「もういいから服着ろッ!///」
それから零斗は少し会長から目を離した
会長「………///♡♡♡」
(なんなんですか!あの大きさは!アレが男の人の大きさなんでしょうか。通常の大きさでも20センチ以上あったのに、それ以上大きくなった時は腰が抜けましたよ!)
会長は少し、彼とヤった記憶をフラッシュバックした
会長(アレは完全に女を堕とすものです………あんなモノ……私じゃなければ気絶どころじゃすみませんでしたよ………これを他の仲間にシたらどうなるんでしょうか)
零斗が担う何でも屋には計30人以上に属する仲間がいる。けど他の人たちは会長が零斗の何でも屋に入ってるとは知らない
◇◆◇◆◇◆
会長「……さて、私がここにいる最後の仕事を果たしましょうか。いや、依頼ですかね。報酬は………アレにしましょうか」
そして会長はキヴォトスを少しの間離れた
いつ戻ってくるのかは分からない。それは彼女だけが知る
◇◆◇◆◇◆
「………なんだここ?」
転移した先は神殿だった。しかも階段がすごく続いているめんどくさい方だ
「………登るか」
階段を上って神殿の中へ足を踏み入れる。神殿内は、床、天井、壁全てが透き通った青色の石でできていた。部屋の壁伝いには不思議な形をした発光する丸い水晶が定位置に配置されている。そして部屋の中心には表面に魔法陣が描かれた円柱状の大座と、その脇には黒色の石板のようなものがあった。
「すごいな……」
人が作ったにしてはあまりに美しすぎる遺跡だ。部屋の中心にある台座と石板へと近づくと精査を開始する。
黒色の石板の表面には、手形のような形が描かれていた。ここに右の掌を掲げろってことか?
『【全能】のアクセスを確認。月神零および朝霧零斗のプレイヤーを試みます。………………………完了いたしました。ようこそ、⬛︎々の試練………文字化けを確認……………消去…………完了いたしました。改めてようこそ、【神々の試練】へ。プレイヤー様のご健闘を心よりお祈り申し上げます』
突如眼前に出現する透明の板に、思わず咄嗟に右手を石板から離すと、その板は消失してしまう。何だ今の? 文字が出てきたけど……しかも神々の試練か………厨二くせぇ
「ん?なんだこれ」
視界の右端に点滅している小さな棒上のものがあったので触れると、突如視界一杯に出現する透明の板。そこには次のような文字が書いてあった。
———ルールその1.このゲームをクリアしなければこの場所を出られない。
———ルールその2.プレイヤー登録した者はここでは一切歳をとらず、外部の世界の時間も停止する。
———ルールその3.プレイヤーには【無限収納】と【特殊鑑定】のスキルを与えられる。それと、朝霧零斗の中にある能力を強制で封印を解除します。
———ルールその4.アイテムボックスに収納できるエリクサーはコップ20杯分までである。
———ルールその5.ここではあらゆる耐性の取得が可能である。
「………なるほどな」
この試練をクリアするまでここから出れないってことか……おい!嘘ついたな!?自由に出入りできるっつったじゃん!騙された。しかも歳を取らないってことは実質不老じゃん。それは………やだな。早めにクリア出来るように頑張るか
◇◆◇◆◇◆
ここからは俺がどういうのがいたのかを記録しておく事にしよう
1階層……ここは普通の魔物が湧いてると思ったのに、圧が中々だ。強さは下層の魔物くらいだ。バッタ見たいな見た目なのに
10階層……ここはボスのエリアか。強さは深層の魔物くらいだ。ここまでは余裕だ。
