「ボクを、マホ様の助手にしてください!」
おうおう、章始まっていきなりどうした。
今日、朝起きて、魔族も出ないし、自宅でまどろんでいたんだけど・・・・・・
(中学校は消滅したしね。)
なぜか、ドアをガンガン叩かれて、開けたら開口一番これだ。
「ボクは、マホ様をずっと追いかけてきました。それこそ、第1章の散歩魔人の時から。」
とりあえず、メタ発言止めようね。
「ボクは、マホ様の顔に惚れました。身体に惚れました。体術に惚れました。魔法に惚れました。
早く中身を切り刻んで、内臓を取り出したいです。」
怖ッ⁉
サイコパスかな?
「そして、マホ様が助手を募集していることを知りました。
マホ様の助手には、私がふさわしい!だから、魔族を倒した貴女を付けて、ここまでたどり着いたわけです。」
助手の話、Xでしか募集したことないんだけどな~・・・・・・
まあそういえば、前章の雑談でも最後ちょっと出したか。
それにしても。
私、声援の現場から離れる時、いつも浮遊魔法で飛んで去ってるはずだけど?
どうやって追いかけてきたの?
「気合で、空を飛びました。」
何を言ってるの?
あー、もう殺そうかな~?
なんか怖いし。
でも、間違いなく人類なんだよな~
私の殺意に一切動じることなく、目の前の少女は、私に頭を下げた。
「どうか・・・・・・どうか!私を助手にしてください‼━━”魔法少女”マホ様。」
・・・・・・
・・・
・
見込みアリ。
少なくとも、観衆以外で私の事を”魔法少女”と呼んだのは、彼女が初めてだ。
少女は正木野カホと名乗った。
正木野?
偶然私と同じ名字だったのかな?そんなまさか、
「マホ様に憧れて、姓を変えました!ボク達、もう家族なんで‼」
・・・・・・
すでにちょっと受け入れたことを後悔しつつあるが。
ともかく!
まずは、彼女がどのくらい戦えるかを見ないといけない。
“魔法少女”の一番の仕事は、魔族退治だ。
人類を瞬殺できるような存在である魔族を、こちらは圧倒しなければならない。
そんなことを、はたして人類の少女に本当に可能なのだろうか?
できるとすれば、先日会った仁間くらいだろう。
私は、”魔法少女”の姿に変身を解くと、そのまま自宅のベランダから浮遊魔法で飛び出した。
カホはというと。
なんか手持ちのバックから私の姿によく似た衣装を取り出した。
それを瞬時に、着用する。
そして・・・・・・
「えい!」
普通に空を飛んできた。
それは間違いなく浮遊魔法で・・・・・・
「なぜ人類の貴女が魔法を使えるの?」
「愛の力です!」
カホは笑顔で言い放った。
愛って怖い・・・・・・
え?
私は人類だよ?
