中々書く時間が取れなかったことに加えて、話の内容が上手く思いつきませんでした。
でもその結果、本家様の内容を取り込めたので少しでも面白くなっていると幸いです。
――占光高校Life部がエレウシス地方予選を突破した、めでたい出来事が起きた後。
土曜日の夕方。僕を含めた5人は喫茶店ベルマト……リナさん達の行きつけの店に集まっていた。
その理由は至極単純なもので。
「……それでは、エレウシス地方予選突破を記念して、乾杯!」
「「「乾杯!」」」「乾杯~!」
Life部のエレウシス地方予選突破を祝う為だった。
ジグさんが掲げた飲み物のグラスに集まったメンバー……リナさん、元副部長、マリカ、そして僕が各々のグラスをカチンと当てて。
みんなで乾杯し飲み始めた。
「……ぷはぁっ!!勝利のジュースは美味いなぁ!」
「おっさんみたいだぞ羽島……だが、本当におめでとう」
「まぁ面倒臭いことはそっちにやってもろたしな。……全力で進んだ結果やけど、まさか優勝できるとはなぁ」
「僕は裏でそんな事決めてたなんて知らなかったけどね……。決勝戦の後で知らされた時は驚いたよ」
豪快にジュースを飲んだリナさんに対し、元副部長がツッコミを入れつつ祝福をする。
そして決勝戦後に元副部長とリナさんから謀について明かされたジグさんは、お腹を押さえながらつぶやいた。
部の
本人曰く「優勝できて喜んでいたら、ボディーブローを食らった気分」とのこと。
ただ決勝戦前に聞いていたらファイトに集中できていたかは怪しいので、その判断には感謝してもおり、本人も複雑な感情を抱いているようだ。
「これで廃部の話はなくなったんだねぇ?」
「聞いた話だと多分大丈夫じゃないかな?地方予選を突破して、本選出場という結果は出したわけだし」
「なんか参加が有力視されてたファイターが何人も出場してへんかったみたいやけど。結果は結果やからな、文句は言えへんやろ」
マリカの出した質問に対し、僕は大丈夫だろうと返し、リナさんも同意する。
僕も地方予選大会がある程度進むまで知らなかったのだが、なんとLife部は部活動で結果を出せなければ廃部にすると学校からの通達があったらしい。
その話があったからこそ、天儀さんはエレウシス地方予選大会への出場を決め、リナさんとジグさんも協力したとの事。
……実はその話に僕は少し関係があったりする。
というのもLife部を廃部にするという話が出た幾つかの理由なのだが、元から部活として近年は結果を出していなかったこと。
それに加えて部内での派閥対立や揉め事の多発。
挙句の果てにはジグさんを人質にしたファイトの強要未遂という、警察も出てくる事件の発生である。
学校側からすればリスクが多すぎて、廃部にしたくなるのも分かるというもの。
「まぁ馬鹿どもの退部だけなら、まだ言い訳が効いたんだが……」
「流石にチンピラみたいな奴とはいえ傭兵ファイターを雇った上、人質を取ってファイトを強要するなんて阿呆な真似は想定外やったわ」
――つまり自分が発端となった部活内の雰囲気悪化と部員での対立。
それを解決しようとした元副部長とリナ先輩の行動が、学校に問題視されてしまったのだ。
これには謀を巡らしていた二人も大焦り。その話を聞いた協力者の僕とマリカもどうしたものかと頭を悩ませた。
だが、その問題は天儀さんが必死に努力を重ね。リナさんとジグさんと共に地方予選を突破して見せたことで解決した。
ここ数年間で一番の結果を出した以上、無事に廃部の話は撤回されることとなった。
無論、部活内での問題が起きないように監督する必要があるので、ジグさん達は大変である。
「ドロシーは本当に凄いよ。少し前に始めたばかりなのに、様々なことを吸収して学び、どんどん強くなっていっている」
「他の部員達にも見習ってほしいもんや。……本当はこの祝いの席にも来て欲しかったんやけどなぁ」
「本人に断られちゃったしねぇ……」
そうリナさんとジグさんが残念そうに言う。
……二人には悪いけど、僕としては天儀さんが来なくてよかったと思った。
「……天儀の奴には茂札が来るって伝えたのか?」
そう考えていたら元副部長が爆弾を放り込みやがった。
ドリンクを飲んでないタイミングで良かった、飲んでる途中だったら自分は間違いなく咽ている。
「ちゃんと伝えたで?馬鹿どもの後始末をウチとお前さんがやっていたことや、普夫はんも協力していたこともな」
「ただ……まだ茂札さんと会うには心の準備ができていない、とね。謝りながら言われたよ」
「あとエレウシス本選に向けてデッキの調整も必要で……。なんて言われてしもうたら、無理矢理連れてくる訳にもいかんやろ?」
「そうか……」
リナさん達の話を聞いた元副部長は、少し眉間に皺を作りつつ口を閉じた。
……
「で、フツ兄はどう思ってるのー?」
「――マリカ?」
「
マリカがこちらを見つめながら問いかける。その表情はいつもの様に柔らかいが、眼だけはほんの少し鋭さを持っている。
それに釣られるようにして他の皆も自分に目線を向けた。
リナさんとジグ部長は少し気まずそうに、元副部長は何かを考えるような表情を浮かべながら。
四人の視線を浴びながら俺は考えて。飲みものを口に運び、飲み干し。
「……会う気は、無いかな」
そう、言葉を口から吐き出した。
「……なんでや?」
そうリナさんが、少し悲しそうな表情で聞いてくる。
「……もう終わった話だからですよ。あの件の被害者は彼女の方です。だけど彼女は問題を乗り越えれた」
