IFとして、ドロシーちゃんが体験入部に来る前の頃に。
荒れていた時期のリナ先輩が気まぐれで部活の様子を見に来て、部員達に喧嘩売ったら普夫くんが買って。その結果仲良くなる話。

ツイッターで見たジグ部長ルートについての話題から、このIFルートについて想像し、楽しそうだと思い書きました。
リナ先輩良いよね……という個人的な思いを燃やして書きました。


本作品では一部オリジナルカードが登場します、そして作者の私はTCGにあまり詳しくないため、カード性能がおかしい可能性があります。
またルール面でミスなどが起きている可能性もあります。ご了承ください。



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IFルート ~ドロシーより先にリナ先輩とあっていたら~

 

 それは春のある日、占光高校のLife部に入って少したったころに起きた出来事だった。

 いつものように部室で他の部員と駄弁りつつ、ファイトをして勝った負けたと笑いあい。

 副部長のもっと真面目にやれ!との怒りの声を受け流しつつゆるーく過ごす。そんなLife部でのいつもの時間。

 

 ――――それがいつもと違う日になったのは、彼女が部室にやって来たからだった……。

 

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 ガチャリと部室のドアが開く音がして、僕は他の部員としていた話を中断した。今日は部室にもう部員達(いつもの面子)が揃っていたので、顧問の教師が何かの用事で来たのかもしれない。

 そう思ってドアの方へ顔を向けると、そこにいたのは顧問の教師ではなかった。学校で見た覚えのない、制服の上に革ジャンを着た、赤毛で鋭い目つきの糸目をした一人の美少女だった。

 

 ……うん美少女だ。ちょっと小柄でトゲトゲしい雰囲気があるが、その顔立ちは間違いなく美人だ。

 そんなことを僕は思いつつ、何か知らないかと他の部員へ顔を向ける。他の1年生の部員達も彼女のことは知らないのか困惑と、彼女の雰囲気への僅かな恐怖が混ざったな顔をしている。

 一方で今日部室にいた何人かの先輩部員たちは、皆揃ってはっきりと怯えた表情をしている。……先輩たちが恐怖してるって、いったい彼女は何者だ?

 

「……珍しいな、羽島。幽霊部員のお前が部室に来るとは、真面目に活動でもする気になったか?」

 

 僕が困惑している中。彼女のと面識があるのか、部室にいた中で唯一困惑も怯えもしていなかった副部長が彼女に声をかけた。

 だが怒りっぽいがいつも真面目な副部長にしては、少し苛立ちが混じっているような、敵意を隠さない声音だった。

 ……どうやら以前に副部長が話題に出していたことのある、2年生の幽霊部員。それが彼女なのだろう。

 部に在籍しているものの、部室には全く来やしない。それでいて腕前は結構あるのがむかつく奴だと、副部長が珍しく悪態をついていたので印象に残っている。

 

「せやなぁ……。ある意味そうなるかもな?」

 

 副部長の言葉に、そう彼女……羽島さんが返事をした。その表情や態度は自身の鬱憤を一切隠しておらず、革ジャンという服装に口の中で噛んでいるガムの印象もあり正に不良といった感じだ。

 

「……どういう意味だ?」

 

 副部長は不審感を隠さず問いかける。

 

「いやぁ……学校が始まってもう一月経つやろ?新しい部員達もそろそろ部に馴染んだ頃やと思うてなぁ……」

 

 そういいながら彼女は部室の入り口から数歩、こちら側に歩きながら話す。ちりんと腕に着けた鈴がなる。

 

「今年の部員に光る奴がおるか、ちょいと確かめに来たんよ。まぁあんま期待はしてへんけど。と、いうわけで新入りども……うちとファイトしようや!」

 

 その言葉と共に羽島さんから感じる迫力が増した。同じ1年生の部員は思わずひっ!と声を出してビビっている。それだけじゃなく、先輩たちは明らかに怖がり後退っていた。……恐らく去年に羽島さんと何かがあり、それを思い出したのだろう。

 

「お前なぁ!いきなり来てなにw「わかりました、俺が受けます」茂札!?」

 

 副部長が何か言おうとしたのを、遮る様な形で言い。俺は前に出る。いつもと違って、少し乱暴な俺に副部長は僅かに困惑している。

 だが仕方ないのだ。なんというか、楽しかった……エンジョイしていた空気を壊されて、少しムカついたというべきか。

 

「ちょうどテーブルが開いてるんで、いいですか?」

 