今日も今日とて、魔族が町にいた。
魔人だ。
人々に恐怖心を与えていた。
これは、罪だね。
魔族っていうのは、人を畏怖させてはならないんだから。
魔人は私達を視認し、声を上げる。
「お前、噂に名高き”魔法少女”か!待ってくれ、俺は何もしていない!!」
私は無視する。
言い訳は聞くだけ無駄だ。
そもそも魔族は、存在しているだけで罪なんだから。
私はカホに告げる。
「それじゃあ今から、私の助手にふさわしいかテストするね。
あの目の前の魔人と戦ってみて。勝てなくてもいいから、できる限り頑張って。
危なくなったらサポートするから。」
「分かりました!」
人類にとっては、魔族を相手するのは危険極まりないが、まあ大丈夫でしょ。
別にカホが亡骸になっても、特に問題はないし。
私の裏の思考に構わず、カホはその魔人と相対する。
魔人は首を捻る。
「お前、誰だ?」
「ボクは”魔法少女”マホ様の助手、”魔法少女”カホ‼
マホ様の手を煩わせる愚者は、このボクが排除する!!」
まだ助手だと認めてはないけどね。
カホは身体強化魔法を発動した。そして、手にはナイフを持つ。
いろいろ突っ込みどころはあるけど、まあいい。
魔人は怪訝な顔をする。
「まさか・・・・・・俺と近接でやり合う気か。」
「はい!マホ様も、第1章では主に近接で殴ってたから。」
メタ発言やめようね。
そして戦闘が始まった。
さすがに、余裕とはいかない。
カホの攻撃を、魔人は肘でガードした。そしてカホにストレートを食らわせようとする。
カホはそれを避ける。
そして、ナイフで魔人に切りつける。しかし魔人は傷を、瞬く間に治癒させた。
ほぼ互角の戦闘が繰り広げられていた。
・・・・・・
さすがに、私に比べたら弱い。
だが、それはあくまで”魔法少女”換算としての評価だ。
人類にしてはあり得ないくらい強い。
仁間と戦ったら、はたしてどちらに軍配が上がるだろうか。
カホも魔人も両者傷つく。
疲弊が蓄積する。
息切れを起こす。
満身創痍になる。
だが、カホはそれでも立ち上がる。
「これが”魔法少女”!これが愛の力!」
・・・・・・愛ってなんだっけ?
魔人は狼狽する。
「なんだコイツ・・・・・・」
それについては激しく同意だ。
やがて魔人が両手を上げる。
「分かった、降参だ。もう人類には攻撃しない!攻撃してないけど!!」
そう言って、その場を後にしようとした。
だがま、私達の視界にいる間は敵だ。
カホはその後ろ姿をひたすら切りつけ続け、距離が離れれば光弾魔法で遠距離射撃した。
魔人が完全にその場からいなくなると。
「「「うおー!勝った~~~!!新しい”魔法少女”が勝ったぞ~~~!!
“魔法少女”! “魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━」
観衆から声が上がる。
しかし。
「マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡」
その歓声をも遮る大声で、カホは私の名を叫んだ。
あまり私の名を連呼しないでほしい。普通にこんな痛い子に呼ばれるのは恥ずかしいから・・・・・・
「ボクはあくまで助手。全ての栄光はマホ様に、勝利を御身に!!」
うおぉーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!
人類から拍手が巻き起こる。
・・・・・・
これはこれでいいな。
私は戦わずとも、名声を得られることとなった。
最高の助手だ。
当然、正式採用を━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「魔力開放:刺、魔槍」
その場に、決して大きくない、しかしその場の全員の背筋を凍らせるような、低音が響いた。
私は咄嗟に、最強の防御魔法を展開する。
「魔力開放:防、魔壁」
私とカホを覆う、魔魔法の壁が出現し、彼の魔法を相殺した。
そう彼、兄貴ィこと、正木野マオの━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「フッ、相変わらずやるっなあ、おめぇ。」
「そっちこそ、挨拶代わりには殺意が高すぎるんじゃない?」
反応が遅れたカホであったが、すぐにレスバに参加する。
「現れたね、マホ様を邪魔する怨敵、正木野マオ‼」
そしてナイフを構える。
兄貴ィは戸惑う。
「誰っだあ、おめぇ?」
「ボクは、"魔法少女"マホ様の助手、"魔法少女"カホ!!」
カホは兄貴ィにも臆さず、名乗りを上げる。
いや、だからまだ助手とは認めてないのよ。
正式採用目前ではあったけど。
「フッ、オレっを前にして、いい度胸っじゃあーねえか。ただっの人類のくせによぉー」
兄貴ィに馬鹿にされたことに憤慨したのか、カホは血気迫る様子で近づく。
「相手に取って不足無し‼」
いや、不足はあるよ、さすがに。
私はカホの前に出る。
「大丈夫、さっきの魔人との戦いで、満身創痍でしょ。貴女は休んでなさい。」
「いや、ここはボクが・・・・・・」
「兄貴ィは私が相手する、今度こそ引導を渡してやる!!」
私は拳を構える。
対して、兄貴ィも、天空槍を構え直した。
カホはというと、目を輝かしていた。
「承知しました!それではこのカホ、マホ様の勇姿から学ばせていただきます!
