錬鉄と鍛造の贋作者   作:英雄に憧れた一般魔導師

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本日二本目です!


総合実習開始

ダンジョン6層。7層連絡路付近。リガーデンベースキャンプ総合実習当日。各自パーティーを組み総合実習を受けるべくダンジョンに踏み入れていた。

 

「コレット……私は貴方に声をかけていなかった筈だが」

 

「い、いいでしょ!ウィルとラグナも行くなら私も付いて行くんだから!」

 

リアーナとコレットの微笑ましい会話があったり

 

「魔工科の生徒は根拠地(ベースキャンプ)に待機になっちゃったごめんね一緒にけなくて」

 

「大丈夫!ロスティには魔道具を沢山用意してもらったから!」

 

「不具合があったらラグナに見てもらって大丈夫とは思うけどね。気を付けてねウィル」

 

「うん!」

 

同室同士のウィルとロスティのやり取りがあった。ラグナはローブの下に二振りの剣を腰の後ろにつけていた。いざと言う時の副武装である干将・莫耶を投影し準備したのだ。

 

コレットを含めた七人パーティー。戦力だけを見れば万が一など起こるはずがない。だがラグナは、経験と勘が警鐘を鳴らしているのを感じていた。用心に越したことはない。そう判断し、副武装として干将・莫耶を用意していた。

 

「ラグナがヘッドバンドつけてるの珍しいね」

 

コレットがラグナに言う。ラグナは少し笑顔で答える。

 

「汗が目に入らないようにするのと気を引き締める為につけたんだ」

 

更にローブの下にはウィル同様の動きやすいようにインナーを来て、グローブも手荷物に忍ばせていた。それほどまでに、積み重ねた経験が警鐘を鳴らしていた。

 

「時間だ」

 

エドワルド先生が告げる。

 

「『総合実習』は別名集中探索。期間は1週間。通常の『実習』とは異なりダンジョンにこもるサバイバルだ。各階には根拠地が設置されている。配られた地図を確認しておくように。実習の切り上げ、及び棄権の際は必ず避難する事。我々教師が待機している。それではこれより『総合実習』開始する」

 

開始の宣言と共に各パーティーが駆け始める。

 

「イグノール任せる」

 

リアーナがそう言うとイグノールは風の魔法を使い加速させ、崖を飛び降りる。地面に着地する寸前で減速し無事に着地する。

 

着地し進み始めると同時に岩壁を突き破りなが蟻型のモンスター、クリムゾン・アントの大群が出てくる。ウィルが剣を抜くのと同時にイグノールが言う

 

「必要ないよ。リアーナ・オーウェンザウス。彼女の一族が何て呼ばれているか知らないのかい?」

 

雷の如き迅さでクリムゾン・アントに接近するリアーナ

 

「嘶け 雷精 我が使命とともに。『血統雷伝(オーウェン・シーク)――騎士甲冑・雷装(リゾルデ・デュア)』!」

 

一瞬にしてクリムゾン・アントを殲滅する。

 

「付与魔法……」

 

「その通り。オーウェンザウスは騎士の家系。リアーナは魔導士の中でも稀有な白兵戦魔法のスペシャリストだ」

 

リアーナは振り返り

 

「他の者と単位を奪い合うのは面倒だ。どのパーティーよりも早く先行する。進もう」

 

そして進み続ける。そんな中ウィルは苦戦していた。魔物には遅れを取ることは無い、ウィルにとっては脅威となる敵では無かったが

 

魔導士が魔物の巣窟で進む上で必須となる基礎にして極意の探知の範囲に苦戦していたのだ。大群との乱戦、ウィルの知覚範囲より他の六人の方が探知範囲が広く、ウィルが迎撃するよりもみんなが迎撃する方が早いのだ。

 

ウィルがようやっと一体倒した時

 

「『颶風の乱爪(ゼフロス・ユビー)』」

 

更に現れた大群をイグノールが一掃する。

 

「思ってた以上にお荷物だ。盾の役割も果たせない。これは私も君の眼識を疑わざるを得ないなリアーナ」

 

「……正確には盾になる暇がないだけだ。強敵区分(ファイブオーバー・エネミー)相手には力を発揮してくれる……はず。だから今はお荷物でいい……はず。きっと強い……はず」

 

リアーナの自信が無さげなフォローに刺されるウィル。ラグナは苦笑いを浮かべるしか無かった。こうなる事は最初から予測は出来た。メンバーは学年でもトップクラス。木っ端のモンスター相手ではウィルの強みが活きるより先に、他の皆が片付けてしまう。

 

「ウィル、凹むのもいいけど骸の宝(ドロップ)収集しといた方がいいぞ」

 

ラグナが凹むウィルに収集を促す。魔導士は杖に倒したモンスターの魔素を吸収する事で記録媒体となり単位に繋がるのだ。ウィルは収集しないといけないため基本的には時間がかかる為嫌がられるのだ。それこそ嫌がらないのはコレットと素材を色々と試したいラグナ位である。

 

「……パーティーを組んだからには無様を晒すな落ちこぼれ」

 

シオンがそう言い先に進む。

 

「ウィル大丈夫?」

 

コレットが心配するがウィルは気合いを入れ直し

 

「大丈夫だよコレット。僕は別の所でみんなの力になれるよう頑張るよ」

 

「ああ、頑張れよウィル」

 

ラグナもウィルの背中を叩き鼓舞する。しかし、皆が優秀なこともありウィルが出しゃばる暇がなく8層にて

 

「総合実習が始まってもう1日……そろそろ休憩を挟みたい」

 

リアーナが提案をする。ユリウスは

 

