転生したらTSして悪魔になったので、ロールプレイします 作:メスシリンダーガキ
「ヤッフゥー! ヤッフゥー! ヤッフゥー! ヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤッフゥー!」
え? 何してるのかだって?
ちょっとこう、ファストトラベル中にオブジェクトにお尻引っ掛けてジャンプしたらどうなるかなって。
「——お、ちょっと座標がズレた。新しい発見だぁ……次は倒木を勢いよく投げて、その上に乗って移動するのやってみよぉ」
例の3人の悪魔の様子を見に、村まで来たよ。
座標ズレて村の入口から少し離れた場所に出たけど。
まぁ誤差の範囲だ。スキップしてれば数分で着く距離だ。
「焼き鳥♫蛇酒♫ラム〜肉♫」
ちゃんと真面目にやっているだろうか?
してなかったら、今の歌の通りになるだけだが。
まぁ頑張ってるなら、多少の事には目を瞑ってやってもいいかなぁ。
——さて、そんなこんなで村の入り口が見えてきたよ!
「…………うーん。何か滅んでね?」
柵やら家屋やら何やらほぼ全て崩壊しているじゃないですかーやだー。
人の子一人すらいないし、もはや廃村待ったなし。
え? もしかして放り出して逃げたかアイツら?
もしくはこれアイツらの仕業?
いや、まぁ悪魔っぽいといえばそうかもだけど……誰がここまでやれと。
職場を滅ぼしてどないすんねん。
「まぁ、そんなわけないよねぇ」
チキンと臆病者と能天気にこんな行いが出来るとは思えない。
じゃあ野党にでも襲われて、村を守れなかったオチかなぁ。
「……あれぇ、でも反応があるなぁ」
私の悪魔アンテナ(アホ毛)に反応があります父さん!
ということはまだご存命さんだね!
これでちゃんとお仕置きできるね!
「んー? 何か複数いる? ……5……9……13?」
なにこれ?
私のいる反対側の方から、悪魔の反応がいっぱいするよぉ。
悪魔集会でも開いてらっしゃる?
「この私を除け者に……? ゆるさんぞぉ!」
悪魔といえばこの私!
主役がいなくてどうするのさ。
というわけでのりこめー。
ただし読者さん。テメーはダメだ。
ハッキリいってこの戦いにはついていけない……
ほら、悪魔集会なんて、SAN値ピンチイベントでしょ?
大人しく部屋で私のバストサイズのガチ考察でもしときな!
ちなみに3桁はいってないよ!
力が欲しい。
圧倒的で、全てを捩じ伏せられるような。
力を振り回したい。
自由に、そして大胆に——
何故自身がそんな欲望を持っているのか、ずっと疑問だった。
最初から持っていたその欲望が、何処からきたのか。
『◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎?』
——何か、キッカケがあった気がする。
でもそれが何なのか、分からない。
そもそも本当にあったのかも曖昧だ。
だから、気にしない事にした。
気にせず、いつも通り自分のこの力を振るう。
そんな日々で満足だった……
『——おや、本当にそうですかな?』
『本当は知りたいのではないですか?』
『自分が何者で、何だったのかを』
『望むなら、お手伝いしてあげますよ』
『えぇ、えぇ……こちらから申したのですから、今回対価は要りませぬよ。所謂それは我々——というより、あの方のお遊びですから』
『さぁ、集中してください——何が視えますか?』
それは炎の海だった。
家も、地面も、人も、全て炎に包まれていた。
それは、見ていて気分が悪かった。
悲しくて、哀しくて、悔しくて、辛くて——
何故こんな気持ちになるのだろう。
この炎の海は——焼けている村のような場所は、自分にとって何なのだろう……
『お忘れですか? そこはあなたの故郷ですよ』
……故郷、そう故郷だ。
自分が生まれ育った場所。
それが炎によって全て飲み込まれている。
それはなぜ?
どうしてそこで自分は、何もできずに地面に這いつくばっているのか?
