神奈川県警の女神様   作:かなっち館長

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第37話 白バイを狙う影

春の陽射しが、神奈川県警第三交通機動隊の車庫に差し込んでいた。

 

白く磨かれた白バイが、整然と並んでいる。

金属の光沢。

整備されたタイヤ。

ヘルメットの白。

それらは、萩原千速にとって日常の風景だった。

 

「新井、二号車のタイヤ圧、確認したか」

 

「はい、小隊長。規定値です」

 

「ブレーキも見たな」

 

「異常なしです」

 

新井拓也。

千速の部下で、若手の白バイ隊員。

真面目で、少し緊張しやすいところはあるが、腕は確かだった。

 

千速は腕を組み、新井の白バイを見た。

 

「今日の重点は国道沿いの速度違反と、通学路周辺の危険運転だ。無理に追うな。逃げる車両が出たら、まず周囲の安全を優先しろ」

 

新井は背筋を伸ばす。

 

「了解しました」

 

「返事だけよくても駄目だぞ」

 

「分かってます」

 

千速は少し目を細めた。

 

「分かってる奴ほど、現場で熱くなる」

 

新井は苦笑する。

 

「小隊長に言われると説得力があります」

 

「どういう意味だ」

 

「いえ、何でもありません」

 

千速が軽く睨むと、新井は慌ててヘルメットを抱えた。

 

そのやり取りを見ていた隊員たちが小さく笑う。

 

平穏な朝だった。

 

いつも通りの点検。

いつも通りの出動前確認。

いつも通りの千速の叱咤。

 

けれど、その平穏は、数時間後に破られることになる。

 

午前十時二十二分。

 

新井は国道沿いの巡回を終え、住宅街へ抜ける県道に入っていた。

 

通学路の時間帯は過ぎているが、歩行者は多い。

 

新井は速度を落とし、左側の歩道と横断歩道を確認しながら走る。

 

その時だった。

 

後方から、低いエンジン音が近づいてきた。

 

大型バイク。

 

ミラーの端に映ったのは、黒い車体だった。

 

ライダーは黒いフルフェイスヘルメット。

黒いジャケット。

黒いグローブ。

 

全身が黒かった。

 

新井は一瞬だけ警戒した。

 

追い抜きか。

 

そう思った直後、黒いバイクが急加速した。

 

白バイの右側へ並ぶ。

 

新井が視線を向けた瞬間、黒いライダーの左手が伸びた。

 

銀色の棒のようなもの。

 

「え――」

 

次の瞬間、強い衝撃が新井の右腕を打った。

 

ハンドルがぶれる。

 

「くっ!」

 

新井は必死に姿勢を戻す。

 

黒いバイクはそのまま前へ出ると、今度は急減速して進路を塞いだ。

 

新井はブレーキをかける。

 

タイヤが鳴る。

 

前方には横断歩道。

左には自転車の高齢者。

右には対向車。

 

転倒すれば巻き込む。

 

新井は歯を食いしばり、車体を倒し込みながら黒いバイクを避けた。

 

白バイのステップが路面を擦る。

 

火花が散る。

 

わずかに車体が跳ねた。

 

それでも新井は持ちこたえた。

 

「こちら第三交機、新井! 黒色大型バイクに進路妨害を受けた! 現在――」

 

無線に手を伸ばした瞬間、黒いバイクが再び横へ並んだ。

 

今度は後輪付近に何かを投げた。

 

小さな金属片。

 

それが路面に散らばる。

 

「撒菱……!?」

 

前輪がわずかに弾かれる。

 

新井は咄嗟に体重を逃がしたが、完全には避けきれなかった。

 

白バイが大きく揺れる。

 

ハンドルが取られる。

 

視界が傾く。

 

それでも新井は最後まで、歩道へ突っ込まないよう車体を右へ逃がした。

 

白バイはガードレールに接触し、激しい音を立てて停止した。

 