(マホ様の戦いがこんな間近で見れる!なんて役得な!!)」
感動しているようだが、そっちは気にしないようにした。
今は兄貴ィに集中しないと・・・・・・
勝負は唐突に始まる。
「魔力開放:打、魔拳」
「魔力開放:刺、魔槍」
(以下略)
数発の魔魔法を打ち合う。
そして最後の結果はいつも同じだ。
「魔力開放:破、魔壊‼」
「魔力開放:破、魔壊‼」
また一都市が消滅した・・・・・・
一通りいつもの打ち合いが終わると。
兄貴ィが口を開いた。
「あーやめだやめ!今日はちょっとちょっかいかけっーただけで、別に決着つけに来たわけっじゃーねーし。」
その割には、けっこう本気だったけどね。
「おめぇが本気っだったからだよ!」
「じゃあ、さっさと私にやられればいいじゃん。」
「ふざっけんなよ。なんでオレっが、おめぇに負けてやらなきゃいけねーんだ!」
でも、結果また一都市滅んでるし。
兄貴ィも大概だな。
「いいっ加減にしとけよッ?
・・・・・・まあいい。今日はおめぇに頼みっがあってきたんだ。」
頼み?
「ああ、Q県に、
ああ、ただの魔族退治の依頼か。
魔族が邪悪なのは、当たり前のことじゃないか。
あと、私は人類ね。
「普通の魔族じゃっねーぞ。普段おめぇが、魔族に貼ってるレッテルをそのまま体現した、何ならそれをも超える劣悪さと言っていい。」
ほう。なら、倒しがいがあるね。
「・・・・・・報酬は?」
「・・・・・・おめぇ、正義の味方気取ってるくせに、報酬取るのか。」
兄貴ィはため息をつき、続けた。
「ソイツを倒したら、いつも以上に人類から声援が聞こえるっぞー それだけでおめぇにとっちゃあ十分だろ。」
声援?名声?
最高の報酬だ。
悩んでいる暇はない。
さっそく魔族退治に取りかかるとしよう。
「・・・・・・ちょれえ・・・・・・」
なんか言った?
私はカホを連れて、そのままQ県に直行した。
途中、何体かのザコ魔族に出会ったが、片手間で痛めつけておいた。
そして、Q県の中央上空までたどり着く。
・・・・・・
見当たらない。
兄貴ィが邪悪というくらいだから、さぞかし暴虐の限りを尽くしているのだと思ったが・・・・・・
カホが聞いてくる。
「どうします?手分けして町を捜索しますか?」
う~ん・・・・・・
めんどいな。
隠れ潜んでいる?縄張りという意識を持たない魔族が?
いっそ、Q県全体を、魔力開放で焼き払ってもいいかな?
それだけ巨悪な魔族だと言うなら、人類の犠牲も無駄ではないだろう。
━━━と。
突然カホが、何かに吸い寄せられるように、地上へと降り立った。
「どうしたの?」
「いえ、何か微かに声が聞こえた気がして。」
ふむ。
まあ、彼女なりに何か感じるものがあったのだろう。
変わり者とは言っても、女子中学生。多感な時期だ。
もしかしたら、何か手がかりを掴んでくるかもしれない。
カホは私の助手候補。
私のために働くことは当然のことだ。
「いいよ。私は私で、魔族を狩りながら、捜索を続けるから。」
私はカホを自由に動かせることにした。
「ありがとうございます!ぜひとも、マホ様の栄光にご助力したく思います!!勝利を、御身に。」
そう言うカホの表情は、笑顔でありながらも、どこか緊張の面持ちであった。