50階層……強さは飛び上がり、深淵クラスだ。動きが速すぎたり、攻撃力も高かったから苦戦した。この調子で行けんのか心配になってきた
100階層……次は深淵クラスよりも少し上の奈落クラス。ここが俺の世界基準で言う所のここのレベルだ。深淵よりも少し上くらいなのに死にかけた。けど、神秘を介していろいろと試行錯誤したら勝てた
それを999階層まで続いた。いやふざけんなよ
けど10階層毎に特典が手に入ったから嬉しい限りだ
「……はぁ、弱いな」
無事999階層まで到達したが、呆気なかったな。
そう思ったら
ヒュンッ
「?」
『おめでとうございます。無事、地上エリアの完全攻略を果たしました。これより地下の階層が開かれます。地上の完全攻略達成により、攻略した階層をいつでも行き来できるようになりました。これより、セーフティーエリアヘ移動します』
………地下もあんのか。いや、助かった。まだ俺は強くなれると知れて嬉しい気持ちだ。
1〜9階層……奈落クラスの魔物がゴロゴロといた。しかも、少しパワーアップしてるし、それに地上999階層のボスよりも強いし、最初からここにきたら負けてたな
因みに地上では10階層毎にボス部屋がある感じだったけど、ここでは50階層毎にボス部屋がある。*1
「さてと、次の階層に行くか」
そして下に降りていく。零斗はそこで見たのは
「床が一面の、溶岩地帯?……は?」
どういうことだよ。地上と違うのかよ。もしかして本格的な試練こっちじゃね?じゃあ最初っからそうしろよ!
「……どう行くんだよ」
困った。ここ行かないと次の階層まで行けねぇじゃん。
「……そういえばここの試練では耐性が付くって言ってたから良い機会かもしれないな」
そう言うと零斗は溶岩地帯に足を踏み入れた。そして
「……………どああっっちぃッッッ!!!」
アッツ!アッッッツ!!まんまマグマやん!マジで耐性付けていく感じかよ!考えたやつ相当アホだ!
◇◆◇◆◇◆
「おぉ……10秒なら耐えられるか」
フォンッ
『【弱熱耐性】の獲得条件を満たしました。スキル――【弱熱耐性】を獲得いたしました』
遂に耐性を取得した。軽く50回マグマに触れたぞ
この調子で【熱吸収】まで頑張るか!
◇◆◇◆◇◆
ここからがどっと疲れた気がする。
まず各階層が広大になっているのはもちろんだが、各階層に異常な性質があったからさ。
地下11階層から50階層が、床がマグマの灼熱エリア。
地下51階層から100階層が、周囲を凍てつかせる氷結エリア。
地下101階層から150階層までが、歩くたびに砂の槍が突き上げてきたり、砂が生き物のように襲いかかってくる砂漠エリア。
地下151階層から200階層が、ダンジョン内が水で満たされている水没エリア。しかもこの水は次第にHPを奪う水だった。
地下201階層から250階層が、風の刃が辺りに降り注いだり台風や竜巻が当たり前の風刃エリア。
地下251階層から300層が、常に雷が降り注ぐ落雷エリア。
地下301階層から350階層が、竜ですら死ぬ猛毒エリア。
地下351階層から400階層が、重力で浮いたり、重くなったりする重力エリア。しかもここの重力が滅茶苦茶で下手すると押し潰されるくらいの強さを持つエリアだった。俺も強くなったと思ったんだけど、ここの階層だけはレベルが違いすぎた。
地下401階層から450階層は一歩間違えれば二度と直せない呪いのエリア。特級の怨霊や幽霊がいる当たり前の所だったから余計キツかった。
地下451階層から500階層は所々空間が滅茶苦茶の空間エリア。ここは空間が歪んだり、次元が滅茶苦茶になるとんでもないエリアで、階層を跨ぐのが最も難関なエリアだった。
