竜の姫に俺は乗る─召喚されしロボオタ、姫が変身したロボを駆り最強を目指す─   作:三丈夕六

26 / 38
第26話 竜嵐の消える時

 ~ショウゴ・ハガ~

 

 ショウゴ達がツィルニトラの前に現れる数分前。

 

「AI!! ムシュフシュを倒せばこの群れの襲撃は収まるんだよな!?」

 

〈解。(おさ)を排除すれば野生の飛竜達は統率力を失い、群れは崩壊すると予想されます〉

 

「なら……あの渦の中に突っ込むか」

 

〈竜嵐内部への突入は危険です〉

 

「ユウ達があの中に誘導されたの見ただろ? 行くしかない」

 

 ……正直、俺はユウが嫌いだ。元の世界にいる時に俺の愛機を否定して、常に俺の前にいたから。

 

 でも。

 

 だからって死んで欲しいなんて思わねぇ。俺はユウが嫌いだから、俺はこの手でアイツを超える。俺が正しかったって証明してみせる。まだこの世界で戦ってもいないのに、終わらせる訳にはいかない。

 

 持っていたヴァース・ライフルを左背面のマルチアームに接続した時、ティアマトが声を上げた。

 

『ショウゴの気持ち、分かります。何をするつもりなのかも……だから来て?』

 

 ティアマトの声に反応するように、右手の操作魔法陣が大きくなる。こんな事、今まで無かった。しかも、言葉に出す前に俺の考えまで分かったみたいだ。接続率が上がったからか?

 

 いや、それは後だ。他のみんながトルテリアへの侵攻を防いでいる今、俺達でムシュフシュを倒す以外に事態を収束させる道は無い。

 

 操作魔法陣へ一気に腕を差し込み、その奥にあるグリップをしっかりと握った。

 

『くぅ……来たぁ……♡』

 

「今はやめろよ、それ」

 

『嬉しいのですから声が出てしまっても仕方ないです♡』

 

 ティアマトの言葉に笑ってしまう。少しだけ気が楽になって、冷静になれた気がする。

 

「ティアマト、今から突撃する。あの中に入ったらムシュフシュを倒すまで出られないけど……心の準備はできてるか?」

 

『はい。私はどんな危険場所でも一緒に行きます。ショウゴと一緒なら』

 

 心臓が跳ねる。ダメだ……集中集中。ティアマトに気付かれるぞ。戦闘にだけ意識を向けろ。

 

 右腕走装甲を展開し、マナ粒子を集約させる。眩い光の球体が周囲を染め上げる。右腕を構え、マナ粒子を圧縮した球体を突き出す。

 

 これ……前より威力が上がってるぞ。これなら……!

 

「よし!! 気合い入れていくぜ!!」

『突入します!!』

 

 ペダルを一気に踏み込む。背面から爆発的にマナ粒子が噴出し、ティアマトが加速する。体に襲い掛かるG。振り回されないようにしっかりと左手の操作魔法陣を掴んだ。

 

 高速で景色が通り過ぎていく。竜の渦が近付いてくる。やってみせる。俺は……ユウを正面からぶっ倒す。そのためにこんな所でアイツに何かあったら困るんだよ!!

 

 竜嵐を構成していた竜の内、1体が俺達に気付く。それに反応するように、他の竜達も一斉に俺達を見た。

 

「通して貰う!!!」

 

 ヴァース・キャノンを突き出しながら竜の群れに突撃する。圧縮されたマナ粒子の球体。それに衝突した竜達が吹き飛ばされる。竜の群れの中へ入った影響でコクピット内に轟音が響き、機体がバラバラになりそうだ。

 

「大丈夫かティアマト!!?」

 

『私のことなら気にしないで!! 思い切り突っ込んで下さい!!』

 

 再びペダルを踏みこむ。ティアマトの周囲にマナ粒子の嵐が巻き起こり、竜達が姿勢を崩して吹き飛ばされていく。

 

「うおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 竜達を吹き飛ばしながら直進して数秒。突然、視界が開けた。

 

〈竜機兵ツィルニトラを捕捉。ムシュフシュと交戦中〉

 

『拘束されています!!』

 

 視界の先に小型飛竜達に纏わりつかれたツィルニトラが見える。ムシュフシュが近距離でブレス攻撃を発射しようとしていた。考えてる暇はない。止めてみせろ!!

