セイギノ魔法少女   作:零月隼人

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第1章 「魔族と”魔法少女”」

“魔法少女”は正義の味方!悪から私達を守ってくれる!

“魔法少女”は戦う少女!傷ついても諦めない!

“魔法少女“は時に悲劇も!過酷な運命待ち受ける!

“魔法少女”はファンを生む!皆の憧れ、尊ばれ!

 

 これが、テレビで見た”魔法少女”。

 悪と戦う、正義の味方。市民を助け、時に傷つき地に伏せながらも、それでもまた立ち上がる。

 そんな彼女達に憧れて。

 私は今日も、変(・)身(・)を(・)解(・)く(・)。

 

 人類と魔族が入り乱れる世界。

 彼らは常に対立し、互いに悪と罵り合う。

 人類とは、魔法の使えない種族。

 服を着て、食物を摂取し、建物の中に住む。睡眠を必要とし、交尾し子孫を繁栄させる。

 この世に生を受け、やがて死を迎える。

 魔族とは、魔法の使える種族。

 服は着ず、食事の必要もなく、住処はない。睡眠することもなく、子孫を生み出すことはない。

 魔族は常(・)に(・)存(・)在(・)し(・)て(・)い(・)る(・)。生まれることも、死ぬこともない。

 

 私、正木野マホは、中学二年生。

 勉学に励み、部活に明け暮れ、毎日を忙しなく過ごしている。

 どこもみんなと変わらない。

 普通の中学生。

 当然、中学校には、人類しかいない。

 人類と魔族は一緒に勉強しない。生活しない。

 魔族とは関わってはいけません、って、学校の先生には言われる。

 魔族は”悪い奴ら”

 出会ったらまず殺されるって。

 

 ある日の朝。

 私は、眠たい目をこすりつつ、ゆっくりと布団から身体を起こした。

 顔を洗い、パジャマから制服に着替え、朝ごはんを食べる。

 そして時計を見る。

 「うわ、ヤバ! 遅刻遅刻~~~!」

 時計の針は、9時を指していた。

 学校の始業時刻は、9時である。

 どう頑張っても、間に合わない。

「・・・・・・よし☆」

 時(・)間(・)を(・)巻(・)き(・)戻(・)す(・)こ(・)と(・)に(・)し(・)た(・)。

 

 私は、眠たい目をこすりつつ、ゆっくりと布団から身体を起こした。

 顔を洗い、パジャマから制服に着替え、朝ごはんを食べる。

 そして時計を見る。

「・・・・・・よし☆」

 時計の針は、8時を指していた。

 時間を無駄にしないよう、足早に家を出る。

 そしてそのまま、あるクラスメイトの家へと足を運ぶ。

 そのクラスメイトは寝ぼすけだ。

 いつも遅刻しそうになる。

 だから私が、毎日起こしに行く。

 その点私は優秀だね。

 まだ一度も遅刻したことがない。

 

 そのクラスメイト━━宮頭ミヤミーは、眠たそうな顔をする。

「ああ、あと10分・・・・・・」

「そんなこと言って~、また学校遅刻しちゃうよぉ?」

 私は親友を無理やり起こし、家から連れ出した。

 幸いなことに、走らずとも学校には間に合う。

 私達は世間話をしつつ、学校へと向かった━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 という記憶を、ミヤミーの脳には植え付けた。

 ・・・・・・

 うん。

 普通に間に合わないのだ。

 だってミヤミーを起こすのに、50分かかってるんだから!

 あんたあと10分って、普通に始業時刻だぞ?

 だから私は、ワープゲートを開いた。

 当然、ミヤミーにはバレないように、脳をブチ抜き、錯乱させておく。

 私の機転により、今日もなんとか、学校に間に合った。

 

「キャァァァ、魔族だァァァ」

 教室で数学の授業が行われていると。

 突然どこかからか、悲鳴が聞こえた。

 私はすっと立ち上がった。

 突然の出来事であったため、教師含め、皆の視点が私に集まった。

 私は、”(・)魔(・)法(・)少(・)女(・)”(・)に(・)な(・)る(・)前(・)の(・)女(・)の(・)子(・)の(・)よ(・)う(・)な(・)こ(・)と(・)を(・)言(・)う(・)。

「私、行かなくちゃ!」

 当然、教師は聞き咎める。

「正木野さん?今は授業中ですよ?」

 ・・・・・・うざい。

 だから、教師の頭を魔法で貫いておいた。

 頭が蒸発した教師の身体はその場に倒れる。

 しかし、周囲からは悲鳴は上がらない。

 なぜなら、私が幻惑魔法で周囲を騙しているからだ。

 そりゃあそう。

 頭が無くなれば、もう人類じゃないよね☆

 私はミヤミーへウインクし、走って教室の外へ出る。

 ミヤミーは、

「?」

 といった表情で、眠たそうな目をこちらに向けた。

 そう、私は”魔法少女”

