竜の姫に俺は乗る─召喚されしロボオタ、姫が変身したロボを駆り最強を目指す─   作:三丈夕六

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第21話 デートをしましょう♡

「いいですか? 私も近くにはおりますが、ショウゴ殿が姫様をお守りするのですよ? 私がお側まで辿り着くまではなんとしても」

 

「分かってるよダーナ。俺もハインズに鍛えられてるからさ」

 

 ダーナがコクリと頷く。俺もダーナも軽装な革鎧に腰に剣を差していた。一見するとファンタジーアニメかマンガに出て来る冒険者のような格好。この世界に冒険者なんて職業があるのか知らないけど、周囲の人達の格好から考えて、観光客としては通用するだろう。

 

 ……。

 

 迎賓館で宿泊の手続きを済ませた後、やっと俺達に自由な時間ができた。アシュタルとハインズは歓迎の催し物があるとかでまだまだ拘束されそうだけど。

 

 そんな時、ティアマトから言われたんだ。「トルテリアの街を見に行きましょう」と。

 

 お姫様が迂闊に外に出て大丈夫なのかと思ったが、アシュタルからの許しも貰ったとかで、結局その勢いに押されて出る事になってしまった。まぁ、俺もトルテリアの街並みは気になっていたからありがたいけどな。

 

 

「お待たせしました」

 

 

 迎賓館の入り口からティアマトが出て来る。彼女は、膝まであるロングブーツに白いシャツ、焦げ茶色のローブに、腰には細身の剣。……明らかに「女剣士です」と言った格好をしていた。

 

「ちょっとわざとらしくないか?」

 

「そうですか? 中途半端だとお忍び感が出てしまうので……」

 

 話していると、ダーナがアゴに手を当ててマジマジと俺達を見て来る。彼女は一通り見回した後、ニコリと笑った。

 

「いや! いやいや! これは良いですよ姫様! 2人が並ぶとちょうど良く若い旅人に見えますよ! いやぁ〜お似合いですよ!」

 

 テンション高めで捲し立てるダーナ。褒められて嬉しかったのか、ティアマトが頬を両手で押さえる。2人はなぜかヒソヒソと耳打ちをしていた。

 

(姫様! この地区のココに行くと夕日に染まるトルテリアの景色が……ここなら歓迎の空中演舞もよく見えるかと……)

 

(ダーナ……アナタ……)

 

(ふふっ、ダーナにお任せ下さい! まだ見ぬ彼氏とデートする妄想はいつもしておりますから!)

 

(も、妄想って……!?)

 

 なぜか困惑するような顔のティアマト。反面ダーナはニコニコとした笑みを浮かべていた。

 

「ささっ! 2人はどうぞ街へ! 私は邪魔しませんから!」

 

 な、なんか怖いな……今日のダーナ……。

 

 俺達は、ダーナに勧められるように街へ向かった。

 

 

 

◇◇◇

 

 迎賓館を出て石畳の道を行く。屋敷ばかりのエリア。恐らく高級住宅街であろう街並みを抜けると、教会? のような建物が見えた。その入り口には3つの首の竜が掘られている。

 

「なんだアレ?」

 

「この世界を作って下さった父なるイァク・ザァド様です」

 

 イァク・ザァドってティアマトが変身する時、詠唱で呼んでいた名前だよな? アレがこの世界の神様? キングギド◯みたいだな。

 

「あの3つの首がそれぞれ子孫を残したのです。ヨルムンガンド達『古竜種』を作ったのが右の首、私達『異竜種』を作ったのが左の首。中央の首は『殻竜(かくりゅう)種』という存在を生み出しました」

 

「ふぅん……3つの首で違う生き物を、かぁ。神話感あるな」

 

 そんな話を聞きながら歩いていくと、大きな広場に出た。広場では沢山の屋台が並んでいて、旅人や、行商人らしき人々で賑わっている。

 

「アレがトルテリアで有名な夕焼け市ですね」

 

「夕焼け市?」

 

「朝の市場は仕入れの商人達で殺伐としていますから、こうして夕方にもう一度市場を開くのです。旅人や、仕事を終えた行商人達へ自分の店を覚えて貰う為に」

 

 ティアマトが1つの屋台を指す。そこでは小さな飛竜がカゴに入れられていた。

 

「キュルルル……♡」

 