"たすけて"
そんな叫び声が、あちこちから何度も何度も耳に入ってくる。
それを聞いてなお、何もできない自分に激しい憤りを感じる。
何故、自分は◼︎◼︎のかと。
『さぁ、もっと集中してください——目の前には何がいますか?』
目の前——目の前には……
人間とは違うその瞳孔で、自分を見つめている。
『そう、
………………あぁ、そうか。
そうだった、そうだったよな。
俺は——あの日、
「——あれぇ、牛くんじゃーん。久しぶりぃ、最近見かけなかったけど、山籠りでもしてたぁ?」
筋肉モリモリのマッチョマンこと、牛の悪魔がいた。
……ん? 牛くんだけ?
もっと他の悪魔がいる筈なのだが……
「…………あぁ、久しぶりだな。山羊」
牛くんがこちらに振り返る。
「——お前」
その口元は、血だらけだった。
そして足元には、
「もう少ししたら、こっちから出向くつもりだった——会えて嬉しいぜ」
他の悪魔の反応——それは、牛の悪魔と
このあと会う予定だった、鶏、蛇、羊の悪魔もそこにいた。
「……自分が何をしたか分かってるのか?」
「分かってるぜ。何だ、咎める気か? 自由にしろって言ったのはお前だぜ、山羊」
「——いいや、単なる悪魔同士の喧嘩なら私は何もしないさ。だが、些かやり過ぎだ。その食べ残しの連中は、お前に喧嘩吹っ掛ける度胸はない——お前から
それは、秩序を乱す行いだ。
だが——
「何人喰った?」
「覚えてないな」
「理由は?」
「力が欲しかった。今より強くなるために」
問い掛けに、揺るぎない返答を返す牛の悪魔。
…………うーん、衝動的というより、既に覚悟ガンギマリさんってことだね!
「——それは流石にめっ、だよぉ。ほら、今からでも吐き出しなぁ。このままだと全部混ざって、
「何が
牛の悪魔が怒りに任せて、地面を大きく蹴る。
一瞬だけ地響きがした。
「知ってる、知ってるぜ俺は……全部お前の手のひらで踊らされてるってな」
「え、その言い回し本当にする事あるんだ……」
やだ、ちょっと感激。
しかも言われる側だよみんな!
あ、読者さん達は置いてきたんだった。
……あれ、でも何人かまだ観てるなぁ。
言いつけ守れないなんて悪い子だねぇ。
「お前だ、お前が——俺を
「おろ?」
あれま、まさか
「へー、やるじゃん。まさか脳筋の君が思い出すとはねぇ」
ふふふ……そうさ、僕がキラ——じゃなくて真の元凶さ。
ピロロロロ...アイガッタビリィー。
ホウジョウ⚪︎ムゥ!(無関係)
何故この世界の悪魔が動物モチーフなのか。
何故みんな私を何となく恐れているのか。
何故私を含めた悪魔の出自が未だに語られないのか!
その答えはただ一つ……ハァ……!
この世界の悪魔は全員、私が生み出した眷属的な存在で、元々人間だったからだァァァァ!!
ヴェハハハハ!
「ふ、バレてしまっては仕方ない……」
ついに私の厄ネタが一つ、読者さんに知られてしまったか……
まだ私の事を天使だとか言い張る人も、これを機に恐れ慄いてもいいよっ!
え? それだとタイトル詐欺じゃないか?
一話の語り部らへんも辻褄合わなくなるって?
やだぁ、わたし極悪非道な悪魔ちゃんよ?
私の適当な嘘に乗せられちゃった?
あとタイトルは微妙に詐欺ってないよ。転生したのもTSしたのも事実だから安心してねっ!
ん? その辺の話を見せろ?
