嘘と無法の生存戦略 ゲームの知識ととんでもスキルでVR死にゲー世界を生きていく   作:peko34

9 / 13
9 知の本領

 薄暗い洞穴の地面に座り込み、どのくらい時間が経っただろう。

 ちーちゃんは長い時間、嫌な顔一つせずに付き合ってくれた。シノさんは僕がした質問の数々に相当な不信感を貯めているけど、これまで通り聞くのを我慢してくれている。

 さっき恩とか言ってたもんな。義理堅い。

 

 それでも聞いておいて、本当に良かった。

 ちーちゃんは確かにこの世界の事をたくさん知っていた。

 システムにも詳しくて、ゲームではお馴染みの、ナビ妖精のような役割も持っているのかもしれない。

 

 流石に騎士団がどの辺りまで来てるか、みたいな生き物の意思が関わるような、流動的な事は分からない。

 YESかNO、分からないの3つしか答えられないから、知識を全て引き出せるわけではない。

 

 一度この大陸の形を聞いたら、木の棒で地面に地図を描いてくれたけど、だいぶ線がヨレヨレでちーちゃんを自信喪失させてしまった。僕はうかつな質問をした自分を嫌いになった。

 

 でもそっか。やっぱりここはゲームの世界で、僕はログアウト出来ないのか……。

 ここから脱出出来る方法は二つ。ゲームオーバーになる事と、ゲームのクリア。

 

 そして……なぜか配信機能がオンになっていて、これは変更出来ない、と……。

 訳の分からない話に、恐る恐る「配信」の項目を開いてみると――

 

『現在配信中:視聴者数 1』

 

 ――何これ。なんだ? 僕をここに閉じ込めたやつは、何をさせようとしている?

 ~~っ気持ち悪くって仕方ない!!

 

「あのさぁ、こんなに質問に答えてもらっておいて、怖い顔するのやめてくれる?」

 

 思考が止まる。無意識に歯を食いしばっていたらしい。

 そうだよ、ちーちゃんが悪いわけじゃないのに、僕はお礼も言わずに何やってんだ?

 

「ご、ごめんね! 本当にごめん……ちょっと考え事しててさ」

『――? ――――!』

 

 その言葉に少し安心したようなちーちゃんを見て、もう今日は自己嫌悪が止まらない。

 とにかく今はお礼をと、インベントリの中を確認する。よしひとまずはこれだ――

 

 僕は騎士が羽織っていたマントを取り出して、極振りした力とナイフを使って簡単なリボンを作る。

 見た目通り高そうな素材のそれを、ちーちゃんの髪に現代風に編んで結ぶ。

 ――ふふ、昔からエレの髪のセットは僕の役目だったからね、バリエーションには絶対の自信があるんだ。

 

「本当にありがとうね。ちーちゃんがいなかったら、僕はここでずっと、何をしていいか分からないままだったよ」

 

 ――これでよし、うんうん、また可愛さが増してしまった。

 

『――??』

「こんなんじゃもらった情報の対価にはほど遠いんだけどさ、ひとまずこれだけね」

 

 僕が、自分の髪で何をしたのか見えないちーちゃんの顔には、はてなが浮かんでいる。

 

「ちょっとアンタ何やって――――え? か、かわいい……ちょ、ちょっとちーちゃん連れて水場まで行ってくる!」

『――??』

 

 今の姿を見せてあげたい! なんて、言い残し、2人は洞穴から出ていく。手を繋いで嬉しそうな姿が微笑ましい。

 

 そして、洞穴に1人になった僕は近くに落ちている死体に改めて手を触れて、心の中で『収納』と唱えて回収する。

 

 やっぱりか……そうだよね、僕をこんな世界に閉じ込めるような犯罪者が、マトモな倫理感なんて持ってるわけないもん。

 さっき回収出来なかったのは、僕が心の底ではアイテム扱い出来ていなかっただけか。

 そして、今そんな良識は心底邪魔になったから回収出来た、と。

 

 だってインベントリに入れておけば絶対役立つもんな。

 

 魔物に襲われた時に出して、囮にしてもいいし……そうだな、咄嗟のときに後頭部から顔だけ出せば、背後からの攻撃を防いだりも出来そうだ。

 人間の体から人間を出して、恐れない人間なんていないと思うから。

 

 身体の痛みは何かの不具合かと、軽く考えてた。現実では当たり前の事だし、深く考えていなかった。

 設定したやつも、僕が安易にゲームオーバーを選ばないようにという軽い考えだったのかもしれない。

 

 ――何考えてんだよ、僕にとっての最大の脅威はこれじゃんか。

 今まで幾度となく死ぬ間際を経験してきた僕の脳は、間違いなく「死」を正確に認識する。脳が死と判断して、果たして僕の身体は無事でいられるのか? こんな……死があまりにも近い世界で……?

 

 なんでだよ……なんでこんな事に……? 僕は今、本当に幸せなんだ。仲間達と馬鹿な事して過ごす日常が大好きで!

 ――ふざけんな、死ぬ事が出来ないのなら……たとえ何をしてでも、必ず生き残ってゲームクリアをしてやる――絶対に!!

 

 

 

名前:ユウ

種族:人間 Lv10

クラス:プレイヤー

HP:41 MP:40

力:42 防御:3

魔防:2 SP: 36

スキル:無し

 

名前:シノ

種族:人間 Lv3

クラス:精霊術師

HP:11 MP:35

力:4  防御:5

魔防:8

スキル:契約破棄

 

メニュー画面               ×

インベントリ  スキル

ステータス   パーティ

ゲーム     録画/スクリーンショット

配信      掲示板

オプション   国力/警戒度      17:23

 

【TIPS】

 『ストーリー』

 この世界、人類は圧倒的な力を持つ『魔族』に支配されている。

 その絶望の中、歴史上初めて、魔を祓う力を持つ『神聖武具』の適合者が8人同時に現れた。

 これは“最初で最後の人類解放の機会”

 生かすも殺すもプレイヤー次第

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。