「きゃあ〜! 翼ちっちゃい!」

「目が大きくて可愛いんだ!」

「この瞳、愛くるしさ、たまらん……」

 

 犬や猫くらいのそれは、多くの女性や子供、果ては紳士のような人までが見物している。

 

「あのような愛玩用の品種を扱う者もいます。様々な人々がああやって店に集まるのは夕焼け市ならではですね」

 

 夕焼け市は店の宣伝みたいな物か。朝市はきっと商人達が馴染みの店でいち早く良い商品を掴むのに必死なんだな。

 

「キュルルッ!!」

 

「うわぁ……」

「丸呑みなんだ!?」

「怖っ!?」

 

 先程の盛り上がりから一転、小さな悲鳴が上がる屋台。人混みの隙間から見てみると、さっきの小さな飛竜がエサの魚を丸呑みしているのが目に入った。うわぁ……完全に目がイッてる……ペットと言っても竜だな。捕食する時は野生感あるぜ……。

 

 慌てた店員がすぐにカゴを引き下げ新しい動物を紹介していた。

 

 その様子を見ていると、色んな音が聞こえてくる。ザワザワした喧騒。元気な呼び込み。子供の笑い声も。

 

 なんだか、子供の時に祭りに行った時みたいな高揚感。異世界にいるワクワク感。それが混ざって、不思議な気分になってくる。

 

「ここにいると楽しい気分になって来ませんか?」

 

「楽しい気分……か」

 

 周囲の店も見渡してみる。大きな肉を焼いてる店や、見たことのないフルーツを売ってる店、それに装飾品や本なんかを売ってる店もある。

 

 夕焼け空に張り巡らされたロープ。そこに点々と取り付けられたランタンがキラキラ光っていて、幻想的な雰囲気も感じる。

 

 奥のテーブルが敷き詰められた一角では顔を真っ赤にした人達が酒を飲んでるし……本当に祭りみたいだな。ティアマトの言う通り、いるだけで楽しい気分になるぞ。

 

「私、夕焼け市が好きなんです。こういった光景はアシュタリアではありませんから」

 

 確かに、アシュタリアはもっと牧歌的な空気あるもんな。この国みたいな都会然とした雰囲気は憧れるかも。

 

「行きましょう!」

 

「あ、おい!」

 

 ティアマトに手を取られて夕焼け市に駆け出していく。

 

 その後は楽しくてあっという間に過ぎてしまった。店先に並んでいた謎のフルーツを食べてみたらめちゃくちゃ酸っぱくてティアマトに笑われたり、本屋でティアマトに教えて貰いながらこの世界の物語を読んでみたり。

 

 ティアマトに乗っていた時も楽しいけど、こうやって一緒に過ごすのも新鮮で、なんだか嬉しい気持ちになった。

 

 

 ……。

 

 

「う〜ん……」

 

「なぁ召喚人(しょうかんびと)の兄ちゃん。見てるのも良いけどよ、そろそろ買ってくれても良いんじゃねぇか?」

 

 装飾品店の店主。その呆れ顔のプレッシャーがやばい。どうしよう?

 

 ふと横目でティアマトを見る。彼女は、隣の書店で魔導書とかいうのを発見したらしく、夢中で読みふけっている。

 

 今日は落ち込んでたからな……こうして、気分を持ち直せたのはティアマトのおかげだ。だから何かお礼したいんだけど……。

 

 何買ったらいいんだ? 食い物とかは流石に違う気がする……い、いや、これは礼だ。変な意味じゃない。ティアマトは俺の事を気遣って散策に誘ってくれたと思うし……。

 

「え〜と……」

 

 財布の中を見る。空賊討伐をした時の報奨金が50万ギラ入ってる。俺としては初めてこの世界で稼いだ金。AIが1ギラ1円って教えてくれたから計算はしやすいのが利点だよな。

 

 正直言えば、なんかあった時の分を引いても30万ギラは出せる。だけどなぁ……いきなりそんなもん渡したら引くよな? いくら王族でもさぁ。でも安すぎてもカッコつかないし……。

 

 あ〜! こういう時陰キャだから何も分かんねぇ!! どうしたらいいんだ!?

 

(お困りですかショウゴ殿?)

 

 突然、耳元で声が聞こえた。振り返るとそこにはニヤニヤと笑みを浮かべたダーナがいた。

 

(だ、ダーナ!? いつからそこにいたんだよ!)

