セイギノ魔法少女   作:零月隼人

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第8章「叛逆」

(隼人代筆)

 

 防衛省自衛隊統合幕僚監部。

 そこに、自衛隊のトップである、統合幕僚長の内田洋を始めとする、自衛隊の幹部が集結していた。

 傍にあるモニターには、”魔法少女”マホの戦う姿が映し出されている。

 その圧倒的な力に、皆言葉を失う。

 しばらくして、海上幕僚長の加藤卓が口を開いた。

「やはり絶大、しかして脅威だ。我ら自衛隊は、早急なるこの脅威の排除を模索すべきだ。」

 対して、陸自防衛部長である松井静陸将補は反論する。

「しかし、この魔法少女は、人類の脅威たる、他の魔族に対し、敵対的な姿勢を見せています。魔族、有史以来永続的な脅威として君臨し、人類を脅かし続けた化け物に対抗してくれるのであれば、排除よりもむしろ協力を仰ぐべきでは?」

 だが、それには異論が噴出した。

 航空総隊司令官の、稲田光空将だ。

「いや、我が国の防衛は、我ら自衛隊こそが担うべきだ。いくら能力が高く、人類に貢献していると言っても、ただ身勝手に戦う個は、脅威にしかなり得ない。」

 それに、加藤の副官の日木義光海将も同調する。

「それに、この魔法少女は、人類を守護すると騙っておきながら、数多の都市を消滅させている。秩序なき力は、ただの暴力。これは、もはや他の魔族と同様の存在と断じても過言ではない。」

 やがて、将官達の目は、内田の方に集まる。

 内田はため息を吐き、口を開いた。

「だが・・・・・・官邸がどう動くか。いたずらな自衛隊の防衛出動は、世論の反発を招きかねん。政府としても、そう易々と許諾は降りんだろうな。」

 

 

 政府官邸。

 内閣総理大臣、高村早美は、統合幕僚長の報告を聞き、短く答えた。

「承知しました。魔族は日本国の純然たる脅威、その脅威から国民を防衛するため、自衛隊の防衛出動を許可します。」

 その宣言に、他の閣僚達は驚いた。

「総理、しかしそれでは、世論の反発が!総選挙も近いですし・・・・・・」

「この魔法少女の活動区域の避難は完了されておりません。自衛隊の兵器が、国民に被害を与えかねません!」

 防衛大臣の小管が提案する

「それでは、まず敵迎撃区域においての、避難誘導を開始しましょう。しかし、敵は知的物体。国民の避難を悟らせれば、こちらの翻意が伝わりかねません。国民には別件によって避難を開始、その後、直ちに作戦行動に移りましょう。」

 その言葉に、高村総理も頷いた。

「国民の避難完了後、自衛隊には、武器の無制限使用を許可します。」

 

 

 その言葉が決定打となった。

 内田統合幕僚長が他の幹部に告げる。

「総理の指示が出た。当該魔族である魔法少女マホを、我が国における最大の脅威と認定し、陸・海・空総力を挙げて、その掃討に当たることを、ここに宣言する!」

 その一言で、自衛隊は行動を開始した━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「炎魔法、インフェルノ・キャノン」

「ぐわぁぁぁぁーーーーー」

 今日も今日とて、私は魔族を狩ります。

 最近、マンネリ化しててヤバイ。

「“魔法少女”! “魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!」

 アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆

 たしかに声援を貰えることは楽しい。

 しかし、やってることは、魔族発見→倒す→声援→お楽しみ のローテーションだ。

 業務が単純化しすぎている。

 まあ、今日の魔人は若干強めではあったか。

 それでも、”魔法少女”たる私の敵ではない。

「マホ様、今日こそベッドの上で、まぐあいましょう♡」

 カホの毎度の要求であるが、私の趣味ではない。

 前回のNVL戦は白熱した。

 あまりの脅威すぎて、抹消してしまったが、ともすれば、私の遊び相手には丁度良かったかもしれない。

 最近は兄貴ィと邂逅することもないし。

 まあ、さっさとこのボロ雑巾魔人を連れて、お楽しみ部屋に帰るか。

「はい♡」

 いや、まぐあいの方じゃないからね。

 魔族に、自らの身体の卑しさを分からせるだけだから☆

 私は、異空間の扉を開こうとする。

 

 ・・・・・・

 ふと。

 私は違和感を感じ、周囲を見回す。

 妙に静かだ。

 先ほどまで、私達を激励していた人類はもういない。

 ・・・・・・

 次の瞬間。

 私は無造作に、光弾魔法を発動、周囲を乱れ撃った。

 辺りには、何やら小さなドローンの残骸のようなものが、私の魔法に当てられ制御を失い、地に落下していった。

 無人・・・・・・偵察機?

