カホと別れてから一週間後。
私はひたすら、県内の魔族狩りを続けた。
そうすればいずれ目的の魔族と出会えると思っていたが・・・・・・未だそれには遭遇しなかった。
今日も今日とて、私は魔族を血祭りに上げる。
重力魔法で、魔族の身体を押しつぶした。
周囲からはいつも通り歓声が広がる。
「“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!」
アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆
そこへ。
『”魔法少女”に興味はないかい?』
私の脳裏に、声が響く。
その声に、私は応える。
「すでに魔法少女ですが、何か?」
『・・・・・・』
その声はしばし沈黙し、やがて言葉を続けた。
『この世に蔓延る魔族。人類は次第に淘汰され、近い将来、自然の摂理の元滅びるであろう。
だが、君なら運命を変えられる。そのための力を、我が与えてやろう。』
その声は、人間離れしていて、まるでコンピューター音声であった。
当然、私の心には響かなかった。
「知っている。だから私という”魔法少女”が存在する。私こそが人類の守護者、私こそが救世主!」
『・・・・・・』
そして、私は、声のする物体の所在を見つける。
“それ”は、真っ白の、猫のような縫いぐるみであった。
うん。
魔族だな。
私は魔法を展開する。
『ちょ、ちょっと待ってくれ!我は、マゴウ。君のような人類の少女に、”魔法少女”の力を与え、魔族と戦っている者だ。』
お、私のことを人類と認めたな。
そこだけは評価できる。
だが、魔族は、存在そのものが罪だ。
残念だが、排除しなければならない。
『た、頼む!私は自身の存在そのものが悪であることを認識している!だが、その贖罪として、”魔法少女”を支援しているんだ!』
「じゃあまず、私に洗脳魔法をかけようとすることはやめようか?」
『ッ⁉』
マゴウの図星を付く。
まさか私が、気づかないとでも思った?
・・・・・・
マゴウは、ゆっくりと180°転回した。
そして。
ダッ!
一目散に走り出した。
・・・・・・
アイツ、逃げたな。
私は浮遊魔法で上昇し、光弾魔法を乱れ討ちした。
数弾命中する。
『ヤ、ヤメテ・・・タスケテ・・・』
マゴウが横たわる。
私は急速接近し、殴打でトドメを刺そうとする。
しかし次の瞬間━━
グィン
突然、マゴウの下部に、異空間のゲートが開いた。
「―ッ!」
逃げられる、そう思い、私は再び光弾魔法を乱れ撃つ。
だが、魔法はゲートに吸収される。
そしてそのまま、マゴウはゲート内へ落ちていった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(月隼人代筆)
マゴウは、自室に降り立ち、本来の魔人の姿へと戻る。
すでに傷は完治させた。
そして、四肢欠損上体で放心状態のカホに語りかける。
「全く、非道い目にあったよ。厄介な魔族に追いかけられた。」
その言葉は、カホの耳には届かない。
すでに、自我すら失われつつあった。
カホはただ、自身が食される日を、ひたすら待ちわびていた。
この空間は時の流れも拡張しているようで、この監禁所に来てから、1週間、あるいは1ヶ月、あるいは1年経ったようにも感じられる。
「殺してください・・・・・・食べてください・・・・・・」
カホはひたすら、マゴウに懇願する。
そう言うカホを見て、マゴウは嗤い、また別の"魔法少女"であったものに手をかける。
「ーッ⁉やめて!私を食べないで・・・・・・」
その少女から悲鳴が上がる。
カホは、今日ではなかったか、と惜しみ目を伏せる。
いつも通り、元"魔法少女"の阿鼻叫喚と、凄惨な食事現場が、当たり一面に広がった。
カホも変わらず、苦痛で顔を歪ませる。
そこへ・・・・・・
突如として、異空間が決壊する。
『何ッ⁉』
マゴウが驚きを露わにする。
上部より、先ほど急襲された、”魔法少女”マホが、降臨したのである。
マホの姿を見、カホの目に、若干光が宿る。
(・・・・・・マホ、様⁉)
すでに食ったと聞かされていた、自身の憧れ。
もう自身の縋れる者は誰もいない、助けはこない、そう思っていた。
まさか虚偽であったとは・・・・・・思いにも寄らなかった。
マホは口を開く。
「ほんと、この異空間を探すのは苦労したよ。空間魔法の展開場所認知計算は、私の苦手分野でね。」
『そんな、バカな・・・・・・』
マゴウは信じられない様子だ。
一方マホは、周りを見渡した。
飛び散り滴る血液、四肢欠損し阿鼻叫喚を重ねる人類の少女達、周囲を漂う腐臭・・・・・・
まさに地獄とは、このような場所なのであろう。
マホは表情を失っていた。
ただこの信じがたい惨状に、絶句していた。
そして・・・・・・
アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆
アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆
アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆
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アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆
アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆
マホの嗤い声が周囲に響いた。
『―ッ⁉』
突如のことで、マゴウは怯える。
それに構わず、マホは絶賛する。
「素晴らしい!!このような手段があったとは。
これで魔族を、永遠の苦痛に追い詰めることができる!!」
マゴウは言葉を失った。
マゴウは自身の残虐性を認識していた。認識した上で、犯していた。
自身こそ、最大の巨悪であると、そう自負していた。鼓舞していた。
まさか、他者に賞賛されるとは、思いにも寄らなかったのである。
否、ただ賞賛されただけではなかった。
すでに自身の悪癖は、目の前の魔法少女の手のひら、手の内に入れられた。
自身の邪悪性を、全て奪われたのだ。
マホは言い連ねる。
「感謝を述べよう、マゴウ君。貴様のおかげで、私は”魔法少女”としての答えを見つけることができた!!
アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆」
徐々に、カホも目に光を取り戻してきた。
(マホ様、マホ様!、マホ様♡)
カホは、もはや手を合わせ拝みたい気分であるが、欠損してて無いため、手を合わせたということにしておいた。
やがてマホは、満足したのか、マゴウに向き直る。
「さて、マゴウ君。貴様は魔族だ。魔族、それすなわち悪!
正義の”魔法少女”たるこの私が、貴様に引導を渡してやろう。」
そして、魔法の発動準備を行う。
マゴウは逃亡を画策するが・・・・・・異空間内に結界が張られ、それは叶わない。
すでに時遅しであった。
ついにマホの魔法が完成する。
それは彼女の必殺技の━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「魔力開放:打、魔拳」
マホの全力の打撃が、マゴウの胴体に直撃する。
その攻撃は、マゴウの四肢を崩壊させた。だが胴体は、マホの仕業により残存する。
それだけに留まらない。
マホの魔法は、周囲の欠損少女らをも消し飛ばした。
マホは笑顔で言い放つ。
「私は、”魔法少女”。哀れな君達に、死の救済を与えよう。」
その場に残ったのは、マゴウただ一人であった。
マゴウは魔人だ。
無くなった四肢など、すぐさま再生する。
・・・・・・はずだった。
しかし再び四肢が生えてきたと思えば、すぐに胴体から千切れ、ぼとりと落ちる。
『・・・・・・どういう、ことだ・・・・・・』
マホが答える。
「ああ、君の身体は、身体が再生するたび、崩壊するよう術を施した。もう君は、二度と四肢を使えないよ。」
そしてそのまま、拘束魔法によって、やはり椅子に縛り付けられる。
マゴウが完全に抵抗できない状態になったのを確認すると。
マホはマゴウに、次なる命令を下す。
「ほら、食べな。」
そして、マゴウの右腕だったものを差し出した。
マゴウは口を閉ざしたい。
だが、その意に反して、マゴウは口を大きく開いてしまう。
マホはすでに、洗脳魔法を彼に施していたのだ。
マホは、マゴウの口に、彼の右腕だったものを詰め込んだ。
マゴウは吐き出そうとするが、それも許されない。
ひたすら噛み、飲み込むことを強要される。
マゴウは吐けない血反吐を吐きながら、何とか右腕を完食した。
するとマホが、告げる。
『次は、左腕ね。』
マゴウの地獄は、永遠に続く。
━━と、とある少女がマホに声をかける。
「お待ちしておりました!マホ様!!」
先ほどのマホの攻撃で共に消し飛んだはずの、四肢欠損少女、カホであった。
マホは若干、冷や汗を書きながら聞く。
「なんで、生きてるの?」
「愛の力です♡」
そして次の瞬間。
カホに両腕両足が生えた。
・・・・・・
マホが聞く。
「・・・・・・なんで四肢が再生したの?」
「愛の力です♡」
なんだコイツ。
マホはドン引いた。
マゴウの異空間。
そこはマホによって乗っ取られ、捕獲した魔族の監禁場所となった。
そこには、十数の魔族が、一糸まとわぬ状態のまま、両腕両足を切断され、椅子に縛り付けられて、並んでいた。
魔族なので、全裸なのは当然であるが。
マホはマゴウの目の前で、今日も魔法少女を手に取った。
「⁉いや、やめて!」
その魔法少女から悲鳴が上がる。
その声を気にも掛けず、股部にかぶりついた。
「アァアー、アァアー」
そして。
バリバリバリバリ。
マゴウの前で食し始めた。
魔法少女の断末魔が、あたり一面に響く。
「━━ッ!━━ッ!」
マゴウもまた、言葉にならない悲鳴を上げる。
腸をかみ砕き、腹を捌き、胃を食べ、肝臓を食らい、心臓へとたどり着く。
それでも魔法少女は死なない。ただ、永遠の生き地獄が続くだけだ。
両胸を飲み込み、肺を取り出す。首に到達し、顎を砕く。口を、頬を、鼻を、耳を、両目を、そして最後に頭を、一つ残らず平らげた。
最後に。
「ごちそうさまでした」
当然マホは人類であるため、人類の文化は根付いている。
やがて、魔法少女は四肢欠損状態で再生する。
マホは告げる。
「それじゃあ、また今度ね。」
その魔法少女に絶望が広がる。
対してマホには、愉悦の表情が広がった。
そしてその横では。
カホもまた、同じように嗤っていた。