 

(良いではありませんかそんな事は。それよりも! 姫様へのプレゼントですね? ですよね!?)

 

 ダーナのヤツ、テンション高すぎだろ……。

 

(まぁ、その、そうだよ。でもさ、いきなりアクセサリーなんて渡したら気持ち悪いかもって)

 

(何を!! 言ってるのですか!!)

 

 急に肩をガッと掴まれる。ダーナは、俺の頭を拳でグリグリしてきた。

 

(乙女が!! 気になる殿方に貰った物を!! 喜ばないはずがないでしょう!?)

 

(痛ててて!? わ、分かったって! にしてもさ、何買えばいいか分かんないんだよ)

 

(んふふ〜!! お任せ下さいショウゴ殿! こういう時はですね、古竜鋼(ドラグナイト)で作られた物が良いですよ!)

 

(古竜鋼……?)

 

(はい! 竜機兵やワイヴァルスの装備もそれで作られてるんです。それならライネに頼めば姫様が変身した時に壊れないようにして貰えますよ。竜機兵の体の一部になって戻った時に元の形に戻れます)

 

 古竜鋼、か……確かに、ティアマトが竜機兵になる時もそれなら、壊れるとか無くすとか、ティアマトが余計な心配しなくてもいいか。

 

 俺は、思い切って店主に声をかけた。古竜鋼で作られたアクセサリーが欲しいと。

 

「へぇ、中々金持ちなんだな兄ちゃん」

 

 関心したようにアクセサリーを並べる店主。ティアマトはまだ気付いてない。選ぶなら今のうちだ。

 

 ええと……並べられたのは宝石のあしらわれた指輪と腕輪、ネックレスにブローチ……値段はどれも8万ギラか。指輪とかは重いよな? ブローチっていうのはなんかティアマトが付けるイメージ無いし……。

 

 中々選べない。困り果てた時、視界の隅に5枚の花びらを持つ花の髪飾りが映った。

 

「これは……」

 

 鏡みたいに磨き上げられた古竜鋼が光を反射して綺麗だ。中心には青い宝石。なんとなく、ティアマトがこれを角の近くに付けているイメージが浮かんで、似合うだろうなと思った。

 

「これ……この髪飾りにするよ」

 

「スミンの花の髪飾り……! 重すぎない選択です! センスいいですよショウゴ殿!! ちなみに〜その花の花言葉知ってます?」

 

「花言葉?」

 

「あれ? いつの間にダーナが?」

 

 聞こうとした時、ティアマトがこちらに気付いた。俺は慌てて髪飾りを手で隠し、店主にコッソリ代金を支払う。ダーナはバッと俺から離れて頭を掻いた。

 

「あ、はははは……私はちょ〜とそこの屋台で腹ごしらえして来ます〜!」

 

 そそくさとその場を後にするダーナ。ティアマトは、何か勘違いしたのか頬を膨らませた。

 

「む〜……2人で何をしていたんですか……?」

 

「べ、別に何も……?」

 

「怪しいです。ショウゴ、嘘つくの下手ですね」

 

 ティアマトがジト目で俺を睨んでくる 彼女の猫のような鋭い瞳孔がさらに鋭くなっていく。な、なんか誤解してないか? ティアマトを宥めていると、近くにいた少年が大きな声を出した。

 

 

「あ!! 始まるんだ!!」

 

 

 少年が空を指す。見上げると、5機のドレイガルが空を飛んでいた。編隊を組んだ機体が1機ずつ散開していき、スラスターからマナ粒子が噴き上がる。それが夕焼けに照らされて虹色に光り輝いて、空にカーテンのように広がっていく。その近くを複数の竜が飛んでいる。遊覧船のように豪華な外装を施された竜達が。

 

「キレ〜!!」

「アシュタル王女様の歓迎演目でしょ?」

「祭りの時くらいしか見れねぇからラッキーだよな!」

「ほっほっほ。目の保養じゃぞこれは」

 

 ドレイガル達が飛び去った後、とてつもなく大きな漆黒の竜が空を舞う。ツルリとした表面に、巨大な機械の翼を生やした竜。その姿には見覚えがあった。今日ツィルニトラと協議した部屋に飾ってあった、この国の弩級戦艦竜だ……。

 

 漆黒の弩級戦艦竜は、空を優雅に舞いながら声を上げた。

 

"みんな〜! 明日の正午!! 女王様の決闘(・・)を中継しちゃうよ! みんなの人気者のぉ〜レビアタンも出ちゃいまーす⭐︎ 見てね〜!!"