 

「させるかよおおおおおおおおお!!!!!」

 

〈照準調整完了。ヴァース・キャノン発射〉

 

 右手でトリガーを引く。射出されるマナ粒子の砲弾。それは螺旋を描きながら加速し、ムシュフシュの胴体へと直撃した。

 

『グオオオオオオオオオオオオオオ!!?』

 

 くの字に曲がるムシュフシュ。電撃ブレスは霧散したが、その体は無傷だった。あの威力で無傷かよ……ギリギリでなんとか止められたから良かったけどさ……。

 

『ショウゴ、ムシュフシュが反撃する前にツィルニトラ様達を!』

 

「そうだな……まずは助けないと」

 

 ツィルニトラの元まで飛び、実体剣を使って彼女の体から小型飛竜達を引き剥がす。自由になったツィルニトラはバサリと翼をはためかせ、上空へと飛び上がった。

 

『感謝する、2人とも』

『ありがとなショウゴ! ティアマト姫!』

 

「お、おう……」

『ふふっ、ショウゴ照れてますね』

 

「う、うるさいな! そんな事より……来るぞ!!」

 

 ムシュフシュが翼を翻して体勢を立て直す。ヤツは怒り散らし、尻尾を横に薙いだ。

 

『グルアアアアアアアア!!』

 

『手を貸してくれショウゴ!!』

 

 ユウが放った短い一言。その言葉に色々な感情が湧き上がる。「それで分かるかよ」とか、「気に入らない」という言葉が。だけど、俺ならやれる。アイツと戦った俺なら、どんな動きを求めているか予測してみせる!

 

「挟み撃ちだろ!?」

 

『正解だぜ!!』

 

 ツィルニトラは上空に飛翔し、横薙ぎの一撃を回避。その動きに合わせるよう俺達は下へ。ヤツが範囲攻撃で俺達へ対処できないように。

 

『……!? 鬱陶しい事を!!』

 

 ムシュフシュの苛立ったような叫び。咄嗟にヤツはユウ達を狙った。腹がガラ空きだぞ……ムシュフシュ……!!

 

 ヴァース・ライフルのグリップを掴む。ガチャリと外れる背面のマルチアーム。ライフルのセーフティーを解除し、フルオート連射する。

 

「うおおおおおおおおおお!!!!!」

 

『グアッ!? アアアアァァァァァ!!?」

 

 直撃した弾丸が弾け飛び、煙が周囲を包む。20秒ほど連射した後、ライフルがカチカチと空撃ちの音がした。

 

「ティアマト!!!」

 

『はい!! ヴァース・ショットを使います!!』

 

 左腕装甲を展開するティアマト。両腕のヴァース・ショットを連射。ヤツがコチラを見た瞬間、全力で手元の操作魔法陣を左へ。ペダルをベタ踏みする。

 

『くぅ……!?♡ 大丈夫だから気にしないで!!』

 

「後で怒ってくれてもいいからな!!」

 

『蚊とんぼがふざけた真似を!!』

 

 ムシュフシュが俺達に狙いを定め、電撃ブレスを連続発射する。チャージの少ない速射系の電撃弾。スラスターをふかしてヤツの周囲を飛び、それを回避し続ける。ムシュフシュを誘導するように、あの2人から意識を逸らすように。

 

『カァ……!!!』

 

 痺れを切らしたムシュフシュがチャージ時間を長く取る。広範囲のブレスを使うつもりか? だけどな、それは自分から隙を作る愚策だぜ!!

 

『ユウ!!』

 

 叫んだ瞬間、上空のツィルニトラが膨大なマナ粒子を噴出させた。

 

『サンキューな! ショウゴ!!』

 

 ユウが叫ぶ。それに呼応するように周囲のマナ粒子が急激に収束し、二対の剣が光り輝く。ツィルニトラが剣を十字に重ねる。

 

双極波動斬(そうきょくはどうざん)!!!』

 

 十字を描いたマナ粒子の斬撃。その一撃は、ヤツの後頭部に直撃した。

 

「ギアアアアアァァァァァ!!?」

 

 強烈な咆哮。ムシュフシュがチャージしていたブレスが霧散する。

 

『ぐ……油断したか……だが、これ以上はやらせん!! 生きてこの竜嵐(りゅうらん)から出られると思うなよ貴様ら!!』

 

