Dragon Ball KY   作:だてやまと

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修行!!

 小さな。ほんの小さな歴史の変更を果たしたヤムチャではあったが、それが悟空の助けになったかと言えば、甚だ疑問である。

 第二十三回天下一武道会は、クリリン達がかつて辿った記憶と同じように悟空の優勝で幕を閉じた。クリリン・ヤムチャとの連戦で――特にヤムチャ戦で大幅に気を消費したピッコロだったが、フェアじゃねえと悟空が言い出して、試合前にピッコロに仙豆を食べさせるという、実に戦闘好きで実直を通り越して性質の悪い無邪気さを発揮させたが、結局のところ悟空がギリギリのところで勝利。違いといえば、精々のところ武舞台が焼け野原になるのを免れたというところだろうか。

 大会は無事に終了し、満身創痍の悟空も仙豆で完治。神様の「私の代わりに神になれ」というありがたいお言葉を「つまんないから嫌だ」というおそろしく適当な理由に、アカンベーまで加えるという師匠に対するあるまじき無礼を働きつつ、しっかり新妻チチを筋斗雲に乗せて、どこかに行ってしまった。

 それを見送ったクリリンとヤムチャは、やっぱり悟空は悟空だなあと思いつつ、顔を見合わせてニヤリと笑った。

「負けたけど、努力ってのは無駄ばっかりじゃないな。正直、ピッコロといい勝負ができるとは思わなかった」

「ええ。しかも、これからはチャンスですよ。ぶっちゃけて言えば、悟空は新婚生活ですからね。せっせと頼れる息子づくりに励んで、そっから子育てですよ」

 ここから五年間ほど、悟空は戦士として大した成長はしていない。ピッコロとて、やはりあまり成長はしなかった。おそらく修行の限界を感じていたのだろう。特に彼らは自分よりも数段上の人間がいなければ修行による効果が薄いようであり、実際、悟空はフリーザ打倒のための宇宙船での修行のときに凄まじいまでの速さで成長した。

 セルに備えた精神と時の部屋の修行を終えた悟空が言っていたように、一度に一気に修行したとしても限界が来るというのは、要するに目指す高みがなければ引き上げることの出来ない底力が彼らにはあるということだ。

 そういう意味では、既に先を知るクリリンとヤムチャは、この時点で既に魔人ブウという凶悪な敵を知っている。限界など来るはずがない。これから先に出会う敵で言えば、ラディッツが該当するが、これも今の状態では手も足も出ない。

 しかし、ピッコロを悟空が倒して、世界は平和になったときのクリリンやヤムチャではないのだ。限界がまだまだ先にあると知っており、しかも一気に戦闘力の上がる敵との戦いが待っているということも知っている。

「いくぞクリリン。まずは超重力の修行を完成させよう」

「ええ。けど、どうしましょう……天津飯さんも一緒に修行ですか?」

「ああ、そのことだがオレに考えがある」

 ヤムチャはそう言うと、悟空を見送ったまま、目的を果たしてシェンの身体から出てきた神様と話す天津飯に近づいた。

「おいヤムチャ、神様に謝っておかなくていいのか。かなり殴ってしまっただろう?」

「試合なんだから仕方ないだろう。それより天津飯、お前はこのまま神様と一緒に神の宮殿に行って、修行してこい」

 相手が神様と知って流石に戸惑っていた天津飯に、ヤムチャは事も無げに言う。既に悟空が神様に修行してもらっていたことを知っている天津飯は、当然行ってみたいわけだが、それよりも以前は自分よりも弱かった二人が急激に強くなっていた、クリリンとヤムチャの修行法に惹かれてしまう。

「お前たちは行かないのか。確かにピッコロや悟空とお前達にはそこまで大きな差は無いようだが、悟空に追いつけるかもしれないぞ?」

「オレ達は、もう相手の気を探って戦うことが出来るからな。お前も悟空との試合で体感しただろう。目に頼らない相手の測りかたを」

 目のいい天津飯は、目に見えなくても気を探ることができる悟空に翻弄された。それだけが悟空の強さではないが、その戦い方の極意を知りたいのは確かである。

「神様の修行は心を無にする修行だ。生憎とオレ達は前に同じ修行をしたから、行く意義があまり無いんだ。チャオズと二人で修行してこいよ。お前達なら一年もせずにマスターできるんじゃないか?」

