これは良識欠けてる僕に与えていいスキルじゃない!   作:peko34

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読んで下さり本当にありがとうございます!
連続投稿1話目です。
次の話は掲示板なので、嫌いな方用に省略したものを後書きに載せてます。


19 それぞれの旅する理由

 

「ふぁ……おはよう2人とも。もう僕ぐっすり寝ちゃったよ。そっちはよく眠れた?」

 

 目をこすりながら起き上がると、辺りはまだ薄暗い朝の光に包まれている。

 昨日の疲れと痛みは……完全に取れている……! 精霊王様ありがとー!

 

『――! ――!』

 

 おっと、ちーちゃんも元気いっぱいだ。「今日も髪編んでー!」とばかりにリボンを渡してくる。

 全く……今日は笑顔が満点だったから、リボンも髪に編み込む上級技だ!

 

 そしてスクショを撮ってちーちゃんに渡すと、ピャーと僕の周りをグルグルと周って、今度は3ショットを撮りたいとシノさんの方へ向かう。

 

「……おはよ」

 

 だけど彼女は昨日出しておいた椅子にもたれかかるように座って、半目で疲れた表情だ。全くもう。

 

「はあ。ちゃんと休まなきゃ駄目って言ったで──」

「あんたさぁ! なんであんなうなされてる訳!?」

「…………ああ。そうだった。もう突っ込まれなくなったから忘れてたけど、僕悪夢持ちで……ごめんね?」

 

 また僕の所為だった。

 流石にこれは事前に言っておくべきだったけど、幼馴染の前以外で寝ることまずないから忘れてた。

 

「何なのよそれ……起こしても『いつもの事だから〜』なんて言ってたけど」

「あ、一応それは本当なんだよ? すっごいリアルな夢だからさ、特技の調整に丁度いいって積極的に治そうとしてなくて」

 

 身体を思い通りに動かすって、少しサボっただけでもめちゃくちゃ難しくなっちゃうから。

 

「なんか泣きながら、ずっと謝ってたけど……」

「あー……夢の中の僕は、いい出会いに恵まれなかった僕だから……ネガティブでやんなっちゃうよね」

 

 ちゃんと説明しても、まだ頭がおかしいといった顔で僕を見ている。

 僕の世界には精神科とかあったのに、治すの勿体なくて通わなかったと言っても伝わらないよな……

 

「それよりさ! 2人はそろそろ帰らなきゃでしょ? 荷物の整理、手伝わせてよ」

 

 ひとまず空気を変えようと、明るく話題を変える。

 ちょっとこの2人にはお世話になり過ぎたからね、1人になるのは正直心細いけど気合いを入れてお手伝いを──

 

「帰らないけど」

「…………は?」

 

 なんて考えていると、シノさんが突然訳の分からない事を言い始めた。

 

「見つからないよう隠れてるから」

「いやいや、ダメだよ! 途中までって言ってたよね!」

「言ったね」

「っ!? あー、そう、そうだよね」

 

 おい開き直んなや! あれ、僕間違ってる……? ってなるから!

 なんなの……まだ僕に信用がなくて、逃げると疑ってるとか? 逃げるならもっとシンプルに逃げてるよ!

 

「というかさ、昔の発言なんかで言い争ってる場合? こっちが出向いてる以上、そろそろ騎士団とカチあってもおかしくないよね?」

「!?」

 

 き、昨日のことだからね!? 何これ、絶対向こうがおかしいのに正論で無理矢理殴ってくる……!

 

「……隠れるって、見つかったらどうする気なのさ」

「それなんだけどさ、ちょっとこれ見て。ちーちゃんはこっち」

「〃д〃」

 

 2人が並んで手を繋ぐと、シノさんが小声で何か呟き始めた。

 ……新しいスキルでも覚えたとか、いや知の精霊はその知識がメインだと思うし──え?

 

「なになに!? 薄くなって……え? どうして!?」

 

 二人の輪郭がぼやけ、背景が透けて見える。

 

「──まあこんな感じ。光の精霊達が力を貸してくれてるの。MPと交換だからずっとは無理だけど」

 

 あ、ああ昨日の……あー、目が捉える光を……屈折、遮断? 何とかしてって感じ? 凄……過ぎない!?

