錬鉄と鍛造の贋作者 作:英雄に憧れた一般魔導師
開祭編スタートです!
第一開祭
「50人揃ったようね〜。新品の
50人の『塔』進学者を見下ろしながらそう言うのは境界祭にて放送者を務めたクレイルウィである。
「深刻な人手不足になってて付添は私一人なんだけど、しっかりこなすから安心してね!」
キャハ☆と効果音が出そうな口調とポーズで話すクレイルウィに一人が
「あれが本当に……
苦笑いを浮かべながらに言う。塔に来た面々の表情を見ながらクレイルウィは塔に手をつきながら
「じゃ、気合いは十分なようだし……早速行きましょうか」
そう言うと扉は重々しい音を立てながらゆっくりと開いていく。
「探求の楽園。そして研鑽の地獄へようこそ。新たな雛達」
階段を上り、その内部に歩を進める。暗く何も無い空間に立たされる。
「暗い…それに何も無い?」
コレットがそう呟く。すると、クレイルウィが杖を出し
「
「これは……!?」
「足場が動いている……?いや、浮上している!」
「天井が開いて……」
足場が浮上しきり天井を超えて新たな景色へと誘う。
塔 第一階節『
「白……いや、無色の都!?」
「空があるっ!地平線も!光だって!」
「ロゼ落ちるわよ!!!」
はしゃぐロゼを落ちないように抑えるコレット。皆がそれぞれ興奮してみている中、クレイルウィが説明する。
「塔 第一階節『
意味ありげに言うクレイルウィに違和感を感じたのは少数だけだった。
「さ、行きましょう。貴方達は今日の正客!みんなが中央の式場で待ってるわ!」
案内されるまま歩く50人。そんな中、リアーナはイグノールに質問をする。
「イグノール、この空間に空や光は……」
「ああ、エルフの幻想魔法に違いない。それも恐ろしく高度な。きっと大円形自然領域の応用で塔の中にあって楽園の景色を生み出しているんだ」
イグノールが説明する。それを聞きながらラグナも周りを見ていた。
「ラグナ!ウィル!見て!私達と同じ始服を着た人達があんなに!」
辺りを見渡せば魔草の菜園、魔法生物の実験場だったりと魔法研究の最前線であり、上級魔導士になったと実感させるには十分な光景であった。
「それにクレープ屋なんかもあるわ……」
「あっ……」
コレットの言葉に即座に反応したのは二名。一名は
「
魔法を使い即座にクレープ屋に直行するリアーナであり、もう一人はリアーナがクレープが好きな事を知っていたラグナである。
「五人前!?」
「ああ、騎士に二言は無い。あと、釣りは要らぬ」
「騎士に二言は無くても、時と場合を考えた方がいいと思うけど」
ラグナに言われてビクッとするリアーナ。リアーナは
「ダメか?」
と上目遣いで言ってくる。ラグナは
(どこで覚えたんだそんなこと……)
と思いながら小さく息をつく。
「中央に辿り着くまでに食べ切れるなら良いよ。もう頼んだんだし」
「それ位容易い」
リアーナは小さくガッツポーズを取りながらクレープを食べる。
「ちょっと!何してるのよリアーナァアア!!今は『塔』の入学式みたいなのよ!?ラグナもしっかり止めてぇぇ!!」
しっかり者塔なったコレットに引きづられながら連れていかれるリアーナとついでに注意されるラグナ。
「相変わらずだねリアーナ……」
「ああ、あの健啖ぶり……最早清々しさ覚えるよ」
ウィルとイグノールは苦笑いを浮かべながらに言う。ラグナも苦笑いを浮かべながら、先に進む。そして思考する。
(魔法の鍛錬も、総合実習以降も続けてきた。フィンが名付けた『剣製』は出来る限り奥の手として温存しておきたい。あれは他の魔導士からしたらズルみたいなもんだからな……いざという時は四の五の言うつもりは無いけど)
ラグナは既に魔力を制限する布を外している。ここから先は本来の魔力出力と魔力量と向き合っていくしかないのだ。『剣製』を使えば何ら問題は無いが、それじゃあダメだと自分に言い聞かせ各属性の特訓も続けていたのだ。境界祭やウィルの剣の鍛造に時間を割いたというのもあるが……。
そんな事を考えながらも歩き続け剪定の門という所に辿り着く。
「着いたわ!さぁ、中に入って」
式場と言うには厳かで静まり返った場所である。
「ここが式場?」
「あれは土に、風、闇の各派閥の魔導士達?」
「なんだかこっちを見る眼差しが怖いような……」