具体的な取得方法は省くが、このすべての状態異常について吸収、同化系の耐性を獲得してから攻略を開始した。
◇◆◇◆◇◆
地下501階層から600階層までは、水中エリアだった。因みに行く所ずっとだ。良かった【水同化】があったお陰で戦闘中でもやりやすかった。けど中々刺激のある戦いが出来て嬉しかった
601階層から800階層まではドラゴンのエリアだった。因みに750階層から神竜まで出てくるようになった。
途中、完全に負けた戦いがあったけど、リベンジするために今まで倒した魔物の戦利品やら階層の場所で手に入れた魔導書を全部読んだ結果今まで以上に強くなった。その結果圧勝した
801階層から998階層は昔、神を殺したり、危険と判断した奴らがここで封印してこの地に残した魔物や人型の魔物が充満している大魔境だった。けど、そう呼ばれていたのかと錯覚するくらい
弱かった
◇◆◇◆◇◆
地下999階層。
やっとここまできた。長かった。やっとこの戦いに終止符がつく
『それでは最後の試練です。』
そうアナウンスが聞こえると目の前に姿が現れる
「……………………は?」
そこに姿を現したのは
『これより、最後の試練。自分自身との戦いを開始します』
「………やってやろうじゃねぇか」
そしてこれから最強同士の戦いが開始するのであった
◇◆◇◆◇◆
「はぁ……はぁ…………はぁ……………」
そこにいたのは身体がボロボロで血が出ている零斗本人と首を切られている分身の零斗がいた
「やった……やったぞ!遂に」
ヒュンッ
『おめでとうございます。これにより【神々の試練】を完全突破に成功しました。試練クリア特典により、朝霧零斗の記憶を本試練直前のものへと、強制接続します。お疲れ様でした』
◇◆◇◆◇◆
⬛︎々の試練を完全突破した零斗が目を覚ますとそこにはいつも目を覚ますと見える自分の部屋ではなく、天井板には木を使われており木目が見事な模様となっている一室。ベッドにでも寝かされていると思った床も、前世からよく知っている和室の一室にでも寝かされているみたいだ。試練をクリアしたらそのまま返されると思ったのに
「……知らない天井だ」
おそらく襖であろう縁の先である敷居から見える景色は遠くは広大な山岳と夕焼けの景色。そして近くには立派な枯山水が描かれていた。ここまで整えられている和室。書院造は少なくとも家にあるから見られた光景って言えばいいのか?前世から続く感性がここを見事な場所であると零斗は目を覚ました直後だというのに目の前の景色、そして香る和室の匂いに圧倒された。
??「いつもと場所が違うからのう」
そしてそんな彼の事を面白がる様にいつの間にか零斗の隣に座っていた狐の特徴を持った美少女が長いキセルからピンク色の煙を棚引かせる。全身真っ白で、脇だし巫女服の様な、或いは水着の様な軽薄な服装に、二尾の狐の尻尾の片方を零斗の腹の上でヒラヒラと弄ぶかの様に動かしている。神秘的なまでの白さの髪と狐耳はそれだけで“人ならざる何か”を連想できるが、耳が後ろに倒れてリラックスしているのを見ると何故か親しみが湧いてきそうなのが不思議だ。その頭上にはキヴォトスの生徒の特徴であるヘイローを持っているのを一通り眺めて、零斗は納得した様に息を吐く。
「アンタが居るってことはここは夢の中か」
その少女の名前は、クズノハ
零斗とクズノハが出会ったきっかけは百花繚乱の次期委員長との依頼を受けてる時に偶々【黄昏の寺院】に辿り着いた時に突然景色が変わったと同時にクズノハが姿を現した。この事から夢に度々出てくるようになった。てか向こうから勝手に干渉してくる