 

 な、なんかノリ軽いな……ヨルムンガンドとはまた違ったタイプのヤツなんだな……。

 

「レビアタンなんだ!!」

「相変わらず美人よね〜」

「はぁはぁ……かわいいよレビアタン……はぁはぁ……」

「ほっほっほ。目の保養じゃぞこれは」

「女王様の決闘楽しみ〜!」

 

 決闘? 女王は余興だって言ってたけど……どういう仕組みか分からないけど、一般の人に見せるほど自信があるってことだよな。

 

 昼間のユウの言葉が脳裏をよぎった。

 

 

 ──お前にとっては最高の舞台でリベンジできるんだぜ? 楽しめよ。

 

 

 楽しめ……か。ユウ、お前の言葉は負けることなんて鼻から考えてないって聞こえたぜ?

 

 ……俺はお前に負けたバトリオン・コアの大会から必死に鍛えたんだ。お前は俺の愛機を否定した。環境に適した機体に乗るのもパイロットの素質だと言った。

 

 分かってる。アイツが言っていることの方が正しいって。だけど俺は……お前みたいに簡単に機体変えたりできねぇよ。だって、俺が弱い時も辛い時もずっと支えてくれた機体なんだぜ?

 

 それ抜きで優勝したって……俺は……。

 

 上を見上げていると急に手を握られた。その手を伝って視線を向けるとティアマトと目が合う。ティアマトの真剣な瞳と。

 

「ショウゴ。そんな顔しないで下さい。私がいますから」

 

 ティアマトがニコリと微笑む。能天気そうな笑顔。こういう優しい言葉をかけられた時、前の俺ならきっと突き放してたと思う。何も分からないくせにって。

 

 だけど……今は……。

 

「アナタが私を操縦して下されば、私達は最強です♡」

 

「最強……?」

 

 その笑顔を見ていると、なんだか落ち込んでいた事が馬鹿らしくなってくる。ティアマトと一緒なら、本当にそんな気がする。

 

「……そうだな。お前がいれば俺達は最強だよな!」

 

「はい♡」

 

 一気に気持ちが軽くなった。ホント、ティアマトには感謝しかないな。

 

 

 ん? 感謝……?

 

 

 そうだ、ティアマトにプレゼントを買ったんだ。

 

 

 俺は、懐から髪飾りを差し出した。先程かったプレゼントを。

 

「? これは?」

 

「えと、その。あれだ。誘ってくれたからさ。その礼だ」

 

 顔から火が吹き出しそうになるのを抑えて、彼女に包みを渡す。包みを開いたティアマトは、中を見て息を呑んだ。

 

「これ……スミンの花の……」

 

「髪飾りらしい。その、ティアマトに似合いそうだなって。は、はは……空賊退治で報酬も貰ったし」

 

「嬉しい……!! ありがとうございます!!」

 

 ティアマトが角の近くに髪飾りを付ける。彼女の緑の髪に、シルバーの花びらと青い宝石がキラリと光る。

 

「どう……ですか?」

 

 いつの間にか周囲は人だかりになっていて、みんなが空を見上げていた。だけど、俺はティアマトから目を離せなくなって、周囲の喧騒なんて聞こえなくなっていた。

 

「す、すごく似合って……ると思うよ」

 

「ふふっ。ねぇショウゴ? スミンの花の花言葉、知ってますか?」

 

 あ、そういやダーナに聞きそびれたな。花言葉ってアレだよな? 「純真」とかそういうヤツ。うっ、そう考えると、変な花言葉のヤツ送ってたら嫌だな。「色欲」とか……ははっそれは無いか。

 

「花言葉はですね……」

 

 恥ずかしそうに上目遣いで俺を見るティアマト。彼女は、ポツリと呟いた。恥ずかしそで、でも、すごく真剣な声で。

 

 

「アナタと一緒にいたい、です」

 

 

  周囲から歓声が上がる。空中でレビアタンが空に魔法で模様を書いているらしい。薄暗くなった周囲を色鮮やかな光が照らしている。でもやっぱりティアマトから目が離せなくて俺は……。

 

 

 俺は……。

 

 

 今まで感じた事ないほど顔が熱くなるのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 トルテリア領内。

 

 日が沈み、暗闇となった平原。そこは厚い雲に覆われていた。

 

