そういえば、私には恋人がいます。
何を隠そう、前回登場したクラスメイト、宮頭ミヤミーです。
まあそりゃ、ただのクラスメイトを朝起こしにはいかないよね。
なお、本作において、ミヤミーについての記述はこれで最後です。
「”魔法少女”マホ、参上!!」
私は、今日も今日とて、憧れの”魔法少女”のように、空を舞い、人類の助けに入る。
今日の相手は、魔女であった。
魔女といっても、その姿形は個々に異なる。人類が、男女だけでなく、個人個人で容姿が異なるように。
今日の魔女は、風の魔法を得意としていた。
突如として、この国では珍しい、竜巻が起こる。
その効果は絶大で、車や建物が次々に風の渦へと飲み込まれていく。
まさしく”災害《ディザスター》”。人類に対抗する術はない。
さて。
この魔女は、魔族の中でも強者なのだろうか。
・・・・・・
・・・
・
断じて否!
そもそも、魔族は生まれながらにして、固有の魔法を持っている。
その効果は絶大で、人類文明など一瞬で粉微塵にしてしまうほどだ。
では、なぜ人類は今も滅亡していないのか。
簡単な話である。
前提として人類は、魔族の目的は人類を侵攻し領土を拡大することだと考えている。
そしていつか、人類を支配しようとしてる、とかかなあ?
それらは、完全に間違った認識だ。
まず、魔族は領土の拡大など望んでいない。というか、領土とは何ぞや?
前述したように、魔族は住居を持たない。それは、もっと広い意味で言うと、そもそも縄張り意識がないのだ。
つまり、魔族は例えば横に見知らぬ魔人が寝ていたとしても、全く気にしない。魔女だったとしても同じだ。そもそも生殖概念がないため、身の危険がないのだ。
そして、魔族のみならず、それが隣に知らない人類のおっさんが寝ていても問題ない。
魔族側はそもそも、基本的には人類に差別意識など持っておらず、人類を襲う気など一切ないのだ!
ではなぜ、人類は魔族に蹂躙されるのか、皆声をあげて助けを求めるのか。
それは単純に、魔族の力が強すぎるのである。
地面を歩けば道路が砕ける、地震が起こる。手を動かせばその風圧で、人類が吹き飛ぶ。
声を出せば、音圧で建物が崩落する。
これぞ”災害《ディザスター》”。存在そのものが、危険物。
まあ、ゴジラとかみたいな大怪獣と同じ扱いだね。
そうそう、例えば前章の魔人とかね。あいつは普通に、日課の散歩していただけだったのだ。別に何か悪いことをしようとしたわけではない。
しかし、彼の一歩は大地を揺らし、人類を巻き上げ、恐怖に陥れる。
結果彼は、人類を脅かす存在となった。
そんな存在を、”魔法少女”たる私が許しておけるはずがない。
というよりそもそも━━以上の論理を私は、
魔族の目的は人類を侵攻し領土を拡大することだ!
そしていつか、人類を支配しようとしてる!!
・・・・・・ちょっと文章が長くなったな。話を戻そう。
そうそう目の前の魔女ね。
彼女の使う魔法”風”。
それは、魔族の4つの基礎魔法、「火・水・風・土」の一つ。そもそも魔族なら使えて当たり前の魔法であるのだ。
にもかかわらず、この魔女は、風の魔法しか使えないようだ。
つまり、人間で言うところの半人前ならぬ、1/4魔族前である。
そんな魔族、”魔法少女”たる私の敵ではない。
私はその、「風の魔女」(仮名)を視認すると、そのまま高速移動魔法+飛行魔法で急速接近した。
私の接近を感知した魔女は、こちらを向いた。
「貴女は・・・・・・昨今評判の正義の味方気取りの魔法少女か⁉ いまいましい、ただちょっとくしゃみしただけなのに━━━」
「だ~か~ら~、私は”魔法少女”だって、言ってるだろ☆」
私は、風の魔法に対し効果的な、火の魔法を行使した。
魔女に向かい、火の球の連撃を食らわせる。
「小娘風情が生意気な。ウィンドバリア!」
魔女は風の魔法を防御に回し、私の攻撃を受け流した。
「なるほど、モブにしてはやるね。なら・・・・・・」
私は、火の魔法を応用し、爆発魔法を発動させた。
「ッ!うわァ」
風に爆発が絡み、反動が魔女の身体に届く。
その機に、私は急速接近した。
「やっぱりラストはゼロ距離がいいよね☆」
私は防御できない距離まで接近し、そのまま光弾魔法を乱れ撃ちした。