 誰かが困っていたら、助けに行かなくちゃいけない。

 だから私は、変(・)身(・)を(・)解(・)く(・)。

 

 “魔法少女”になった私は、高速移動魔法で道路を横断する。

 目の前には、たくさんの人類が右往左往していた。

 ・・・・・・うーん、邪魔だなあ 

 鬱陶しく感じた私は、構わず猛スピードで突っ込んだ。

 人類が何人か吹き飛ばされる。

 あまりの速度に、人類には私の姿は見えていない。

 だから、大丈夫☆

 

 私が現場に急行すると、そこは魔族によって人類が蹂躙されていた。

 すでに目の前には、死体がごろごろと転がっていた。

 あ、たくさん人が死んじゃてる~☆

 そう、人類は死ぬのだ。

 そして魔族は、魔法が使える。

 人類に勝ち目なんてない。

 だから、私という存在が必要になる。

「そこまでよ!」

 私の声に、そこで暴れていた魔族が振り向いた。

 私は声高く言う。

「蹂躙されている人類のみんな!もう大丈夫。私がみんなを助けてあげる!」

 その声量の大きさで、ビルが崩れる。

 しかし、そこにいた人類からは、歓喜の声が上がる。

「おお、正(・)義(・)の(・)魔(・)法(・)少(・)女(・)だッ!!」

「俺達は助かるんだ!!」

 歓声に応えるべく、私は名乗りを上げた。

「”魔法少女”マホ、参上!!」

 うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~!!!!!!!!!!

“魔法少女”! “魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”! “魔法少女”! “魔法少女”!

 観衆が絶叫の嵐に包まれた。

 これでこそ、”魔法少女”。私は、人類の圧倒的な期待感に心躍らせつつも、しかし すぐに思考を切り替え、正面の敵である魔族を見据えた。

 そこにいたのは、魔人である。

 魔人とは、大人の雄の魔族のことを指す。

 一方魔女は、大人の雌の魔族のことだ。

 そして、子供の雄の魔族が魔法少年、子供の雌の魔族が魔法少女だ。

 あ、ここでの魔法少女と、私が冠する”魔法少女”は別物だからね。

 私は人類だ。

 テレビ番組でやっている方の、ヒーローの方の、”魔法少女”に憧れた、ただの普通の中学生が、”魔法少女”をやっているだけだ。

 諸悪の根源たる魔族の魔法少女と同じにされちゃあ、迷惑まかりならん。

 だから私は、戦う。

「邪悪な魔族め、私が成敗してくれる!」

 そう言って、私は魔人へ接近した。

 対する魔人は、慌てた様子だ。

「ちょ、お前、魔法少女だろ・・・ゴフッ」

 私は魔人の顎を蹴り上げた。

 周囲に衝撃波が走る。

 人々の何人かは、巻き上げられた。

 もう、人聞きの悪いこと言うから。

 私は”魔法少女”であって、魔法少女じゃないって言ってるでしょ♡

 身体強化魔法で強化した足で、私は何度も魔人に蹴技を繰り出した。

「いや、魔法使えてるんだから、魔法少女だろ・・・・・・」

「死ネ☆」

 私は思いっきり、魔人の顔を殴りつけ、フルボッコにした。魔人からの抵抗はない。

 魔族って本当にいいよね。死ぬことがないんだから。いくらでも殴り続けられる。

 人類って脆いんだよ?魔人の攻撃を一発でも受けたら、死んじゃうんだよ?

「ちょ、おま、いい加減に・・・ゴフッ」

 魔人が反撃に転じようとしたが、それを許す私ではない。

 ひたすら殴り続ける。

 魔人は倒せないから、帰ってくれるまで殴る。

 まあ、帰る家なんて、魔族にはないんだけどね☆

 魔法なんて使わせない。

 私が魔族を、滅ぼすんだ☆

 

 やがて魔人が、

「分かった、降参だ。もう人類には攻撃しない!」

 そう言って、その場を後にしようとした。

 だがま、私の視界にいる間は敵だよね。

 私はその後ろ姿をひたすら殴り続け、距離が離れれば魔法で遠距離射撃した。

 魔人が完全にその場からいなくなると。

「「「うおー!勝った~~~!!正義の魔法少女が勝ったぞ~~~!! 」」」

“魔法少女”! “魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”! “魔法少女”! “魔法少女”!

 人類から、再び歓声が上がった。

 そうそう、この時のみんなの笑顔よ。

 私が”魔法少女”を続けている理由。

 この時の快感。愉悦。

 私はこの感傷に浸り続けた。

 ━━━と。

「キャァァァ、魔族だァァァ」

 明日の方角より、悲鳴が聞こえた。

 ・・・・・・まったく、”魔法少女”は忙しいな☆

 私は飛行魔法を使い、声のする方角へと急いだ。

 背後からは、たくさんの声援が届き続ける。

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