 まさか、またAIじゃないだろうな。

 AIは、前回世界から完全に抹消したはずであるが。

 私は警戒しつつも、久々のワクワクが抑えきれない。

 そこへ。

 周囲に、突然音声が鳴り響く。

『私は、海上自衛隊第1水上群第7水上戦隊旗艦「こんごう」型イージス護衛艦「あらなみ」の艦長、野山1等海佐だ。

 ここに、陸・海・空自衛隊を代表して、”魔法少女”マホ、貴様に対し、身体拘束の承諾と無条件降伏を要求する!!』

 ・・・・・・

 ・・・

 ・

 ―ッ⁉

 自衛隊!?!?!?

 日本の、ひいては人類の、戦力の一端・・・・・・

 それが、私に、

 人類の守護者たるこの私に、

 ・・・・・・降伏勧告だと!?

 ・・・・・・

 ・・・舐めるなよ。

 たかだか魔族も倒せない雑兵の分際が。

 私を下に見るとは。

 許せない。

 ユルセナイ!

 

 

(隼人代筆)

 

 第7水上戦隊旗艦「こんごう」

 先ほどの放送を行った、艦長の野山1佐は、同じく艦に乗り合わせていた、第1水上群司令の林海将補に報告した。

「司令、ご命令通り、目標対象に対し、無条件降伏を行いました。

 しかし相手からの返答はなく、情報収集に先遣させたUAVに被害を与えたことが確認されました。

 これより、第1水上群は、目標の掃討作戦行動に移ります!」

 対して林海将補は、短く告げた。

「承知した。敵は、魔族だ。こうなった以上、生け捕りなどという甘い考えに囚われず、確実なる撃滅を図れ。魔族の殺害は困難と聞くが、日本領土内から追い出しさえできれば、我らの勝ちだ。

 各員の最良なる行動を期待する!!」

 その命令を聞き、野山1佐は再び正面を向き、全艦に指示を出した。

「全艦、艦載レーダーで魔法少女の位置を捕捉。攻撃な可能な射線を確保せよ。ただし、町への被害は最小限に。」

 すると、管制から報告が上がる。

「住民の避難、すでに完了しております!すぐにでも攻撃可能です!」

 野山1佐は続ける。

「全砲門開け。主砲およびミサイル照準、目標、敵魔族。

 撃てェーーーー!!!!」

 その声から、第7水上戦隊所属のこんごう、すずつき、はるさめ、ありあけの四艦が、攻撃を開始した。

 

 

 同時刻。

 魔法少女マホの南西方向には、南西航空方面隊第9航空団のF-15J/DJ、8機がスクランブル発進、マホを視認し、迎撃態勢に入っていた。

 編隊長の遠山香1等空尉が、部隊の士官に告げる。

「各機、敵は人類の脅威、魔法少女だ。手加減は入らない。町への被害を最小限にしつつ、確実に有効打を撃ち込め!」

「「「「「「「はッ!!!!!!!」」」」」」」

 遠山1尉は満足げに頷く。

「よし、攻撃開始!!」

 合図の直後、8機のF-15J/DJが、マホに接近、中射程空対空ミサイルAIM-7F/Mスパローが四発、ほぼ同時に発射された。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 一方、マホの南方方向陸地には、陸上自衛隊水陸機動団、及び第15旅団の計600名が包囲網を形成し、展開した。

 指揮官は、水陸機動団第2水陸機動連隊長の富岡輔1等陸佐だ。

「敵は、第7水上戦隊と南西航空方面隊の対処に手一杯となる。我々はその背後から、全力砲撃に掛かる!」

 それに、第15旅団普通科連隊副長の藤原垓3等陸佐が続く。

「これより、戦車砲一斉射、確実に敵を葬る。砲台用意!!」

 その言葉に、96式多目的誘導弾システムと対戦車ミサイル、迫撃砲、機関銃が起動する。

 富岡1佐が合図する。

「撃て!」

 その言葉により、96式多目的誘導弾システムから発射された誘導弾が、マホに直撃、続けて迫撃砲による攻撃が、彼女を襲った。

 しかし、マホは驚くほどに、びくともしない。

 それを不気味に思いつつも、藤原3佐は兵士を鼓舞する。

「白兵戦だ!一気に畳み掛けろ!!」

 

 

 次の瞬間、陸・海・空各隊に、衝撃が走る。

「光柱魔法、全方位展開。━━━無制限開放!!」

 マホの詠唱直後、近辺に展開していた部隊全てに、光柱が着弾した。

 その高熱に、兵士も兵器も、全て溶かされ蒸発する。

 すでに、海上自衛隊第二護衛隊群、南西航空方面隊、水陸機動団は、消滅の危機に瀕していた。

 マホは荒い息のまま、言葉を吐き捨てる。

「たかが日本の近代兵器が、”魔法少女”たる私に敵うと思ったか。

 ━━━誰が人類を守ってきた!誰が魔族を退治してきた!