黒いバイクは振り返りもせず、路地の奥へ消えた。

 

新井は倒れた白バイの横で、荒く息を吐いた。

 

右腕が痺れている。

膝も打った。

だが意識はある。

 

「……小隊長に怒られるな」

 

そう呟いた直後、痛みが遅れて襲ってきた。

 

連絡を受けた千速は、誰よりも早く現場へ到着した。

 

白バイを降りるなり、新井の姿を探す。

 

救急隊員に処置されている新井を見つけると、千速は一直線に歩いた。

 

「新井!」

 

新井は顔を上げる。

 

「小隊長……すみません」

 

千速はその言葉に眉を寄せた。

 

「謝るな。怪我は」

 

「右腕の打撲と、膝を少し。骨はたぶん大丈夫です」

 

「たぶんで済ませるな。検査受けろ」

 

「はい」

 

千速は新井の白バイを見た。

 

右側面に擦過痕。

ガードレールへの接触跡。

後輪付近には金属片が散らばっている。

 

新井は低い声で言った。

 

「狙われました」

 

千速の目が鋭くなる。

 

「相手は」

 

「黒い大型バイクです。フルフェイス。ナンバーは泥か何かで隠されていました」

 

「一人か」

 

「はい。たぶん男です。体格は大きめ。ただ、断定はできません」

 

「攻撃されたのは?」

 

「最初に右腕を棒のようなもので殴られました。その後、進路を塞がれて、最後に金属片を撒かれました」

 

千速は路面を見た。

 

白バイのタイヤ痕が蛇行している。

 

新井が転倒を避けようとした跡だ。

 

そして、歩道側へ逃げず、右へ流してガードレールに当てている。

 

千速は新井を見る。

 

「よく歩道へ行かなかった」

 

新井は少しだけ笑う。

 

「小隊長に、周囲の安全優先って言われましたから」

 

千速は一瞬だけ黙った。

 

それから、新井のヘルメットを軽く叩く。

 

「よくやった」

 

新井の表情が少し緩む。

 

「ありがとうございます」

 

しかし、千速の目は笑っていなかった。

 

白バイ隊員が、白昼堂々、バイクに襲われた。

 

偶然ではない。

 

明確に、狙っている。

 

千速は路面に落ちていた金属片を見た。

 

三角形に加工された小さな鋼片。

 

タイヤを裂くためのものだ。

 

「白バイ狩りかよ……」

 

千速の声は低かった。

 

そこへ、捜査一課の車両が到着した。

 

降りてきたのは、押村奏斗と横溝重悟だった。

 

横溝は現場を見るなり、顔をしかめた。

 

「派手にやりやがったな」

 

押村は新井の方を見る。

 

「新井隊員の容体は」

 

千速が答える。

 

「命に別状はない。だが右腕と膝をやられてる」

 

押村は静かに頷く。

 

「そうか」

 

その声に、安堵と怒りが混じっていた。

 

千速は押村を見る。

 

「奏斗」

 

「何だ」

 

「これは事故じゃない」

 

押村は路面の金属片を見た。

 

「分かっている」

 

横溝が鑑識へ指示を出す。

 

「路面の金属片を全部拾え。ガードレール、白バイの接触部、タイヤ痕、全部記録しろ。周辺の防犯カメラも押さえろ」

 

「はい!」

 

押村は現場をゆっくり歩いた。

 

黒いバイクはどこから近づき、どこで新井の白バイに並び、どこで攻撃したのか。

 

路面の痕跡を追う。

 

千速も隣に並ぶ。

 

「相手は走り慣れてる」

 

押村が聞く。

 

「なぜそう思う」

 

「新井の進路を塞いだ場所がいやらしい。横断歩道、自転車、対向車。新井が強引に追えない状況を選んでる」

 

「なるほど」

 

「それに、撒菱を投げたタイミングも最悪だ。少しでも慌てたら歩道に突っ込んでた」

 

