転生したらTSして悪魔になったので、ロールプレイします 作:メスシリンダーガキ
「最近さ/出番ないよね」
「…………ほわっつ?」
何か宅飲みしてたら、いつの間にか知らない女性がいた。
何か髪とか瞳とか服が、縦半分に綺麗に金と銀に分かれてる女性。
2人で1人の半熟卵探偵か?
あとなんか声が2人分聞こえる。
「あといつの間にか言わなくなったよね/ここに天秤の悪魔(笑)の取引が成立した〜とかいう恥ずかしいやつ」
「いや、あれ書いてるやつが面倒臭くなって書いてないだけで私のせいじゃ——というか今俺を笑ったか?(地獄兄蝗)」
というか誰じゃ。
不法侵入で裁判所にも問答無用で来てもらうぞ。
それとも私の禁断の必殺、不平等取引拳をくらいたいのか——
「——あれ、天秤がない。てんびんてんびんてんびーん」
おかしいな、どっかで落としてきたかな?
「鈍感/にぶちん」
女性がそう言うと、その姿が消えた。
代わりに、いつもの金と銀の天秤が目の前に現れた。
…………???????
「私が、私たちが/天秤だ」
「…………キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」
そして再び女性の姿に。
どういうことだってばよ……
ついに無機物の擬人化にまで手を出したのか書いてる奴!?
——知らん。なにそれ怖……でも好きだよ無機物擬人化も——
お前の性癖は聞いてない。
しかしそうなると、考えられるのは——
酔っ払った私がまた何かやっちゃいました?
「まぁまぁ/そんなことはどうでもいい」
女性——推定、私の天秤が立ち上がった。
「今日から主人公交代/来週からは『天秤(無機物)が擬人化して、主人から独り立ちしました』が始まるよ」
「まさかの下剋上!?」
させるか!
主人公は1人で良い。
そうして始まったキャットファイト。
戦わなければ生き残れない!
「はっ……! 夢か……」
どうやら酒場で飲んでたら、うたた寝してしまったようだ。
「お姉さん大丈夫? なんかちょっと、うなされてたけど」
「大丈夫だいじょーぶ。次のコミケで読者さんが描いてくれた、私の薄い本が大量に残る悪夢を見ただけだよぉ」
いやぁ、夢で良かった。
あれ、でもなんかもっと別の悪夢を見たような気もするが——まぁいいか。
「それより小腹すいたから何か作ってぇ」
「もう閉店時間だよお姉さん」
「やだぁ! お腹空いたぁ! あーんしてあーん」
「もう、さてはまだ酔いが残ってるでしょ。ダメなものはダメだよ」
えーん、なんか話数重ねる毎にレイラちゃんが心なしか塩対応になってきてるよぉ。
んにゃ? 私の扱いに慣れてきたのか?
「——あ、
するとタイミング悪く——良く?
私を求める召喚が。
しょうがないにゃあ。
こんな夜中に呼び出すとは、よほど困ってるに違いない。
この私が救って差し上げよう〜。
「……結構飲んでたけど、あれでお仕事大丈夫なのかな?」
「…………(肩をすくめるマスター)」
ついにこの時が来た。
奴——天秤の悪魔に復讐するときが。
この時を約20年間待っていた。
準備をし、人を集め、己自身も鍛えて……
さぁ、その姿を現せ悪魔め!
「おろろろろ」
そして、召喚直後に思いきり嘔吐した。
「——ふぅ、ちょっとスッキリした……問おう——あなたが私の
間違いない、奴だ。天秤の悪魔だ。
その姿を忘れた日は一度たりともない。
「滑稽だな天秤の悪魔よ。どうやら俺が用意した結界が効いたようだな」
この地下には、何年も研究し完成させた完璧な結界——悪魔の奴を弱体化させるものが何重にも張り巡らせてある。
効果は既に他の悪魔で実証済みだ。
捕まえた悪魔は聖火隊に引き渡して、資金の足しになってもらったが。
——しかし嘔吐させる程度か。
一筋縄ではいかないのは分かっていたが……いや、充分だ。
少なくとも今の奴は、思ったように身体を動かせず、力も出せない筈だ。
「え〜? 結界ぃ? 結界ってあれでしょ? けーつ、めーつって妖退治するアレ?」
「違う! ……相変わらず支離滅裂で腹の立つ悪魔だ——」
この悪魔と会話をするだけ無駄だ。
じっくりと復讐を愉しみたいが、油断はできない。
だから速攻で終わらせる。
「——————」
ハンドサインで合図を出す。
この地下には気配を殺し隠れていた暗殺者が10人ほど潜んでいる。こいつらも天秤の悪魔にかつて壊滅させられた組織の残党。
互いに利害の一致で協力することにした。
——そして奴に目掛けて凶器が投擲される。
当然全て隕鉄で作られたものだ。
悪魔には致命傷となる筈——
「ふぁ……へきち! わぁ、ここちょっと寒くない?」
——奴がクシャミをして、しゃがんだ拍子で凶器が空を切った。
運の良い奴め……
だが、まだ策は用意してある。
何か変な人たちがいっぱい現れた。
格好からして、お前を見ている的な集団かな?
