転生したらTSして悪魔になったので、ロールプレイします   作:メスシリンダーガキ

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三十四話

 

 

 

 

「——ふぅ、すっきりした」

 

 鶏頭の悪魔。赤いトサカがトレードマークの彼は村の誰よりも早起きだ。

 何故なら、目が覚めてすぐに村の物見櫓の上で叫ぶ為にだ。

 そうすると何故かすっきりした気分になれる。

 そして自身の叫び声で、村の人間たちを強制的に眠りから目覚めさせるのだ。

 おぉ、何と悪魔的なのだろうか。

 ちなみに最近のイチオシの叫びは「コケーッココココケーッ!」だ。

 

 そしてその後は、たいてい畑に居座る。

 作物に群がる虫を食べる為に。

 それだけだと暇だから、ついでに作物の世話もする。

 

「おや、鶏さんや……毎日ありがとうねぇ」

 

 村の老人が畑にやって来た。

 この畑の持ち主だ。

 

「おいおい、爺さん。腰悪いなら大人しく寝てろ。この畑は俺が乗っ取ったからな。収穫したら家の前に置いといてやるからよ」

 

 その代わり虫は全部もらうがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「——蛇さん、蛇さん。今日のうんせーを教えて」

 

 村の子ども達が、最近建てられた掘立小屋の扉の前に、家畜が産んだ卵を一つ置きながら言う。

 すると扉が少しだけ開き、一瞬で卵を何かが掻っ攫ってしまった。

 素早く扉が閉まり、扉の中から何かを飲み込むような大きな音がした。

 

「——き、今日は川辺で遊ぶのはやめときな。滑ってびしょ濡れ、風邪を引く予感……」

 

 そして、扉の中から声だけがそう告げた。

 

「えぇー」

 

「じゃあ森の方は?」

 

「…………奥に行かなければ平気」

 

 その声に従って、子ども達は元気よく森の方へと遊びに行った。

 これはほぼ毎日見られるやり取りだった。

 いつからか、この掘立小屋に卵を供えると今日の運勢だとか助言だとかをもらえるというのが流行り、今では主に子ども達の間で流行になっているようだ。

 

「…………ふぅ」

 

 尤も、掘立小屋の中にいる存在——蛇の悪魔にとっては立派な仕事だった。

 考えに考えた末に、思い付いたものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅ……ぐぅ……」

 

 牧草地のど真ん中で、羊の悪魔は眠りこける。

 彼女は大体いつもこうして寝ている。

 特に何かするわけでもなく、ただひたすらに。

 そしてそれを、誰も起こそうとしたりはしない。

 何故なら、彼女の近くに寄るだけで眠気が襲ってくるからだ。

 ——とはいえ、あえてそれを利用する者もいる。

 彼女の近くで寝ると、目覚めも良く気持ちの良い睡眠が取れるからだ。

 病で睡眠が必要なのに、寝付けない者。

 泣き止まない赤子を寝かしつけるために。

 ちょっとした仕事の休憩に——

 だが、近付き過ぎには注意が必要だ。

 うっかりすぐ隣まで来てしまった者は、羊の悪魔が次に目を覚ます2日後まで眠り続けたという……

 

 

 

 

 

 

 

 

「——なんか違くね?」

 

 久しぶりに、この村に滞在している悪魔3人——3匹?——が掘立小屋に揃った。

 

「な、なにが……?」

 

「ふぁ……ねむい……」

 

 夕食の虫のソテーを食べながら、鶏の悪魔が言った言葉に、蛇と羊の悪魔が反応する。

 羊の悪魔は大きな欠伸をしただけだが。

 

「いや、この村に居着いて暫く経ったわけだけど……俺らちゃんと悪魔出来てるのかこれ?」

 

「それは……」

 

「むにゃ……わたしたちもう悪魔ですよ〜」

 

「そういう意味じゃねぇよ能天気」

 

 鶏の悪魔が頭を抱える。

 

「やべぇな……このままじゃ天秤さんに俺たち——」

 

「そ、そろそろ来るかな……?」

 

 この3人が村に滞在する理由にもなった、天秤の悪魔。

 たまに様子を見に来るといっていた。

 そして彼女の要求する『悪魔らしい行い』が出来ていないと判断された時、3人は一体どんなお仕置きを受けるというのか……

 

「おい蛇、予知が得意なら少し視てみろよ」

 

「そんな先までは視れないよ……あと、知ったら知ったで余命宣告されたみたいで、怖くて出来ない」

 

「——それはそうだな……羊? お前も何か意見を——」

 

「ぐぅ……」

 

「「…………」」

 

 よくこんな大事な話の時にすら寝れるものだ。

 逆に羨ましい。

 

「……羊と山羊って違うんだっけ? 何か似てるって理由で、こいつに実は天秤さんくらいの実力があるとかそういうのは——」

 

「た、多分ないと思う……」

 

「だよなー」

 

 ——その瞬間、掘立小屋の扉を力強く叩く音が響いた。

 思わず2人はびくりと肩を上げ、寝ていた羊の悪魔も目を覚ました。

 

「…………え、ついに来ちゃった?」

 

「む、村人の可能性とかも……」

 

 扉を叩く音がどんどんと強くなる。

 やがて木製の扉に亀裂が走り、ついには大きな音を立てて粉々になった。

 

「「ひゃあぁぁぁ! ご慈悲を!」」

 

「…………だれ〜?」

 

 鶏と蛇の悪魔がお互いに抱き合い、羊の悪魔が半分だけ開いた目で扉があった場所を見る——

 

 

 

「——よぉ、久しぶりだな」

 

 そこに居たのは、天秤の悪魔——()()()()()()

 

「急に押し掛けて悪いんだけどよ……」

 

 それは、自分たちと同じ悪魔だった。

 それは、自分たちをまるでただの餌を見るような視線を向けて、見下して、言い放った。

 

 

 

 

「ちょっと喰わせてくれや」

 

 

 

 




長くなりそうなので一旦区切りでございます。
次で終わる…かな?
私にもわからん
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