「勿論オレたちが教えてもいいですけど、教え方はやっぱ神様のほうが上手いですからね。オレ達はカプセルコーポレーションで修行してるんで、終わったら来て下さい」

 クリリンとヤムチャの言葉に、天津飯は素直に頷く。神様も快く天津飯とチャオズの修行を了承して、三人はそのまま神様の宮殿に飛んでいった。ちなみにランチさん、この頃から天津飯を追いかけるのに夢中であり、カリン塔に天津飯が登ったときは、なんとカリン塔をよじ登る挑戦までしている。流石にてっぺんまで登ることはできなかったが、地味に強くなっている。今回はさらなる高度にある神様の宮殿であるから追いかけようも無いが、カプセルコーポレーションならば行くことができる。一年待てば会えるのならば、料理修行でもして待っていようかなどと考えた。

 ブルマはこれからしばらく、一応カプセルコーポレーションの社員として研究しつつ、恋人のはずのヤムチャと過ごそうなどと考えているのだが、当のヤムチャは既にブルマと自分が恋人であるという自覚がほとんどない。万が一、ベジータとブルマの間にトランクスが生まれなければ、セルや人造人間の存在を知ることも危うく、ブウとの戦いでゴテンクスが危機を救ったりできなくなるのだ。その分だけ自分が強くなればいいわけだが、それが出来ればそもそもこんな時間を逆行しての修行人生やり直しなどしていない。

「ヤムチャ。修行ってウチでするんでしょ?」

「あ、ああ。次こそは悟空に勝ちたいしな。それにピッコロとまた戦うかもしれない」

「まあ、確かにすっごく強くなったみたいよね、ヤムチャもクリリン君も。昔は孫君に全然敵わなかったのに」

 素直に感心しているブルマに、ヤムチャはどうしたものかと首を捻る。いや、少々口うるさいが良い女には違いないのだ。元々の歴史どおりであれば、この後もやはり喧嘩をしてすぐにヤムチャは修行の旅に出たわけだが、喧嘩の原因は修行に時間を費やしたいヤムチャと、遊ぶ時間が欲しいブルマとの見解の違いである。恋人という名目ではあるが、実際のところヤムチャは天下一武道会に出場しはじめた頃から、頭の中のほとんどが強くなることに集約されている。はっきり言って異常なのはヤムチャのほうだ。だが、それに輪を掛けて異常な時間遡行であるから、変えてはいけない未来を変える必要など無い。

 喧嘩しておかないとトランクスが生まれない。しかし、喧嘩をするとカプセルコーポレーションの重力修行室が使えない。中々困った展開であったが、ヤムチャは決心をする。

「よし、この調子でどんどん強くなるぞ。クリリン、早速舞空術の勝負といこう。カプセルコーポレーションまで、競争だ」

「受けて立ちましょう。あ、ブルマさんたちはゆっくり飛行機でどうぞ」

 咄嗟にヤムチャの考えを見抜いたクリリンは、軽いフォローの後に空高く舞い上がる。ヤムチャは既に空中にいた。

「よし、このまま重力室に引き篭もろう。10倍重力の中までブルマは入ってこない」

 まさか、恋人から逃げるという行為に出なければならないとは思わなかったヤムチャだが、致し方あるまい。最早、ブルマはヤムチャにとって恋人というよりも仲間の一人であり、ベジータの妻なのだ。不必要に歴史を変えるのも問題であるし、正直なところ恋愛に憧れていた過去とは違い、今は強くなることしか頭にない。

 