押村は千速を見る。

 

「新井隊員の腕がよかったから、被害が抑えられた」

 

「ああ」

 

千速の声が硬くなる。

 

「殺す気だったかもしれない」

 

押村は否定しなかった。

 

横溝が二人のところへ来る。

 

「押村、千速。周辺のカメラ映像が出た」

 

村上がタブレットを持ってくる。

 

映像には、黒いバイクが映っていた。

 

新井の白バイに並ぶ直前の映像。

 

ナンバーは隠されている。

 

車種もはっきりしない。

 

ただ、黒いバイクの後部に、小さなステッカーのようなものが見えた。

 

千速が目を細める。

 

「止めろ」

 

村上が映像を止める。

 

千速は画面を拡大した。

 

そこには、白い線で描かれた図案があった。

 

翼のようにも見える。

だが、割れた羽ではない。

 

二本の白い線が交差した、稲妻のような形。

 

押村が呟く。

 

「マークか」

 

横溝が眉をひそめる。

 

「暴走族か?」

 

千速は首を横に振った。

 

「今のところ、見覚えはない」

 

新井が救急車に乗せられる直前、声を上げた。

 

「小隊長!」

 

千速が振り返る。

 

新井は痛みに顔をしかめながらも言った。

 

「相手、変なことを言ってました」

 

千速が近づく。

 

「何だ」

 

「最初に並ばれた時、インカム越しじゃないのに聞こえたんです。たぶん叫んでました」

 

「何て」

 

新井は記憶を探るように眉を寄せた。

 

「“一人目”って」

 

その場の空気が変わった。

 

横溝の目が鋭くなる。

 

「一人目?」

 

押村が低く言った。

 

「つまり、次がある」

 

千速の拳が強く握られた。

 

「白バイ隊員を順番に狙うつもりか」

 

押村は黒いバイクの映像を見た。

 

一人目。

黒い大型バイク。

白バイへの襲撃。

謎のマーク。

 

これは始まりだ。

 

犯人は、ただ逃げたのではない。

 

宣言している。

 

まだ続けると。

 

その日の夕方。

 

神奈川県警の会議室には、交通部と捜査一課の合同捜査班が置かれた。

 

ホワイトボードには、事件名が仮で書かれている。

 

白バイ隊員襲撃事件

 

横溝が前に立つ。

 

「被害者は第三交機所属、新井拓也巡査部長。命に別状はないが、右腕打撲、膝部損傷。犯行に使われたのは黒色大型バイク。凶器は棒状のもの、加えてタイヤ損傷を狙った金属片」

 

千速は腕を組んだまま聞いていた。

 

押村は映像資料を示す。

 

「犯人は新井隊員の走行ルートを把握していた可能性があります」

 

村上が頷く。

 

「待ち伏せですか」

 

「はい。新井隊員があの時間、あの県道に入ることを知っていなければ、あの位置で襲撃するのは難しい」

 

横溝が低く言う。

 

「内部情報か」

 

会議室が重くなる。

 

千速が即座に言った。

 

「第三交機の中に犯人がいるって言いたいのか」

 

押村は千速を見る。

 

「断定はしていない」

 

「でも可能性は見てる」

 

「はい」

 

千速は押村の目を見た。

 

少し前なら、ここで感情的になっていたかもしれない。

 

部下を疑われたと思って。

 

だが、今は違う。

 

捜査には必要な視点だ。

 

千速は短く息を吐いた。

 

「分かった。隊員の勤務予定と共有範囲は全部出す」

 

横溝が頷く。

 

「助かる」

 

押村は続けた。

 

「ただし、犯人が外部からルートを読んだ可能性もあります。白バイ隊員の巡回ルートはある程度パターン化されます。観察を続ければ予測は可能です」

 

千速が言う。

 

「狙いが新井個人なのか、白バイ隊員全体なのかもまだ分からない」

 

「はい」

 

押村はホワイトボードに書く。

 

標的:新井個人?/白バイ隊員全体?