「うわァァァァァァァァァーーーーーーー」
魔女は地に伏せ、倒れた。
当然、魔族だから死ぬことはないが。
私はその身体に足を乗せ、完璧に力量の差をその身に理解させる。
周りからは、歓声が広がった。
「“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!」
私はその声に、愉悦心を高めた━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「何やってんだ、おめぇ?」
・突如として現れた、謎の魔族
一対の羽に神々しいやや小柄な身体、整った美青年顔、そして右手には魔法の効果を向上させる”天空槍《マジックランス》”、濃密な気配《オーラ》
「新たな魔族が現れたぞぉぉぉーーーー!!!!」
周囲から、再び悲鳴が上がる。
・私の呟き
「兄貴ィ・・・・・・」
・私の兄、正木野マオ。
一応魔族の年齢では子供に当たるため、魔法少年と呼ばれる。
そもそも魔族は年を取らない。常に、永劫に、その姿。
・兄貴はため息をつく。
「・・・・・・ったく、魔法少女のおめぇが、なぜか人類に味方し、魔族に茶々入れてるって、噂になってんぞ。オレっんとこにも、苦情が入ってきた。」
↕
私は鬱陶しそうに返す。
「何しに来たんだよ、兄貴ィ。ここらは私の領分だ。私が好きにしてたって勝手だろ。」
「領分って・・・・・・すっかり人間に染まっちまったようだなあおめぇ。ただ、仲間になんとかしろって言われて、オレぇも何もせずには帰れねぇ。手合わせ願おうか。」
・私は覚悟を決める
・・・・・・戦うのか・・・・・・あの魔族の神童と。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〝〝〝もはや、箇条書きをしている場合ではない!!!〟〟〟
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私は、本気の気配《オーラ》を開放する。
そして、文章書きに戻す。
「兄貴ィ、悪いけど、兄貴ィ相手に手加減はできない。”本気《マジ》”でやらせてもらうよ。」
周囲の人類は、私の気配を直に受け、次々に吹き飛ばされる。
それを見て、兄貴ィは
「おい!ここでやったら人類に被害が出るっじゃあねーか!!場所ォ移すぞ!」
え?なんで?
ここで戦わないと、人類の皆に私の勇姿を見て貰えないじゃん。
「いや、そもそもおめぇとオレぇとの戦いになれば、そもそも近くの人類など、死滅するだろ!おめぇが守るべき人類(?)にも危害っがでちゃあ、本末転倒っじゃねーか。」
は?マジで何言ってるんだろう。
さすがは魔族、言葉が通じない。
私は、人類の守護者だよ?そして、今人類の脅威として目の前にいる魔族っていうのが、兄貴ィなんだ。
じゃあ、それと戦うのが、今の私の役目。
「おいおいマジかっよぉ・・・・・・これでオレぇら魔族が邪悪なる存在って言われてんの、本当に納得っいかねぇんだけど。」
私は悪辣なる魔族の言葉に耳は傾けない。
相手が圧倒的実力者である以上先制攻撃は必至だ。
わずかの会話で、その準備は整った。
兄貴ィも、私の攻撃の気配に気づく。
「━━━おい、ちょ、待て!分かった、今日はもう止めに・・・・・・」
「インフェルノ・バスター!!」
私の魔法が、兄貴ィを襲う。
それは、火の魔法の最極意。半径10kmに及ぶ火の球が、都市一つを焼却し、灰燼に帰させた。
たとえ火の魔法といえど、その効果は図り知れない。
範囲内の人類の壊滅は必至だ。
だが当然、それで兄貴ィを倒せるはずもない。
「フリーズ・レジオン」
水魔法の応用、氷魔法の最極意により、周囲に広がっていた灼熱の炎は相殺された。
「ったく、やりたい放題しあがって。」
さすがは兄貴ィ、往年の腕、全く衰えていない。
人類から見れば、世紀末の戦いだ。
だが私と兄貴ィでは、これはまだ挨拶変わりに過ぎない。
私は次なる魔法を準備する。
炎そのものは消されたが、周囲はまだ超高温・超高圧環境にある!
「人類の技術の結集を見せてやろう。
再現:核融合、全方位爆裂!!」
これぞまさに、人類の最高火力!
