セイギノ魔法少女   作:零月隼人

6 / 7
第5章「サイコパス魔族」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(月隼人代筆)

 マホと別れたカホは、声の聞こえる方へと足を進めた。

 というのも。

『”魔法少女”に興味はないかい?』

 そんな声が脳裏に響いた気がしたからである。

“魔法少女”

 それはまさしく、自身が崇める対象の姿。

 傍に仕えれば、自分も同じようになれると思っていた。

 しかし、先ほどの魔法少女マホと魔法少年マオの戦いを見て、痛感した。自分は彼女らの、足元にも及ばない。

 どんなに努力しても、マホと同じになることはできないと。

 だからこそ。

 僅かな可能性であっても、カホはそれにすがりたかった。憧れと、同じフィールドに立ちたかった。

 もっとも。

 人類であるはずなのに魔法が使えている時点で、彼女は十分おかしいのであるが。

 

 カホは声を頼りに足を進め、そしてついに見つけた。

“それ”は、真っ白の、猫のような縫いぐるみであった。

 カホは声をかける。

「さっきから、ボクの脳裏に語りかけてるのは、あなた?」

 その縫いぐるみから、音声がする。

『この世に蔓延る魔族。人類は次第に淘汰され、近い将来、自然の摂理の元滅びるであろう。

 だが、君なら運命を変えられる。そのための力を、我が与えてやろう。』

 その声は、人間離れしていて、まるでコンピューター音声であった。

 しかし、今のカホの心には響いた。

「その力があれば・・・・・・私は”魔法少女”に、マホ様に!並び立てるんだね⁉」

 カホの言葉の勢いは凄まじかった。

 だが、その縫いぐるみは一歩も引かず、力強く答えた。

『君なら、できるさ。だから我と契約して、“魔法少女”になれ!!』

 次の瞬間、彼女はあまりの痛さに呻く。

 彼女の身体が、変質していた。

 肉体が魔法に、適応していったのであった・・・・・・

 やがて、変化が終了する。

 カホは、確実に魔法と適合したことを実感する。

 今なら・・・・・・

「魔力開放も使えるかな?」

『それは無理だ』

 

 

 それから一週間。

 カホはその縫いぐるみ━━マゴウの指示に従い、魔族狩りを続けていった。

 前より格段に、魔法が使いやすくなっている。

 そういえば、なぜかマホとは遭遇していない。

「”魔法少女”カホ、参上!!」

 今日の相手は、水属性の魔法を使う、魔女であった。

 どうやら、転んで思わず涙を流したら、町に洪水を起こしたようだ。

 カホは、そのまま高速移動魔法+飛行魔法で急速接近した。

 カホの接近を感知した魔女は、こちらを向いた。

「貴女は・・・・・・昨今評判の正義の味方気取りの魔法少女か⁉ いまいましい、ただちょっと痛くて涙を流しただけなのに━━━」

 対してカホは無視して言葉を紡いだ。

「マホ様はおっしゃった。魔族は、存在そのものが罪であると。魔族は、肩身の狭い思いをして、ただ蹂躙されなければいけない存在なんだって。

マホ様の名の下に、この”魔法少女”カホが、貴様を成敗する!」

 そしてカホは、火の魔法を行使した。

 魔女に向かい、火の球の連撃を食らわせる。

 それだけだと、水の魔女(仮)には相性が悪いが・・・・・・

「小娘風情が生意気な。ウォーターバリア!」

 魔女は水の魔法でシールドを作り、カホの攻撃を吸収した。

「なるほど、モブにしてはやるね。なら・・・・・・」

 カホは、火の魔法を応用し、爆発魔法を発動させた。

「ッ!うわァ」

 水と爆発が混じり合い、水蒸気爆発を起こし、爆風が魔女の身体に届く。

 その機に、カホは急速接近した。

「やっぱりマホ様のようにゼロ距離がいいよね。」

 カホは防御できない距離まで接近し、そのまま愛用のナイフで魔女に切りつけた。

「ナイフごときで私を・・・・・・━━っな⁉」

 そのナイフにもまた、魔法が込められていた。

 次の瞬間、この水の魔女(仮)の身体は、バラバラに切り裂かれた。

 当然、魔族だから死ぬことはない。

 だが、ここまで分解されれば、再生するのは容易ではない。

 ここに、”魔法少女”カホの勝利が確定した。

 周りからは、歓声が広がる。

「“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!」

 カホはその声に、心の中で応える━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡マホ様♡)

 

 

 ━━その時、マゴウが口を開いた。

『カホよ。愛しのマホ様に会いたいか?』

 その言葉に、カホはすぐ吸い寄せられた。

「会いたい!最近の魔族退治でも、お会いすることなかったし!」

 しかし次の瞬間、カホは目を疑うものを見せられた。

 それは、両手両足を切断され、”魔法少女”の姿のまま胴体を鎖で縛られた、マホの悲痛な姿の写真であった。

 それを見て、カホは激昂する。

「ッ⁉どういうこと!!??あなたは、”魔法少女”の味方なんじゃ!?」

 マゴウは無慈悲に続ける。

「推しを救いたくば、我についてこい。さもなくば、二度と貴様は、彼女と会うことは叶わない。」

 怪しい言葉だ。

 普段のカホであれば、耳を貸すこともなかったであろう。

 しかし、今のマゴウには、なぜか従わせる迫力があった。

 カホは無抵抗のまま、マゴウの展開した、異空間へ繋がる穴へと入る。

 