 

横溝が映像のマークを指す。

 

「このマークを洗え。暴走族、旧車會、違法レース、バイク系SNS、全部だ」

 

「はい!」

 

千速は映像をじっと見ていた。

 

黒いバイクの走り方。

 

車線変更の癖。

加速の間。

体重移動。

 

どこかで見たような気がした。

 

だが、思い出せない。

 

押村が隣に来る。

 

「千速」

 

「何だ」

 

「何か気づいたか」

 

「まだ分からねぇ。ただ、こいつは速いだけじゃない。白バイの動きも分かってる」

 

「元白バイ隊員?」

 

「可能性はある。でも、それだけじゃない」

 

千速は画面の黒いバイクを指した。

 

「こいつ、新井を転ばせようとはしてる。でも一般人を巻き込まない位置を選んでる」

 

押村の目が動く。

 

「殺意が曖昧ということか」

 

「ああ。新井を潰す気はある。でも無差別じゃない」

 

横溝が二人を見る。

 

「じゃあ何だ。白バイに恨みがある奴か」

 

千速は低く言った。

 

「たぶん、白バイの誰かに見せつけたいんだ」

 

押村はその言葉を受け止める。

 

「見せつけたい相手」

 

「新井じゃないかもしれない」

 

千速の視線が、黒いバイクの映像から離れない。

 

「一人目って言ったんだろ。なら次がある。しかも、わざとそう伝えた」

 

押村が静かに言う。

 

「犯人は、恐怖を広げようとしている」

 

横溝が低く唸る。

 

「隊全体を狙った挑発か」

 

会議室の空気がさらに重くなった。

 

その時、村上が端末を見て声を上げた。

 

「警部、押村警部補。このマーク、似たものが出ました」

 

全員の視線が集まる。

 

村上は画面を大型モニターに映した。

 

そこには、数年前に摘発された違法バイクチームの記事が表示されていた。

 

チーム名。

 

BLACK LANCE

 

黒い槍。

 

ロゴは、二本の白い線が交差した稲妻のような印。

 

千速の目が鋭くなった。

 

「こいつら……」

 

押村が尋ねる。

 

「知っているのか」

 

千速は少しだけ顎を引いた。

 

「五年前、私が追ったことがある」

 

横溝が眉をひそめる。

 

「五年前?」

 

「ああ。違法レースで一般車両を巻き込んだ。私が白バイで追跡して、一人捕まえた」

 

押村は静かに聞く。

 

千速は続けた。

 

「その時、逃げた主犯格がいた」

 

「名前は」

 

千速は画面を睨んだ。

 

「倉木怜央」

 

村上が検索する。

 

「倉木怜央……当時二十六歳。危険運転、道路交通法違反、傷害容疑で指名手配歴あり。ただし、その後逮捕記録は……」

 

村上の手が止まる。

 

「三年前、事故死しています」

 

千速が眉を寄せる。

 

「事故死?」

 

「はい。山中の県道でバイク転倒。単独事故として処理されています」

 

横溝が低く言う。

 

「死んでる奴が襲ってくるわけねぇな」

 

押村は画面を見つめた。

 

「倉木怜央の関係者を洗う必要があります」

 

千速の表情は険しかった。

 

五年前。

違法バイクチーム。

逃げた主犯格。

三年前の事故死。

 

そして今、白バイ隊員への襲撃。

 

過去の道路が、現在へつながり始めている。

 

夜。

 

千速は第三交機の車庫で、新井の白バイを見ていた。

 

修理に回す前の車体。

 

傷ついた右側面。

擦れたステップ。

衝撃の跡。

 

「悪かったな」

 

白バイに向かって、千速は小さく言った。

 

「お前も新井も、よく耐えた」

 

背後から足音がした。

 

押村だった。

 

「まだ残っていたのか」

 