「こんな迷宮のど真ん中でかい?上等な宿を用意しろとは言わないが、気が休まる程度の安全くらいは欲しいな」

 

「なら、『炎の砦』でも築くとしよう。『火頂の夢(ナルドリア)』」

 

イグノール、エルフの幻想魔法により炎の幻の円陣が出来上がりとりあえずの安全圏が出来上がった。

 

(持ってきた剣を使った結界を張らなくても良さそうだな。とは言ってもこの炎は幻、視覚が死んでいて嗅覚が研ぎ澄まされているモンスターが出たらひとたまりもないな。まぁ、そんな奴は下の階層だろうけど)

 

ラグナは座り込み、イメージで鍛錬を続ける。投影の精度に直結するイメージと鍛造の完成度のイメージを模索し続ける。しばらくして

 

「今後の予定を共有しておく」

 

リアーナの声で切り替えて話を聞く。

 

「最優先目標は『赫灼のナベルス』たった一体しか出現しない10層の『次界の番人』を討つ」

 

「ナベルスに挑んで犠牲者が出るのは恒例と聞く……」

 

「間違いなく『総合実習』における最難関だな」

 

ユリウスとラグナはナベルスの名を聞いてエドワルド先生の話を思い出していた。

 

「私がこのパーティーを作ったのはナベルスを討つためと言っていい。単位数110を倒す程度の実力はある『塔』にそう誇示したい」

 

リアーナは最短で10層に行くこと、万全の状態で挑みたい事を伝えて休息に入る。ラグナは話を聞き終えるとウィルの近くに行く。

 

「ウィル、剣を出してくれ。軽く整備を行う」

 

「え?あ、ありがとう」

 

ラグナは自身の荷物から整備道具を取り出し丁寧に整備を行う。

 

「ラグナそんな事もできるんだ……」

 

コレットが近くに来て話す。ラグナは頷きながら

 

「ドナンに教わったからな……。大物を斬ろうっていときに怠っていた何て話にならないだろ?」

 

「本当にありがとうラグナ」

 

ウィルは礼を言う。ラグナは当然のことだと言わんばかりに作業を続ける。そして再び進行し8層を超え、9層を超え10層に辿り着きナベルスを目指す。そして違和感を感じる。

 

「なんだこれは……?」

 

「さっきからあちこちにモンスターの屍が転がっている…他のパーティーの仕業か?」

 

「いや、ありえない。根拠地にも立ち寄らず最短ルートでここまで来た。僕達より先行している生徒なんているはずない……」

 

シオンの言う通りであり最短、最速で駆け抜けたパーティーであるリアーナ達より先回りしてモンスターを屠っている何て現状は考えられなかった。だが、誰よりもダンジョンに関わっている男のウィルと警戒心が高かったラグナはモンスターの屍を見て

 

「ウィル……このモンスターの死体、様子がおかしいと思うんだけどどうだ?」

 

「ラグナもそう思う?僕もなんだ、このモンスターの傷を見て。魔法の形跡が無いんだ……」

 

「つまり純粋な力で殺られたという事か……。断面を見るに」

 

「引き裂かれている……それにダンジョンが嘘みたいに静まり返っている……」

 

二人の間で緊張感が高まる。

 

「二人とも何をしてるの?」

 

「「大丈夫」」

 

二人はコレットの声を聞きパーティーに戻る。そして広間に降り立つと、ナベルスが惨殺されていた。

 

「次界の番人を惨殺……!?」

 

「誰だっ……誰がこんなことをやった!?」

 

「魔素が霧散しきっていない……まだ殺されて間もない……!!」

 

リアーナは直ぐに全員に指示を飛ばす

 

「探知!!周囲を探れ!」

 

周囲を探知する。ラグナは探知を使用すると同時に、自らの感覚を魔力で『強化』する。感覚を研ぎ澄ませ、五感全てを使って探知をする。そしてウィルと同じタイミングで上を向き叫ぶ

 

「みんな上っ!」

 

「上だ!!」

 

敵を視認した後同時に光線がウィルに向かって放たれる。ウィルは剣にて受け止めるが受けきれずに弾き飛ばされる。

 

「ぐあああああああっ!!」

 

「ウィル!?」

 

「何が起きてる……!」

 

イグノールがそう言うのと同時にモンスターがイグノールに接近していた。ラグナは叫ぶ

 

「イグノール!後ろ!!」

 

ラグナの叫びも届かずイグノールは薙ぎ払われる。他のメンバーがモンスターを視認し魔法で攻撃しようとするがそれより早くモンスターが地面を殴りつけて床を砕く。全員が崩落に巻き込まれ更に下の階層へと落下する。

 

学院外領域。11層からは『塔』の領域上級魔導士しか踏み入る事のできない危険地帯へと落下したのだ。

 

ラグナが周囲を見渡すとリアーナとコレットが居た。

 

「二人とも大丈夫か?」

 

「私は大丈夫、でもリアーナが」

 

「問題ない、崩落の際に岩が当たっただけだ……」

 

「問題あるだろ、じっとしていろ手当してやる」

 

ラグナは無事だった救急セットでリアーナの頭部の処置をする。

 

「周囲には私達以外誰もいない……この11層で孤立は致命的だ……速やかに他の者と合流しなければダンジョンに食い殺される。私達もセルフォルト達も」

 

リアーナは懐中時計を見ながらにそうつげる。ラグナは手当を終え、右腕の赤い布に手をかけ、緩める。そして腰の剣の鞘のロックを解除する。

 

未知の領域にてラグナは深呼吸をし二人を守る事を冷静に考えていた。

 




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