セイギノ魔法少女   作:零月隼人

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第3章「人類最強」

 忘れかけている人類の皆さんも多いかもしれませんが、私は中学生です。

 なので今日は、私の普段の学校生活についてお話ししましょう。

 というわけで、本日7/28までは、年に一度の体育祭でした。

 人類の生徒の皆さんが、手に汗握り、血涙を流し、這いずり回る、人気No1の学校行事です。

 徒競走、リレー、玉入れ、大玉転がし、綱引き、障害物競走、棒倒し、大縄跳び、2人3脚、デカパン競争、騎馬戦、ダンス、組み体操、借り物競走、パン食い競争、ムカデ競走、立ち幅跳び、走り幅跳び、走り高跳び、棒高跳び、三段跳び、ハードル走、砲丸投げ、円盤投げ、ハンマー投げ、やり投げ、ソフトボール投げ、ハンドボール投げ、シャトルラン、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、サッカー、野球、バスケットボール、バレーボール、バドミントン、テニス、卓球、ゴルフ、ゲートボール、ラグビー、アメリカンフットボール、体操、水泳、空手、柔道、合気道、截拳道、剣道、居合道、相撲、ボクシング、フェンシング、アーチェリー、弓道、スキー、スケート、スノーボード、ソリ

 カバディ、アルティメット、キンボール、インディアカ、ダーツ、ボウリング、モルック

 様々な競技が執り行われます。

 かなりの競技数なので、20日間開催されます。

 私ももちろん、参加します。

 当然、”魔法少女”の力は使いませんよ?

 これは、人類の皆さんを守るための力です。

 ズルのために使ってはいけません。

 そこを間違えれば、私も魔族と呼ばれてしまいます。

 私は人類なのに。

 

 というわけで、体育祭の実況を始めていきましょう!

 まずは開会式から。

 生徒全員の入場、生徒総勢3000名が四方八方からドタドタと入ってきます。

 そして開会宣言。

 それから、校長先生による、1時間58分の開会のお言葉。

 文字数の都合上、ここでは省略します。(後日投稿予定。)

 それから、校長先生による、3時間40分の準備体操。

 御年76歳の老爺が、舞台上を飛び回ります。

 ラジオ体操第1、第2、屈伸、伸脚、アキレス腱、肩入れ、手首足首、

 馬跳び、足跳び、柔軟、

 腕立て伏せ、腹筋、背筋、懸垂、

 

 

 そしてついに、体育祭競技開始。

 生徒達はそれぞれ、事前に決められた競技に参加します。

 私が参加するのは、シャトルランと截拳道、それからモルックです。

 シャトルランとは、ただ20mの区間を、時間内にひたすら行ったりきたりする競技です。

 映えも華やかさも、一切感じられません。

 そして、私は”魔法少女”。

 そもそも、体力は無限大。疲れることはありません。

 畢竟、私が必ず回数一位を取ります。

 まあ、少なくとも、200くらいは走りますかね。

 1000だろうが10000だろうが、余裕ですが。

 私の走りに、体育祭の運営時間が左右されます。

 というわけで、今回も256ほど走りました。

 私に対抗した人類が、何人か心肺停止しましたねえw

 ついでに観客も数人が発狂、その内何名かは熱中症で倒れました。

 まったく、無理をするからですよ。

 私は”魔法少女”

 ただの人類とは次元が違う。

 

 続いて截拳道。1960年代に中国の武道家ブルース・リーによって開発された、実戦的武術です。ニュースポーツと言っても過言ではない。

 截拳道、かなり危険な競技です。毎年必ず死人が出ます。

 だいたい、私の相手です。

 まあ人類が死ぬのは別にどうでもいいのですが。別に普段から魔族によって、人類は殺されているので。

 私は人類ですが。

 競技はトーナメント形式。全30人が出場します。

 序盤で脱落した人は幸せですね。生きて帰れるので。

 截拳道に出るのは、いつもだいたいじゃんけんで負けた人です。

 私は好んで出場しますが。

 

 截拳道は、身体構えと足のステップ、それから相手との距離感が大切な競技です。

 他の武道と違って利き手を前に構えます。身体は横に向け、前手は相手の顔や首を狙い、後ろ手は顎や胸をカバーします。

 で、だいたいの人類は、それらを上手くできないんですね。

 だから、あくまで真似事の範疇を出ない。

 そんな相手に、”魔法少女”たる私が負けるはずがないですよね。

 当然、人類の武道は習得してますとも。

 というわけで、今年も決勝まで駆け上がりました。うちの中学校は截拳道部はありませんので、私の独壇場です。

 

 ニチャア

 

 あれ?今雑音が混じりましたか?

