錬鉄と鍛造の贋作者 作:英雄に憧れた一般魔導師
ラグナは自室にて普段通り、常識外れの訓練を行い、翌日を迎えた日のこと。ウィルがワークナー先生の地獄の補習を受けて終え、コレットとラグナと合流した話である。
「こってり絞られたみたいだなウィル」
「ワークナー先生の補習凄かったみたいね……」
「うん……連続模擬試験にスパルタ魔法指導まで」
疲れたと項垂れながらに歩くウィル。そんなウィルと共に歩くのがラグナとコレットである。
「ウィルは『筆記』の単位全部取ってるのにワークナー先生は厳しいなぁ」
「僕『実技』が全滅だから……無能者だからと言って努力しない理由にはならないよ。それに、補習してくれるだけワークナー先生は優しいよ」
「他の先生はしなさそうだな」
「確かに……特にエドワルド先生は絶対にしなさそう……」
「してもかなり厳しいものになる気がする」
エドワルド先生の事を浮かべ三人は苦い表情を浮かべながら校内を進む。曲がり角を曲がる時に
「だから本当だって!シオンが『イヴィル・センチネル』を倒したんだ!」
目の前の光景がシオンの取り巻きがシオンが『イヴィル・センチネル』を倒したと皆に話していた。
「単位数10の怪物を!?たった一人で!?ほんとかよ!」
「ああ!俺達はすぐにやられちゃったけど、目を覚ましたらシオンがモンスターを仕留めてたんだ!」
その話を聞きながらラグナ達は通り過ぎようとしていた。その時、ラグナはシオンの表情を見た。その表情に得意げな表情は無く、言い知れぬ気持ち悪さと居心地の悪さを胸に秘めている表情に見えた。そして、シオンはウィルを視認するのと同時に走ってきてウィルの胸ぐらを掴む。
「ふざけるなよ……無能者のクセに……!」
しかし、それ以上言葉が続かない。何時もなら嫌味を言い続けるがそれ以上何も言うことなく乱暴に手を離し足早に去っていく。
「シオン……」
ウィルは去っていくシオンの背を見届けて、図書室に向かう。そこで三人は筆記の勉強を行う。
「魔導歴344年『ガーザロンゾの戦い』が勃発。これは異界からの移民、ドワーフ達が度重なる労働と酷使から……」
凄まじい速度でペンを動かすウィル。それに呆気を取られながらも筆記の勉強をするコレットとラグナ。
「ウィルは何の教科を……いや、『ガーザロンゾの戦い』って事は歴史かドワーフの」
「流石ラグナ。少し聞いただけで分かるなんて」
「まぁ、ドワーフには家族同然だし、その歴史を知るのも家族を知るのと同じだから」
「そう言えば、ラグナはドワーフに育てられたのよね?」
「ああ、ドナンに赤子の時に拾われたらしくてな。ドワーフ皆で育ててくれて、リガーデン魔法学院にも送り出してくれたんだ。オレは鍛冶の仕事で良いと言ったんだけどな。そのお陰でウィルやコレットに会うことが出来たから……その分、塔に行きドワーフの皆に恩返しが出来るようになりたいんだ」
ドワーフの話をする時のラグナは穏やかな表情で本当に心の底から嬉しそうに話していた。その表情を見て和やかな表情で見るコレットとウィル。
「よし、その為には単位を取らないと行けない。オレははウィルやコレット程『筆記』を取れている訳じゃないから。分からない所は聞いてもいいか?」
「「もちろん!」」
二人は了承し勉強を続ける。ラグナは思い出したようにウィルに質問を投げかける。
「シオンが倒したと言われていた『イヴィル・センチネル』を倒したのウィルじゃないのか?」
ラグナの言葉にコレットは驚きながらウィルに聞く。
「それ本当なの!?」
「う、うん。ラグナはどうしてそれを?」
ラグナはウィルの質問に答える。
「シオンの表情とウィルの胸ぐらに掴み掛った時の言葉で予想はついていた」
ウィルが背伸びした時にコレットは気づく
「ウィル白髪生えてる」
「ええっ!?」
「やっぱり頑張りすぎなんだってば!」
「根を詰めるのは良くないんじゃないか?」
「「
「そうなのか?」
ラグナも苦笑いを浮かべながらその光景を見ていた。そんな時
「何を騒いでいる」
ラグナは声にする方を見ると少し固まる。コレットとウィルも振り返ると
「「エ、エドワルド先生…!?」」
自習なんて絶対にしないであろうと言われていたエドワルド先生が三人の前に立っていたのだ。
「ご、ごめんなさい!私達、自習してて……!」
エドワルド先生はウィルを一瞬睨みつけ
「セルフォルト。一人で実技場へ来い」
ウィルを呼びつけたのであった。ウィルがエドワルド先生に連行されて行った。
「ウィル大丈夫かな……」
「……心配だな」
そう言いながらも、ラグナは筆記の勉強を続け、しばらく続けた後。