 そう彼女に言うと羽島さんはその細い目を更に細め、少しだけ笑みを浮かべる。

 それは穏やかで可愛らしいといったものではなく、まるで好戦的な獣のような、そう呼ぶのが相応しい笑みだった。

 

「へぇ……、今年の新入りは骨がありそうなやつがいるやないの。そんならその腕前……見せてもらおうやないか」

 

「ええ。そちらこそ、どれだけの強いのか楽しみだ」

 

「中々言うやないの……、2年の羽島リナや」

 

「1年の茂札普夫です。……副部長、ジャッジたのんでいいですか?」

 

「お前ら……ああもう!分かったよ!!」

 

 

 会話を終えると俺と羽島さんはテーブルに向かって歩き出し、少し遅れて副部長も移動し始める。

 他の部員たちは少し離れて、だけど自分たちを囲むように、ファイトが見えるような位置へ動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ……、すいません。だれかジュースをこぼしてたみたいです。ちょっと拭くもの持ってきますね」

 

「待てや! 折角いい雰囲気やったのに、台無しやないか!!」

 

「ええい!だからお前たちはもう少し真面目にだな……!」

 

 

 テーブルを拭くものを取りに行く俺、勢いをそがれてさらに苛立つ羽島さん、そして副部長の怒りの声が周りにいる部員に飛んでいく。

 そんな感じでファイトを始める前に、先ほどまであった緊張感はわずかに収まり、少しぐだぐだとするのだった。

 

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■□■□■

 

 

 持ってきたウェットティッシュでテーブルをきれいに拭いた後。俺と羽島さんは椅子に腰かけ、テーブルを間に挟み向かい合う。

 俺がテーブルを掃除している間に、羽島さんは噛んでいたガムをポケットの中から出したガムの包み紙吐き出し。ゴミ箱に捨てていた。

 ファイト中にも噛んでいるようなら、ガムを捨てるように言おうと思っていたが杞憂だった。

 

「それじゃ先行と後攻を決めましょうか。ダイスとじゃんけん、どっちにします?」

 

「ダイスで頼むわ」

 

「分かりました、じゃあこの12面の奴で、俺が先に振ります。……9ですね。ダイスどうぞ」

 

「運ええなぁ、それじゃうちも振るで。……10や!! どうやらこっちのがもっと運が良かったみたいやね?」

 

「ですねぇ、それで先行はどちらが?」

 

「君が先行でええでぇ?」

 

「わかりました、それでは俺が先行で」

 

 そう言い、()()()()()()()()()からデッキを取り出し、いつものように軽くシャッフル。スリーブが擦れてシャラララと音がする。メインデッキ・ライフデッキと行い その後にテーブルの上のマシンにセットし自動シャッフル機能を起動、音を立ててシャッフルされる。

 自動シャッフルされている間、その短い時間で意識を切り替える。

 

「ファイトを始めよう」

 

 向かいに座る羽島さんの顔を見ながら言う。それと同時に自動シャッフルが終わる。マシンから取りだしたメインデッキをテーブルに配置、同じようにライフデッキも配置する。

 

「はん。えらい自信あるみたいやな」

 

 そう向かい側に座る羽島さんが言うと、ちりんと鈴の音が鳴った。取り出したデッキをシャッフルする、その手の動きに合わせて踊るようにちりんちりんと鈴が鳴る。

 メインデッキのシャッフルが終わり、続いてライフデッキを先ほどよりも入念にシャッフルしてセット。鈴の音が止まり、今度はマシンによる自動シャッフルの音が鳴る。

 その音も止まり、羽島さんは好戦的な笑みを見せながらテーブルにデッキを配置する。

 

「準備できたで?」

 

「わかりました。では副部長、合図をお願いします」

 

「わかった、それじゃあ……レディ――……ファイト!」

 

 

 副部長の合図が終わると同時に互いに手札を5枚引く、だがこれは……。

 

 

「マリガンします」

 

「あん!? なんや、手札が悪かったんか?」

 

「ええまぁ……初手から下振れはちょっと」

 

「下振れ? ……はぁ……、勢い削がれるわぁ」

 

 俺の言葉に羽島さんはつまらそうな表情を浮かべる。でも仕方ないだろう、初手から<忌み王>が来てるうえに、低コストで出せる奴が1体も来てないのはマズイ。

 悪いが王様はデッキで待機しててくくれ。

 手札5枚をメインデッキ乗せ、マシンにセットしオートシャッフル。少しの間をおいてシャッフルが終わり、メインデッキを元の位置へ戻し、5枚引く。

 そして1枚、マリガンした回数と同じ数のカードをメインデッキのボトムに落とす。

 

