セイギノ魔法少女   作:零月隼人

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第6章「やっぱりセイギ」

カホと別れてから一週間後。

 私はひたすら、県内の魔族狩りを続けた。

 そうすればいずれ目的の魔族と出会えると思っていたが・・・・・・未だそれには遭遇しなかった。

 今日も今日とて、私は魔族を血祭りに上げる。

 重力魔法で、魔族の身体を押しつぶした。

 周囲からはいつも通り歓声が広がる。

「“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!」

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 

 

 そこへ。

『”魔法少女”に興味はないかい?』

 

 

 私の脳裏に、声が響く。

 その声に、私は応える。

「すでに魔法少女ですが、何か?」

『・・・・・・』

 その声はしばし沈黙し、やがて言葉を続けた。

『この世に蔓延る魔族。人類は次第に淘汰され、近い将来、自然の摂理の元滅びるであろう。

 だが、君なら運命を変えられる。そのための力を、我が与えてやろう。』

 その声は、人間離れしていて、まるでコンピューター音声であった。

 当然、私の心には響かなかった。

「知っている。だから私という”魔法少女”が存在する。私こそが人類の守護者、私こそが救世主!」

『・・・・・・』

 そして、私は、声のする物体の所在を見つける。

“それ”は、真っ白の、猫のような縫いぐるみであった。

 うん。

 魔族だな。

 私は魔法を展開する。

『ちょ、ちょっと待ってくれ!我は、マゴウ。君のような人類の少女に、”魔法少女”の力を与え、魔族と戦っている者だ。』

 お、私のことを人類と認めたな。

 そこだけは評価できる。

 だが、魔族は、存在そのものが罪だ。

 残念だが、排除しなければならない。

『た、頼む!私は自身の存在そのものが悪であることを認識している!だが、その贖罪として、”魔法少女”を支援しているんだ!』

「じゃあまず、私に洗脳魔法をかけようとすることはやめようか?」

『ッ⁉』

 マゴウの図星を付く。

 まさか私が、気づかないとでも思った?

 ・・・・・・

 マゴウは、ゆっくりと180°転回した。

 そして。

 ダッ!

 一目散に走り出した。

 ・・・・・・

 アイツ、逃げたな。

 私は浮遊魔法で上昇し、光弾魔法を乱れ討ちした。

 数弾命中する。

『ヤ、ヤメテ・・・タスケテ・・・』

 マゴウが横たわる。

 私は急速接近し、殴打でトドメを刺そうとする。

 しかし次の瞬間━━

 グィン

 突然、マゴウの下部に、異空間のゲートが開いた。

「―ッ!」

 逃げられる、そう思い、私は再び光弾魔法を乱れ撃つ。

 だが、魔法はゲートに吸収される。

 そしてそのまま、マゴウはゲート内へ落ちていった。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(月隼人代筆)

 

 マゴウは、自室に降り立ち、本来の魔人の姿へと戻る。

 すでに傷は完治させた。

 そして、四肢欠損上体で放心状態のカホに語りかける。

「全く、非道い目にあったよ。厄介な魔族に追いかけられた。」

 その言葉は、カホの耳には届かない。

 すでに、自我すら失われつつあった。

 カホはただ、自身が食される日を、ひたすら待ちわびていた。

 この空間は時の流れも拡張しているようで、この監禁所に来てから、1週間、あるいは1ヶ月、あるいは1年経ったようにも感じられる。

「殺してください・・・・・・食べてください・・・・・・」

 カホはひたすら、マゴウに懇願する。

 そう言うカホを見て、マゴウは嗤い、また別の"魔法少女"であったものに手をかける。

 「ーッ⁉やめて!私を食べないで・・・・・・」

その少女から悲鳴が上がる。

 カホは、今日ではなかったか、と惜しみ目を伏せる。

 いつも通り、元"魔法少女"の阿鼻叫喚と、凄惨な食事現場が、当たり一面に広がった。

 カホも変わらず、苦痛で顔を歪ませる。

 

 

 そこへ・・・・・・

 

 突如として、異空間が決壊する。

『何ッ⁉』

 マゴウが驚きを露わにする。

 上部より、先ほど急襲された、”魔法少女”マホが、降臨したのである。

 マホの姿を見、カホの目に、若干光が宿る。

(・・・・・・マホ、様⁉)

 すでに食ったと聞かされていた、自身の憧れ。

 もう自身の縋れる者は誰もいない、助けはこない、そう思っていた。

 まさか虚偽であったとは・・・・・・思いにも寄らなかった。

 マホは口を開く。

「ほんと、この異空間を探すのは苦労したよ。空間魔法の展開場所認知計算は、私の苦手分野でね。」

『そんな、バカな・・・・・・』

 マゴウは信じられない様子だ。

 一方マホは、周りを見渡した。

 飛び散り滴る血液、四肢欠損し阿鼻叫喚を重ねる人類の少女達、周囲を漂う腐臭・・・・・・

 まさに地獄とは、このような場所なのであろう。

 マホは表情を失っていた。

 ただこの信じがたい惨状に、絶句していた。

 そして・・・・・・

 

 

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 

 

 マホの嗤い声が周囲に響いた。

『―ッ⁉』

 突如のことで、マゴウは怯える。

 それに構わず、マホは絶賛する。

「素晴らしい!!このような手段があったとは。

 これで魔族を、永遠の苦痛に追い詰めることができる!!」

 マゴウは言葉を失った。

 マゴウは自身の残虐性を認識していた。認識した上で、犯していた。

 自身こそ、最大の巨悪であると、そう自負していた。鼓舞していた。

 まさか、他者に賞賛されるとは、思いにも寄らなかったのである。

 否、ただ賞賛されただけではなかった。

 すでに自身の悪癖は、目の前の魔法少女の手のひら、手の内に入れられた。

 自身の邪悪性を、全て奪われたのだ。

 マホは言い連ねる。

「感謝を述べよう、マゴウ君。貴様のおかげで、私は”魔法少女”としての答えを見つけることができた!!

