セイギノ魔法少女   作:零月隼人

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第4章「ヤンデレ助手」

「ボクを、マホ様の助手にしてください!」

 おうおう、章始まっていきなりどうした。

 今日、朝起きて、魔族も出ないし、自宅でまどろんでいたんだけど・・・・・・

(中学校は消滅したしね。)

 なぜか、ドアをガンガン叩かれて、開けたら開口一番これだ。

「ボクは、マホ様をずっと追いかけてきました。それこそ、第1章の散歩魔人の時から。」

 とりあえず、メタ発言止めようね。

「ボクは、マホ様の顔に惚れました。身体に惚れました。体術に惚れました。魔法に惚れました。

 早く中身を切り刻んで、内臓を取り出したいです。」

 怖ッ⁉

 サイコパスかな?

「そして、マホ様が助手を募集していることを知りました。

 マホ様の助手には、私がふさわしい!だから、魔族を倒した貴女を付けて、ここまでたどり着いたわけです。」

 助手の話、Xでしか募集したことないんだけどな~・・・・・・

 まあそういえば、前章の雑談でも最後ちょっと出したか。

 それにしても。

 私、声援の現場から離れる時、いつも浮遊魔法で飛んで去ってるはずだけど?

 どうやって追いかけてきたの?

「気合で、空を飛びました。」

 何を言ってるの?

 あー、もう殺そうかな~?

 なんか怖いし。

 でも、間違いなく人類なんだよな~

 私の殺意に一切動じることなく、目の前の少女は、私に頭を下げた。

「どうか・・・・・・どうか!私を助手にしてください‼━━”魔法少女”マホ様。」

 ・・・・・・

 ・・・

 ・

 見込みアリ。

 少なくとも、観衆以外で私の事を”魔法少女”と呼んだのは、彼女が初めてだ。

 

 

 少女は正木野カホと名乗った。

 正木野?

 偶然私と同じ名字だったのかな?そんなまさか、

「マホ様に憧れて、姓を変えました!ボク達、もう家族なんで‼」

 ・・・・・・

 すでにちょっと受け入れたことを後悔しつつあるが。

 ともかく!

 まずは、彼女がどのくらい戦えるかを見ないといけない。

“魔法少女”の一番の仕事は、魔族退治だ。

 人類を瞬殺できるような存在である魔族を、こちらは圧倒しなければならない。

 そんなことを、はたして人類の少女に本当に可能なのだろうか?

 できるとすれば、先日会った仁間くらいだろう。

 私は、”魔法少女”の姿に変身を解くと、そのまま自宅のベランダから浮遊魔法で飛び出した。

 カホはというと。

 なんか手持ちのバックから私の姿によく似た衣装を取り出した。

それを瞬時に、着用する。

 そして・・・・・・

「えい!」

 普通に空を飛んできた。

 それは間違いなく浮遊魔法で・・・・・・

「なぜ人類の貴女が魔法を使えるの?」

「愛の力です!」

 カホは笑顔で言い放った。

 愛って怖い・・・・・・

 

 え?

 私は人類だよ?

 

