気がつくとそこは病床だった、傍には父が手を握って俺が目覚めるのを待っていたようで話を聞くにあれから1週間程ではあるが俺は寝たきりになっていた。
「父さん……母さんは?」
そう尋ねると父さんは握る手に少し力が入り顔をクシャクシャに歪めて震える声で受け入れ難い様子をしつつ静かに告げた。
「母さんは……死んでしまったよ」
そう言われた俺はふと伝えなければいけない言葉を思い出し空いている手を重ね父さんの目を見てか細い声でしっかりと伝える。
「……母さんが父さんに伝えてって……愛してるって」
その最後の伝言に父さんはさっきからクシャクシャになった顔をよりクシャクシャにして涙を流して震える声で呟くように母さんへと告げた。
「あぁ……俺もだ……」
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そこから検査をいくつかして退院する頃には中学生活に出遅れてしまい転校した中学では立派なぼっちになってしまった。
「はぁ……」
「どーしたの!」
ため息をついていると隣の席から葉隠さんが声をかけて来たのでわざとらしい感じになったのを恥じらいつつも当たり障りのない返事を返した。
「おお、葉隠さんか」
「ため息なんてついちゃって幸せが逃げちゃうよ!」
アニメや漫画で見た通りの相変わらず元気で明るい大袈裟な身振り手振りを交えたコミュ強美少女がそこにいた。
「いやね、このまんまぼっちでいいのかなって思ってね」
「ふむふむ、なら私と友達になろーよ」
「え、」
彼女の言葉に驚いた僕は戸惑って返答に詰まってしまった。
「なにさー私じゃ不満なの?」
「違う、葉隠さんほどの良い人にそう言われると驚いてしまったんだよ」
私は怒ってますとばかりに腰に手を当て頬を膨らませる様子を見て慌てて弁解をする。
「ふーん、ならいいんだけど」
「不満なんてありませんありません」
少し大袈裟に首を振った後に手を差し出し握手を交わす。
「これからよろしく葉隠さん」
「うん、北風くん」
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放課後になり、いつものように格闘技ジムに向かうとオーナー兼トレーナーの金名 史名さんがこちらに挨拶してきた。
「おはよう、北風くん」
「おはようございますトレーナー」
「ああ、今日もビシバシと鍛えるからな」
ひぇ、相変わらずその圧には圧倒される、組手で未だ全力に向かっても勝てるのは10回中2、3回がいい所でまだまだ俺の未熟さを感じる。
「お手柔らかにお願いしますね?」
「それは今の君に必要は無いものだ、そこいる君も良ければ見ていくかね」
そう告げるとトレーナーは出入り口の方へ視線を向けると葉隠さんの驚いた声が聞こえてきた。
「え!?」
「だそうだよ葉隠さん」
「ええ!?」
俺も続けて話しかけるとより一層驚いてしまったのでその理由を告げつつ落ち着かせる。
「まぁ、気配でわかるよそこにいるのは、でしょトレーナー」
「まぁな、これでも鍛えてるからな」
「そーいうこと、だから堂々と見に来てよ」
扉を開けて招くとおずおずとした様子でこちらへと近くに寄ると邪魔にならない位置で座ってもらった。
「そーなんだ、じゃあお邪魔します」
「どうぞ、見てって」
そう言うと俺はジークンドーの構えをトレーナーは敢えて得意な我流の構えをした後に交差する形で拳を交える。
「ふ、鋭い良い突きだ、ならばこれはどうだ?」
その言葉とともに繰り出した左足の蹴りをひらりとかわしつつ回し蹴りをお返しすると予見していたのか腕で防がれカウンターを一発もらった。
「くぅ、まだだ!」
喰らいつつもそのまま片足を踏み込み掌底をぶち込むとくぐもった声でうめきつつも手首を掴み取ると引っ張り俺のバランスを崩しにかかった。
「そんな手には引っ掛かからないですよっ」
引っ張られるまま流れにのって回りつつ肘で後頭部を狙い穿つと当たる寸前に躱されてしまった。
「ほう、なかなかいい動きだ」
そう言い終えるとしばらく拳の応酬を行い距離をとると俺とトレーナーは構えを解き向かい直して礼をする。
「「ありがとうございました。」」
「すごい!すごいよ!北風くん!」
興奮した様子の葉隠さんは両手を振りながらこちらの近くに寄ってきた。
「ありがとう、でもまだ未熟者だよ」
「いや、そんなことはないさ」
トレーナーは水を飲みつつそう告げると俺にも水を手渡しこう述べた。
「北風くんはそこらのヒーローよりも近接戦に遅れをとることは早々ないだろう」
「そうなんですか?」
葉隠がトレーナーの言葉に反応し思わず尋ねるとそれにうなずきつつ答える。
「ああ、ただこれからも精進するように、……今日はこれくらいにしよう」
「わかりました、そうだ、葉隠さん良ければ送るよ」
「ありがとう!」
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ジムから出てしばらく歩いていると進学について話す流れになったので士傑高校に行こうと思ってるから伝えたら葉隠さんに雄英高校へ行こうと誘われた。
「それはまたなんでだ、一人でもライバルは減った方が良いだろうに」
「北風くんとね一緒に通いたいと思ったんだ、それでね競い合いたい」
そう告げる葉隠さんの声には熱が籠っていた視線は熱く手がぎゅっと握りしめられていた、その熱に侵された俺はその言葉に乘ってしまった。
「いいなそれは、ライバルってやつだ」
「そうライバル!だからお願いがあるんだ」
その目を向けないで欲しい答えたくなってしまう、あの子を思い出してしまうのだ己の罪が俺の心をじくじくと蝕み心の中で暴れ回る。
「なんだ?聞かせてくれ」
「私を鍛えてください」
「俺に?」
「うん、北風くんに鍛えて欲しいの」
その言葉に動揺をしつつも頷くとしっかりと返事をする、……葉隠さんとあの子の瞳は似ている、輝かしい未来を夢見る眩しい瞳が俺を見つめている。
「……そうか、俺でよければ」
「うん!よろしく北風くん!」
「……あぁ」