 

「実際昨日は眠れなくってよかったよ。色々試して──それでなんとか戦い前に間に合ったし」

 

 ……だからと言ってこれ、昔の人が思いつけること……? 光学迷彩……だっけ、義務教育を受けた僕でさえ原理はあやふやなのに。

 

「だけどやっぱダメだって。今口を動かしただけで結構違和感出てるもん。はしゃいでるちーちゃんの場所なんかもう景色グッチャグチャ」

 

 多分……動物の擬態レベル、僕の時代の光学迷彩にはほど遠い。

 

「騎士団が来たら大人しくしてるに決まってるでしょ」

 

 悩んでいると2人は姿を現す。

 それなら……安全なのか? タネを知ってる僕だから危険だと思うけど、この時代の人が気付くかどうかで言えば──

 

「……なんか色々考えてるみたいだけどさ、先ずはご飯食べてからでいい? ちーちゃんもお腹空いたよね?」

『――///』

 

 いや呑気……時間稼ぎして有耶無耶にしようって腹か?

 食べ物は昨日2人が取ってきたんだし断れるわけがない。いいさ、元々その予定だったしね。

 

 僕はインベントリから昨日の果物を取り出すと、シノさんの持ってきたナイフも要求されたので一緒に渡す。

 

「ありがと」

 

 頭が良くて、姿を消せる技まで身に付けて……この人がいてくれるなら間違いなく力になってくれるとは、思う。

 

 だってほら、皮を剥くだけでも苦戦した様子でめちゃくちゃ時間稼ぎしてくるし……

 見るからに使い込まれたマイナイフ持ちが、そんなわけないだろ!!

 

「一応言っておくけど、まだ時間には余裕あるからね。ちゃんと理由は教えてよ」

「…………ああそう、それじゃあこれユウの分ね。ちーちゃんはこっち」

「……ありがとう」

『――♪』

 

 僕がそう言うと、一瞬で皮を剥いて渡してくるシノさん。こういう図太さには感心しかない。

 

 見た目がグロくて一週目では食べなかった、このりんごのような味の果物『ポム』を有り難く頂いていると、シノさんは少し考えながら答える。

 

「理由、理由ね……必要? この件私だって当事者なんだけど」

「団長を仲間にしたいってところは僕の都合だし」

「帰らないのは私の都合。そもそもなんで反対なの? 体を消せるんだよ? 今度こそ絶対役に立ってみせるのに」

 

 だから昨日から役に立ち過ぎてるんだって……これは価値観の違いだからいくら言っても平行線だけど。なら──

 

「……シノさんが体を消せて、一体何が出来るの?」

「何も出来そうになかったら何もしないけど」

 

 心を鬼にして攻めてみるけどまるで動じていない。このメンタル持ちにこの線で説得は無理だな……

 

「ちーちゃんまで、わざわざ危険に巻き込むことないじゃん」

「……はぁ、そう思うならちーちゃんに聞いてみれば?」

「…………ねえ、ちーちゃんさ──ってあれ、どうしたの?」

 

 さっきから大人しいなと思っていたら、ポムを両手で持って口が半開きのまま、ボーッとしている。

 

「あー、ユウが色々新しい知識与えちゃったから……ほら、すぐ自分の世界に行かない」

「――!」

 

 シノさんが頭をポンと叩くとビクと反応して、『えへへー』とばかりに後ろ頭を掻いている。学者肌みたいなもんかな、なんかかっこいい。

 

「ちーちゃんに聞く前に、ユウは今回失敗した場合どうするんだっけ?」

「……え、いやだから逃げるって。インベントリの事明かすから二人には迷惑掛けないって」

「それ一人で逃げるって事だよね」

『――? ――!?』

「ひ、人聞きの悪い言い方やめてよ。巻き込まない為って言ってよ」

 

 何もおかしくない、よね。2人にはサポートしてもらったから僕は前に出る役。こんなのただの役割分担で──

 

『!!? ――――!』

「え、わ! なになに? いた! 痛いよちーちゃんどうしたの?」

 

 だというのになんか伝わらない……! 今更だけど、言葉が聞こえてない訳じゃないよね!?

 

『――! ――!』

 

 ポカポカと、体にまるで痛みはないけれど、ちーちゃんに怒られながら叩かれるのは心が激痛だ。

 

 僕が困っているとちーちゃんは両手の指を動かして……手話? これ昨日僕が提案した、指文字の劣化版の方か?

 えーと、や、く、そ、く、──約束?

 

「約束って、手話を作ったら覚えるってやつ──だよね? 勿論ちゃんと覚えてるよ。だからこそ今ちーちゃんには無事でいてもらわないといけないよね?」

 

 言い切ると、僕を叩いていたちーちゃんの動きがピタと止まる。

 

「──ね? 勿論すぐ帰ってくるつもりだよ? これはあくまで念の為、二人には残って欲しいってだけで──」

 

 ちーちゃんは少し呆けた後は必死に首を振って、何かを伝えようと再び指を動かし始めるが──やがて手が震えはじめて、顔がくしゃっと歪んでしまう。

 

「っ! 待って待ってごめんね! なにどうしたの!?」

 

 遂には目から涙が溢れてしまい、そうなるともう我慢出来なくなったのか、ちーちゃんは声にならない声を上げて大泣きしてしまう。

 ──えええええ!?