「キープで、お待たせしました」

 

「まったく、あんだけ強気やったのに『実は口だけは達者な奴でした』なんてオチやったら承知せえへんよ?」

 

 待ってる間、不機嫌な様子を隠さずにこちらを睨んでいた羽島さんが、脅しを、そして僅かに期待を混ぜたことを言う。

 

「それは怖い。では、俺のターンから始めます。レディ・アップキープ・ドローフェイズ、ライフカードを2枚ドロー。色彩をセット」

 

 続いてクリーチャーカードを手札から1枚引き抜く。

 

「1コスト生成、<受粉ゴブリン>をプレイ。通りますか?」

 

「ゴブプラか、通るで!」

 

「では召喚して、ターンエンド」

 

 さっきは来なかったコスト加速を場出して、ターンエンド。

 

「うちのターン! メインを1枚、ライフカードを2枚ドローし、色彩をセット!1コスト支払い、秘宝<焼け石拾い>をセット」

 

 「……灼熱龍士(サラマンドレイク)か?」

 

「<焼け石拾い>の効果は破壊したクリーチャー分だけ砲弾カウンターを乗せる。そして起動した時、蓄積ダメージを相手に与える! まぁ今は意味ないけどな、まずはこれでターンエンドや!」

 

 最初のターンは互いに自分の場を整えることで終わった。

 

 

「俺のターン。レディ・アップキープ・ドローフェイズ。メイン・ライフドロー」

 

 引いたカードを見る。また受粉ゴブリンが来た、これなら……。

 

「色彩をセット、コストを1生成。2体目の<受粉ゴブリン>をプレイ。通りますか?」

 

「……通るで」

 

「では2体目の<受粉ゴブリン>を召喚」

 

 2体目の受粉ゴブリンを場に出す。妨害が来ないのは、恐らく自分のターンで動く為。でなければ2体もコスト加速を通さない筈だ。

 

「そして通常魔法<抱き寄せ>をプレイ。手札を1枚を捨てて、カードを2枚ドロー。通りますか?」

 

「それも通る」

 

 少し嫌そうな顔をしながら羽島さんは答える。まぁ今の所こっちが押してるからな。植物戦鬼(ゴブリンプラント)は序盤にアドを稼ぐカードが多い。

 更に魔法を使って手札を補充したのだ。恐らくバーンデッキの羽島さんからすれば嫌な展開だろう。

 手札から1枚墓地に送り、メインデッキから2枚ドロー。

 引いた札を確認し手の中で順番を並べ替える、……中々いい引きだ。

 

「では、ターンエンド」

 

「ええ札は引けたんか? じゃあうちのターン! アップキープ、レディ、ドロー、メイン・ライフを1枚ずつ引くで」

 

 

 引いた手札を見て、手の中で少し並べ替える羽島さん。さぁ何を出してくるか……。

 

 

「魔石<燻る大地>をセット。これは魔石であり、色彩でもあるから普通にコストが出せる!」

 

 このターンで引いてた札だな。そしてこれで間違いない、羽島さんのデッキは灼熱龍士だ。

 召喚されてターンが経過すると、自分のクリーチャーごと相手を焼き払うバーンデッキ。

 

「そしてメインフェイズ!手札k」

 

「対応いいですか」

 

「ん?」

 

「メインフェイズステップ開始時に瞬間魔法<侮蔑>を発動したい。通りますか?」

 

「……それ、どんな効果や?」

 

「対戦相手一人を対象とし、そのファイターは自分の手札を公開する。その中から幻獣(クリーチャー)を一枚選ぶ。そのファイターはそのカードを捨てる。これはコスト(1)を支払うことによって、打ち消すことが出来る」

 

「……ちっ! 打ち消さん、ほれ」

 

 そう言って羽島さんは手札をこちらに見えるように、手札を持った手をテーブルの上に出す。

 握っている7枚の手札の内容は……。

<火付け尾トカゲ>が3枚、<未熟な火吹き(ワニ)>が1枚、<油売りの蝦蟇蛙(ガマガエル)>が1枚。

 そして通常魔法<焦土戦術>と付与魔法<燃え盛る突進>が1枚。

 ……この中で一番残していけないのはカエルだな。

 

「<油売りの蝦蟇蛙>を捨ててください」

 

「ええんか? こいつはたった1コストの雑魚やで?」

 

「そいつ残してたら一気に燃え上がるじゃないですか」

 

「よう知っとるなぁ!」

 