今はまだ語るべき時ではないさ、ワト⚪︎ンくん。
「それでぇ? よくも悪魔にしてくれたなって復讐する系? でもあの時、そう望んだのは君じゃーん。その辺はどう思ってるわけ?」
「俺が……? いや、そんな筈——」
「んー? …………全部思い出したわけじゃないのぉ?」
おかしいなぁ。思い出すなら、そんな中途半端になるような鍵の掛け方してないんだけどなぁ。
「——あぁ、どうでも良いか……俺は強くなりたい。悪魔の中で1番強いお前を喰えば……」
「あ、結局そこに行き着くのねぇ」
私に挑むために、他の悪魔を取り込んでレベルアップしてきたのねぇはいはい。
確かに、理に適ってはいるが……
「……知りたいだけ? 強くなりたいだけ? どっちも、どっちもか——俺は……あぁうるせぇ! 黙れお前ら! 集中させろ!」
そうして、発狂したように身悶える牛の悪魔。
あーあ、言わんこっちゃない。
多分取り込んだ悪魔たちの色々が入り込んでる、お約束の洗礼を受けてるようだねぇ。
「んー…………ダメか」
遠隔で吐かせられないかなと試してみたが、無理だった。
パーフェクトでかわいい私にも出来ない事はあるんだよ!
「俺は……俺は……ッ!」
「いやん襲われる」
急な突進攻撃をヒラリと躱わす。
気分はアレよ……あの、赤い布で牛さんを避けるアレ。
エル・マ⚪︎ドーラだっけ?
「とりあえず一旦落ち着けビーム!」
隙だらけの背中に、何か凄そうなビームを放つ。
そして貫通した。
大丈夫、手加減はしてるよ!
でも読者さんが喰らったら、普通にデッドエンドだから射線には立たないでね♡
「ぐっ……うおぉぉぉぉ!」
轟く咆哮。
綺麗に開けた風穴がみるみる内に塞がってしまう。
「げぇ、何て再生力……めんどくさぁ」
元々戦闘タイプの悪魔故に、その辺の力が増してるとなると……うーん、キリがないかもしれない。
「喰わせろ、喰わせろ、喰わせろぉぉぉぉ……!」
「ちょま……いった!?」
レディの顔面にパンチを繰り出して、擦り傷付けるとか信じられん!
「この虫——じゃない牛野郎!」
つい怒りに任せてやや強めの蹴りが出てしまった。
タツマキセンプウキャク!!
牛の悪魔の右腕が大きく抉れる——が、すぐにくっ付いた。
えぇ……これでもダメなのかぁ。
再生力高すぎるボスとかそれ何て無理ゲー?
「じゃあ封印——維持がめんどいぃぃ……となるとなぁ——」
このままこの暴れ牛を放置するわけにもいかない。
こうなれば、一撃で
その肉体も、その魂も、取り込まれてる悪魔たちごと……
問題があるとすれば、そうすれば牛の悪魔を含めた
「ま、是非もないよね!」
そもそも錯乱状態とはいえ、牛の悪魔も覚悟の上だろう。
取り込まれた悪魔たちは……まぁ運が無かったということでね!
仕方がない、仕方がない事なのだ。
「というわけでくらえ金縛り!」
牛の悪魔の動きを停止させる。
今の奴には数秒しか保たないだろうが充分だ。
——あとは、渾身の一撃を放つのみ。
何でも良いのだ。物理でも魔法でも。
今の今まで磨き上げ、文字通り血反吐を吐いてまで手懐けたこの◼︎◼︎の力を行使すればそれで済む。
ほら、はやく。やり難いならいつものように巫山戯た態度で誤魔化せ。自分を騙せ。
「——むぅぅぅぅ……!」
天秤の悪魔の表情が、葛藤で大きく歪む。
そしてその隙を、牛の悪魔は見逃さなかった。
動けるようになった彼は、勢いよく跳躍した。
——鋭い彼の角が、天秤の悪魔の腹部を貫いた。
昔、とある村に乱暴者で自信家の男がいた。
いつも偉そうな態度をとり、気に入らないことがあればその拳を振るった。
——ある日村は盗賊の集団に襲われ略奪された。
男は自分の居場所を守るために、勇敢にも立ち向かった。
だが男は呆気なく斬られて、矢で貫かれて地面に倒れ伏した。
そんな時、彼の目の前に山羊が現れたのだった。
『力が欲しいか?』
その問い掛けに男は頷いた。
記憶と人間の身体を捧げ、男は悪魔になった。