 まあいいや。

 話しを戻して、三つ目はモルックです。

 モルックは、いわゆるニュースポーツと呼ばれるもので、発祥はフィンランドです。

 ルールは、まあ近いもので言うと、ボーリングですね。

 木製の棒で、立ってる棒を倒す競技です。

 この競技、意外と結構危ないんですよね。

 基本、木の棒は明後日の方向に行くので、ほぼ確実に観客に当たります。

 観客はよくて打撲、当たりどころが悪ければ、脳震盪、失明、骨折になります。

 また、校舎側に行けば、基本窓ガラスが割れます。

 毎年10枚以上の被害が出ます。

 まあでも、結構楽しい競技でもあるんですね。

 ピン側の木の棒に当たれば嬉しいですし、外れて観客の人類に当たれば、のたうちまわってる様子が見れて、そそります。

 え?人類の守護者がそんなのでいいのかって?

 やだなあ。今の私は、”魔法少女”ではなく、ただの一般中学生ですよ。

 そんなこんなで、今年のモルックもまた、私は50点取って勝者となり、同時に50人の負傷者を出すこともできました。

 

 そして最後に閉会式。

 なんか生徒数が、半分に減った気がしますねえwww

まあ、スポーツは危険と隣合わせですから。

 しっかりと、実力と覚悟を持って、望みましょうね。

 

 というわけで、体育祭が終わり、いつもの日常が戻ってきた。

 私はといえば、これまた普段通り、魔族を狩る日々。

 今日の相手は、魔法少年。

 と言っても、もちろん兄貴ィじゃないけど。

 どこにでもいる、一般魔族(ゴミ)。

 どうやら人類から攻撃を受けて、頭に血が上り、魔法が暴発しちゃったみたい。

 若さゆえの過ち。

 まあ、永遠に魔法少年は若いけどね。

 すぐに魔法を解除し、必死に謝罪していたけど・・・・・・すでにちょっかいをかけた人類は消し炭になっていた。

 ・・・・・・当然、どんな理由があれ、人類を攻撃しちゃ駄目だよね。

 魔族っていうのは、悪なんだから、肩身の狭い思いをして、生きていかなくてはいけないんだ。

 え、私は人類だよ?

 

 私はいつものように、魔族の背後から急襲する。

「アイス・ブレイク」

 その魔法少年Aは、私の初撃をくらいましたが、すぐに立て直し、私の方へ向いた。

 そして、なぜか手をあわあわとさせ、言い訳する。

「ち、違うんだ!僕は人類を攻撃する意図なんてなかったんだッ!見逃してくれよ、魔法少女マホさんよ。」

“魔法少女”ね。

 なんか、身勝手なことをほざいている。

 私言ったよね?

 魔族に抗弁する権利なんてないって。

 魔族というのは、ただ”魔法少女”たる私に蹂躙されるだけの存在だよw?

 言葉はいらない。

 ただ拳で分からせるだけ。

 私が容赦しないと悟ったようで、Aもしぶしぶ魔法を展開する。

「こ、根源たる炎よ、その姿を現せ、ふぁ、ファイヤーボール・・・・・・」

 ハッ、無詠唱魔法もできないんだ、ダッサw

 Aの、心許ない詠唱で、魔法が発動する。

 ・・・・・・

 なんか、直径2mくらいの小さな火球が飛んできた。

 私はバリアも貼らず、ダイレクトに受けて上げる。

 当然、無傷。

 私、”魔法少女”だからね。

 ゴミ魔法少年ごとき敵ではない。

「あわ、あわわわ・・・・・・」

 私に傷一つ付けられていないことを目の当たりにし、Aは狼狽えた。

 ━━次は、私の番だね。

 私は氷魔法を現出させる。

「零下の氷結内で反省しな、フリーズ・フィールド。」

 Aを、氷結化させる。

「う、うわぁ・・・・・・」

 Aは恐怖で怯える。

 魔族は死なないが、凍らせ身体を固体化することはできる。

 氷漬けされた身体は、二度と元には戻らない。

 この氷は魔法によるものなので、216℃以上で熱しない限り解凍はできない。

 Aには、とても不可能な芸当だろう。

 もう、二度と身体を自由に動かすことはできないね☆

 いつものように、周りから歓声が上がる。

「”魔法少女”が勝ったぞ~!!」

『“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!』

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 

 ある程度の快楽を溜めると、私は現場を離れ、学校へと戻る。

 今、私が”魔法少女”活動を行うために、校内の時間を停止してるんだよね。

 その間に、授業進められるとか、堪ったものではないから。

 でも、あんまり止めすぎると、人類の脳には後遺症残るんよね。

 1時間以上止めてると、脳が爆発して、死者が出るかも。

 だから私は、足早に校舎へ帰った。

 ・・・・・・まあ、人類が何人死のうと、どうでもいいけど。

 

 校舎が近づき、私は変身して、制服姿に戻る。

 そして、何食わぬ顔で、自席へと戻り━━

「現れたな、魔法少女。」

 ―ッ⁉

 突如、背後から声を掛けられた。

 え⁉新たな魔族??

