はい、えー生まれてから4歳ほどになった俺こと北風命と書いてみことくんは個性が発現しました。わーい拍手拍手、なんて呑気に言ってるけどさ、鏡でその姿見たらびっくり仰天だった。モンハンをしていたであろう狩人ならば分かるかな、かの黒龍ミラボレアスだった……
「おうまいがー」
「あら?どうしたのかしら?」
いやさ、分かるよ?ちょーつえーバリバリかっこいいドラゴンさんだってことは、だけど自分がその姿になるとは思わないよね……。
「かぁさん…どうしたら戻れるの?」
「んー、ママの時は力を抜くと戻れたわよ」
ありがとうマイマザー、そしてあなたもドラゴンになれるのですね…。あ、戻れた。
「おおー、もどれたー」
「あら、もう戻っちゃうの?可愛いかったのに」
ミラボレアスを可愛いと言えるのは今のうちですよマイマザー。
「ねぇ、かぁさん、くんれんをしてもいい?」
「ん?いいわよー、手加減を覚えましょうね」
早速家の裏手の山で訓練をすることにした。あ、うちは田舎にある里山に囲まれた山間部の町にあるようでそれなりに人はいるが都会と比べてのんびりしている。ここではうちの親戚が幾つかいて、話を聞いてみると皆はドラゴンに関する個性を持っているらしい。
「さぁ、思いっきり個性を使っていいわよー」
「いいの?やったー!」
返事をするやいなや小さいミラボレアスに変身した俺は空を自由に飛び回った、あっちへ行きこっちへ行き鳥を追いかけ追い越したりとそれはもう自由を味わった。
「上手よー、流石、私達の子だわー」
遠くからそう言うマイマザーの声が聞こえた。程々に飛んだと思った俺は足元に着地し、変身を解いた。
「へへ、ほんと?」
「えぇ、ほんとほんと」
褒められるとむず痒さを感じる、精神がやはり歳に引っ張られている為かもしれないがそれでも嬉しかった。
前は父も母も物心着く前に亡くなってしまったから思い出は殆ど覚えていかった。だからこそ今世では親孝行したいし沢山の思い出を作りたいそう願っている。
「あ、そうだわ、黒美ちゃんと会うのは明日でしょ?」
「うん!」
「そう、ならその個性であまり驚かせないようにね」
「わかった!」
そう頷き手を繋ぎ裏山からご飯の時間になったので帰り今日あったことを父に話すと大層喜んで俺に高い高いをかますと食事中にしたことで母に怒られるちょぴり情けない父が居た。
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次の日、黒美ちゃんと遊びながら個性が発現したことを言うととても羨ましいとばかりにぶーたれていた
「いいな〜命ちゃんも個性がでてー」
「黒美ちゃんも個性が出るでしょ?」
「でも未だに出る感じしないんだもん」
そう言うと彼女は大の字に転がり不貞腐れた様子でブーブーと鳴いたその様子に何処か可愛いと思いつつ苦笑しながら言葉をかける。
「遠いとは言えうちの親戚だし多分ドラゴンみたいなやつだと思うよ」
「えぇー、可愛いのが良かったー」
個性で可愛いもの……と首を傾げるがそれよりも励ます事を重視して置くことにし不貞腐れる彼女の頭を撫でた。
「まぁ何にせよ個性は発現するよ」
「……うん」
そう返事する彼女はそっぽを向いていたが返事は聞こえたので良しとする。
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それから家が所有している裏手の山で修行する日と黒美ちゃんと遊ぶ日を交互にし、小学校を卒業する頃になるとこの日も俺と監督係の母は修行としてスマホで過去の武術に関する少ない文献や映像を見つけて試しては思考し修正する。時には個性の制御訓練も行い今では人型と1部展開を覚えるまでになった。そして一緒に家へと帰ろうとすると何か町が騒がしいことに気づいた。
「ぐがぁぁぁ!!」
「や、やめろぉ!」
「イヤァァァァ!?」
「うわーん」
人を襲う狂った女、抵抗虚しく噛まれ首から血を吹き出す男、恐れおののいて叫び声を上げる女、親とはぐれたであろう子供、まさしくそれは地獄絵図だった……。
「な、なにこれ」
その惨状に戸惑い声を震わせて俺は母に問いを投げると母は繋いだその手に力を込め決して離さぬようにした後その眼差しは鋭くなり声には圧があったが優しかった。
「……命、母さんから離れないように」
「わかった」
俺もその繋ぐ手に力を込めて返し決してこの混乱のさなかに離さないようにする。
「まずはこの町から出るわよ」
「うん」
心臓が鳴り止まない、これからどうなるか分からない不安に襲われる、歯がガチガチとなり震えるのが止まらない、母に連れられ走るがそれでも恐怖に染まった思考は止まらない。自分も他の人のように狂うのではないか又は襲われて肉を噛まれ血が吹き出て死ぬのではないかとそれでも足を止めずにはする事だけに集中しようとする。すると母は急に立ち止まりこちらへと振り向いた。