 天津飯とチャオズを神様のもとで修行させ、自分たちは十倍重力を克服する。

 本来、この流れはもっと先。少なくとも五年以上あとのことだった。五年間、修行をしなかったわけではないが、やはり効率的とは言えないものだった。

 カプセルコーポレーションで重力制御室に引きこもったヤムチャとクリリンは、七倍重力から一気に十倍まで引き上げて修行を再開することにした。

「今度来るラディッツっていう悟空の兄貴は、ずっと十倍重力の星で生活していたんだろう。まずはその部分で対等にならなきゃな」

 ヤムチャの弁であるが、少なくともラディッツの強さに迫る術は地力の強化以外にはない。何よりも、この頃から明確に敵に一切歯が立たなくなってくる頃でもあるのだ。

 ほとんどが重力を強化しての繰り返しとなる単純作業であるが、ヤムチャもクリリンも愚痴の一つも言わず、淡々と。しかし懸命に修行をこなしていく。天下一武道会から三ヶ月ほど、みっちりと修行に費やした結果。なんとか十倍重力を克服することに成功した。

 言葉にすれば多寡がしれたものに感じるであろうが、十倍と言えば悟空が界王星で感じた重力である。ラディッツ戦の後であるから、今から五年後となるのだが、悟空は一歩を踏み出すのも辛そうであった。

 その環境の中で、平然と人差し指一本で身体を支えるクリリンとヤムチャの苦労を考えれば、この先の五年間ほどを、悟空がどのように過ごしていたのかは明白であろう。鈍ってはいないだろうが、新妻チチと悟飯をこしらえ、せっせと牛魔王の財産を食いつぶしながら平和を満喫していたに違いない。

 無論、悟空を責めることなど誰もできない。そもそも悟空がピッコロ大魔王を倒して手に入れた平和であるし、その生まれ変わりたる現在のピッコロもまた、悟空が倒しているのだ。五年間ぐらい人並みの幸せを得たとして、一体誰が文句を言うことができようか。新技を開発していたというピッコロとて、五年間で魔貫光殺法ひとつである。戦闘力自体は天下一武道会とそう大きく変わってはいないのだ。

 かつての世界では大きく水をあけられていたクリリンとヤムチャは五年間、それぞれ修行をしながら過ごしており、悟空との差を少しは縮めたわけだが、現在のように効率的な修行と気の扱いを身につけていたわけでもなく、大いに伸び悩んでいた時期でもある。

「今なら、悟空より強いんじゃないのか?」

 つまり十倍重力の修行を終えたヤムチャが思わずそう呟いてしまうのも、以前の五年間を考えると少しも不思議ではないことだった。

 十倍重力下で、重い道着を身につけて苦もなく組手をしていたクリリンとヤムチャである。少なくともラディッツ戦のときの悟空よりは強いはずだ。戦い方やリーチなど、様々な差はあれど、気の量で言えば間違いなく悟空より強いと言わざるを得ないのだ。

「うわ、それを考えるとオレ達すごいですね。数十年間、ほとんど差を広げられていく一方だったのに」

「あいつら、老化すら遅いからなあ」

 悟飯が成長して高校生となった頃、既にクリリンもヤムチャも肉体のピークは過ぎており、もう差を埋める術なんて何一つなかったのだ。

 今のところ、悟空は十八歳か十九歳ほど。クリリンで二十歳である。ヤムチャは二十三歳と、本来ならば一番伸びてもおかしくない時期なのだ。悟空は結婚と子作りが早すぎたと言わざるを得ない。尤も、そのおかげで悟飯がセルを倒したりと、早すぎる子作りにも良い結果はあった上に、この最高の時期に父親修行ではなく普通の修行をせずして、尚も銀河最強戦士にまで至っているのだから凄まじい。

 勿論、地球人であるクリリンとヤムチャはこの時期を逃すことなどできるはずもない。悟空を抜いたは良いが、サイヤ人が金色になった瞬間、即時逆転されるのである。今のうちに精一杯、とことんまで伸ばしきるつもりでやるしかないのである。

「ざっくりと計算して、あいつら光ったらどれくらい強くなるんだ?」

「体感で言えば、普通の超サイヤ人で五十倍ぐらいだったかな……」

 五十倍。この数値は嘘ではない。正しく気を探ることのできるクリリンであるし、二十倍界王拳のかめはめ波でも倒せなかったフリーザを超化したらボコボコにしたのであるから、それくらいの気の跳ね上がり方をするわけだ。さらに超サイヤ人には2と3がある。