 校内の時間は、未だ停止しているはず。

 人類にそれから逃れる術はない。

 私は咄嗟に振り返る。

「誰!?」

 そこにいたのは、魔族ではなかった。

 どこにでもいる、普通の人間。

「某、仁間(じんま)極(きわみ)と申す。初めましてだな、人類の敵よ。」

 人類の敵?私は”魔法少女”、人類の守護者ぞ。

 何をまかり間違っているのだろうか。

 だが、何よりも・・・・・・

「・・・・・・なぜ、停止していない?」

「簡単な話だ。君が時間停止魔法をかけたのは、あくまで校舎内だけ。魔法発動直前に屋外へと逃げれば、難なく魔法圏外へ逃れられる。」

 なるほど、理屈は通る。

 だが、疑問は残る。

 今の制服姿の私を、”魔法少女”と認知していること、魔法の存在を的確に認識していること、どうも腑に落ちない。

 しかし、相手は待ってはくれない。

「某の全身全霊を持って、貴様に引導を渡してやる!」

 そう言ったかと思うと、突然襲いかかってきた。

 私は咄嗟に腕でガードする。

 仁間の繰り出した技は・・・・・・

 正拳突。

 当然、魔法は使えない。人類なのだから。

 だが、まるで魔法を纏わせたが如く、その拳の威力は絶大であった。

「クッ」

 私は衝撃で、後方へ押し入れられる。

 今の私は”魔法少女”ではなく、普通の女子中学生正木野マホだ。

 そして目の前には、自身が通う校舎。

 ここで再び、”魔法少女”に変身を解くわけにはいかない。

 魔法を使用すれば、この校舎一体に被害をもたらす。

 時間を停止していようが、物理現象は関係ない。

 そして何より・・・・・・“魔法少女”の正体は、絶対にバレてはいけないのだ☆

 つまり、私は、生徒身での戦闘を強いられる。

「まだまだ!」

 仁間は次々に技を披露し、追撃する。

 空手、柔道、合気道、截拳道。

 木刀を持ち、剣道、居合道。

 人類の全ての武道を極め、奮闘していた。

 私も、截拳道で応戦する。これが一番、攻守一体で、相手の攻撃を捌くのには丁度いい。

 たとえ変身を解かずとも、私は”魔法少女”。

 脆弱な人類になど、負けはしないのだ。

 しかし・・・・・・

 この仁間という男は、確実に私を追い詰めていった。

 その姿は間違いなく人類でありながら、魔族にでも対抗できる力を有していた。

 まさしく、人類最強。

 

 

 ━━否、相手のペースに飲まれていた。

 人類最強?その称号は、”魔法少女”たる、私にこそ相応しい。

「さすがだ、仁間極。その強さに敬意を表し、私も全力で相手してやろう。」

 私も、覚悟を決める。

 その雰囲気を感じ取ったのか、仁間もまた、表情を強ばらせた。

「クッ、魔族め。」

 仁間が忌々しく吐き捨てる。

 悪いな、仁間。

 貴様は魔族ではない。

 だが、”魔法少女”たる私が、負けるわけにはいかない。

 ついに私は、変身を解く。

 ━━━圧倒的な実力を、ぶつけることにした。

「魔力開放:序、魔砲!」

 核兵器にも迫る魔魔法、これを受けて生還できる人類はいない!

 それはもはや、人類ではない!!

 私の魔法が、仁間に直撃する。

 それだけではない。

 魔砲の影響は、そのまま周辺建造物にも及んだ。

 すなわち。

 中学校を、消し飛ばした。

 

 本当は、生徒全員滅却なんて真似、したくはなかった。

 だが、仁間という男は、”魔法少女”たる私の脅威になり得た。

 仕方がなかった。

 どうしようもなかった。

 むしろ彼がそうさせたのだ。

 私は真正面を見据え、魔法の効果を確認した。

「はあ、はあ・・・・・・クッソ、魔族め。」

 とてつもない煙の中から、仁間が姿を現す。

 彼の肉体は、未だ健在だった。

 ・・・・・・

 ・・・

 ・

 ━━ッ⁉

 いや、は!?!?

 なんで仁間生きてるの!!??

 私、「:序」とはいえ、魔魔法で消し飛ばしたよね!?

 うん。

 やっぱり仁間、人間じゃないだろ。

 なんで魔魔法耐えられるんだ。

 

 とはいえ。

 もはや満身創痍だったのか、先ほどの一言を漏らし、仁間は地面へ倒れこんだ。

 一応の勝利、但し辛勝。

 私は、仁間の倒体を放置し、今や面影もない我が母校に背を向け、屈辱に震えながら、その場を後にした。

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