「命、ここからはあなた1人で行くの」
「え……なんで」
「お母さんはもうダメみたい……」
こちらを優しく見るその目は黒く染まっていた、その意味は分かっていたが理解したくなかったきっと理解したその瞬間に俺は泣き崩れるだろう。
「…いやだ…母さんも一緒に」
「ダメよ命…母さんを置いて貴方は助かるの」
その言葉に俺は涙が止まらくなった、いやだと決して離さないとそう願っても頑固な母は良しとしないだろうことは伝わっていた。今生の別れになるのは今この時なのだと自然と理解することが出来た。
「……大好きだよ母さん」
「私もよ……私の可愛い命」
最後の別れの挨拶を告げると抱きしめあった、涙が止まらない視界がボヤけて最後だというのに上手く見えない、涙を服の裾で乱暴に拭うと最後に見せるのは笑顔でありたいと口角を上げた。
「命…お願いがあるのお父さんに愛してると伝えてくれる」
「うん、ぜったいに何があっても伝えるよ」
「……ありがとう命…」
母の目にはどう映ってるかは分からないでも、最後に交わす約束は必ず果たしたいその決意を手を握って伝える。
「さぁ……行きなさい……決して後ろを振り返ってはダメよ」
「うん!!」
その声と共に僕は母から手を離し駆け出した、襲いかかる人を避け、放たれた襲いかかる犬を避け、襲われる人から目を逸らし、町の外へと駆け続ける。
「フグゥ!」
口から情けない声が漏れ出る、自分の力のなさを、戦う覚悟の無さ、護る事など出来ない不甲斐なさ全てがごちゃ混ぜとなり自然と手に力がこもっていく。
しばらく走っていくと上空から烈風が襲いかかる、その風に身体が持っていかれそうになるのをその場にあった標識を掴み耐えているとゴア・マガラが現れた。
「何でここに!?」
「ゴアアアア!!」
咆哮を上げ地面へと降り立つゴア・マガラ、この先には川を超える為の唯一の橋がある…戦うしかないのか、その事実に震えるが拳を握り目つきを鋭くし、睨みつける。
「相手になってやる!」
そう宣言、いや自分を鼓舞する為に言うと全身に力を込めミラボレアスへと変身した、今の俺の状態なら大きさ自体は目の前のゴア・マガラとそう変わらないと直感し先制として顎門で噛み付こうとすると避けられた。
「グルァ!」
すかさず翅の脚で踏み潰そうとするゴアの動きを読み、舞うように避けるとその流れのまま竜尾で横のなぎ払いを繰り出すと顔面に当たった。
「ゴァァ!?」
怯みよろめくゴアを掴み川へと押さえつけると、起き上がろうとする隙を逃さずブレスを放つ
「グルゥアァァ!」
「グルァ!!」
全身変身時に人の言葉を話すことは出来ない故に傍から見れば怪物同士の殺し合いに見えることだろうだが今の町にそんな余裕のある人は居ない、故に全力でコイツを倒す。
「グルァ!!」
翅の脚でスタンプしたかと思えば辺りに黒い霧のような物が連鎖して爆発していく、それを思わず喰らった俺は焦燥に駆られる、幾ら古龍と言えど本来は人間であることに変わりは無いそんな俺が狂竜ウイルスに感染しないとは限らないと、
「グルァァア!」
焦りつつも大技を出して隙が出来たゴアの首に噛みつきそのままブレスを放つとゴアは脚を振り回し俺の目元を鉤爪で引っ掻き怯んだ隙に翼をはためかせ一時はなれると咆哮を放ち角を出して右の脚でこちらに攻撃をしかけてきた。
「グルァ!!!」
それを見を翻すように避けると竜尾を鞭のようにしならせ鋭く叩き落とし翅の脚を押さえつけ心臓にブレスを思い切り放つ
「ゴアァア!?」
「グルゥアァァ!!」
するとさほど時間も掛からずに鱗が融解し、ゴアの身を焦がし初めたのを確認した俺はよりブレスの勢いを強くしてレーザーのように収束する、
「ゴァァ……」
ブレスが身を貫通するとゴアはもうすぐ力尽きるまでになっていた、すると身が縮み初め、1人の女の子の姿になった……それは生まれてから1番仲良くしてた黒美ちゃんが胸を焼き焦がされ貫通した姿だった…
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
思わず叫び声を上げて駆け寄ると抱き上げてしがみつくように抱きしめる。
「ミコト……ごめんね…大好きだったよ…」
そう最後の力を振り絞って彼女は伝えると目を開けたまま力尽きた……。
「クソが……クソクソクソクソクソクソクソォォォォォォ!!!」
「俺の畜生野郎がぁぁぁぁぁぁ!!」
雨が降り始めるブレスによって干からびた川に水が押し寄せてくるのが音でわかる、川から彼女の遺体を抱え上げ橋の袂に横たわらせるとフラフラと足取りの覚束無いまま町から歩いて出る。
「あぁ…生まれてきてごめん…」
癖を詰め込むとこうなる