 

 地獄の、始まりであった。

 

 

 カホが導かれた異空間に入ると。

 そこには、目の疑う光景が広がっていた。

「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 思わず悲鳴を上げる。

 そこには、十数人の”魔法少女”が、一糸まとわぬ状態のまま、両腕両足を切断され、椅子に縛り付けられて、並んでいた。

 マゴウは無慈悲につける。

『安心しろ。貴様もすぐに仲間入りだ。』

 カホは、マゴウへの憎悪を抑えきれず、思わず光弾魔法を乱れ討った。

 だが、マゴウは軽やかに避ける。

 カホに自分は殺せないと、そう身体が示していた。

 カホはそれでもマゴウを睨み、精一杯叫ぶ。

「マホ様は⁉」

 対してマゴウは、冷徹に告げる。

『無駄だよ。もう食ってしまった。』

 その一言に、カホは絶望する。

 そして。

 

()()()()()

 

 その一言で、身体が固まってしまう。

 洗脳魔法だ。

 マゴウは、カホが静かになったのを確認すると、次の命令を下す。

 

()()()()()()()

 

 カホは、逆らえない。

 マゴウの思惑通りに、身体が動いてしまう。

 まず、上の衣装と下のスカートを脱ぐ。

 中から下着姿が露わになる。

 だが、手は止まらない。

 感情は別であるため、赤面しながらも、カホは下着をも外した。

 そして、、、他の少女らと同じように、生まれたままの姿となった。

 すると。

 マゴウの姿が変化する。

 四足歩行のマスコットだったものが・・・・・・二本の足で立ち、そして巨大化する。

 その姿は紛れもなく・・・・・・

「魔人・・・・・・ッ」

 カホの絶望した声が、当たりに響く。

 次の瞬間。

 マゴウの斬撃魔法が飛ぶ。

 カホは避けることも叶わず・・・・・・他の少女と同じように、両手両足を欠損した。

 そしてそのまま、拘束魔法によって、やはり椅子に縛り付けられる。

 カホが完全に抵抗できない状態になったのを確認すると。

 マゴウは、別の椅子の、”魔法少女”だった少女を一人、手に取った。

「ーッ⁉いや、やめてぇ!」

 その少女から悲鳴が上がる。

 その声を気にも掛けず、マゴウは彼女の股部にかぶりついた。

「ああ、あッ」

 そして。

 バリバリバリバリ。

 カホの前で食し始めた。

 その少女の断末魔が、あたり一面に響く。

「━━ッ!━━ッ!」

 カホもまた、言葉にならない悲鳴を上げる。

 腸をかみ砕き、腹を捌き、胃を食べ、肝臓を食らい、心臓へとたどり着く。その時点でその少女は絶命に至るが、食事は終わらない。

 両胸を飲み込み、肺を取り出す。首に到達し、顎を砕く。口を、頬を、鼻を、耳を、両目を、そして最後に頭を、一つ残らず平らげた。

 最後に。

「ごちそうさまでした」

 どうやら、人間の文化も、この魔人には根付いているらしい。

 この光景を目の当たりにし、カホは意識が朦朧とする。

 魔族にとって、食事は不要。

 つまりこの魔人は、ただ自分を絶望させるため、自身の愉悦のためだけに、一人の少女を目の前で食ってみせた。

 完全なる邪悪。

 巨悪。

 クズ。

 サイコパス。

 他の魔族にない、圧倒的な「悪」がそこには感じられた。

 もはや、カホに抵抗は不可能。

 数日後、同じ現象が、自分の身に起こる。

 現実逃避すら、叶わなかった。

 すでに主はこの世を去り、自身もまたこの姿。

 カホは全てに絶望し、自殺を試みる。

 すでに両手両足がないため、できることは少ない。

 だが、舌をかみ切ることはできる。

 覚悟を決め、実行しようとする。

 しかし。

()()()

 その一言で、カホは自殺を断念せざるを得なくなった。

 自慰も自傷も自殺もできない。

 マゴウの支配は絶対だ。

 何人たりとも、逆らうことは不可能。

 

 さらにマゴウは、次なる命令を下す。

()()

 そして、カホの右腕だったものを差し出した。

 カホは口を閉ざしたい。

 だが、その意に反して、カホは口を大きく開いてしまう。

 マゴウは、その口に、彼女の右腕だったものを詰め込んだ。

 カホは吐き出そうとするが、それも許されない。

 ひたすら噛み、飲み込むことを強要される。

 口には、人肉の悪味が広がる。

 胃に拒絶反応を感じる。

 ほぼ錯乱状態になりながらも、カホは何とか、右腕を完食した。

 するとマゴウが、告げる。

『次は、左腕だ。』

 カホの地獄はまだまだ続く。

 

(代筆終了)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。