転生したらTSして悪魔になったので、ロールプレイします   作:メスシリンダーガキ

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次の更新少し遅くなるかもです。すみません
いや、楽しみにしてた映画を何度も観に行く予定とかではないそす。
んなぁ……


四十一話

 

 

 

 

「——すげぇ、本当にあったよ」

 

「だから言ったろ。俺を信じろってな」

 

「いつものホラ吹きかと思ったぜ」

 

 男3人組が、草木をかき分け辿り着いた場所。

 それは立派な屋敷だった。

 1番近い街からでも、馬で半日以上もかかる距離。

 周囲は自然だらけで、それらがまるで屋敷を隠しているようだった。

 

「よく見つけたなお前」

 

「へへっ、マークしてた行商人の行先を追ってたら見つけたってわけよ」

 

「貴族の屋敷ってとこか?」

 

 男3人組は、有り体に言うと泥棒だった。

 普段は衛兵にマークされない程度に、ちまちました盗みを繰り返すチンピラ。

 それに飽きてきた3人は、何かデカい盗みをしたいと考えるようになった。

 そして、その獲物として狙うことにしたのが、今目の前にある人里離れた屋敷だった。

 3人組は屋敷から少し離れた場所で待機をして、夜を待った——

 

 

 

「——開いたぜ」

 

 月と星が輝く夜空の下、施錠された鍵を開錠する男。

 もちろん正面の扉ではなく、屋敷の裏口の方だ。

 そしてゆっくりと扉を開けて、中の様子を窺いながら3人組の男たちは屋敷の中へと入り込んだ。

 

「……誰も居ないのか?」

 

「門や庭にも誰も居なかったな——廃墟なんじゃないか?」

 

「んなわけあるか。行商人たちが確かにここで荷卸しをしてたんだ。それに廃墟だったらここまで綺麗な状態なわけないだろ」

 

 小声で話す男たち。

 屋敷は人の気配はせず、壁掛けの魔光石だけが屋敷内を照らしていた。

 調度品や飾られた絵画——その通路は、埃すら全くない綺麗な状態だった。

 明らかに人の手によって管理されていながら、人の気配が全くしない不気味さが、微かに男たちの背中を震わせた。

 

「——まぁ、普段は使ってない別荘とかだろう」

 

「そ、そうだな……」

 

「なら、管理人とか警備のやつが数人いるかもだな。念のため静かに作業するぞ」

 

 3人組は事前の打ち合わせ通り、屋敷の一階から手分けして各部屋を物色することに……

 

「——おぉ……」

 

 鍵開けをした男が、一つ目の部屋に侵入した。

 そして思わず感嘆の声を出してしまう。

 部屋の中は、剣や盾、鎧などといった武具の数々が展示されるように保管されていた。

 元冒険者クズれの男からみれば、まさに宝の山だった。

 残念なのは、武具の類は重過ぎるので気軽に盗めないという点だろうか。

 

「『形見の弟の片手剣』——『形見の弟の盾』……何だこりゃ」

 

 男が展示品の側にあるネームプレートの内容を読み上げる。

 どう見ても安物の剣と盾だった。

 どうやら値打ち物ばかりというわけではないようだ。

 このコレクションの持ち主は蒐集癖でもあるのだろう。

 

「……お、この短剣くらいなら——」

 

 そんな中、透明なガラスの展示箱に入った、宝飾された短剣が目に入った——何故かすぐ横に眼鏡もあるが。

 ネームプレートには、『DXカラル国の執政くん成り切りセット』と書かれていた。

 全くもって意味がわからなかった。

 しかし短剣は値打ち物だ。

 男は慣れた手つきで展示箱の鍵を開錠させる。

 ——鍵が開いた。

 ガラスの蓋を開いて、無防備になった短剣に手を伸ばした……

 

「あ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「——やっぱり居ないぞあいつ」

 

「逃げたか?」

 

「いや、あいつの性格からしてそれは無いな。多分先に二階に行って、抜け駆けしてるぜ」

 

 一階の物色を終えた2人が合流する。

 しかしもう1人が何処にも居なかった。

 1人で先走って先行していると判断し、2人は二階へと続く階段を登った。

 ——二階は一階と比べて、小部屋が多い印象だった。

 来客や屋敷の住人の寝室などだろうか。

 

「おい、あそこに誰かいないか……?」

 

 廊下の先に、人影がいた。

 2人は急いで調度品の影に身を隠す。

 人影は先行したであろう仲間の1人か?

 それとも屋敷の住人だろうか?

 顔を覗かせて、人影の正体を確かめようとする……

 

「——————」

 

 人影は、少女のものだった。

 少し距離があるため、顔はよく見えなかったが、長いピンクの髪に黒いワンピース服を着ていた。

 少女は何かするわけでもなく、ただそこに立っていた。

 ——心なしか、自分たちの方に視線を向けている気がした。

 

「……気付かれたか?」

 

「静かにしてろバカ」

 

 そうすること1分ほど。

 少女は廊下の奥へと消えてしまった。

 男2人は肺に溜めてた空気を静かに吐き出して、調度品の物陰から出てきた。

 

「——なぁ、今の女の子なんか変じゃなかったか……?」

 

「何がだよ?」

 

「いや……足音一つも立てずに奥へ行った気がして——こう、滑るように」

 

「…………じゃあゴーストの類だってか?」

 

「かもしれねぇ。一旦退こうぜ」

 

 呪われでもしたら面倒だ。

 どの道、戦利品はもう既にいくつか懐に入っている。

 男2人は来た道を引き返して、一階へと戻った——

 

「うぉ……!?」

 

 そして、1人が階段を降り切った瞬間派手に転んでしまった。

 