 今日も今日とて、魔族が町にいた。

 魔人だ。

 人々に恐怖心を与えていた。

 これは、罪だね。

 魔族っていうのは、人を畏怖させてはならないんだから。

 魔人は私達を視認し、声を上げる。

「お前、噂に名高き”魔法少女”か!待ってくれ、俺は何もしていない!!」

 私は無視する。

 言い訳は聞くだけ無駄だ。

 そもそも魔族は、存在しているだけで罪なんだから。

 私はカホに告げる。

「それじゃあ今から、私の助手にふさわしいかテストするね。

 あの目の前の魔人と戦ってみて。勝てなくてもいいから、できる限り頑張って。

 危なくなったらサポートするから。」

「分かりました!」

 人類にとっては、魔族を相手するのは危険極まりないが、まあ大丈夫でしょ。

 別にカホが亡骸になっても、特に問題はないし。

 私の裏の思考に構わず、カホはその魔人と相対する。

 魔人は首を捻る。

「お前、誰だ?」

「ボクは”魔法少女”マホ様の助手、”魔法少女”カホ‼

 マホ様の手を煩わせる愚者は、このボクが排除する!!」

 まだ助手だと認めてはないけどね。

 カホは身体強化魔法を発動した。そして、手にはナイフを持つ。

 いろいろ突っ込みどころはあるけど、まあいい。

 魔人は怪訝な顔をする。

「まさか・・・・・・俺と近接でやり合う気か。」

「はい!マホ様も、第1章では主に近接で殴ってたから。」

 メタ発言やめようね。

 そして戦闘が始まった。

 さすがに、余裕とはいかない。

 カホの攻撃を、魔人は肘でガードした。そしてカホにストレートを食らわせようとする。

 カホはそれを避ける。

 そして、ナイフで魔人に切りつける。しかし魔人は傷を、瞬く間に治癒させた。

 ほぼ互角の戦闘が繰り広げられていた。

 ・・・・・・

 さすがに、私に比べたら弱い。

 だが、それはあくまで”魔法少女”換算としての評価だ。

 人類にしてはあり得ないくらい強い。

 仁間と戦ったら、はたしてどちらに軍配が上がるだろうか。

 カホも魔人も両者傷つく。

 疲弊が蓄積する。

 息切れを起こす。

 満身創痍になる。

 だが、カホはそれでも立ち上がる。

「これが”魔法少女”!これが愛の力!」

 ・・・・・・愛ってなんだっけ?

 魔人は狼狽する。

「なんだコイツ・・・・・・」

 それについては激しく同意だ。

 やがて魔人が両手を上げる。

「分かった、降参だ。もう人類には攻撃しない!攻撃してないけど!!」

 そう言って、その場を後にしようとした。

 だがま、私達の視界にいる間は敵だ。

 カホはその後ろ姿をひたすら切りつけ続け、距離が離れれば光弾魔法で遠距離射撃した。

 魔人が完全にその場からいなくなると。

「「「うおー!勝った~~~!!新しい”魔法少女”が勝ったぞ~~~!!

“魔法少女”! “魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━」

 観衆から声が上がる。

 しかし。

 「マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡」

 その歓声をも遮る大声で、カホは私の名を叫んだ。

 あまり私の名を連呼しないでほしい。普通にこんな痛い子に呼ばれるのは恥ずかしいから・・・・・・

「ボクはあくまで助手。全ての栄光はマホ様に、勝利を御身に!!」

 うおぉーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!

 人類から拍手が巻き起こる。

 ・・・・・・

 これはこれでいいな。

 私は戦わずとも、名声を得られることとなった。

 最高の助手だ。

 当然、正式採用を━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「魔力開放:刺、魔槍」

 

 

 その場に、決して大きくない、しかしその場の全員の背筋を凍らせるような、低音が響いた。

 私は咄嗟に、最強の防御魔法を展開する。

「魔力開放:防、魔壁」

 私とカホを覆う、魔魔法の壁が出現し、彼の魔法を相殺した。

 そう彼、兄貴ィこと、正木野マオの━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「フッ、相変わらずやるっなあ、おめぇ。」

「そっちこそ、挨拶代わりには殺意が高すぎるんじゃない?」

 反応が遅れたカホであったが、すぐにレスバに参加する。

「現れたね、マホ様を邪魔する怨敵、正木野マオ‼」

 そしてナイフを構える。

 兄貴ィは戸惑う。

「誰っだあ、おめぇ?」

「ボクは、"魔法少女"マホ様の助手、"魔法少女"カホ!!」

 カホは兄貴ィにも臆さず、名乗りを上げる。

 いや、だからまだ助手とは認めてないのよ。

 正式採用目前ではあったけど。

「フッ、オレっを前にして、いい度胸っじゃあーねえか。ただっの人類のくせによぉー」

 兄貴ィに馬鹿にされたことに憤慨したのか、カホは血気迫る様子で近づく。

「相手に取って不足無し‼」

 いや、不足はあるよ、さすがに。

 私はカホの前に出る。

「大丈夫、さっきの魔人との戦いで、満身創痍でしょ。貴女は休んでなさい。」

「いや、ここはボクが・・・・・・」

「兄貴ィは私が相手する、今度こそ引導を渡してやる!!」

 私は拳を構える。

 対して、兄貴ィも、天空槍を構え直した。

 カホはというと、目を輝かしていた。

「承知しました!それではこのカホ、マホ様の勇姿から学ばせていただきます!

