(隼人代筆)
防衛省自衛隊統合幕僚監部。
そこに、自衛隊のトップである、統合幕僚長の内田洋を始めとする、自衛隊の幹部が集結していた。
傍にあるモニターには、”魔法少女”マホの戦う姿が映し出されている。
その圧倒的な力に、皆言葉を失う。
しばらくして、海上幕僚長の加藤卓が口を開いた。
「やはり絶大、しかして脅威だ。我ら自衛隊は、早急なるこの脅威の排除を模索すべきだ。」
対して、陸自防衛部長である松井静陸将補は反論する。
「しかし、この魔法少女は、人類の脅威たる、他の魔族に対し、敵対的な姿勢を見せています。魔族、有史以来永続的な脅威として君臨し、人類を脅かし続けた化け物に対抗してくれるのであれば、排除よりもむしろ協力を仰ぐべきでは?」
だが、それには異論が噴出した。
航空総隊司令官の、稲田光空将だ。
「いや、我が国の防衛は、我ら自衛隊こそが担うべきだ。いくら能力が高く、人類に貢献していると言っても、ただ身勝手に戦う個は、脅威にしかなり得ない。」
それに、加藤の副官の日木義光海将も同調する。
「それに、この魔法少女は、人類を守護すると騙っておきながら、数多の都市を消滅させている。秩序なき力は、ただの暴力。これは、もはや他の魔族と同様の存在と断じても過言ではない。」
やがて、将官達の目は、内田の方に集まる。
内田はため息を吐き、口を開いた。
「だが・・・・・・官邸がどう動くか。いたずらな自衛隊の防衛出動は、世論の反発を招きかねん。政府としても、そう易々と許諾は降りんだろうな。」
政府官邸。
内閣総理大臣、高村早美は、統合幕僚長の報告を聞き、短く答えた。
「承知しました。魔族は日本国の純然たる脅威、その脅威から国民を防衛するため、自衛隊の防衛出動を許可します。」
その宣言に、他の閣僚達は驚いた。
「総理、しかしそれでは、世論の反発が!総選挙も近いですし・・・・・・」
「この魔法少女の活動区域の避難は完了されておりません。自衛隊の兵器が、国民に被害を与えかねません!」
防衛大臣の小管が提案する
「それでは、まず敵迎撃区域においての、避難誘導を開始しましょう。しかし、敵は知的物体。国民の避難を悟らせれば、こちらの翻意が伝わりかねません。国民には別件によって避難を開始、その後、直ちに作戦行動に移りましょう。」
その言葉に、高村総理も頷いた。
「国民の避難完了後、自衛隊には、武器の無制限使用を許可します。」
その言葉が決定打となった。
内田統合幕僚長が他の幹部に告げる。
「総理の指示が出た。当該魔族である魔法少女マホを、我が国における最大の脅威と認定し、陸・海・空総力を挙げて、その掃討に当たることを、ここに宣言する!」
その一言で、自衛隊は行動を開始した━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「炎魔法、インフェルノ・キャノン」
「ぐわぁぁぁぁーーーーー」
今日も今日とて、私は魔族を狩ります。
最近、マンネリ化しててヤバイ。
「“魔法少女”! “魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!“魔法少女”!」
アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆アハ☆
たしかに声援を貰えることは楽しい。
しかし、やってることは、魔族発見→倒す→声援→お楽しみ のローテーションだ。
業務が単純化しすぎている。
まあ、今日の魔人は若干強めではあったか。
それでも、”魔法少女”たる私の敵ではない。
「マホ様、今日こそベッドの上で、まぐあいましょう♡」
カホの毎度の要求であるが、私の趣味ではない。
前回のNVL戦は白熱した。
あまりの脅威すぎて、抹消してしまったが、ともすれば、私の遊び相手には丁度良かったかもしれない。
最近は兄貴ィと邂逅することもないし。
まあ、さっさとこのボロ雑巾魔人を連れて、お楽しみ部屋に帰るか。
「はい♡」
いや、まぐあいの方じゃないからね。
魔族に、自らの身体の卑しさを分からせるだけだから☆
私は、異空間の扉を開こうとする。
・・・・・・
ふと。
私は違和感を感じ、周囲を見回す。
妙に静かだ。
先ほどまで、私達を激励していた人類はもういない。
・・・・・・
次の瞬間。
私は無造作に、光弾魔法を発動、周囲を乱れ撃った。
辺りには、何やら小さなドローンの残骸のようなものが、私の魔法に当てられ制御を失い、地に落下していった。
無人・・・・・・偵察機?
まさか、またAIじゃないだろうな。
AIは、前回世界から完全に抹消したはずであるが。
私は警戒しつつも、久々のワクワクが抑えきれない。
そこへ。
周囲に、突然音声が鳴り響く。
『私は、海上自衛隊第1水上群第7水上戦隊旗艦「こんごう」型イージス護衛艦「あらなみ」の艦長、野山1等海佐だ。
ここに、陸・海・空自衛隊を代表して、”魔法少女”マホ、貴様に対し、身体拘束の承諾と無条件降伏を要求する!!』
・・・・・・
・・・
・
―ッ⁉
自衛隊!?!?!?