「………そんで、ここはなんだ?」
クズノハ「ん?…お主が気に入ると思って妾が直々に手がけた【夢】じゃ」
【夢】…それは文字通りのこの世であってこの世にない世界の狭間。現世と常世の隙間。何者にも定義できて、何者にも観測する事は難しいそんな三次元から切り離された空間こそが、今は零斗とクズノハが居る場所である。
そんな泡沫で、理も法則もない様な虚海に自らの世界を築くことがどれほどの難しさである事か。しかもそんな世界の片隅にわざわざ零斗本人の為に向けた風景を手がけているクズノハが零斗をどれほど好意的に思っているか理解できるだろう。
「いいな。すごく、落ち着く」
クズノハ「くふふふ♡……それはよかった♡♡」
表情はまるで憑き物が落ちたかの様に穏やかになり、瞳は細められている零斗の姿にクズノハは二尾とも左右に揺らし、喜びを隠せない。クズノハは自分が丹精込めて作った零斗と過ごすためだけの世界を気に入ってくれて、零斗自身もクズノハが癒してくれるこの場所と時間は数少ない彼のヒーリングスポットである。
いやマジで落ち着く。あの試練のおかげで強くはなれたけど、疲労がやばかったから助かった
クズノハ「最近寝れてなさそうだったからの」
「まあそれは……って理由わかってるでしょう」
「よいしょっと」と軽い掛け声で零斗の頭がクズノハの膝の上に誘導されたところで、零斗はツッコむようにクズノハの笑い声混じりの言葉に反論する。【百鬼夜行の予言者】と名高いクズノハが、百鬼夜行連合学院の治安維持組織の委員長とも付き合いがあるクズノハが“零斗が忙しい理由”を知らないわけがない。
クズノハ「お主が行ってたあの試練にと干渉しようとしたが、見事に防ぎよった。すまぬな……力になれんくて」
「別にいいよ。正直気配がとんでもなかったし、その影響でクズノハに何かあったと思うと………想像したくないな」
クズノハ「……フフッ♡」
「……!」ゾワッ
なんか一瞬悪寒がしたんだが気のせいか?
事実クズノハはそんな零斗の言葉に上品な笑みを浮かべながら零斗の膝に乗せて頭を撫でている。そんなクズノハに為されるがままにしている零斗でも無茶したな…と分かっているが特に突っ込むことはしない。
「………さてと」チャキッ
そういうと零斗は立ち上がって
パリンッ!
クズノハの【夢】の次元を
クズノハ「な!?」
クズノハは驚いていた。まさか自分の夢が斬られるとは思わなかったんだろう
「まだやる事はあるんだ。その時はまたお世話になろうかな」
じゃあな!という声と一緒に零斗は【夢】から消えた………と同時に何かに
◇◆◇◆◇◆
クズノハ「ちっ。忌々しい“狐”がっ!」
一瞬の沈黙、その後にクズノハは一体何が起こったのか瞬時に理解したのか、まるで狂貌と言っても差し支えない憤怒を表情に滲ませながら悪態を付く。
何が起きたのか。端的に言うならこの【夢】の世界に干渉されたのだ。勿論、それが簡単なわけがない。クズノハが作り上げたこの【夢】は例え、世界を終わらせる光である色彩であろうと干渉することも、破壊することも出来ない自慢の【夢】である。彼が次元を斬ったその時、誰かが【夢】の中に干渉してきたのだ。
そんな【夢】に干渉された挙げ句、自分の力でも世界の力でも強固に護っていた筈の宝物が自分の目の前でみすみす奪われたのだ。クズノハの怒りもある意味共感できる。
クズノハ「…小賢しい。この隙を待っておったなっ!」
