錬鉄と鍛造の贋作者 作:英雄に憧れた一般魔導師
次回卒業式まで行きたいです
ラグナは夢を見る。理想を追い求めたその果てを。後悔し、自分殺しの機会を求めた英雄を。しかし、過去の自分との戦いで負けた。しかして、答えは得た。その英雄は後悔はある、やり直しを何度望んだかも分からない。それでも、間違えてはいなかったと……。
鍛冶師の夢を見る。その人生を刀鍛冶に注いできた一生。聖剣の鍛造を引き受け、仮初の生も少女の為に灰になった。
ラグナの力の原点であり、スタート地点。憧れはしない、焦がれることも無い。だが、尊敬できる。その在り方もその生き方も突き動かされるものがある。その末に立つのは、燃え盛る大地と無限の剣、そしてこの世界で見ることの出来ない満月と星々が浮かぶ夜の空。ありえざる光景だが……それでもそれが彼の―――――■■■■だから。
「うっ……んんっ」
ラグナが目を覚ますと、学院の医務室に寝ていた。体は包帯でグルグル巻にされており、ラグナの体の状態を物語るに十分であった。それだけではなく、少し動くだけでも凄まじい激痛が走る
「っ!ぐっ!ううっ!」
思わずうずくまり痛みを堪える。ラグナは苦悶の声をできる限り押し殺し現状を確認する。
「
冷静に分析をしながら自身が投影したものを改めて振り返る。この世界に存在しない人物の人じゃない何かが作った『聖剣』。人々の「こうであって欲しい」という想念が星の内部で結晶・精製された神造兵装。
「真名を解放せずとも……あそこまで戦える剣……。けど、アレの持ち主は……」
成長に至る経験に共感し、蓄積された年月を再現する。そこで剣の持ち主である騎士王の一生を見た。
「……後悔。自分が王では無い世界、国の滅びを回避する為に願う奇跡……」
無我夢中で振るった剣と再現した技量はあまりにも重かった。だが、それでも切り札の一つとしてラグナは胸に留める。今は手元に無いが再び使う時が来た時のことを考え
「オレはオレの大切なものの為に使わせてもらう……」
そう小さく呟いた。そんな時カーテンが開く音が耳に入る。そっちの方を見るとコレットとリアーナが居た。
「良かった……!目を覚ましたんだラグナ!」
「ああ……本当に良かった……!」
安堵した二人の表情を見てラグナも今回の一件の幕が降りたことを確認が出来た。
「二人も無事そうで良かった」
ラグナが少し笑顔で言うと二人は不機嫌な表情を浮かべながらにラグナに詰め寄り
「無事で良かったじゃないわよ!ただでさえ今にも死にそうって状態でまだ戦うなんて!倒れた時気が気じゃなかったわよ!」
「コレットの言う通りだ。あんなボロボロの状態で無理して戦って、それで死んでしまっては……本当に心配した」
二人に言われてラグナは思い返してみる。
それに加え、身体能力強化と魔力放出。そして神造兵装の投影。後者は真名開放をしていない為、魔力の消費は比較的マシだが、魔力をほぼ全開で使ったため肉体の負荷は計り知れないものとなり、決着をつけたあと、意識を失うと言う自体になった。振り返ると無茶をしたと言うのは間違いないと感じた。
「心配させたことについては謝る。ごめん……。けど、オレには止まることは出来ない。そりゃ、迷うことも悩むこともあるとは思うけど、それでも止まれはしないから無茶は何度でもする」
その言葉を聞いた二人はラグナに何か言おうとするがそれよりも先にラグナが言う。
「だから、無茶しても大丈夫なように強くなる。あの力だけじゃなくて、魔法ももっと手を伸ばして、あの力ももっと練度を高めて心配させないようにする。だから、近くで見ていてくれ誰よりも近くで……!」
真剣な表情で二人に言う。二人が固まっているのを見て、次第に自分が何を口走ったのかを理解したのか顔を赤くして慌てながら
「ち、近くと言うのは言葉のあやで!いっつつ!?」
身振り手振りで慌てて弁解を行うため、体に激痛が走り蹲るラグナ。そんなラグナを見てコレットとリアーナは慌てて