「オレは今日はここまでにしようかと思うけど、コレットはどうする?」
「私はもう少し続けるわ。ラグナはこの後どうするの?」
コレットの質問にラグナは少し考え込み、頷いて答える。
「少し気になる事があるからその辺歩いている」
そう言うと図書室を後にして、実技場に向かう。
(エドワルド先生の事だ、ウィルを助けるために何かをするとは考えにくい。無能者と言って嫌悪感を出して見世物にするくらいだ……)
ラグナは急ぎ足で実技場に向かう。そして実技等の二階通路から実技場を見下ろすと案の定エドワルド先生とウィルが対峙していた。事の経緯はラグナは分からないが、状況だけは分かる。ウィルが劣勢であり、剣が無い以上、いつも通りに立ち回れていない事も。
(
先生を見て思わずその技術に見入ってしまっていたラグナは思考も戻す。
(ウィルに必要なのは『剣』だ。だが、ここで投影するのは秘匿してきた意味が無い……取りに行くべきか……)
ラグナは右腕の赤い布に手を当てながら、口惜しそうに止めれないのを悔やんでいるとエドワルド先生が話し始める。
「『ガーザロンゾの戦い』について出題しよう。愚かな土の民は1万の軍勢をもって反乱を起こした。では、これを鎮圧した魔導士の数は?」
エドワルド先生はウィルの頭を踏みつけて言う。
「『一人』だ一振りの「至高の杖』により1万もの戦士は壊滅した!それがこの世界の理!『剣』では『杖』には至れん!決して!!愚かな願望など捨てろ!!」
その言葉を聞きながらラグナは拳を固く握りしめる。ウィルも頭を上げながら
「それでも……!僕はっ!
その言葉を聞きエドワルド先生はウィルを蹴り飛ばし叫ぶ。
「何がそうまで貴様を駆り立てる!!どのような高尚な理由がその胸にあるというのだ!」
ウィルは臆することなく正面から言う。
「好きな人と一緒に居たい」
「は?」
「エルフィとの約束を守りたい!」
その言葉を聞いたラグナは小さく笑い、赤い布に手をかける。赤い布にはラグナの意識の切り替えの他には強すぎる魔力を抑える役割もある。普段のラグナ生活、魔法を使用するには制御が少々難があり、出力が高くなり過ぎてしまう。これはラグナの制御能力が未熟ということもある。
しかし、投影に関しては受け継いだ技量と研磨し続けてきた経験があるため十全に使える。ラグナはウィルの思いを聞き、自分の小さいこだわりを捨て唱える。杖を用いること無く『もう一人の異端児』として
「
ウィルがダンジョンで使っている剣、モリアの銀剣を投影する。何度も見てきた、ウィルと戦い続けてきた剣を時間にして一瞬で投影する。刹那にてウィルのモリアの銀剣を投影する。そして、鞘も投影し入れてから
「ウィル!」
呼びかけてから投げ渡す。
「使え!」
「ありがとう!」
ウィルはゴーグルをつけ剣を持ち、構える。その後は本領発揮したウィルが見事に条件を達成しエドワルド先生より単位5を与えられた。勝つのを見届けたラグナは何も言わずその場から立ち去る。
疲れ果てたウィルはその場に座り込む。そんなウィルに剣を抱えて走ってきたコレットが声をかける。
「ウィル!?大丈夫!?」
「コレット?コレットも来てくれたんだ……」
「キキがロッカーを指して、ウィルの危機を伝えてくれたから剣を……あれ?ウィルその剣は?」
「え?え?」
ウィルとコレットは互いの剣を見比べる。瓜二つの剣が並んでいた。
「コレット、その剣僕のロッカーにあった剣?」
「そうよ、鍵を掛けているのは私だし、出し入れはウィルの目の前でしてるし……」
「それじゃあラグナが渡してくれたこの剣って……」
ウィルがさっきまで握っていたラグナの剣と自身の剣を持ち比べながら確かめているとラグナから渡された剣が青い光の粒子となって周囲に溶け込むように消えた。
「「え?えええぇぇぇぇ!?」」
二人の絶叫が実技場に響いたのは言うまでもない。
ラグナのプロフィール(現状)を貼ります!
名前:ラグナ・グレイス
種族:リザンス
年齢:16
身長:170
誕生日:シャナの月 二十七の日(9月27日)
好きなもの:諦めない人、料理、鍛冶、道具作り
嫌いなもの:苦い薬、酸味。
忘れない存在:赤い外套の英雄と業を絶つ刃を目指した鍛冶師
ダンジョン到達階層:8(魔法のみ単独での記録)
装備:自作編み込まれた戦闘衣、黒鉄のワンド
スキル:初級・中級の光以外の魔法、ドワーフ仕込みのステゴロ戦法、投影魔法(グラデーションマジック(投影魔術))■■の■■
ちなみに彼が投影魔法(投影魔術)はしられておらず近接戦闘に関しては極少数しか知られていないです。
魔法オリジナル出していいのかな闇魔法が少ない……。