錬鉄と鍛造の贋作者   作:英雄に憧れた一般魔導師

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アンケートの途中経過を見てなるほどと言った感じです。ご協力感謝です!もう一日あるのでお願いします!


境界祭

「ラグナ!リアーナ!ウィルはいた!?」

 

コレットが息を切らせながら夜の学院を駆け巡っていた。理由はウィルを探しての事だ。エドワルド先生の最後のテストで単位を取ることはできず『塔』への道を閉ざされてしまったウィルを何とかしようと探しているのだが見つからない。

 

「いや、どこにもいない。イグノールと共に捜したが……」

 

「少なくとも寮にはいなかった。恐らく学院の外に……」

 

「こっちもダメだった」

 

三人もラグナを見つけられずにいた。

 

「ウィル……どこに行っちゃったの?」

 

コレットは心配そうに言う。6年間幼馴染みの元へ行くと言う約束で頑張ってきたウィル。その道を閉ざされたともなればその失意や感情は計り知れない。

 

「『塔』に進学できない生徒が失意のうちに学院を去る……。この時期にはよくあることじゃないか」

 

そういいながらユリウスが歩いてくる。

 

「ユリウス!」

 

「無能者捜しなんかに付き合わされていい迷惑だよ……まったく。逃げ出すような無様な男、放っておけばいいんだ」

 

心底呆れたと言わんばかりに言うユリウスにイグノールは杖を向ける。

 

「撤回しろ。エルフの友を侮辱するな」

 

真剣な表情でユリウスに撤回するように言うイグノール。ユリウスも表情を変えることなく

 

「迷宮ですっかり絆されたみたいじゃないか妖精閣下?いや、毒されている……かな?」

 

「なんだと……!」

 

怒りを覚えるイグノールを向けられている杖を手で弾きユリウスは

 

「この魔法学院は!この世界は!魔法が全てなんだ!!どれだけ迷宮の中では有能だろうと―――剣に居場所なんてない!!」

 

その言葉を聞きながらラグナは

 

(迷宮では有能って認めてるじゃないか)

 

と少し変わったユリウスを見ながら思った。そしてそんなことを言うユリウスに怪訝とも言え何とも言えない表情を浮かべるシオンがユリウスに視線を向けていた。

 

「……なんだいシオン?その目は?私と同じで君もあの無能者を目の敵にしていた筈だろう?」

 

ユリウスの言う通りシオンはことある事にウィルに色々としてきた。魔導大祭での仲間割れが一番記憶に新しい。

 

「……そうだ」

 

ユリウスの言葉にシオンは否定しない。

 

「本当に腹が立つ。アイツは僕が打ち負かすつもりだった。そんな機会がもうなくなる……それが気に食わないだけだ」

 

シオンはやるせない気持ちを決着をつけれてないことを心残りにするように言う。そんな生徒達の集まっている姿を見たワークナー先生が歩み寄る。

 

「何をしているお前達」

 

「ワークナー先生!私達ウィルを探していて……どこにもいないんです!」

 

コレットの言葉にワークナー先生は目を伏せて

 

「ウィルは私が捜す。お前達はもう行きなさい」

 

コレットの背を押しながらに行くように言う。

 

「で、でもっ……」

 

コレットは食い下がるが

 

「今日は1年の終わり……『境界祭(テルミナリア)』だ。羽目を外して楽しんできなさい」

 

そう言われて6人は境界祭を見て回る。そしてそれぞれが別に分かれてグループで歩き始める。

 

ラグナはリアーナとイグノールとともに歩き始める。

 

「まさか、この三人で歩くとはな。中々に珍しいんじゃないのか?」

 

ラグナが二人に言う。リアーナとイグノールは学年のトップ3であり、ラグナは『塔』に進出は確定しているものの普段はウィルとコレットと一緒にいることのほうが多い。

 

「そうだね、君は何時もコレットやウィルとともにいることが多いし、それ以外では基本どこにいるか分からないしね。『総合実習』の際に本格的に話したくらいだしね」

 