千速は振り向かずに答える。

 

「お前こそ」

 

「君がここにいる気がした」

 

「何だそれ」

 

「当たった」

 

千速は少しだけ笑った。

 

だが、すぐに表情を戻す。

 

「新井、悔しそうだった」

 

押村は隣に立つ。

 

「そうだろうな」

 

「白バイ隊員が、バイクに襲われたんだ。しかも取り逃がした」

 

「彼は一般人を守った」

 

「分かってる」

 

千速は白バイの傷を見つめる。

 

「でも悔しいんだよ。新井も、私も」

 

押村は静かに言う。

 

「犯人を捕まえる」

 

千速は押村を見る。

 

「当たり前だ」

 

「ただ、君が標的になる可能性がある」

 

千速は少し笑う。

 

「むしろ、私が本命かもしれねぇな」

 

押村の表情がわずかに硬くなる。

 

千速はそれに気づいた。

 

「奏斗」

 

「何だ」

 

「黙って一人で抱え込むなよ」

 

押村は目を伏せる。

 

「言われると思った」

 

「言うに決まってる」

 

「君も、一人で追わないでほしい」

 

千速は白バイを見た。

 

「追いたくなっても?」

 

「はい」

 

「相手が目の前にいても?」

 

「応援を呼んで、安全を確保してから」

 

千速は少し不満そうに顔をしかめる。

 

「つまんねぇ答え」

 

「刑事としての答えだ」

 

「恋人としては?」

 

押村は千速を見る。

 

「無事でいてほしい」

 

千速は一瞬黙った。

 

そして、顔を少し赤くして視線を逸らす。

 

「……そういうこと言うな」

 

「聞かれたから答えた」

 

「真面目か」

 

「はい」

 

千速は小さく笑った。

 

でも、その笑いはすぐに消えた。

 

車庫の外から、白バイのサイレンが遠く聞こえた。

 

いや。

 

白バイではない。

 

バイクのエンジン音。

 

低く、鋭い音。

 

千速と押村が同時に振り向く。

 

車庫の外、道路の向こう。

 

一台の黒い大型バイクが、街灯の下に停まっていた。

 

黒いフルフェイス。

黒いジャケット。

後部には、白い交差線のマーク。

 

押村が低く言う。

 

「犯人……」

 

千速の目が鋭くなる。

 

黒いライダーは、こちらを見ていた。

 

そして、ゆっくりと右手を上げた。

 

指を一本立てる。

 

一人目。

 

次に、二本目の指を立てた。

 

二人目。

 

千速が白バイへ走ろうとした。

 

押村が腕を掴む。

 

「千速!」

 

「離せ!」

 

「罠だ!」

 

黒いバイクはそのまま急発進した。

 

夜の道路へ消えていく。

 

千速は悔しそうに歯を食いしばる。

 

「くそっ!」

 

押村はすぐ無線を入れた。

 

「黒色大型バイク、第三交機前から逃走。県道方面へ向かった。追跡班を回してください」

 

横溝の声が返る。

 

『見せに来やがったか』

 

「はい」

 

『挑発だ。千速を出すな』

 

千速が無線に向かって怒鳴る。

 

「聞こえてるぞ、重悟!」

 

横溝の声は冷静だった。

 

『なら聞け。今追えば奴の思う壺だ』

 

千速は拳を握る。

 

押村はその横で、黒いバイクが消えた方向を見つめた。

 

犯人は逃げたのではない。

 

宣戦布告に来た。

 

新井は一人目。

 

次は二人目。

 

標的は、第三交通機動隊。

 

そしておそらく。

 

萩原千速。

 

押村は静かに言った。

 

「この事件、必ず止める」

 

千速は悔しさを飲み込み、低く答えた。

 

「ああ。絶対に捕まえる」

 

夜の道路に、黒いバイクのエンジン音だけが残っていた。

 

白バイを狙う影は、まだ走り続けている。

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