転生したらTSして悪魔になったので、ロールプレイします 作:メスシリンダーガキ
五十話やお気に入り10000越えも夢ではない……?
何の変哲もない、小さな村だった。
その小さな村で暮らすとある家族。
女は4人の兄弟姉妹の中で一番目の子ども——長女だった。
少し危機感のないくらい、のんびりとした性格だったが、共働きの両親の代わりに下の子たちの面倒をみれるしっかり者でもあった。
「いいこ、いいこ」
一緒に遊んで、疲れ果てた下の子たちの頭を撫でながら、最後には自身も眠りにつく。
そしてまた夢の中で、家族みんなで遊ぶのだ。
夢から覚めても、また家族と会える。
いつでも女は家族と一緒だった。
だが全てが台無しになるのは唐突で、一瞬だった。
とある亡国の兵士の生き残り——もはや盗賊に成り果てた残党——が女の住む村を通りかかった。
ただそれだけの理由で、村は徴収という名の略奪を受けた。
「逃げろ、逃げろぉ!」
父親は目の前で◼︎された。
最後まで自分達にそう叫んでいた。
「いやぁ……! 離して!」
母親は子ども達を庇って、兵士たちに捕まった。
どうなったか分からないけど、母親の悲鳴は耳にこびりついていた。
「いいこ……いいこ」
泣きじゃくる下の子達を宥めながら、女は必死に走った。
まだ無事だった村の人たちと一緒に、村から出来るだけ離れるように。後先の事は考えずに、目の前の脅威からただ逃げる為に。
しかし、略奪した以上1人として逃せない。
逃して近くの国に自分達の存在を告げられたら?
女や子どもは人身売買で高値がつく。
——逃げる獲物は追いかけたくなる。
兵士たちは馬を駆って、逃げる村人たちを追い詰めていった。
「おねぇちゃん! たすけて!」
「やだやだぁ!」
助けを求める弟や妹たち。
女は何もできなかった。
たった1人の兵士に組み伏せられただけで、何処かに連れ去られていく家族を見る事しかできなかった。
女は兵士たちに気に入られたのか、兵士たちの当ての無い
両親や下の子たちと引き離され、たった1人で。
家族や他の村人たちがどうなったのか、女は分からなかった。
"おねがいします。家族に会わせてください"
"言うことを聞けば、考えてやろう"
女はその微かな希望に縋って、兵士たちの命令する雑務や労働を淡々とこなした。
しかし半年経っても、女は家族とは再会できずにいた。
——そんな女が、心と体を休められる唯一の時間。
それは睡眠だった。とても短い時間だったが、眠ることで夢の中で愛する家族と一緒に過ごせたのだ。
それがほんのひと時の慰めだっとしても、女にとっては重要な事だった——
「——起きろ」
夢から引き摺り出される。幸せな夢から、地獄のような現実へと。
粗末な寝床で、女は兵士の1人に叩き起こされた。
——そして、己の身体を欲望のまま貪られる。
不快で、気持ち悪くて、泣きたくなって……
"お願いします。
女は懇願するが、無視されるか殴られるだけだった。
それが何日も、何ヶ月も続いた。
女の身体、そして心は既に壊れかけていた。
「よっ、シューティングスター! ミルキーウェイ! レインボーテイル! ティンクルタ゛ス゛ト゛!! ヒ ゛ッ゛ク゛ハ゛ン゛!!! メ゛テ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!!!!!!!!!!」
鳴り響く轟音、そして悲鳴。
明らかな異常事態に、いつものように女を甚振っていた兵士も何事かと慌てふためく。
女もまた、残った理性が状況を把握しようと脳が意識を覚醒させた。
「なん……だ……!?」
兵士が粗末なテントから出て、外の様子を確認する。
女も兵士の背中越しから、同じように外の様子を視界に入れた。
大きく穴の空いた地面、崩壊したテントや施設、倒れている兵士たち——
一緒にして彼等の野営地は壊滅したのだ。
まるで運悪く隕石や落雷が落ちたような有様だった。
「そ、そこに居るのは誰だ!?」
兵士が叫ぶ。
兵士の視線の先、砂煙の向こう側。
人影に向かって、威嚇するように——
「だーれだ♡」
「ひっ……!」
兵士が一回瞬きしてしまうと、砂煙の向こうにいた人影が消えてしまった。
そして、自身のすぐ目の前にソレは突然現れた。
「がっ……!? な、なんだなんだなんだぁぁ!?」
兵士は状況を把握できないまま、さらに不可思議な現象に見舞われた。
自身の身体が宙に浮き、手が横に、脚が地面に向かって引き伸ばされるように固定された。
見えない十字架に磔にされたようだった。
「はいはーい。ごめーんねぇ? 悪いがこれも仕事なんでねぇ」
「——その腕章、お前カラル国の……!」
兵士の目の前に現れたのは、侍女のような服装をした少女だった。
ピンクの長い髪で、赤と金のオッドアイ。
そして左腕には、とある国の紋章が刻まれた腕章をしていた。
そのとある国は、兵士の男が仕えていた国を滅ぼした敵国のものだった。