「そんなに慌てなくていいから!暴れて悪化したらどうするの!?」
「今は休むことに専念してくれ。卒業式も控えているんだ。コレットの言う通りに安静にしておいて欲しい」
そう言われたラグナは頷いてベッドに横になる。二人は
「とりあえず、無事に目が覚めて良かった。私達は行くから無茶したらダメだから!」
「卒業式楽しみにしている」
そう言って出ていくのを見送った。その日の夜。ラグナは寝られずに痛む体を押して、建物の屋上に座っていた。外の空気が吸いたくなったのと、改めて自分の戦いを振り返るため。ゆっくりと目を瞑り、振り返る。結果は情けないの一言に尽きる。ウィルとの共闘は良かったと言えるがディヴェンデとの単独の戦いは情けない。選択肢を幾つも間違えた気がしてならないとさえ感じる。そんな時声がかけられる。
「寝てなくて大丈夫なのかい?」
その声をするほうを見るとダンジョンで出会った少年、フィンが立っていた。
「確かダンジョンの時の……フィンでしたっけ?」
「覚えていてくれるなんて感激だよ。ラグナ・グレイス」
ラグナの隣に立ち、フィンはラグナを見る。
「随分と無茶をしたみたいだね。大丈夫かい?」
フィンはラグナを値踏みするような目で見る。
「ああ、はい。魔導士が治療してくれたから傷は大体。酷使した所が反動で痛むだけです。明日には7〜8割元に戻ってると思うので支障は無いです」
ラグナは首を傾げながらに分析した自分の状況を話す。それを聞いたフィンは笑顔で頷き
「それはいい話だ。君に用事があって今日は来たんだ」
「オレに用事?」
フィンは頷きながら
「杖と剣を使いながら、僕達が目指した所と異なる領域に居る君に頼みと話をしたくてね。その力、どうやって生み出したんだい?どの属性とも異なり、異質な存在感を放つ武器をどこから出しているんだい?」
フィンの質問にラグナはどう答えたらいい物か悩む。説明するのが難しい、この世界とは異なる体系のその中でも例外的なもののために答えにくい。よって話すのは
「オレには生まれついてから二人の別人の記憶があり、その人が見た事のある武器を魔力で再現して作っている。だから、何処からと言われたら……見て解析して、その設計図に魔力を通して作っていると言った方がいいかもしれない」
全部が嘘では無いが、分かりやすく言うにはこうしかないとラグナは思いながらフィンに話す。フィンは頷きながら
「なるほど、そういう魔法なんだね。剣を創る魔法……『剣製』と名付けてもいいかもしれないね」
ラグナは楽しそうに話すフィンを見ながら聞く。
「それで頼み事ってなんですか?」
フィンは思い出したようにある宝玉を渡す。
「これは双季の宝玉。これを使ってウィルの剣を造って欲しい。君なら最高の剣が造れると思ってね」
そう言われたその宝玉を受け取るラグナ。ラグナは宝玉を見ながら頷き
「ああ、任せて欲しい。オレも鍛冶師の端くれだから、その依頼受けさせてもらう」
「それじゃあ、頼むよ。ああ、そうだ!」
フィンは思い出したようにラグナに言う。
「もしも、塔に行った時君が納得出来なかったらいつでも呼んでよ。君をもう一振の『剣』として鍛えてあげるから」
そう言い残し去っていった。ラグナは宝玉を見ながら、早めに工房に行きたいと思ったのであった。
神造兵装の投影について
一部の神造兵装は詠唱を唱えることで投影が可能となっている。
ある条件下では無詠唱での投影も可能。
ある条件下では無い場合は基本的に一日に一回しか使えない。一日一回と言うのはどれか一つという意味では無く、その宝具一日一回の投影という意味です。(ランクや精度を落とせばその限りじゃない。例:中身が無いハリボテや無銘のイマージュなら3回は打てる)
書き忘れてましたが、『永遠に遥か輝く勝利の剣』はまだ真名開放してなかったです。
コレットもリアーナ可愛いですよね。