 

 

 

 ドワーフのお酒だとぉ!? しかも5本!?

 

 

 

「秘蔵のコレクションだが——これをその天秤に乗せるならどれくらいの……」

 

「はい! どうか私のことは犬とお呼びください! わん!」

 

「…………」

 

 天秤は既に銀の方へ大きく傾いていた。

 

 

 

 




後半へ続く
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