イグノールは苦笑いを浮かべながらに言う。ラグナはそうだっけっと首を傾げながら、屋台のチョコバナナ的な甘いものを購入する。

 

「ほら、イグノール、リアーナ」

 

「ありがとう、ラグナ」

 

「ラグナ……ありがとう」

 

イグノールは直ぐに受け取り、リアーナも受け取る。リアーナが美味しそうに食べるのを見て、ラグナは自分用に2本買った内のもう一本をリアーナに出す。

 

「もう一本食べるか?」

 

「ありがとう」

 

リアーナは嬉しそうに食べる。その姿は心底幸せそうな表情を浮かべていた。その表情を見てラグナは惜しく思う。ここにウィルもいたら全員で笑い合えたのかもしれないと。

 

今宵行われるのは『大結界』の再構築。遥か昔、人々を空を知らず、この世界は『闇』に閉ざされていた。『天上の侵略者』によってあまねく大地は破壊され数多の命が葬列を作り上げた。そして全てが絶望に覆われようとしていたその時――――

 

始祖 魔女王メルセデスのもと偉大なる五人の魔導士が空を封じ、侵略者達を退けた。そして五百年前の今日が『至高の五杖』の大結界は天上との結界を作り上げ護り続けてきたとされている。

 

その放送の説明を聞き時計を見る。もうすぐ一年が終わる。何度も迎えた新しい年を迎えるこの日。一度たりとも同じ年越しは無かった。友達と過ごす事や、幸いとみなし、祭りそっちのけで鍛造に打ち込んだりと色々として過ごしてきた。

 

「さぁ皆さん!栄光の歌をもってお迎えください!至高の五杖のご登場です!!」

 

現・至高の五杖の全員が姿を現す。

 

雷公の杖(トルゼウス・ファッジ)』『炎帝の杖(インスティア・バルハム)』『妖聖の杖(エルリーフ・カナン)』『氷姫の杖(アルヴィス・ヴィーナ)』『光皇の杖(マステリアス・ノア)』五人が揃って皆の前に現れる。それにより歓声が湧き上がる。

 

「今 失意に暮れている者はいるでしょう。絶望に囚われる者もいるでしょう。ですがどうか、顔を上げてください!」

 

放送者のクレイルウィが言う。

 

「我々は忘れてはなりません『天上の侵略者』が今もこの世界を狙っていることを。この楽園は今も脅かされているということを。どれだけ挫けようとも我々は空を支え、邪を退けなくてはならない。さぁ『灯火』を掲げましょう!私達もまた、空を支える一助に――――」

 

それと同時に皆が杖を空に掲げる。

 

そして儀式が執り行われる。

 

『大術式楽園隔つ五杖の大境界(ヴェンデス・テルミナリア)

 

そしてカウントダウンが始まる。結界が再構築されると同時に花火が打ち上がる。

 

「ハッピーニューイヤーーーー!!!さようなら昨日までの一年!初めまして新たなる一年!どうか魔女王(メルセデス)の加護があらんことを!!おめでとうリガーデン!ようこそ新たなる世界!」

 

新年を迎える。それと同時に奇妙な事が起こる。空間に見覚えのある文字で挑発するように

 

『ハッピーニューイヤー』

 

そして見覚えのある門が開かれる。

 

「あの魔法円は……」

 

「ああ、忘れるはずがない。総合実習で僕たちに大公を差し向けてきたあの二人の時と同じ……!」

 

「つまり……モンスターが出てくる……!」

 

三人が身構えると同時に魔法円からモンスターが転移してくる。『ディノボロス』深層の魔物が次々と現れ街を破壊し始める。ラグナは現れてくる魔物を見るさなか、魔物が武器を持っているのを個体を見る。そして、ラグナの中にその持っている武器を見た。それだけで、ラグナの中にその武器が複製され貯蔵される。同時に危険性とその特性を知る。

 

(武器を持っている個体は魔導士じゃ手に余る……!)