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆」

 徐々に、カホも目に光を取り戻してきた。

(マホ様、マホ様!、マホ様♡)

 カホは、もはや手を合わせ拝みたい気分であるが、欠損してて無いため、手を合わせたということにしておいた。

 やがてマホは、満足したのか、マゴウに向き直る。

「さて、マゴウ君。貴様は魔族だ。魔族、それすなわち悪!

 正義の”魔法少女”たるこの私が、貴様に引導を渡してやろう。」

 そして、魔法の発動準備を行う。

 マゴウは逃亡を画策するが・・・・・・異空間内に結界が張られ、それは叶わない。

 すでに時遅しであった。

 ついにマホの魔法が完成する。

 それは彼女の必殺技の━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「魔力開放:打、魔拳」

 

 マホの全力の打撃が、マゴウの胴体に直撃する。

 その攻撃は、マゴウの四肢を崩壊させた。だが胴体は、マホの仕業により残存する。

 それだけに留まらない。

 マホの魔法は、周囲の欠損少女らをも消し飛ばした。

 マホは笑顔で言い放つ。

「私は、”魔法少女”。哀れな君達に、死の救済を与えよう。」

 その場に残ったのは、マゴウただ一人であった。

 マゴウは魔人だ。

 無くなった四肢など、すぐさま再生する。

・・・・・・はずだった。

 しかし再び四肢が生えてきたと思えば、すぐに胴体から千切れ、ぼとりと落ちる。

『・・・・・・どういう、ことだ・・・・・・』

 マホが答える。

「ああ、君の身体は、身体が再生するたび、崩壊するよう術を施した。もう君は、二度と四肢を使えないよ。」

 そしてそのまま、拘束魔法によって、やはり椅子に縛り付けられる。

 マゴウが完全に抵抗できない状態になったのを確認すると。

 マホはマゴウに、次なる命令を下す。

「ほら、食べな。」

 そして、マゴウの右腕だったものを差し出した。

 マゴウは口を閉ざしたい。

 だが、その意に反して、マゴウは口を大きく開いてしまう。

 マホはすでに、洗脳魔法を彼に施していたのだ。

 マホは、マゴウの口に、彼の右腕だったものを詰め込んだ。

 マゴウは吐き出そうとするが、それも許されない。

 ひたすら噛み、飲み込むことを強要される。

 マゴウは吐けない血反吐を吐きながら、何とか右腕を完食した。

 するとマホが、告げる。

『次は、左腕ね。』

 マゴウの地獄は、永遠に続く。

 

 ━━と、とある少女がマホに声をかける。

「お待ちしておりました!マホ様!!」

 先ほどのマホの攻撃で共に消し飛んだはずの、四肢欠損少女、カホであった。

 マホは若干、冷や汗を書きながら聞く。

「なんで、生きてるの?」

「愛の力です♡」

 そして次の瞬間。

 カホに両腕両足が生えた。

 ・・・・・・

 マホが聞く。

「・・・・・・なんで四肢が再生したの?」

「愛の力です♡」

 なんだコイツ。

 マホはドン引いた。

 

 

 マゴウの異空間。

 そこはマホによって乗っ取られ、捕獲した魔族の監禁場所となった。

 そこには、十数の魔族が、一糸まとわぬ状態のまま、両腕両足を切断され、椅子に縛り付けられて、並んでいた。

 魔族なので、全裸なのは当然であるが。

 マホはマゴウの目の前で、今日も魔法少女を手に取った。

「⁉いや、やめて!」

 その魔法少女から悲鳴が上がる。

 その声を気にも掛けず、股部にかぶりついた。

「アァアー、アァアー」

 そして。

 バリバリバリバリ。

 マゴウの前で食し始めた。

 魔法少女の断末魔が、あたり一面に響く。

「━━ッ!━━ッ!」

 マゴウもまた、言葉にならない悲鳴を上げる。

 腸をかみ砕き、腹を捌き、胃を食べ、肝臓を食らい、心臓へとたどり着く。

それでも魔法少女は死なない。ただ、永遠の生き地獄が続くだけだ。

 両胸を飲み込み、肺を取り出す。首に到達し、顎を砕く。口を、頬を、鼻を、耳を、両目を、そして最後に頭を、一つ残らず平らげた。

 最後に。

「ごちそうさまでした」

 当然マホは人類であるため、人類の文化は根付いている。

 やがて、魔法少女は四肢欠損状態で再生する。

 マホは告げる。

「それじゃあ、また今度ね。」

 その魔法少女に絶望が広がる。

 対してマホには、愉悦の表情が広がった。

 そしてその横では。

 カホもまた、同じように嗤っていた。

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