 

「ちょ、なんで!? シノさんボーっと突っ立てんじゃないよ! 宥めてよお願い!」

「……あーあ、泣かせた。ちーちゃんがどれだけボッチだったか分かってんの? 今朝ユウが寝てる時、『失敗してもみんなで逃げれば楽しいよねー』って話してたのに」

 

 ……う、くそ、それは僕もクラスでは孤立してるから少し分かるけど……

 ちーちゃんを抱きしめて、よしよししながらこんな急所ついてくる事ある?

 

「……あのさあ、その時は国から追われるって分かって言ってるの?」

「いいんじゃない。それにみんな一緒ならインベントリの事明かす必要ないんだし、ちょっとは余裕出来るでしょ」

 

 ……あれ、待って付いていけてない。

 えーと、その場合だと確かに、村へ着く→シノさんの事が露見→追いかけられる。で一手間増えてて…………いやちーちゃん泣いてて考えに集中出来ない!

 

「…………そうそう。さっき私の都合でもあるって言ったけどそれさ、本当は昨日言うつもりだったんだけど」

「……それって昨日誤魔化してたやつだよね、ねえ、なんで今?」

 

 これ、僕が混乱してるのを見て畳みかけてくる気なんじゃ……

 

「ちーちゃんはこれから膨大な知識を持ちながら、意思疎通の手段を持つの。信用出来る武力は絶対に必要で──」

「っ、それは──そうだね……でもだからこそ僕は仲間を増やそうと──」

 

 ここぞとばかりに、軽々しく手話の提案をした僕の罪悪感を刺激しないで。

 

「だからユウが武力のある団長を仲間に出来る可能性があるのなら僅かでも手を貸したいし──」

 

 可能性の話もやめて。この世界の事を大分甘く考えてた僕は何も言えないから……!

 

「出来なくても一緒に逃げさせてほしいんだよ。荷物無し、魔物の危険なし、騎士を倒せるユウには必要ないかもしれないけど、これから絶対に役に立ってみせるから──どうか力を貸してください!」

 

 そして最後に情で攻めないで……

 このタイミングは絶対僕が情で弱ったのを確認しての所業だ。本心では二人にはついてきてほしいと思っているのに断れる筈もない。

 

 そもそも僕は他人の意思に許可も不許可も出せる立場じゃない。

 

「………………うん……いやだけどちょっと聞いて大事な話し!」

『――……』

「戦う事だけは完璧だった僕だけど、1つ致命的な弱点があって」

「完璧……いいけどさ」

「友達が危険だと見捨てられないの。これもう治らない病気だから」

「…………誰が友達?」

「僕たち。だから! 二人ともぜっっったい危険な真似はしないでね!!」

『…………――!』

 

 ベシっと最後に僕をひと叩きすると涙を拭って、「はーい」とばかりに敬礼をするちーちゃん。

 ああああ、不安だぁぁ……

 

「……い、いや、と、友達って。仲間、とかでいいじゃん……」

 

 急に赤面してごにょごにょと話すシノさんが、誤魔化すようにポムを食べはじめた。

 こんなとこに照れポイントあるんかい。僕と同じで友達少なそうとは思ってたけど、これ人間では一人もいなかったまであるな……

 

「でも……うん、二人とも、ありがとね」

 

 強引に話を持ってかれて、言うのは少し癪だけどお礼だけは言いたい。少なくともさっきまで抱えていた恐怖が──いつの間にやらほとんど消えているから。




ユートピア/utopia 攻略スレpart1




5:名前:名無しさん
>>3、4未来技術(笑)にマジになってて笑う

13:名前:名無しさん
>>5
FT(未来技術)を信じてないのにこのクソゲーに五万も出して張り付くのキモ過ぎない?

181:名前:名無しさん
ちょっと待って本スレでとんでもない事起きてる
ガチで1人の人生終わらせてるけど大丈夫かこれ…

>700:名前:SK
>>639
>ライン越えだ。一生涯、今日の事を後悔して生きろ
>
>本名 田所誠司
>年齢 37歳
>住所 東京都───
>現在地 東京都──
>電話番号 090-──
>クレジットカードの暗証番号──
>セキュリティコード ──
>PCに登録されている主なパスワード───
────
────
────

188:名前:名無しさん
>>181
うおおおおおおおおおおおお!!

189:名前:名無しさん
嘘だろFTの匿名無効ってこういう事!?

190:名前:名無しさん
運営逮捕で2度目のサービス終了が確定しました
5万円払った皆様はお疲れさまでした
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