 

ラグナはそう判断し、赤い布を外して走り出す。

 

「ラグナ!」

 

「ラグナ!?」

 

イグノールとリアーナが呼び止めるがそれより先に走り出し、解放された魔力で補強された身体能力で建物の屋上に上がる。赤い布を解放していることでラグナの能力がフルスペックで解放される。それと同時に魔法の制御が困難になる。この瞬間ラグナは魔導士である事よりも全霊でモンスターと対峙する事を選んだ。

 

「リアーナ!イグノール!モンスターが持っている武器には気をつけろ魔法の一切が通らない!土の魔導士を中心になって戦うんだ!」

 

「どうしてそんな事が分かるんだ!?」

 

イグノールが問うがリアーナは止める。

 

「モンスターの武器が魔法が効かないと言うのは事実なんだな、ラグナ?」

 

そう問いかける。ラグナは

 

「ああ!」

 

短く答える。更に左手には黒い弓と右手には捻れている黒い鏃の様な大きな物が握られていた。それを魔法円をくぐって降りてきた剣を持つモンスターに照準を合わせる。リアーナもその姿を見て走り出す。

 

「行こう、イグノール!一刻も早く!」

 

「ああ!でもあれで納得したのか君は」

 

イグノールの質問にリアーナは答える。

 

「理屈は分からない……。だが、ラグナがあの布を最初から外して『投影』と言うのを使い始めた。なら、そういう事だと信じる他ない!」

 

リアーナはラグナを信じていた。自身の力の根源まで話してくれた彼が最初から本気で挑む事態。それだけで今現在進行形で危機的状況に陥っていると言うのは疑いようも無かった。それにもたらされた情報、攻略法を伝え、対策を立てられるのは現状任されたリアーナとイグノールのみであるのだから。

 

ラグナは魔力を溜めて弓を引き絞る。狙いは外さない。最初から当たることを分かっていて放つ。

 

赤原猟犬(フルンディング)……!」

 

静かに告げる。しかし、ラグナの魔力、魔剣を使用した一矢は標的を射殺さんと大気を切り裂き飛翔する。夜空を赤光が切り裂く。

 

ラグナは放つと同時に弓を消し走り出す。自身もまた膨大な魔力で身体能力を補強し、総合実習の時の近接戦闘以上の速度を以て前線に出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

炎の派閥。ロッジ・ホランドは目の前の敵が魔法が効かず迫り来るのをどうしようもなかった。どうして通用しないのかも理解出来ずに何度も放つが意味を成さない。

 

「ロッジ!逃げて!!」

 

モンスターが剣を以てロッジの命を断とうとする。魔導士を殺す刃、魔導士を殺すための剣で。クレイルウィの悲鳴にも似た声が耳に聞こたその直後。モンスターがロッジを切り裂くよりも速く、モンスターすら反応が出来ない魔弾がモンスターの頭部を射抜く。振るわれる筈の凶刃はそれを超える一矢で絶たれる。地面に突き刺さる黒い剣。今まさにその剣を放った何者かにロッジは命を救われた。

 

「一体何者が……」

 

剣を持たない魔物が続くように襲いかかってくる。

 

「ロッジ!まだ来てる!」

 

声に反応して杖を構えるが一手遅い。気を取られた一瞬が魔法で迎撃する一瞬を消す。しかし、一手遅くとも、第二陣が直ぐさまモンスターを切り伏せる。その衝撃でロッジは尻餅を着く。顔を上げると、魔法学院のローブと腕の赤い布を靡かせ、銀の剣を両手に持つ銀髪に黒いヘッドバンドをつけた少年……ラグナが立っていた。

 

「武器持ちはオレがやります。それ以外は……お願いします!」

 

ラグナの戦いが始まる。




ウィルと一年から交流があったのなら、割とウィルに剣を渡していたという説が……微レ存?

ラグナのグリモアクタでの話を書くべきか。※別として投稿

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