だが一つ考えて欲しい。それほど重要に護っていたのなら奪われるよりも先に取り返すことが出来るのではないか。
そんな事クズノハにとって息をするかの様に簡単に出来る。
零斗を“こちら側”へと染めている最中でなければ
肉体を離れ、剥き出しになった零斗の精神を有ろう事かクズノハは信頼を盾にして自らのモノへと取り込もうとしたのだ。
クズノハ「く、ふふふ………まあ、良い」
そんな事、只の生徒では無い、ましてや転生者の零斗には相当難しい事ではあったがクズノハにとって不可能では無い。
わざわざ病という狂言を謳って治療を装い、己の血肉で作り上げた砂糖菓子を薬と偽り何度も何度も摂取させる事でクズノハとの繋がりを強固に、より強固に繋ぎ上げる。
今日こそその集大成。正妻気取りの動かないトリニティの狐とその影武者も、学園全てを捧げるつもりの国のトップも、料理で胃袋を鷲掴みにしようとするものも、良き縁・悪しき縁全て問わず断ち切られ、零斗はクズノハの夫として一生を共に過ごす。
今までその準備をクズノハはしていたのだ。無垢な信頼はクズノハを恍惚とさせ、己の血肉が零斗の口の中で咀嚼され、零斗の体内でクズノハ自身が薄くとも満たされているのを見ているだけではしたなく絶頂の渦に呑まれていた。……けど、零斗は試練で強くなった故にそれの意味がなくなった
クズノハ「……焦らしてくれる。これも
妖艶に微笑むクズノハ。目論見が崩れたというのにクズノハはそれも想定通りであったと彼に触れた尻尾の位置を静かに撫でながら、次に零斗が目を覚ました時に言うはずだった証を口ずさむ。……結婚したと言うのにわざわざ“主”やら“お前さま”などではなく、旦那様だけで通用するのだから。
そんな事を考えながらクズノハはこの【夢】へと侵入してきた同じ予言者である(同類では無いが)同じ狐の何某へ向けて指を動かす。例えその場に居なくても零斗の縁とここに来るまでに犠牲にした四肢の一つでもあればどれほど物理的に、概念的に離れていたとしても呪いを与える事ができる。
クズノハ「旦那様はあの試練を終えてから確実に強くなった。いや、強くなりすぎた。妾では手に負えない程に……ましてや色彩までも手に負えない程に…………けど……………………旦那様は知らぬのだろう」
では、今更になってだが何故クズノハはそこまで零斗に執着をするのだろうか。
クズノハの零斗への執着は普通に度を越している。嘘と欺瞞を厭わぬ姿はもはや親愛という単語だけで表せるモノでは無い。
クズノハ「妾は独りじゃ」
そこにはクズノハの“自覚してしまった孤独心”があった。
クズノハが生徒として生きていたのは遥か昔…まだ百鬼夜行連合学院ができる前に生きていた生徒であった。だがその時の記憶など最早忘却の果てに行き、今クズノハに残っているのはこの地に残りキヴォトスと“向こう側”の境界を守り、維持する事。別にその役割に意味を求めたことも、何か思うこともなかった。
あの日までは。
クズノハ「……のう。気がついておったか?旦那様」
またいつもの様に【黄昏の寺院】と名付けられた境界の果てに来た百花繚乱紛争調停委員会の委員長と会おうとまるで機械的に姿を現したそこに、旦那様…零斗は立っていた。
その瞬間、クズノハの心から、魂から一目惚れという単語を理解した。
この世の…キヴォトスの理から外れた存在。生まれがそうでは無い。その精神があまりにも生徒とかけ離れている。それでも尚、寄り添おうとするそのあまりにも眩しすぎる意志の光。
クズノハ「最初は、妾は諦めようとしたのじゃぞ?……今を生き抜く生者に妾の恋慕は重すぎる」
