錬鉄と鍛造の贋作者   作:英雄に憧れた一般魔導師

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いよいよ始まる境界祭編です!


境界祭編
卒業試験


「今年も一年が終わる。学院6年生の君達にとって正真正銘、最後の試験だ。これより『卒業試験』1日目を開始する!始めッ!!」

 

始まるのは最後のテスト期間。卒業するのも『塔』に進出するのも全てはこれにて決着が着く。ラグナは実習にて再び同じパーティーメンバーでナベルスを討伐した事で『塔』の進出が確定した事もあり、後は下手な点数を取らないように復習を行うだけである。

 

自習室ではウィルが最後の追い込みをし、ロスティがウィルのゴーグルの修理を行い、コレットとラグナも最終日に向けて試験勉強を行っていた。

 

「ウィ、ウィル……大丈夫なの?」

 

「大丈夫……じゃないけど、筆記試験明日で最後だから」

 

目が虚ろになりながらも勉強を続けるウィル。最終試験の日程に延期した『総合実習』が丸かぶり、前述した通り討伐したのだ。

 

「うん、リアーナ達のおかげで『実習』単位は全部取れた……!皆の厚意を無駄にする訳には行かない……!」

 

「そういうことじゃないわ……」

 

「でも、『実技』の単位も少しだけもらっているんでしょ?」

 

ロスティの言う通りである。エドワルド先生との補修にて単位5を貰っておりあと1単位で『塔』に進出が決まっており、残りのテストは6単位分である。油断は出来ないが、絶望的な状況では無く『塔』に行く可能性が十分に見えていた。その後、ウィルの白髪を抜いて自慢するロスティと遊ばれるウィルとコレット。ラグナは黙々としながら、ある思考が巡っていた。

 

(魔法……複数属性に適性があると言う大きな利点は……六年間で一度も活かす事が出来なかった……。別に怠った訳でも才にかまけていた訳でもないが……今のオレは魔導士として『塔』に上がるべきなのか?)

 

ウィルが剣の異端児と言うならばラグナも適正に鬼才があり本来ならば大成してもおかしくはない。だが、生まれ持った異質な力にリソースを割いた結果、魔力を制限した状態でないと魔法を上手く使いこなせないと言う半端者になっていた。

 

(でも、この思考はウィルを否定する事にもなる。アイツは剣一本と数多の努力でここまで来たんだ。オレの小さな悩みなんてどうでもいい)

 

ラグナは首を横に振り集中し直す。ウィルもウィルでロスティから聞いた光の一族、シオンの魔法を喰って使えた魔剣のことあの時の感覚の事を考えていたが、それと同等に脳裏に焼き付いているのは、イヴィル・センチネル達を一瞬にて斬殺したラグナの剣技である。

 

(ラグナのあの時の武器もそうだけど……あの剣技は何だったんだろう……ドワーフ見たいな力任せとは違うし、何より速くて的確で……目で追いきれなかった)

 

ウィルはラグナの殲滅のことが気になっていた。休んでいる時に聞いた『投影』と言う特異な魔法と生まれつきある別人の記憶。聞いた話に衝撃を受けたのは記憶に新しい出来事である。

 

(あの斧剣がラグナの到達点?ラグナは……杖より剣の方が……でも)

 

そんな疑念がウィルに浮かぶ。あの絶技は遥か遠く、真似なんて出来ようのない程であり、同じく剣を握るウィルだからこそ分かる。是・射殺す百頭(アレ)は間違いなく剣技の一つの頂点だと感じた。辿り着けないとさえ思えた。それと同時に普段の彼がそれ程の絶技を放つほどの剣の才があったとも思えなかった。ウィルはラグナが剣を振るうこと、近接戦が出来ることは知っている。今回の一件より前に。数年前のダンジョンで組むようになった時やとある事件の時も副装備として持っていたのを見ているし、貸してもらった事も多々ある。その当時はドワーフの工房で作った出来損ないで良いならと言っていた。だが、どれも斬れ味が良く今の剣になるまではお世話になった代物が多かった。折った際にも顔色変えずに新しいのをくれたのが記憶している。

 

(そう思ったら……ラグナの事あんまり深く知らないなぁ……)

 