 そう言いつつ羽島さんは<油売りの蝦蟇蛙>を墓地に送る。

 確かにあいつは1コストでパワーは0、タフネスが2のちょっとだけ固い壁モンスターだ。

 だが効果の方がマズイ。蝦蟇蛙はステイすることで、コントロールしているクリーチャーに【点火】カウンターを1つ乗せる効果がある。

 しかも【速攻】持ち。残していれば灼熱龍士のクリーチャーを素早く起爆させる、危険な蛙だ。

 羽島さんが墓地に蛙を置き、少し思案をする。クリーチャーを捨てされられたのでプランを修正しているのだろう。

 

「……よし、それじゃ続き行くで? 2コストで<未熟な火吹き鰐>を召喚!」

 

 そうして場に出されたのは口から火を吐き出している細い体をした鰐のカード。パワー1でタフネス3のクリーチャー。

 こいつの効果はごく単純、戦闘で勝利した際、自身に【点火】カウンターを1つ乗せる。未熟な鰐は吹いた火で自身も焼いてしまう。

 

「鰐の上に【点火】カウンターが1つ乗るで!このカウンターは次のターンのアップキープで

 1つ増えていく。カウンターは……」

 

 そう言うと羽島さんは少し辺りを見回し、テーブルの隅に置いてあったダイス入れから6面ダイスを取り出した。

 

「カードの上にダイス置くのでええか?」 

 

「はい、それで大丈夫です」

 

「よっしゃ、それじゃターンエンドや」

 

 <未熟な火吹き鰐>の上に1の面が上になるようにダイスが乗せられる。

 ボードでのファイトではカウンターなどの処理は自動にやってくれるが、テーブルではこういう風にわかりやすくする為の工夫が要る。

 ダイスであったり、小さなプラスチックのコインやチップなりを乗せる。それだけでわかりやすくなる。

 

 

「では俺のターン、レディ・アップキープ・ドローフェイズ。メイン・ライフドロー」

 

 引いた札を見る、……今回は引きが悪い。

 

「……色彩をセット。コストを1生成、さらに受粉ゴブリン2体をステイにしてコストを2生成。合計3コストで<夜疾猟団(ナイトレイダー)・深淵の追撃者>をプレイ、通りますか?」

 

「通るで。 せやけど夜疾猟団? 聞かんカードやな……?」

 

「では<夜疾猟団・深淵の追撃者>を召喚、場に出たことで楔カウンターが1つ乗る。追撃者は自身に重なる楔カウンター1つにつきパワーとタフネスが+1される」

 

「なるほどなぁ」

 

「【楔】カウンターは……、このチップを乗せることにします。いいですか?」

 

 場に出した<夜疾猟団・深淵の追撃者>のカードの上に、楔カウンターとしてテーブルの隅の小物入れに仕舞ってあるプラスチックのチップを取り出し乗せる。

 これで羽島さんの【点火】カウンターとは異なるカウンターだとわかる。()()()()()()()()()()()()()、違うものにした方が分かりやすい。

 

「それでええで」

 

「では、追撃者の能力について説明します。強化された追撃者はパワーが3、タフネスが4に。そして【速攻】があるので召喚酔いせず、攻撃が可能。追撃者で攻撃、通りますか?」

 

 通った場合、まず羽島さんはブロックをしないはずだ。灼熱龍士は溜めた【点火】カウンター分のダメージを与えてくるクリーチャーが多い。

 こっちを焼くために自分の身(ライフ)を少し削ってでもクリーチャーを守るはず。

 そしてバーン使い相手なら多少リスクがあっても削っておいた方が良い。

 相手のコストが増えてしまうが、序盤に削っておかないとダメージレースで押し負ける。

 

「通る、ライフで受けるで! 3点ダメージ、ライフチェック……全部色彩やな」

 

 羽島さんがライフデッキを捲っていく、やはり鰐を守るためにブロックしなかった。これで羽島さんの残りライフは14点。

 

「これでターンエンド」

 

「うちのターン。レディ、アップキープ。 ここで鰐の【点火】カウンターが2になるでぇ?そしてメイン・ライフをドロー」

 

 羽島さんが鰐の上のダイスの面を2に変え、カードを引く。その声はほんの僅かに喜びが混じったものだった。まだ序盤とはいえ先に攻撃を通されたというのに。

 引いたカードを見ている表情は鬱憤の中に、ファイトを楽しんでいる嬉しさも混ざっているような感じがするような……。

 そんな事を考えていると、羽島さんの表情が更に好戦的な雰囲気を増した笑みに変わった。

 ……これは何か仕掛けてくるな。

 