「マジか」

「マジです」

 最初からわかっていたことだが、改めて考えると途方もない。しかも単に五十倍ではなく、サイヤ人も努力して基礎能力を高めていく上に、たまに瀕死になって超回復からのパワーアップという修行する気を一発で喪失させるような性質まで持っている。悟空が100倍重力を一週間ほどで克服したのも、この瀕死からの超パワーアップを繰り返すという反則技を駆使しまくった結果だ。

「なあ。今から悟空をボコボコにして仙豆を食わせるってのを繰り返せばいいんじゃないか?」

「あー、悟空も人造人間戦に備えてやってみたけど、ダメだったみたいですよ。超サイヤ人になるための壁までは良いらしいですけど、そこから先は効果がないみたいですね」

 なるほど、確かに世界の危機にお手軽修行法を使用しないのもおかしな話であるし、特にベジータはバビディの下僕になる道を選択するほど強くなりたかったにも関わらず、この方法を使っていない。どれもこれも超化した前後ではっきりと別れていることである。

「つまり、現時点で悟空に勝っているならば、そのサイヤ人の特性分を修行で補えばいいわけだ」

「超サイヤ人はどうします?」

「それに関しては、一つ案がある」

 にやりと笑うヤムチャに、クリリンは首をかしげる。

 今までは、とにかく悟空に追いつく一心で修行に明け暮れていたが、とりあえず暫定ではあるが追い抜いたわけであり、この先の展望にまでようやく考えが至るようになったのだ。

「既に神様との修行を終えたようなもので、十倍重力も克服したわけだ。つまり、今の俺たちはほとんど、ベジータと戦った頃に近いはずなんだ」

「ええ。おそらくそうでしょうね」

「今の俺達ならば、おそらく一ヶ月ほどで蛇の道を踏破できると踏んでいる」

「へ、蛇の道?」

 聞いたことはあるが、クリリンはそれを知らない。何度も死んだクリリンだが、肉体を木っ端微塵にされたりで、あの世で修行を受けることがなかったからだ。そこへ行くと、ヤムチャはサイバイマンに殺された後に、蛇の道を通って界王様の修行を受けている。そして、界王様との修行での目玉と言えば、なんといっても界王拳である。

 戦闘力の底上げではなく、技による一時的な強化。サイヤ人ではないクリリンとヤムチャが可能なものと言えば、界王拳においてほかはない。ナメック星での悟空ですら肉体に過度な負荷をかけずに戦うとなれば十倍が限度であり、超サイヤ人の五十倍とは比べようもないが、何もしないよりは明らかに良い。

「半年ほどしか修行できず、界王拳は習得できなかったが、もう少し時間をかければきっと習得できるだろう」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。蛇の道って、要するにあの世ですよね。ヤムチャさん、死ぬんですか?」

 クリリンが驚くのも無理はない。勿論、死んでもドラゴンボールがあるので蘇ることは可能だが、だからと言って軽々しく死ぬのは如何なものか。

 しかしヤムチャは冷静だった。界王拳の習得はこの先の戦いには必要不可欠であり、五年間という長時間を修行のみに費やせるタイミングもほかないのだ。単純な強さを求めるならば、この先も重力トレーニングでいいのだが、それだけで超サイヤ人に勝てるはずもない。

「死ぬのが一番手っ取り早いが……サイバイマンに殺されることは流石に無くても、生き残ったら次はフリーザだ。クリリンも死んだし、俺も危ないだろう。いくらその頃にナメック星のドラゴンボールがあると言っても、次は人造人間に、さらにセル。命がいくつあっても足りないとはこのことだな。無駄死にはできんさ」

「けど、死なないと界王様には会えないでしょ」

「まあ、よく考えてみろよ。神様は生きてるのに閻魔様に悟空を紹介するとき、あの世に行ってた。占いババは普通にあの世と往復してる。悟空はセルと一緒に瞬間移動で界王星まで飛んでいってるし、死ななくても行く方法はあるはずだろ」