日本の、ひいては人類の、戦力の一端・・・・・・
それが、私に、
人類の守護者たるこの私に、
・・・・・・降伏勧告だと!?
・・・・・・
・・・舐めるなよ。
たかだか魔族も倒せない雑兵の分際が。
私を下に見るとは。
許せない。
ユルセナイ!
(隼人代筆)
第7水上戦隊旗艦「こんごう」
先ほどの放送を行った、艦長の野山1佐は、同じく艦に乗り合わせていた、第1水上群司令の林海将補に報告した。
「司令、ご命令通り、目標対象に対し、無条件降伏を行いました。
しかし相手からの返答はなく、情報収集に先遣させたUAVに被害を与えたことが確認されました。
これより、第1水上群は、目標の掃討作戦行動に移ります!」
対して林海将補は、短く告げた。
「承知した。敵は、魔族だ。こうなった以上、生け捕りなどという甘い考えに囚われず、確実なる撃滅を図れ。魔族の殺害は困難と聞くが、日本領土内から追い出しさえできれば、我らの勝ちだ。
各員の最良なる行動を期待する!!」
その命令を聞き、野山1佐は再び正面を向き、全艦に指示を出した。
「全艦、艦載レーダーで魔法少女の位置を捕捉。攻撃な可能な射線を確保せよ。ただし、町への被害は最小限に。」
すると、管制から報告が上がる。
「住民の避難、すでに完了しております!すぐにでも攻撃可能です!」
野山1佐は続ける。
「全砲門開け。主砲およびミサイル照準、目標、敵魔族。
撃てェーーーー!!!!」
その声から、第7水上戦隊所属のこんごう、すずつき、はるさめ、ありあけの四艦が、攻撃を開始した。
同時刻。
魔法少女マホの南西方向には、南西航空方面隊第9航空団のF-15J/DJ、8機がスクランブル発進、マホを視認し、迎撃態勢に入っていた。
編隊長の遠山香1等空尉が、部隊の士官に告げる。
「各機、敵は人類の脅威、魔法少女だ。手加減は入らない。町への被害を最小限にしつつ、確実に有効打を撃ち込め!」
「「「「「「「はッ!!!!!!!」」」」」」」
遠山1尉は満足げに頷く。
「よし、攻撃開始!!」
合図の直後、8機のF-15J/DJが、マホに接近、中射程空対空ミサイルAIM-7F/Mスパローが四発、ほぼ同時に発射された。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
一方、マホの南方方向陸地には、陸上自衛隊水陸機動団、及び第15旅団の計600名が包囲網を形成し、展開した。
指揮官は、水陸機動団第2水陸機動連隊長の富岡輔1等陸佐だ。
「敵は、第7水上戦隊と南西航空方面隊の対処に手一杯となる。我々はその背後から、全力砲撃に掛かる!」
それに、第15旅団普通科連隊副長の藤原垓3等陸佐が続く。
「これより、戦車砲一斉射、確実に敵を葬る。砲台用意!!」
その言葉に、96式多目的誘導弾システムと対戦車ミサイル、迫撃砲、機関銃が起動する。
富岡1佐が合図する。
「撃て!」
その言葉により、96式多目的誘導弾システムから発射された誘導弾が、マホに直撃、続けて迫撃砲による攻撃が、彼女を襲った。
しかし、マホは驚くほどに、びくともしない。
それを不気味に思いつつも、藤原3佐は兵士を鼓舞する。
「白兵戦だ!一気に畳み掛けろ!!」
次の瞬間、陸・海・空各隊に、衝撃が走る。
「光柱魔法、全方位展開。━━━無制限開放!!」
マホの詠唱直後、近辺に展開していた部隊全てに、光柱が着弾した。
その高熱に、兵士も兵器も、全て溶かされ蒸発する。
すでに、海上自衛隊第二護衛隊群、南西航空方面隊、水陸機動団は、消滅の危機に瀕していた。
マホは荒い息のまま、言葉を吐き捨てる。
「たかが日本の近代兵器が、”魔法少女”たる私に敵うと思ったか。
━━━誰が人類を守ってきた!誰が魔族を退治してきた!