ふとそう思った。ラグナはウィルが何を考えているのか知らないが集中が途切れているのは感じたため、息を吐き

 

「一息入れよう。今の調子で続けても身が入らない。本当に軽い試験勉強用のおやつもある」

 

そう言って、小さなバスケットを出し、それぞれ配る。中身はヨーグルトにベリーとハチミツがかかったモノである。

 

「美味しそう!」

 

「うん、本当に美味しそう!」

 

ウィルとコレットは目を輝かせながら甘味を見て

 

「これ、ラグナが作ったの?」

 

ロスティは少し意外そうにラグナを見ながらに言う。

 

「小休憩にはピッタリの物を作ってる。甘みがあるから頭にも良いしな。せっかく試験勉強というのもあるが、作るのは好きだから」

 

ラグナは少し照れながら説明する。そして配られた甘味とスプーンで食べ始める。

 

「ん~美味よ!甘くて、けどベリーの酸っぱさがヨーグルトの酸味を和らげていていい感じになっえてる。勉強して疲れているから甘いのが物凄く美味しく感じる!」

 

「本当に美味しい!こういうの食べると、頑張ろうってなるよね!」

 

ウィル、コレットからは好評であり、心の底から美味しそうに食べていた。ロスティも食べるとホッとした表情になる。

 

「本当にラグナは器用だよね。道具作り、修理から鍛造から……。モテるんじゃないの?」

 

ロスティの言葉に視線がラグナに集まる。ラグナは少し考えながら、自身も作ったおやつを食べながら答える。

 

「いや、友達やドワーフの皆にしか振舞ったことしかないから……。そんなこと言われても反応に困る」

 

その回答に三人は笑う。その後も勉強は続け、ラグナは一足先に自習室から退室する。ラグナはしばらく歩くと振り返らず自室まで行く。そしてベッドにその身を投げてゆっくりと目を瞑る。

 

夢に見るは鉄を鍛える音と鍛冶場の風景。一意専心でひたすら鍛え続ける風景を。周りは無限に続く荒野がどこまでも続いており、空は暗く、星々と三日月が浮かんでいた。荒野は炎に包まれており、剣を造っている時のような暑さを感じていた。

 

『果てなき炉にて剣を打つ』

 

『収斂と研鑽に終わりは無く』

 

その文言が自然と頭に浮かぶ。燃え続ける荒野で剣を打つ。果てなんてなく、終わりなんてなく、ただ歩き、ただ鍛え、ただ振るう。贋作者であり鍛冶師である人物に止まることは無く、ただ二人の背を見続ける。その極地、それぞれが至ったその最奥を見続ける。

 

そこで目を覚ます。今日はテスト最終日。エドワルド先生が担当する魔原学史のテストである。

 

「行かないと……」

 

教室に向かい、先生の入室を待つ。他の学生の凹む声や愚痴るこえが聞こえる。

 

「静粛に。これより最終試験を始める。が、その前に伝えておく。私からの出題は一問。この一問に答えられた者に6単位全てを与える」

 

そして問題用紙を杖で軽く叩き

 

「質問は一切受けつけない。諸君が学院で培った6年間を示したまえ。それでは始め!」

 

そういわれた各メンバーは問題用紙を見る。問題は

 

【『魔法』とは?自身の魔法属性に基づき、以下の単語を用いて説明せよ。『界素』『接続』『発現』】

 

求められているのは無意識の内に行っている魔法への接続過程の説明、感覚の言語化である。魔導士や妖精ならば自ずとその答えに辿り着くことが出来る。だが、それ以外は辿りつかないとも言える。

 

(ウィル……!)

 

ラグナはウィルを見そうになる。テスト中にの為にそんなことはできない。だが、絶対的にどうしようも無い問題と言うことは考えるまでも無かった。ウィルはこのテストを落とすことになり、『塔』の道は閉ざされてしまった。




少し参考までにアンケ取らせていただきます。
グリモアクタを見てふと思った事です。時間はかかりますがゆっくり見ていきます。

アンケートとは金曜日の23:59までとします(忘れてなければ)

ラグナのグリモアクタでの話を書くべきか。※別として投稿

  • 書いてほしい
  • 無くてもいい
  • どっちでもいい
  • 盛ってもいいから書いて
  • 本編優先で
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