 なるほど、言われてみればこの世とあの世の境目は極めて曖昧である。占いババか神様の力を借りることができるならば、或いは生きたまま界王星での修行も可能かもしれない。

「じゃあ、行きましょうか。神様に頼んでみます?」

「いや、行くのは俺一人だ。クリリンはこのまま修行を続けてくれ」

 ヤムチャの言葉にクリリンは耳を疑った。同じ夢を抱いて、長らく寝食を共にしながら修行を続けたのだ。界王星に行くにしても二人で一緒に行くのが道理ではないだろうか。

「オレも行っちゃマズイですか?」

「いや、そういうわけじゃない。単純な効率の問題だ。蛇の道は言ってしまえば走るだけの単純すぎる修行しかできない上に、特に重力の負荷があるわけでもない。今の俺たちにとっては蛇の道なんて長いだけの迷惑な道のりでしかないんだ。ならば、俺が界王拳を習得してクリリンに教えればいいだけの話だろう。気のコントロールに関して言えばクリリンの方が得意だが、界王拳はおそらく体内の気の操作になってくる。細かい気の操作だけで言えば、操気弾を使う俺の方が上手い」

 得手不得手は誰にでもあり、ヤムチャの言うとおりに気の性質そのもののコントロールはクリリンの方が上手い。気円斬のように気の形状を変化させて、高速回転を加えての攻撃。拡散エネルギー弾のような、追尾こそ緩やかだが、威力と殲滅力の高い技。そして見よう見まねで気を光に変える太陽拳を操るなど、ヤムチャとて太陽拳などはすぐに習得できるだろうが、見ただけで真似できるほどではない。あまつさえ、初めて触れる元気玉の集中など、およそできる気がしない。

 だが、気の動きを細かく定めるという点においてはヤムチャに分があるのだ。だからこそ操気弾を編み出したわけであるし、既に蛇の道を攻略した過去によって、ペース配分も諸々理解している。

「……わかりました。その代わり、必ず界王拳を習得してきてくださいね。オレも界王拳が使えないと、この先は乗り越えることができそうもないですし」

 クリリンの言葉にヤムチャはしっかりと頷くと、善は急げと言わんばかりに修行室を出て神の宮殿へと飛んでいった。

 一人になったクリリンは、ふうと息を吐く。このまま修行を続けてもいいが、ヤムチャはあまり大した修行にならない蛇の道を通り抜けるという面倒を引き受けてくれたのだ。ならば、自分もまた面倒を引き受けねばならない。

 こと、技の多さと多彩さに定評のあるクリリンである。かめはめ波・拡散エネルギー波・気円斬に加えて太陽拳も扱い、それぞれの役割も明確である。最もバランスの良い必殺技としてかめはめ波。多人数を一気に殲滅できる拡散エネルギー波。そして、よほど大きな差が無い限り、打ち消されることはなく、攻撃力も高い気円斬。目くらましの太陽拳はフリーザ戦でも大いに活躍した。また、気円斬は連射も可能で、これもまたフリーザを慌てさせるほどの切れ味を見せた。

 それに対して、ヤムチャは気功波だけで言えばかめはめ波と操気弾だけである。狼牙風風拳が実力が伯仲した時の威力はクリリンも天下一武道会でよく理解できたが、瞬間最大攻撃力で言えば、やはり気功波の類が一番なのだ。

 極めて使い勝手のいいかめはめ波を抱えているだけ、並の相手ならば遅れは取らないだろうが、これから先に戦うのは並どころか桁外れであるので、クリリンを含めて戦闘力自体で遅れを取ることが想像に容易い状態で、必殺技を持たないのはあまりにも分が悪い。

 単純にかめはめ波の数倍の威力を引き出すならば、天津飯の使う気功砲が良いのだが、命を削る技は厳禁だ。ならば、それに見合う何かを考えねばならない。

「……界王拳に見合うモノ、考えないとな」

 クリリンは十倍重力の中、ごくごく自然に腰を降ろして、じっくりと新技について考え始めた。




今後の展開の見直し(戦闘力関連)を行い、かなり間を空けてしまいました。
第二十三回天下一武道会編は終わり、次回あたりからラディッツ編に突入しようと思います。
それが終われば、早くもサイヤ人来襲。続いてフリーザ。いよいよインフレの幕開けです。

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