なーんか見覚えある格好な気がするけど……まぁいいか。
というかナイフみたいなのいっぱい投げてきたし。
しかし何故このタイミングで……?
はっ、もしや——
もしかしてぇ、召喚者さんSAN値ピンチで私を呼んだ的なぁ?
背後にいる召喚者の男に視線をやる。
うーん、情熱的な視線だぁ。
これは間違いなく私に助けて欲しいってことだな!
※この悪魔は酔ってます。
「しょうがないなぁ。の⚪︎太くんはぁ」
悪魔に助けを求めるとは……よほど切羽詰まった状況とみた。
ここは一つ、私の必殺技を披露する時が——
「——悪魔——結界——お前の力は封じ——」
んん〜? 何か召喚者が何か言ってるなぁ。
…………結界が壊れるから、力を封じて守ってくれ?(難聴)
確かに何か結界っぽいのがあるなぁ。特に私には影響ないみたいだけど……
まぁ壊すなっていうくらいだから、何か大事なものなのだろう。
「私は一向に構わん!」
縛りプレイ大歓迎。
ついに私の2000の技を披露する時が来たようだな……
※この悪魔は酔ってます。
「下がってな小僧!」
「げふっ……!?」
怪我一つなく無事に助けてやるぜ。
「死ね……っ! 悪魔め! ぶっ、がっ……!?」
うーん、しかしどうやってこの場を乗り切るべきか。
どうせなら派手に決めたいよねぇ。
今突っ込んできた敵さん1人を、右手で高速パンチしながら、左手で前髪を直しながら考える。
悪魔の力を使わずに、派手に決める方法……うーむ……うーむ……
「——はっ、思い……付いた!」
指を鳴らして時間を止める。
え? 悪魔の力使うなって言ってたろだって?
別に攻撃には使わないからいいでしょ。
準備のためよ準備のため。
「頑丈なチェーン」
いつ何処で入手したか覚えてない、それなりに長い鎖を。
「頑丈な天秤」
愛用のトレードマークたる天秤を。
「ベストマッチ!」
こう、良い感じに繋げるじゃろ?
すると——
「——あぁ、ゆーわーあっとまいさいど、おーるあろんぐ……」
——ガン⚪︎ムハンマー的な武器の出来上がり。
天秤は壊れないようにめちゃくちゃ頑丈に出来てるから、当たると普通に痛いぞ!
というわけで時間よ進め!
「——何だ、いつのまに武器を……ぐわっ!」
「ぐぇー!」
「イヤァー!」
そして鎖を振り回して、天秤を敵さんにヒットヒット。
うーん、痛そう。でも是非もないね!
そうして、あっという間に制圧完了。
知り得たか? 天秤ちゃんの刃(どちらかというと鈍器)を……
それにしても空白5行くらいしか保たないとは。
文字数稼ぎににすらならない敵さんだったね。出直してきな。
「よーし、終わったよぉ召喚者さ……ん?」
おかしいな。私の視界が正常なら、召喚者さんが壁にめり込んで気を失っているぞ。
バカな……完璧に守った筈だ。
誰も召喚者さんには近づく事すら出来ていない筈だ。
まさか、この私よりブラックでハザード級なヤベーイ奴が……?
こうしちゃいられない。ヘイ、デビルパワー(パンチ力)。過去を覗かせておくれ!
『下がってな小僧!』
…………何か超絶かわいいピンク髪の美少女が、召喚者さんを突き飛ばして壁にめり込ませてた。
なんて酷い事を……
「——まぁそれはそれ、助けたから代価ちょーだーい」
壁から召喚者さんを引き抜いて、地面に寝かせる。
「ちょっと〜、寝ないでよ〜(往復ビンタ)」
「…………」
返事がない。ただの気を失った男のようだ。
もー、しょうがないなぁ。
というわけで懐からお財布を失敬して、中身を抜き取って代価にしたってわけさ。
いやぁ途中で寝るだなんてよっぽど疲れてたんだな全く。
でも私はアフターケアもバッチリなんだ。
今夜の一件、悪魔に助けを求めてしまった事に負い目を感じそうだから、私に関する記憶を全部消しておいたんだ。優しいところもあるだろ?
敵さんたちは適当に何処かの牢獄にでも転移させておいて……これで後片付けも完璧さ。
仕事出来すぎて参っちゃうねぇ。
というわけで次回、『悪魔に支配された村』で、また会おう!
約20年前、とある男は悪魔に強力な魔法を授かった。
それを魔法学院の試験で使おうとした。知識も使い方も理解していた。
しかしただ一つ、魔力が足りずに発動すらできなかった。
男は大恥をかいて、魔法学院を抜け出して復讐だけを誓った。
——その復讐の炎すら忘却してしまい、男は唯一手元に残った、何故こんなのを作ったのすら思い出せない、結界の研究をさらに進めた。
後に男の研究は、停滞気味だった結界魔法の分野に火を灯す。