「このドジ、何してんだよ」

 

「いや、何かに足を引っ張られた気がしてぇぇぇぇぇ!?」

 

 奇妙なことに、転んだ男が二階の階段を登っていく。

 仰向けのまま、脚を天井に伸ばしたまま——

 まるで、見えない何かに脚を掴まれて、二階に向かって引き摺られているようだった。

 

「なっ……くそっ!」

 

 もう1人の男が、上へと引っ張られる男の手を掴んだ。

 突然自身も引っ張られる。

 だから残る手で手すりを掴んで、踏み止まった。

 

「なに、なにが、何が起きてる!? た、助けてくれぇぇぇ!」

 

「騒ぐな暴れるなバカ! ちゃんと掴んで——」

 

 脚を掴まれていると喚く男が、混乱のあまりその身体を暴れさせる。

 そのせいか、強く握ったはずの互いの手が解ける。

 

「うわぁぁぁぁぁ!?」

 

 当然、階段のヘリに腹部を打ちつけられながら、男は二階へと引き摺られてしまった。

 その姿が見えなくなっても、しばらくその悲鳴が耳に入ってしまったが、やがてそれも聞こえなくなった。

 

「…………」

 

 残された男。

 こんな状況になったからには、どんな間抜けでも理解できる。

 先行したと思っていた男も既にやられていること、そして今すぐ逃げなくてはならないということに。

 

「悪く思うなよお前ら」

 

 仲間の2人の救出は諦め、自らの身の安全を優先することにした男。

 一直線に階段近くの正面玄関に駆け寄り、ロックされていた扉の鍵を解除した。

 

「——あ、開かない?」

 

 しかし扉は引いとも押しても開かない。

 鍵は確実に開けた。念のため目視で確認するが、しっかり開いている。

 魔法の鍵? 外から何かで抑えられている? それとも——

 

 

 

 

「——————♫」

 

 ——歌声が聞こえた。いや、正確には口ずさむような鼻歌。

 慌てて振り向くが、誰もいない。

 周囲を見回しても、誰もいない。

 でも確かにそれは聞こえてくる。耳に——いや、頭に直接。

 

「ひっ——」

 

 突然、屋敷内の魔光石が全て消えた。

 真っ暗な闇の中、不気味な歌声と自分の速くなる心臓の鼓動だけが耳に入ってくる。

 

「う、うわぁぁぁぁ!!」

 

 その不安をかき消すためか、男は叫びながら走る。

 正面玄関の扉がダメなら、侵入に使った裏口はどうか——ダメだった。こちらも鍵は開いているのに開かなかった。

 なら窓を壊して脱出しよう——ダメだった。血が出るまで拳で殴っても、そこにあった椅子で叩きつけても、窓は何故か破れなかった。

 

「——————♫」

 

 歌声が、どんどん近付いてきている。

 でも誰も居ない。ここには今自分しかいない。

 けれど、歌声は徐々に大きくなっていた。

 

「はっ……はっ……!」

 

 恐怖が男を萎縮させ、判断力を奪っていく。

 最終的に男が取った行動は、隠れることだった。

 一階にある一室の、服が何着か入っていたタンスに身を隠した。

 そして呼吸を整えながら、タンスの扉の隙間から部屋の出入口を見張る。

 もしそこから何か入ってきたら、その正体を確認できるように……

 

 

 

「——————♫」

 

 部屋の扉が、ゆっくりと開いた。

 歌声が部屋中に反響してきた。

 開いた扉から、何かがその顔を覗かせてきた。

 

「っ……」

 

 消えていた部屋の中の魔光石が、チカチカと点灯し始めた。

 しかし石の中の魔力が無くなりかけているのか、ついたり消えたりを繰り返していた。

 ——それによって、部屋の中を覗き込むソレが僅かに鮮明になった。

 ピンクの長い髪に、異形の角。

 赤と金の瞳の少女だった。

 まるで人形がそのまま動き出したような、不気味な少女。

 ——落ち着いていきた筈の心臓の鼓動が、またうるさく動き出す。

 それを落ち着かせようと、タンスの扉の隙間から覗くのをやめて、両手で口元を抑えて呼吸音を漏らさないようにする。

 瞼を強く閉じて、その場でじっと静止する。

 嵐が通り過ぎるのを黙って祈りながら、家で縮こまる子どものように……

 

「…………」

 

 数分だろうか、それとも何時間だろうか。

 気が付けば歌声は聞こえなくなっていて、点滅していた魔光石も完全に消えて、暗闇と静寂が戻っていた。

 ——助かった?

 男は恐る恐る、タンスの扉の隙間から再び覗いた——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タンスの扉の隙間から見えたのは、金色だった。

 山羊の瞳孔のようなそれは、男をしっかりと見つめていた。

 

 

 

 

「あいおーるうぇいずかむばっく!」

 

 

 

 

 タンスの扉が勢いよく開かれる。

 ——男が意識を失う前に見たのは、迫り来る異形の少女の顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よーし、できたぁ」

 

 天秤の悪魔が、針を針山に戻した。

 

「みてみてぇ読者さん達。可愛くできたよぉ」

 

 天秤の悪魔がこちらに何かを見せつける。

 それは小さな人形だった。

 男の人を小さくデフォルメにしたような、愛嬌のある人形。

 それが3体——

 

「10年くらいこのままにしとくつもりだけどぉ。何処に飾ろうかなぁ——あ、欲しい人いたりするぅ?」

 

 天秤の悪魔が上機嫌そうに、3体の人形を弄ぶ——

 

 

 

 




天秤ちゃんのジャンプスケアを味わいたい人は、是非勝手にいらしてください。
命と魂の保証はできませんが。
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