だがそれはあくまでクズノハが零斗に好意を持った経緯だ。
何故そこから執着に至るのか。色々と理由はあるが一番の理由はクズノハが己に掛けた恋のおまじないが理由であった。そのおまじないの効果は少しだけ対象の好意を引き上げると言うモノ。だがこれはあくまで好意を強い好意にするだけであって、好意を愛に増幅するモノでは無い。ましてや相手が自身に好意を抱いていなければ効果は発揮されない。零斗は最初は警戒していた。突然目の前に現れたのだから……けど、零斗は話していくにつれ、警戒心が緩めていった。そうしてそのおまじないは見事成功した。零斗は無防備な姿をクズノハに晒すほど心の距離が近くなった。それはつまり零斗にとってそれほどクズノハを想っている証拠になる。謂わば両片想いという事実を前にクズノハは自重の紐を断ち切っていたのだ。
クズノハ「……今は、まだこれで良い。」
満足はしていない。たかが月の満ち欠けが一周回った程度の睦言の時間を邪魔されたクズノハはいまだに怒りが消えそうにない。だが過ぎてしまった事を悔やむだけでは次に巡ってくる機を見失う。であるのなら静かに待っているのが得策であろうとクズノハは一人、新婚生活になるはずだった母屋の屋根の上で微笑んだ。
「………今は、な」
そして、次こそ
────共に【終わり】を見届けよう
◇◆◇◆◇◆
セイア「………っくっ!」
「……セイア?」
深い眠りの海に緩やかに沈んでいく体感とは打って変わり、無理矢理起こされたというのに不快感はない。クズノハと共にいた場所よりかは些か浅いが、今だにこの場所が【夢】の世界であることに変わりがないからだろうか。
セイア「や、やあ……ひさしぶり、だね」
「その腕と脚は……!?」
百合園セイア。キヴォトス三大校のひとつ【トリニティ総合学園】の生徒会であるティーパーティーに所属する一人で、零斗の数少ない生徒の依頼の一人である。セイアは眠ることで未来を見る事が出来る能力を持っており何度かこうして【夢】の中で会話を交わした事がある。
セイア「まあ気にしないでほしい。」
「……気にするが!?」
大丈夫だ。問題ない、軽傷だ。という態度を取るセイアを前に流石のライラも驚愕を隠せない。現実世界のセイアは非常に貧弱だが【夢】の中においては、セイアの存在はある意味無法だ。そんなセイアがこの夢の世界でそこまで大きな傷を負うとは
セイア「名誉の負傷みたいなものさ。」
夢の中だから肉体に直接的なダメージは無いが、傷を負っていることには間違いないためこれ以上の無茶は出来ないとセイアは語った。
「……治るのか?」
セイア「もちろん時間を掛ければ、だが……」
そんなセイア零斗は心配そうに問う。現実の肉体と比べてこの夢の世界は色々と法則が異なっている。まさかこれからずっとそのままでは無いかという零斗の密かな心配は、苦笑混じりのセイアに否定される。
セイア「……もし傷跡が残ったら君に責任をとってもらおうかな」
「うーん………!」
零斗は何かを思いついたようにセイアにこう言った
「セイア……ちょっと試してみていいか?」
セイア「別に君になら構わないが、何をするつもりなんだい?」
あの試練で培ってきた力を今、使う時だな
「【神域解放】───【
パァァァッ!!
そう言うとセイアの身体が緑色のオーラに全身が癒えて言った
セイア「!?君は今、何をしたのかね!?」
「秘密だ!」
そう言うと口に人差し指を唇にあてながらウィンクした
セイア「!?フゥゥゥ!!!」
「?どうした?」
セイア(ほんっとに襲われても知らないぞ!私は!)