 雲の中を1体の竜が飛ぶ。それはヨルムンガンドを襲ったムシュフシュだった。戦艦竜の証である艦橋は破壊され、背中にはひしゃげた砲塔。激しい戦いの後がその竜の体に残っていた。

 

 ヨルムンガンドとの戦いで弱り切ったムシュフシュを捕食しようと飛竜達が群がっていたのだ。

 

「はぁ……はぁ……なぜ、我が……悔しや、悔しや……」

 

 無数の竜の群れに追い立てられ、雲の中を逃げるムシュフシュ。無数のブレスをその身に浴び、彼が速度を緩める。次の瞬間、4体の大型の飛竜がムシュフシュへと喰らい付いた。なんとか振り払おうともがくムシュフシュへ、1体の飛竜が電撃ブレスを放つ。その電撃は、老竜の額へ直撃した。

 

「グアアアアアアアアァァァァァァァァ!!?」

 

 雲の中に響く雄叫び。4体の大型飛竜がムシュフシュへトドメを誘うとしたその時、ムシュフシュは突然動きを止めた。

 

 数秒の沈黙。突然の沈黙に竜達がムシュフシュを警戒し、周囲を飛び回る。

 

「……」

 

 やがて、老いた竜はゆっくりと目を開く。絶望的な状況の中、ムシュフシュはポツリと呟いた。

 

「そうか」

 

 突然、ムシュフシュがブレスを放つ。小型飛竜達数十体をまとめて焼き尽くす巨大な火球。ムシュフシュを追い詰めていた飛竜達は、突然の惨状に、その動きを止めた。

 

「全て、思い出したぞ……」

 

 ムシュフシュの眼に正気が宿る。老いた老竜の頭は急速に回転を始め、群の長を瞬時に理解した。

 

「貴様か、我を襲わせたのは」

 

 ムシュフシュが羽をはためかせると、群れの奥にいた長へと一瞬で近付いた。

 

「グオォォ!?」

 

「死ね!! 愚か者が!!!」

 

 近距離で放たれる火球。群れの長は事態を飲み込む間も無く胴体に風穴が開いた。

 

 落下する長。その代わりにムシュフシュが天高く舞い上がる。

 

 ムシュフシュが雲の上空へと飛び出し、月明かりに照らされる。彼は、自分を襲っていた竜達へ向かって叫んだ。

 

 瞬間、彼の咆哮と共に周囲へ稲妻が走り、飛竜達に直撃。次々と地面へ落下を始める。残った飛竜達は、ムシュフシュとの力量差に恐れ慄いた。

 

「聞け!! 我は魔王竜ドレッドノート様の配下が一人! 豪将ムシュフシュ!! 貴様達の長は私が殺した! 今よりこの群れの長は我だ!! 不服な者は名乗りを上げよ!! 今この場で八つ裂きにしてくれようぞ!!」

 

 先程までとは別次元の咆哮。無数の飛竜達が()に首を垂れる。それは、彼には勝てぬという服中の印であった。

 

 竜達を従えたムシュフシュは、鼻を鳴らしてトルテリアへと視線を向ける。

 

「感じる……弩級戦艦竜の気配……ヨルムンガンド……この気配、レビアタンもいる……貴様達は必ず殺す。ドレッドノート様を殺した報い……受けるがいい!!」

 

 

 血走った眼。正気を失い復讐に囚われた古竜、フシュムシュは雷鳴のような咆哮を響かせた。

 

 

 かつての力を取り戻したムシュフシュは、翼を広げ、トルテリアへと羽ばたいた。無数の竜を連れ、弩級戦艦竜の愛する者達を皆殺しにする為に。

 

 

 

 




〜ティアマト〜

ショウゴのプレゼント素敵です〜♡後でライネに頼んで竜機兵になっても無くさないようにしてもらいます♡うぅ……今日もショウゴのベッドに潜り込みたい所ですが、流石に他国の迎賓館でそれをするのはまずいと思いますし……ヨルムンガンドに戻るまで我慢ですね!

あ! 予告です!

始まるツィルニトラ女王の実戦訓練。でもそれは想像を絶する内容で……女王様は何を考えているのですか!?挙げ句の果てに生身の女王様が飛竜の上から飛び降りてしまいます!この人無茶苦茶です!

次回、「女王様、とぶ」

絶対見て下さいね♡
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