そう、言いながら一度口を閉じ。どう話そうかか考え、間が空く。
視線は自分の手に向き、飲み物が入ったグラスが目に入る。
コーラの泡が昇るのを少しの間見つめて、考えをまとめた。
「部活内でもリナさんとジグさん、お二人という頼れる友人ができた。……なら俺が会う必要はないです」
「……まだ残っている部員達の事を気にしているのかい。それは君が気にする必要は」
「そこまでだ、湊手嶋さん。羽島もだ」
俺の言葉に対して反論しようとしたジグさんを元副部長が止める。
その表情は真剣で。だからだろう、ジグさんも口を閉ざした。
……この話題が出た発端は元副部長だけど、助かった。
「天儀の奴がまだ準備ができてないように、こいつも飲み込めてないんだろうよ。……これは二人の間の話だ、オレ達は踏み込むべきじゃない」
「せやけど……」
「まぁ待て、これからエレウシス本選があるんだ。どこまで勝ち進めるかは分らんが、少なくてもしばらく間は空くだろう?天儀の性格なら大会が終わった後、勝手に茂札の奴に突っ込む。
動くならそれまで待てばいい」
「ちょっと?」
元副部長の言葉に思わず口から言葉がでる。
「俺は会う気は……」
「お前が無くても向こうはバリバリあるだろ?天儀の奴はああ見えて図太い、お前が多少冷たくしても止まらんぞ」
「ああ、それは確かに……」
「心の強さなら天界龍より上やな」
元副部長の言葉に続いてジグさんやリナさんも納得したようで、頷いている。
何か言おうとするも、言葉が出てこず閉口している。
すると話を黙って聞いていたマリカが口を開いた。
「それならぁー今は様子見でいいかなぁ?」
「……マリカ、何をする気だったの?」
「みんなで囲んでボコってー。ぐるぐる巻きにして天儀さんの前に連れてっちゃおうかなぁ……なんて」
「ちょっと待て」
妹分の考えていたあんまりな事に、思わず声が荒くなる。それ、絶対師範も参加する奴だろ。
あのジジイは事情を聞いたら本気じゃないだろうけど混ざる。
そして本気じゃなくても、他の弟子の皆と襲ってこられたら自分じゃ逃げれない。
「だってフツ兄。ふくぶちょーさん達から天儀さんの話を聞くたびに、悩んでる顔してたよ?」
「……そんなことは」
「本当に会うつもりがないならぁ、私の質問にだって真面目に答えないでしょ」
「―――」
マリカの言葉は鋭く、僕の体に突き刺さったように感じた。
その内容も、思い当たることがあった。
だけど、どうすれば良いかなんてわからなくて。
元副部長たちの謀に乗ったのも、分からないなりにどうにかしようとしたからで。
カードの事なら積み重ねてきた経験で分かるのに。人間関係のことは分からない。
だからマリカの言葉に対し、何も言えずに僕は口を閉じたままで。
「オレたちより付き合い長い分、マリカちゃんはやっぱり分かってるな」
「ふふーん!」
元副部長の言葉にマリカがふんすと胸を張る。
それをきっかけに場の雰囲気が和らいでいった。
「……そういうことなら、しゃあないなぁ」
「そうだね。……僕たちは少し先走ったようだ」
少し悲しそうに僕の様子を見ていたリナさんとジグさんの表情も、微笑みにかわった。
「おう、お前らは少し急かしすぎだ。こいつはLife以外の事は……まぁ色々結構できるが、人間関係はいまいちなんだから」
「……シッ!」
そんな中、自分を馬鹿にしたことを言う元副部長に向かって軽く腕を振るい。
「あっぶね!?」
座席に座って動きが制限されているのもあり、元副部長の肩に向かって放った拳は軽く身体をひねることで躱された。
「おっま……。あぶねぇだろ!飲み物倒れたらどうするんだ!?」
「そうならないように打ちましたから、平気ですよ」
「うんうん、ふくぶちょーも良い動きするようになってきたねぇ」
「……待って?なんか二人ともあっさりしてるけど、今の動きなに?」
「最近の健康体操ってすごいんよ、ジグ。あっそろそろ料理来るでー」
そうしてエレウシス地方予選突破お祝い会は、再び賑やかな空気を取り戻したのだった。
「ところで元副部長、なんでイカスミスパゲティ頼んだんですか?」
「いや、この店の看板メニューだって言うから気になって……」
「しぶいねぇ」
「だからって祝いの席で頼むのはチャレンジ精神高くないかい?歯が真っ黒になってるよ」
「で、お味のほうはどうや?」
「看板メニューだけあって普通に美味い。お前らは食べたことないのか?」
「ウチらだと頼みにくてなぁ。歯が黒くなってまうし」
「普通にパフェも美味しいしね」
「なるほどぉ」
ちなみに僕が頼んだボロネーゼも普通に美味しい。
……リナさん達が行きつけにするのも納得のお店だった。
この段階での普夫くんは天界龍の事件からまだ時間が立っていないのと、ユウキちゃんの言葉が無いのでまだドロシーとしっかり向き合うことができず。心の中で悩みを抱えている状態です。
ただ原作と違い事情を知ってて相談できる相手が増えているので、多少マシになってる感じ。
そしてドロシーちゃんはLife部の廃部問題、そこからエレウシス本選へ向けてデッキの調整、天界龍への躾……など色々な事で忙しく、普夫くんと会う勇気が出せる状態ではないため欠席。
……という形になりました。
個人的な考えになるですが、この段階で普夫くんとドロシーちゃんが和解できると、エレウシス優勝まではいけないと思うのです。
原作で優勝まで行けた理由は色々あると思うのですが、その中にドロシーのモチベーションが普夫君への負い目で上がっていたのも大きいと思ったからです。