コレットとロゼが見渡していると4つの半休の座が降りてくる。降りてきたのは
至高の五杖達である。
氷の派閥 頭領 エルファリア・アルヴィス・セルフォルト
雷の派閥 頭領 ゼオ・トルゼウス・ラインボルト
妖聖の派閥 頭領 エルノール・リヨス・アールヴ
炎の派閥 頭領 キャリオット・インスティア・ワイズマン
その四大派閥が集結したのだ。その光景は壮観な光景とも言える。それぞれ思いがあるイグノールとウィルは想い人を見るが反応はそれぞれ芳しくないと言った様子である。そんな視線でのやり取りを観察していたラグナも特に何も考えず、魔法の事を考えていた。その間も話は続く。
「遥か塔の天辺から御足労感謝します〜〜至高の五杖様〜」
クレイルウィは仰々しくも棒読みに近い形で一礼をする。
キャリオットは
「恒例の雑事だ。私達が退屈しないよう手際良く進行してくれ、クレイルウィ女史」
と返す。クレイルウィは頬を引き攣らせながらも
「ほんっとうに出世しましたねぇ後輩クン。偉そうに振る舞うのも板についてきたこと」
嫌味を込めて返す。その言葉に少し楽しそうにキャリオットは返答する。
「ははっ、愉快な先輩達にしごかれたからね」
「キャリオット様」
側近のログウェルが声をかける。
「わかっているよログウェル」
雑談もそこまでと言わんばかりに打ち切る。クレイルウィがログウェルに一礼をして浮かび上がる。
「それでは至高の五杖様のご要望通り、ちゃちゃっと『開祭』を始めたいと思います!」
「「開祭?」」
ウィルとラグナは首を傾げなが説明を聞く。
「まずは、魔導大祭を始め学院6年間のうちにスカウトされた選ばれし雛達。貴方達に与えられる『色』の祝福!」
そう言うとシオンやリアーナ、コレット、イグノールを始めとした大多数の魔導士の足元から各属性の光が立ち上る。そして始服が派閥の色に、ブローチがそれぞれのエンブレムに変化する。
「始服の色が紅に……!」
「私の始服は褐色……ブローチも土の派閥のエンブレムに……!」
そんな中、ラグナ、ウィル、ユリウスは色がなくブローチも変化が無かった。
「その『色』の祝福こそ栄えある称号!行きなさい貴方達を待つ派閥のもとへ!」
クレイルウィがそう言うと足場が各自の派閥へと向かう足場が会場に降りる。
「これより一人でも多く『塔』の遥か高みに至る事を願います!」
始服が変わった面々はそれぞれの足場に上り各派閥の所に向かう。
「えっ……ちょっと待って……」
「俺達 何も授かってないけど……」
あれだけ響いていた歓迎の祝福は嘘のように静まり返っていた。
「そして『塔』に上ってなお、祝福されなかった今の貴方達は無色。つまり、『無価値』。『塔』の上にいけるのは派閥に属する魔導士のみ、それ以外はここより先に進めない」
リアーナは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながらに言う。
「上位貴族のみに伝わる情報は本当だった……」
シオンも
「派閥に所属できない者はこの第一階節に永住し塔の『部品』になる……!優秀な魔導士を支える為だけの歯車として!!」
ユリウスは絶望した表情を浮かべながら
「栄光の陰でつけられた『塔』の渾名……それは『杖の墓場』だ」
「なっ……っ!?」
「なるほど、道理で道中で同じ服の魔導士の視線が厳しかった訳だ」
ラグナは合点が言ったと頷く。つまり、道中で見かけた先輩も現状の自分達と同じく『無価値』の烙印を押された『部品』と成り果てた姿という訳だと。
「けれど『塔』まで辿り着いた貴方達にはチャンスを与えます!」
クレイルウィがそう言う。ラグナはクレイルウィの方を見る。
「ここで実力を示せば貴方達を拾う派閥があるやもしれない!それこそが『開祭』にメインイベント!今日まで資格を提示出来なかったというのなら!今より色付きなさい!花開きなさい!」
中央の塔の外壁が消え、更に内部からモンスターが出現する。
「あれは、まさか……モンスター!?」
ウィルが驚いたように声を出す。
「『塔』のルールは唯一つ『価値を示せ』!!『
クレイルウィの宣言と共にモンスターが選ばれなかった者達に襲いかかる。
「くっそぉおおおおおお!」