「あぁこれ? 気にしないでねぇ。あくまで契約だから、義務的に着けろって言われてるだけで——あ、今のダジャレじゃないからねっ、未来から視てるであろう読者さん! 悪魔だけどあくまでって……ぷふーっ」
少女は笑いながら、宙で磔にされた男の額に指を押し当てた。
「ぁ…………」
「お身体に触りますよ——もう触ってるけど——ふんふん、残りの残党はあと少しってところだねぇ。全く手間かけさせてくれちゃってぇ」
少女が兵士の男の額から指を離した。
すると宙に浮いていた兵士の男の身体は大きな音を立てて地面へと倒れた。
兵士の男は既に気を失っていた。
「——それでぇ、貴女はだぁれ?」
金と赤の瞳が、女を見つめる。
「あー、別に答えなくても良いよぉ。この人から読み取った記憶で大体は把握してるからぁ」
少女が細い手を女に差し出した。
「辛かったねぇ。とりあえず仕事だから保護してあげるよぉ」
女は少女の手を、恐る恐る取った。
「立てるぅ? ……あーあ、足の腱切られちゃってるねぇ。こりゃひどい」
少女の言う通り、女の足首には2週間ほど前に付けられた傷が。
とうに逃げる意思も体力も削がれているというのに、兵士たちはそれ以上に女を傷付けたのだ。
「やったのはこいつぅ?」
少女が靴で気絶した兵士の男をつつきながら聞く。
女は首を静かに縦に振った。
「そっかぁ。じゃあ気晴らしくらいは手伝ってあげるよぉ」
少女が右手の人差し指を、気絶した兵士の男に向けた。
そして、ゆっくりと、人差し指を水平に動かした——
「——がっ、がぁぁぁぁぁ!? いだいいだいいだいいだい——」
気絶した男が、陸に打ち上げられた魚のように大きく跳ねた。
そしてその場で激しく悶え始めた。
ブチブチと、肉が切れる音。
兵士の男の足首から、血が滲み出していた。
「ゆるしてゆるしてゆるして——」
「うるさい♡」
少女が兵士の男の頭を強く蹴った。
兵士の男は再び気絶してしまった。
「どぉ? 少し気は晴れたぁ? …………何か微妙な顔だねぇ。復讐系はお気に召さなかった?」
少女が首を傾げる。少女の言う通り、女の心は何も変わらなかった。
女の心が求めているもの、それはずっと変わっていなかった……
「——お願いします。家族に会わせてください」
女は少女に縋り付いた。
少女は縋り付いて懇願する女を黙って観察する。
——やがて、少女の指が女の額に触れた。
少女が瞑想するように目を閉じた。
数秒、数分と時間が過ぎる——
「——うん、無理だねぇ。もう全員◼︎んでるよ」
少女は残酷な真実を、淡々と告げたのだった。
「ぁ…………」
少女の言葉を信じる理由はない。
だが、女の心は既に壊れかけ。
ヒビ割れた亀裂に、僅かな刺激を与えるだけでそれは容易に割れてしまった……
「
女の割れようとしていた心が、何かに
そして女の顔を、いつの間にか山羊の黄色の瞳孔が見つめていた。
「このまま全てを終えるか、新しい自分を受け入れるか」
山羊の瞳が細まる。
「受け入れるなら、お前の
その記憶は忘却の彼方へ、その魂は滅びるまで
山羊は女に宣告した。
「…………」
女の口が開く。
その口は、静かに宣言した——
「——はっぴーばーすでーとぅゆー! 素晴らしい!」
「…………?」
「
「……そう、なんです? ふぁ……むにゃむにゃ——」
「こらこらぁ、研修終わるまで寝るのは我慢してねぇ」
「——おい、おい。偶には起きろって」
夢の中から現実へ。
羊の悪魔は、鶏の悪魔によって眠りから目が覚めた。
「ふぁ…………おはよう?」
「も、もうお昼ですよ」
大きなあくびを披露する羊の悪魔に、蛇の悪魔がそう答えた。
「……じゃあ、お昼寝のじかん?」
「寝るな寝るな、寝過ぎも身体に悪いぞ。あと偶にはちゃんと悪魔として仕事しろよな」
草原に寝転がろうとする羊の悪魔を、鶏の悪魔が阻止する。
「全く……いつも幸せそうな顔で寝やがって。良い夢でもみれるのか?」
「うーん……そー、良い夢、みれるよ?」
「ど、どんな夢なんですか?」
「えーっと…………知らない人間さん達と、知らない場所でいっぱい遊ぶ夢?」
「知らないばっかじゃねぇか。それ本当に良い夢か?」
鶏の悪魔が呆れたように言う。
「…………」
「……なんだよ?」
羊の悪魔が、鶏と蛇の悪魔をジッと見つめる。
「みんなでお昼寝……しよう?」
羊の悪魔が、覆い被さるように鶏と蛇の悪魔に向かってダイブした。
「ぐぇ……」
「ちょ、何する——」
「いいこ、いいこ」
羊の悪魔が普段から発している眠気を誘う力。
鶏と蛇の悪魔はそれを己の力で相殺しているため、近くに居ても眠気には抗えた。
しかし、こうも密着されては——
「…………zzz」
「何てこった、蛇が一瞬で寝ちまった! この人でなし!」
「いいこ、いいこ……」
「やめ、ヤメロー! 俺は昼寝しちまうと生活リズムが——」
鶏の悪魔の意識が落ちた。
「ふぁ……おやすみなさい」
間も無くして、鶏と蛇の悪魔の身体をベッド代わりに、羊の悪魔も眠りに入った。
今日も彼女は、夢をみるのだ。
いつもと同じ夢を——
くそっ、女体化マル⚪︎ォイがずっと脳裏を横切ってくる……!