各国が備える核兵器と同等の威力を魔法で再現し、兄貴ィにぶつける。
対して兄貴ィは、動じず淡々と応じる。
「・・・・・・ならばこちらは、魔族の威厳を示そう。
魔力開放:序、魔砲!」
兄貴ィの魔法は、魔族オリジナルのエネルギー、魔魔法だ。
魔力を自然現象や物理現象に変換せず、そのままの形で放つ。
人類には扱えない、理解しえない概念。
その威力は、たとえ序であっても、人類の核兵器に匹敵する!!
━━━結果、またもや相殺された。
「ったく、どっちが正義の味方か分かんねーぞ。その力は、人類の最高傑作であると同時に、忌避の象徴じゃねーっのかよ?
オレぇは別に人類に対して何の感情も抱いてねーっがよ。生きようが、死のうがどうでもいい。
だが、おめぇにとっては、守るべき存在っじゃあねえのかよ?今の二撃で、人類に生存は不可能だぞ。魔族だって、死にはしないが、熱みや痛みや苦しみでしばらく動けねーだろ。」
何度も言わせないでよ、私にとって
人類とは、私を鼓舞し、賛美し、崇拝する存在でしかない。
その対価として、私は人類を守ってあげるのだ。
できる限り、ね。
できることはする。
でも、できないことはできない。
兄貴ィはため息を吐いた。
「ったく、これで満足か? これ以上は国家の存亡に関わるぞ。」
そうだ。
さっきの私の攻撃で、人類の代表としての力は見せつけられた。
だから・・・・・・
「ここからは、”魔法少女”としての力を見せてやる。」
「・・・・・・はあ。」
兄貴ィは、ヤレヤレと首を横に振る。
もう、兄貴ィだけ、”魔”の力を使ってズルいよ。
だから私も、迷いなく実行する。
「魔力開放:破、魔壊‼」
私の魔魔法は、先ほどの兄貴ィの魔法よりもさらに凌駕した、魔に指向性を持たせて、攻撃化させたものを放った。
兄貴ィも、天空槍を振る。
「魔力開放:破、魔壊。」
同じ魔法だ。
であれば、互いの技術の差が勝敗を分ける‼
互いの魔法が衝突する。
・・・・・・
当然、魔法勝負で兄貴ィに敵うはずがない。
私の魔は、兄貴ィの魔によって跳ね返された。
だが、私はもちろんそれを予想していた。
魔法発動後、私は兄貴ィの背後に回りこんでいた。
「━ッ⁉」
兄貴ィが気づく。
だが、もう遅い!
「魔力開放:打、魔拳」
私の魔を纏わせた拳が、そのまま兄貴ィの胴体に直撃した。
兄貴ィは、痛みで顔を歪ませる。
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私と兄貴ィとの戦闘は史上三度ある。
一度目は忘れてしまったが、二度目は、戦いの巻き添えを食らい、恐竜が滅亡してしまった。
後で引力魔法で地球に隕石を落としたり、気候魔法で地球を寒冷化させたりと、証拠隠滅が大変だったものだ。
三度目は私も学んだ。
よって、日本に侵攻しようとしていた「元」という国家の船を沈没させるだけの被害で済ませることができた。
そして今回は。
「「はあはあはあ・・・・・・」」
お互い息も絶え絶えだ。
エリート同士の戦いである、当然だ。
だがついに、兄貴ィは決断したようだ。
「わーった、わーった、今日のところはここで引いてっやる。
だが覚えとけよ?おめぇが魔族に迷惑をかけ続けるっ限り、オレェは何度でもおめぇにお仕置きしに行くっぞ。
覚えときな。」
そう一方的に言い残し、兄貴ィはこの場から姿を消した。
私はその場に、へなへなと座り込む。
良かった・・・・・・なんとか追い返せた・・・・・・
先ほどの魔法は、私の全力だ。
あのまま戦闘を続けていれば、負けていたのは私だったかもしれない。
そして私が倒れれば、兄貴ィ━━正木野マオを止めれる人類は存在しない。
ただ、為す術もなく死滅させられるだけだ。
・・・・・・
せっかく私が頑張ってあげたというのに、鼓舞してくれる人類は周りに一人もいない。
先ほどの戦闘で消し飛んだのだ。
それは別にいいんだけども。
頑張ったリターンが無いことだけが残念だ。
私はしばらくその場から動けずにいたものの、やがて立ち上がり、次こそ兄貴ィを倒せるように、決意を新たにするのであった。
それが、人類の望む、”魔法少女”なのだから。