貴様ら自衛隊には手の届かぬことを、私には片手間で行えるのだ。」
その言葉に現れていたのは、激昂であった。
近くにいたカホは、ガタガタと震える。
(ヤバイ、マホ様キレてる・・・・・・)
マホはそのまま、浮遊に身を任せ、東京・防衛省本省方向へ飛んでいった。
統合幕僚監部に、衝撃が走っていた。
稲田空将が声を荒げる。
「何が起こっている!展開していた部隊はどうなったのだ!?」
対して管制官が報告する。
「詳細は不明ですが、壊滅したとしか・・・・・・」
さらに、悪い報告が続く。
「敵目標、猛スピードで本土を横断しています。到達予測地点は・・・・・・防衛省、こちらの建物です!」
「「「なっ?」」」
将官クラスに、動揺が加速する。
それを一喝し、鎮めたのは、内田統合幕僚長だ。
「人類の脅威と、明確に敵対したか。
直ちに防衛線を張れ!敵を倒すことは難しくとも、官邸及び省庁、そして国土を守ることは、我々の責務だ!!
全隊に通達、即応防衛準備!
それと・・・・・・白井、万が一のため、仁間特将を呼び出しておけ。」
「はッ!」
統合幕僚副長の白井音羽陸将が頷いた。
仁間極。
統合幕僚監部特務隊所属。階級は、特別将官。
人類最強の男、その人であった。
東京都新宿区市ヶ谷・防衛省本省。
そこから南西方向500m直上に、マホは佇んでいた。
すでに陸上自衛隊東部方面隊が地上を防備し、航空自衛隊中部方面隊は北東より迎撃態勢に入っていた。
先ほどとは比べものにならない戦力だ。
稲田空将が合図を出す。
「攻撃開始‼」
中部方面隊のF-15J/DJ、F-35Aが、マホに接近、短射程対空ミサイルAIM-9Lサイドワインダーを放った。
対してマホは。
「フンッ!」
炎魔法で一蹴する。
そこに、陸からのパトリオットPAC-3、03式中距離地対空誘導弾が迫る。
「この程度。」
マホは全て回避した。
しかし、この攻撃と物量、いくらマホといえど、一人一人相手していてはキリがない。
自衛隊はまだまだ数多の兵士も兵器も備えている。
人類は矮小な存在であるが、数だけは多い。
「・・・・・・めんどくさいな。」
マホは詠唱する。
「再現:核融合、全方位爆裂」
目を貫く光が、その場を照らす。
そのエネルギーは、管制士官に感知された。
「敵周囲に核エネルギー反応増大!これは・・・・・・数カ月前に、都市部を焼き払ったエネルギーと、同様のものです!!」
内田統合幕僚長はすぐに指示を出した。
「全隊、可能な限り地下シェルターに退避!
白井、仁間はまだか!?」
防衛省本省の地下には、国家機密によって守られた、秘密の地下核シェルターがあった。
統合幕僚監部のメンバー達、ならびに地上の部隊の面々は、直ちに退避を始めた。
航空自衛隊中部方面隊は、最大凄速で距離を取る。
次の瞬間。
東京の町は、核攻撃魔法によって、焼き尽くされた。
地は焼かれ、シェルターはむき出しになっていた。
マホは勘づく。
「なるほど。司令部の面々は地下に逃げたか。」
核攻撃すら耐える施設、驚嘆に値する。
しかし。
「物理攻撃には弱い・・・・・・だよね~」
マホは身体強化魔法を右腕のみに集中して発動させ、拳を構えた。
地下シェルターでは報告が行われていた。
「陸・空、2/3が消滅!共に被害甚大!戦闘の継続、困難な模様!!」
松井陸将補が進言する。
「内田閣下!今からでも、交渉の再検討を!このままでは、自衛隊のみならず、人類の滅亡にすら繋がりかねません!!」
対して、加藤海上幕僚長は反論する。
「ここまでの圧倒的な力だ!我々人類に、交渉の余地などない。あるのは、全面降伏か、徹底抗戦のみだ!!我ら人類の守護者として、魔族に屈するわけにはいかない。
全隊を集結させろ!习志野の第1空挺団、及び木更津の機動部隊を緊急展開!大湊のゆうだちを始めとした護衛艦群もこちらに向かわせろ。すでに東京は火の海、砲撃に遠慮はいらん!」
それに、稲田空将も続く。
「小松の第6航空団、百里の第7航空団も緊急発進。とにかく、目標に攻撃を集中させよ!」
だが。
地下シェルター上部が破壊される。
『うわぁぁぁーーー』
瓦礫が墜ち、悲鳴が上がる。
拳で破壊したマホは、静かに降り立つ。
「人類の守護者?それは私こと”魔法少女”に相応しき名だ。
貴様ら弱小組織が名乗っていい名前ではない。」
そして、光弾魔法でその場を照らす。
「人類よ。貴様らは刃向かった。叛逆した。
ならば、あとは滅亡あるのみだ。」
対して内田統合幕僚長は不敵に笑う。
「どうかな。たとえ我ら自衛隊が滅んでも、人類の大半が焼かれようとも!
人類は!!必ず次代に続くぞ!!」
マホが鼻で笑う。
「フン。楽しみだな。」
次の瞬間。
シェルター内は、滅亡の光に包まれた。