 貴様ら自衛隊には手の届かぬことを、私には片手間で行えるのだ。」

 その言葉に現れていたのは、激昂であった。

 近くにいたカホは、ガタガタと震える。

(ヤバイ、マホ様キレてる・・・・・・)

 マホはそのまま、浮遊に身を任せ、東京・防衛省本省方向へ飛んでいった。

 

 統合幕僚監部に、衝撃が走っていた。

 稲田空将が声を荒げる。

「何が起こっている!展開していた部隊はどうなったのだ!?」

 対して管制官が報告する。

「詳細は不明ですが、壊滅したとしか・・・・・・」

 さらに、悪い報告が続く。

「敵目標、猛スピードで本土を横断しています。到達予測地点は・・・・・・防衛省、こちらの建物です!」

「「「なっ?」」」

 将官クラスに、動揺が加速する。

 それを一喝し、鎮めたのは、内田統合幕僚長だ。

「人類の脅威と、明確に敵対したか。

 直ちに防衛線を張れ!敵を倒すことは難しくとも、官邸及び省庁、そして国土を守ることは、我々の責務だ!!

 全隊に通達、即応防衛準備!

 それと・・・・・・白井、万が一のため、仁間特将を呼び出しておけ。」

「はッ!」

 統合幕僚副長の白井音羽陸将が頷いた。

 仁間極。

 統合幕僚監部特務隊所属。階級は、特別将官。

 人類最強の男、その人であった。

 

 東京都新宿区市ヶ谷・防衛省本省。

 そこから南西方向500m直上に、マホは佇んでいた。

 すでに陸上自衛隊東部方面隊が地上を防備し、航空自衛隊中部方面隊は北東より迎撃態勢に入っていた。

 先ほどとは比べものにならない戦力だ。

 稲田空将が合図を出す。

「攻撃開始‼」

 中部方面隊のF-15J/DJ、F-35Aが、マホに接近、短射程対空ミサイルAIM-9Lサイドワインダーを放った。

 対してマホは。

「フンッ!」

 炎魔法で一蹴する。

 そこに、陸からのパトリオットPAC-3、03式中距離地対空誘導弾が迫る。

「この程度。」

 マホは全て回避した。

 しかし、この攻撃と物量、いくらマホといえど、一人一人相手していてはキリがない。

 自衛隊はまだまだ数多の兵士も兵器も備えている。

 人類は矮小な存在であるが、数だけは多い。

「・・・・・・めんどくさいな。」

 マホは詠唱する。

「再現:核融合、全方位爆裂」

 目を貫く光が、その場を照らす。

 

 そのエネルギーは、管制士官に感知された。

「敵周囲に核エネルギー反応増大!これは・・・・・・数カ月前に、都市部を焼き払ったエネルギーと、同様のものです!!」

 内田統合幕僚長はすぐに指示を出した。

「全隊、可能な限り地下シェルターに退避!

 白井、仁間はまだか!?」

 防衛省本省の地下には、国家機密によって守られた、秘密の地下核シェルターがあった。

 統合幕僚監部のメンバー達、ならびに地上の部隊の面々は、直ちに退避を始めた。

 航空自衛隊中部方面隊は、最大凄速で距離を取る。

 次の瞬間。

 東京の町は、核攻撃魔法によって、焼き尽くされた。

 

 

 地は焼かれ、シェルターはむき出しになっていた。

 マホは勘づく。

「なるほど。司令部の面々は地下に逃げたか。」

 核攻撃すら耐える施設、驚嘆に値する。

 しかし。

「物理攻撃には弱い・・・・・・だよね~」

 マホは身体強化魔法を右腕のみに集中して発動させ、拳を構えた。

 

 地下シェルターでは報告が行われていた。

「陸・空、2/3が消滅!共に被害甚大!戦闘の継続、困難な模様!!」

 松井陸将補が進言する。

「内田閣下!今からでも、交渉の再検討を!このままでは、自衛隊のみならず、人類の滅亡にすら繋がりかねません!!」

 対して、加藤海上幕僚長は反論する。

「ここまでの圧倒的な力だ!我々人類に、交渉の余地などない。あるのは、全面降伏か、徹底抗戦のみだ!!我ら人類の守護者として、魔族に屈するわけにはいかない。

 全隊を集結させろ!习志野の第1空挺団、及び木更津の機動部隊を緊急展開!大湊のゆうだちを始めとした護衛艦群もこちらに向かわせろ。すでに東京は火の海、砲撃に遠慮はいらん!」

 それに、稲田空将も続く。

「小松の第6航空団、百里の第7航空団も緊急発進。とにかく、目標に攻撃を集中させよ!」

 だが。

 地下シェルター上部が破壊される。

『うわぁぁぁーーー』

 瓦礫が墜ち、悲鳴が上がる。

 拳で破壊したマホは、静かに降り立つ。

「人類の守護者?それは私こと”魔法少女”に相応しき名だ。

 貴様ら弱小組織が名乗っていい名前ではない。」

 そして、光弾魔法でその場を照らす。

「人類よ。貴様らは刃向かった。叛逆した。

 ならば、あとは滅亡あるのみだ。」

 対して内田統合幕僚長は不敵に笑う。

「どうかな。たとえ我ら自衛隊が滅んでも、人類の大半が焼かれようとも!

 人類は!!必ず次代に続くぞ!!」

 マホが鼻で笑う。

「フン。楽しみだな。」

 次の瞬間。

 シェルター内は、滅亡の光に包まれた。

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