セイアは彼の仕草に心拍数は跳ね上がるように大きくなり、呼吸はより一層荒くなったけど、一瞬で理性を一時的に抑えた
セイア「………やる事があるん………だろ?」
「ああ。どうやら起こしに来てくれた様だな。感謝する」
セイア「ならさっさと起きて現実世界で顔を見せてくれ……この場では、少し温もりを感じにくい」
「はいはい……終われば絶対に向かうさ」
寂しげに耳を伏せるセイアの姿に零斗の頬も緩む。立場的にも能力的にも互いに人に寄りかかりにくい事を理解しているからだろう。なかなか二人だけという時間を現実世界で取ることは難しいが、それでも時間を作ると約束した。
そうして零斗は目を覚ますように念じながら目を閉じる。クズノハほど深い所に場所を作られては自分で帰ることは出来ないがセイアとよく会うここぐらいの浅さだったら目を覚ますことなど難しく無い。
そうして少しずつ、意識が覚醒していく
◇◆◇◆◇◆
セイア「………行ったか」
セイアは零斗が居なくなったことを完全に確認して一人で呟きつつ、クズノハの対策について考えた
セイア「まったく、私の
皮肉な事にあの腐れ狐はキヴォトスの支配とかに興味は全く無く、あの場所から動こうとしない、動くことが出来ない究極の引きこもり。腐れ狐の興味は全て私の旦那にあるとセイアもまた妄言と共に困ったな…と言わんばかりの息を吐いた。
セイア「最初に彼を見つけたのは私なんだぞ?」
あのド腐れ狐だけでは飽き足らず、自分が零斗の伴侶になれば百鬼夜行は安泰だと考える百鬼夜行の陰陽ヨコチチもいるし、いつからか婿殿と言っている忍者狐もいるし、一年ほど前は暴れていたが、彼を見た瞬間花嫁修行をするようになった仮面狐もいるし、何より厄介なのはあの小隊だ。彼に“使われる”事を至上の悦びと本気で想い、彼に命じられれば文字通り何でもする狂信者。そのくせ彼に見せる面だけは良いから彼も気に入ると言う悪循環……自分の上司がいなくなった途端本格的に仕えるようになった
セイア「あれ?……よくよく考えれば私の旦那様、狐に好かれすぎでは??」
「………まぁ私が正妻だからな!」*2
因みに彼の童貞を奪ったのは会長だということはクズノハ以外知らない
セイア「さてと……彼もそろそろ目覚める頃だろうし、私も目を覚ますとするか」
そう言うとセイアは能力を解除し、【夢】から目覚めるのであった
◇◆◇◆◇◆
「……ん」
みたことある天井だ。てことは夢から覚めたってことで良いんだよな。
ピコンッ
「?」
連邦生徒会長:◯月◯日にサンクトゥムタワーに来てこのメールを七神リンに見せてください。依頼料はあなたの好きな値で構いません。事が終わった後、七神リンに申してください。彼女の助けになってあげてください。そして、どうかこの学園都市を彼女と一緒に救ってください。良ければ彼女も守ってあげてくださいどうかよろしくお願いします。依頼料は依頼料で貰うとして、報酬は後々わかります。
「………なるほどな。そうきたか」
どうやらアイツは俺に依頼を設けた。アイツから依頼なんて初めてだし、大事になりそうな予感がするから気合いを入れていくか。……あとは今の俺がどのくらい強くなってるのか知らんからまず目的地まで走るか
「……よし」
ダッ!
「!早っ!?」
人には見えない速度で走っていく零斗は自分でもびっくりしてた
それは零斗だけじゃなく
「?なんか通ったか?」「気のせいだろ」「それもそうだな」
不良たちも気付かなかった。それどころか風だろとしか思ってなかった
(ちょっと封印するか)
零斗は走りながら【無限収納】の中から【封神の指輪】を取り出し、人差し指に嵌めた
「……よし、これで」
嵌めた瞬間、零斗のスピードは人が見える速度まで減速した
「もう着くな」
無事、サンクトゥムタワーまで辿り着く所まで来た零斗は少し観察した
(あれはハスミとスズミか?それと他の3人は誰だ?)
そこには、白い髪で無表情のスズミと羽が大きくて、スタイル抜群なハスミと、太ももが太い、太すぎる青髪の女性に眼鏡を付けてる赤タイツの女性。
その五名が不良たちを押し退いてどこかに目指している様子だった。その時
「ヤバ!」ダッ!
一人の不良が大人を狙っていた。それに他の4人は反応できなかったが………
「フッ………」ガキィン!
零斗が気づいたおかげで守ることに成功するのだった
大人の女性と他4人は呆然としていた。なんでかって言ったら刀で銃弾を弾いたのだから
そして大人の女性は口を開いた
"君は誰なの?"
「初めまして、俺は」
何でも屋
朝霧零斗だ
第二部 原作前 喪失編 完
次回 原作開始
次回は零斗の世界についてと彼の今のステータスについて語ろうと思います。ここまで見てくれてありがとうございます。
評価と感想待ってます