(マホ様の戦いがこんな間近で見れる!なんて役得な!!)」

 感動しているようだが、そっちは気にしないようにした。

 今は兄貴ィに集中しないと・・・・・・

 勝負は唐突に始まる。

 

「魔力開放:打、魔拳」

「魔力開放:刺、魔槍」

 

(以下略)

 

 数発の魔魔法を打ち合う。

 そして最後の結果はいつも同じだ。

 

「魔力開放:破、魔壊‼」

「魔力開放:破、魔壊‼」

 

 また一都市が消滅した・・・・・・

 

 

 一通りいつもの打ち合いが終わると。

 兄貴ィが口を開いた。

「あーやめだやめ!今日はちょっとちょっかいかけっーただけで、別に決着つけに来たわけっじゃーねーし。」

 その割には、けっこう本気だったけどね。

「おめぇが本気っだったからだよ!」

「じゃあ、さっさと私にやられればいいじゃん。」

「ふざっけんなよ。なんでオレっが、おめぇに負けてやらなきゃいけねーんだ!」

 でも、結果また一都市滅んでるし。

 兄貴ィも大概だな。

「いいっ加減にしとけよッ?

・・・・・・まあいい。今日はおめぇに頼みっがあってきたんだ。」

 頼み?

「ああ、Q県に、()()()()()っが現れてな。おめぇは正義の味方を騙る魔族。おめぇに頼んで、なんとかっしてもらうのが道理かと思ってな。」

 ああ、ただの魔族退治の依頼か。

 魔族が邪悪なのは、当たり前のことじゃないか。

 あと、私は人類ね。

「普通の魔族じゃっねーぞ。普段おめぇが、魔族に貼ってるレッテルをそのまま体現した、何ならそれをも超える劣悪さと言っていい。」

 ほう。なら、倒しがいがあるね。

「・・・・・・報酬は?」

「・・・・・・おめぇ、正義の味方気取ってるくせに、報酬取るのか。」

 兄貴ィはため息をつき、続けた。

「ソイツを倒したら、いつも以上に人類から声援が聞こえるっぞー それだけでおめぇにとっちゃあ十分だろ。」

 声援?名声?

 最高の報酬だ。

 悩んでいる暇はない。

 さっそく魔族退治に取りかかるとしよう。

「・・・・・・ちょれえ・・・・・・」

 なんか言った?

 

 

 私はカホを連れて、そのままQ県に直行した。

 途中、何体かのザコ魔族に出会ったが、片手間で痛めつけておいた。

 そして、Q県の中央上空までたどり着く。

 ・・・・・・

 見当たらない。

 兄貴ィが邪悪というくらいだから、さぞかし暴虐の限りを尽くしているのだと思ったが・・・・・・

 カホが聞いてくる。

「どうします?手分けして町を捜索しますか?」

 う~ん・・・・・・

 めんどいな。

 隠れ潜んでいる?縄張りという意識を持たない魔族が?

 いっそ、Q県全体を、魔力開放で焼き払ってもいいかな?

 それだけ巨悪な魔族だと言うなら、人類の犠牲も無駄ではないだろう。

 ━━━と。

 突然カホが、何かに吸い寄せられるように、地上へと降り立った。

「どうしたの?」

「いえ、何か微かに声が聞こえた気がして。」

 ふむ。

 まあ、彼女なりに何か感じるものがあったのだろう。

 変わり者とは言っても、女子中学生。多感な時期だ。

 もしかしたら、何か手がかりを掴んでくるかもしれない。

 カホは私の助手候補。

 私のために働くことは当然のことだ。

「いいよ。私は私で、魔族を狩りながら、捜索を続けるから。」

 私はカホを自由に動かせることにした。

「ありがとうございます!ぜひとも、マホ様の栄光にご助力したく思います!!勝利を、御身に。」

 そう言うカホの表情は、笑顔でありながらも、どこか緊張の面持ちであった。

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