ユリウスは杖を抜き構える。ラグナもゆっくりと杖を抜きモンスターと相対する。ユリウスは内側から氷魔法で貫き、背後からの攻撃は『白の芸術』で分身に受けさせ、『蒼氷の詩人』でもう一体を倒す。
一瞬にして二体のモンスターを一蹴する。しかし、エルファリアからはそっぽを向かれ、土の派閥からは『氷魔法じゃなかったらなぁ』と言われる始末である。
そんな中ラグナは
「『
水の下位魔法を放つ。下位魔法では第一階節の番人『ゾクトニア』の盾を貫くことは出来ない。普段のラグナの出力でも難しいものだが……。今のラグナは今までの普段では無く、本来の出力と魔力量である。故に、ゾグトニアに踏ん張らせずに、圧倒的な出力を以て中央の塔に叩きつける。
「なっ!?」
「は?」
ラグナを知る人物達から素っ頓狂な声が漏れる。水流に叩きつけられたゾクトニアは砕けて活動を停止する。更に後ろからラグナを潰さんとゾグトニアが襲いかかる。ラグナは杖からは『青流の従者』を出しながら、空いてある右手で
「『
薙ぎ払う様に雷閃で上半身を切り裂く。
「今度は雷魔法!」
「水の次は雷魔法を……しかも」
「どちらもゾグトニアを一蹴しておる。どちらも威力がほかの者の比じゃない。本当に卒業したての雛か?」
ラグナの魔法の威力に目を見張るものがあると注目していた。さらには
「『
巨大な氷塊を対象に向けて降らせる質量で叩き潰し、会場が一定範囲が冷えたタイミングで被害を出さないように配慮はしながら
「『
その周囲を幾つもの魔法陣を展開して、そこから炎を一斉に放つ。
「あの魔法は!僕と落ちこぼれが戦った時に使った!」
「あの時のシオンの魔法も!」
急激に冷やされた空間に急激に熱を加えたこともあり、空気が荒れ狂い一体に凄まじい爆発が引き起こされる。そしてラグナはゾグトニアをだった何かを見ながらたっている。
「氷と炎も使うとは、しかも変わったこともする。これほどの人材が埋もれていたとはね。けど、彼は……」
至高の五杖は知っている。彼が剣をまだ出していないと言うことを。深奥を出していないということを。そしてもう一振の剣、ウィルも動き出す。様子見は十分である。観察眼はゾグトニアの動きを見切り、盾の上からも両断する。
更にユリウスの流れ弾を装塡するエルファリアの目の前で
「装塡完了―――『
「ウィル……」
ウィルはそのまま突っ込み
「
吹雪と剣風にて残りのゾグトニアを倒す。
「あーぁ。番人をみ〜んな倒しちゃった」
ウィルの足元には魔法陣光り輝く。
氷、炎、土、風、闇からのスカウトがウィルに集まる。目立っているのはウィルの為、ユリウスとラグナはお預け状態になる。複数の祝福を受けた際には本人に選択権が委ねられる。ウィルはエルファリアと視線を交わし、派閥を告げようとしたが、上院であるクロイツが待ったをかけた。そこからは、クロイツが魔法生物をウィルにけしかけ杖の証明が出来ないとさせ、エルファリアも話が違うと一触即発状態になるが、ゼオが『開祭』自体は次も行うのだから御託はその後でもいいだろと言う。
そして期限は一週間似たような試験を受けることで第一開祭は幕を閉じた。
「よぉおおおおおーし!!何度だって絶対乗り越えてやる!!!」
ウィルは気合いを入れ直していた。ラグナも
「その意気だ、協力はする!」
「うん!ありがとうラグナ!」
手を取り合い、来たる一週間後に向けて準備に取り掛かる。
ゼオと副官のギルフォードは長い廊下を歩いていた。そんな中でギルフォードはゼオがウィル、ラグナに祝福を与えなかったのが意外だったと言う。ゼオはギルフォードの頭を乱暴に撫でた後言う。
「ドン底から這い上がってきたヤツの方がおもしれぇし、強えに決まってるだろうが。剣を使うガキも複数属性使うガキもそういうタイプだ。……だが、あの程度のじゃ
獰猛に笑みを浮かべながらに言うゼオ。
炎の派閥のキャリオットはログウェルと話していた。
「彼の
ログウェルの言葉にキャリオットは
「彼は元々
笑みを浮かべながキャリオットはログウェルに話して通路を歩いた。
至高の五杖の面々(エルファリアを除く)はラグナが剣を使わない事で、少し面白くないと感じている模様。
固有結界を使いたいとウズウズしている今日この頃
固有結界の範囲ってどんなもんなんだろう?視界の範囲全て巻き込みなのかな?それとも一定範囲なんだろうか……。意外に調べても中々見つからない。