「色彩をセット、6コスト生成!2コストで通常魔法<焦土戦術>を発動!全てのクリーチャーに2点ダメージを与える!うちの鰐は耐えるしそっちの追撃者を破壊するには足りへんけど、<受粉ゴブリン>は破壊できるで。吹き飛びや!!」

 

「通ります」

 

 羽島さんの魔法でフィールド全体が焼き払われる。追撃者は耐えたが、受粉ゴブリン達は破壊されてしまった。

 まぁコスト加速は倒せる時に倒すよな、俺だってそうする。

 手を動かし場に出ていた2枚の<受粉ゴブリン>を墓地ゾーンに置く。

 

「そして<受粉ゴブリン>を2体破壊したことで、<焼け石拾い>に【砲弾】カウンターが2つ乗るで!」

 

 羽島さんが<焼け石拾い>の上に新たに取り出したダイス乗せ、2の面を上にする。

 灼熱龍士の副砲に【砲弾】が蓄積されていく。

 

「そして残りの4コストで<油売りの蝦蟇蛙>を1体と<火付け尾トカゲ>を3体召喚する!」

 

「……通ります」

 

 続いて灼熱龍士の低級クリーチャーの大量展開。パワーやタフネスは低いが、<火付け尾トカゲ>は召喚された次のターンには起爆してこちらを一気に焼いてくる時限爆弾たちだ。

 

「場に出たことで蛙とトカゲの上に【点火】カウンターがそれぞれ1つ乗るで。また蛙は【速攻】を持つので召喚酔いせん。蛙の効果を発動!ステイすることでコントロールしているクリーチャーに【点火】カウンターを1つ重ねる、対象は鰐!」

 

 羽島さんが手を動かしダイス入れから取りだしたダイスをカードの上に乗せていく。鰐のダイスは3に、蛙とトカゲは1に。

 まずいな……このままだと次のターンで鰐とトカゲが一度に起爆して、合計10点ダメージが飛んでくる。

 俺の残りライフは15、そのまま食らうと一気に追い込まれる。

 

「これでターンエンドや!」

 

「そのエンドフェイズに、瞬間魔法<思考>をプレイ!1コスト支払い、デッキの一番上(トップ)を確認し、そのままにしておくか墓地に送る。通りますか!」

 

「手札の補充か、通るで!」

 

 先ほどより機嫌がいい声で羽島さんが答える。相手のコスト加速を一掃出来たら気分良いし、自分が一気に展開して焼く準備できたなら楽しいだろうなぁ!わかる!!

 そう思いつつメインデッキに手を伸ばし、相手に見えないようにしながら確認する。こいつは……、墓地でいいな。

 

「……墓地に送り次のデッキトップをドロー、エンド処理どうぞ」

 

「ええで、ターンエンドや」

 

 

 互いに場を整え続けていた盤面、静かなものだった序盤も今回のファイトでは3ターン目に終わった。互いに攻勢に動き出し、貯めていたリソースを吐き出し、ぶつけ合う。

 

 

 

 

 ――ここからは殴り合いの時間だ。

 

 




☆今回出たオリジナルのカードの説明。

<油売りの蝦蟇蛙>コスト1 パワー0/タフネス2 【速攻】 3積
 召喚時に点火カウンターを1つ乗せる。
 効果:ステイすることで、自分がコントロールするクリーチャー1体に点火カウンターを1つ乗せる。

 役割。灼熱龍士での起爆加速役。1コストで出せて【速攻】持ちなので即座に能力を使える。
 大型クリーチャーと一緒に出して【点火】カウンターを乗せることで起爆タイミングをずらしたりなど、テクニカルな使い方もできるかなぁ……って。
 また1コストにしてはタフネスも多いので、複数並べれば共同ブロックで防御。→破壊されて<焼け石拾い>に【砲弾】カウンターを貯めるなどの使い道も。

<未熟な火吹き鰐>コスト2 パワー1/タフネス3 3積
 召喚時に点火カウンターが1つ乗る。
 効果:戦闘で勝利時、自身に点火カウンターを乗せる。

 役割<火付け尾トカゲ>よりパワーは低いが、代わりに起爆時のダメージを増やした低級クリーチャー枠。
 前提として乗った【点火】カウンターの数=与えるダメージという推論に基づいて作成しました。

 戦闘で勝利するとカウンターが増えるので、ゴブリンプラントなどのパワーが低い相手なら敵を破壊→自分に【点火】カウンターが乗って爆発!……といったコンボも可能。
 また蛙と同じように敵の攻撃をブロック→戦闘勝利でカウンター増加で起爆→<焼け石拾い>のカウンター増加というコンボも。

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