 ムシュフシュが翼をはためかせ俺達から距離を取る。ヤツの眼が赤く光り、周囲の小型飛竜が俺達に突っ込んでくる。火球を放つ個体に突進して来る個体……何だこいつら? 生物っぽく無いぞ。

 

「ギアギ!!」

「ギギア!!」

「ギア!!!」

 

 不規則な動きで火球を発射する小型飛竜達。ヤツらは俺達の周囲を包み込み、火球ブレスを放つ。回避して反撃するが、1体落としてもムシュフシュの格納庫から新たな小型飛竜が次々に現れ拉致があかない。

 

 それにヤツらのあの眼、恐らくムシュフシュが操作しているのだ思うけど、あの数……本体を叩くには遠過ぎる。

 

「ここからでも狙えるか……?」

 

 回復したヴァース・ライフルを連射する。飛竜の隙間を縫って放たれた銃弾がヤツへ向かう。

 

『無駄だ』

 

 ムシュフシュの前に小型飛竜達が立ち塞がる。飛竜達がヴァース・ライフルの銃弾を受け爆発四散する。アイツ……飛竜達を盾にしてんのかよ!?

 

〈小型飛竜達はムシュフシュの従属魔法を受け、操られていると推察されます〉

 

 操って盾にしてる? ただでさえ防御力高いのに小型飛竜達まで使うのかよ。

 

『まとめて消し飛ばしてくれよう!!』

 

 球体の中でブレスをチャージするムシュフシュ。さっき発動を防いだ攻撃……アイツ、アレを確実に放つ為に防御を固めたって事か。

 

 俺達を囲むように小型飛竜達が群がって来る。攻撃はして来ないが逃がさないつもりみたいだ。

 

 周囲を小型飛竜達が飛び回り、口元に魔法陣を浮かべる。ツィルニトラはそれを叩き斬りながら周囲を飛び回った。

 

『マナ粒子を吸う個体がいる。魔法陣が浮かんだ飛竜は優先的に狙ってくれショウゴ殿』

 

「分かった!」

 

 ヴァース・ショットを横薙ぎに連射。魔法陣を浮かべる小型飛竜を撃ち落とす。マナ粒子を吸収する個体を全滅させると、ツィルニトラはゆっくりと俺達の元へ舞い降りた。

 

『ブレスのチャージ完了までに手を考えねば……』

『そう、だからさ作戦会議しようぜ? 攻略法考えるの得意だろショウゴは』

 

 作戦か……確かに、ユウ達の言う通りかもな。個々で攻撃を当ててもアイツに目立ったダメージは与えられていない。何かしら対策を取らないとジリ貧だ。

 

 ヤツへ目を向ける。無数の小型飛竜達……アレを突破してさらにアイツを倒せるほどの大ダメージ与えるなんて……できるのか?

 

 考えろ……ここでツィルニトラが倒されたらトルテリア軍の士気は崩壊する。そうなったらいよいよあの国の人達が……。夕焼け市の時アレだけ楽しそうにしていた人達が傷付くなんて絶対ダメだ! ここでなんとしてもムシュフシュを倒さないと……!

 

「……!?」

 

 その時、なぜかペット用の飛竜がいた露店が頭に浮かんだ。意思疎通出来なさそうな眼でエサを丸呑みする姿が。

 

 丸呑み?

 

 急激に色んな事が頭をよぎる。ツィルニトラ達の変身、上昇したヴァース・キャノンの威力……それがカチリカチリと頭の中でパズルを埋めていく。

 

「そうか、ヤツも生物なら……」

 

『ショウゴ?』

 

 ティアマトが不思議そうに声を上げる。俺は思い付いた事を話す事にした。無茶苦茶な作戦だけど、竜機兵が戦艦竜に勝つにはこれしか無いと思うから。

 

「聞いてくれみんな。アイツの攻撃を避けながらぶっ倒す良い案がある」

 

『良い案、ですか?』

『お、なんか思い付いたみたいだな!』

『ショウゴ殿の作戦、聞かせて貰おうか』

 

あの(・・)変身方法をやってみせたツィルニトラ女王とユウなら、分かるはずだぜ』

 

 俺は、作戦の内容を伝えた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 数刻後──。

 

 

 ムシュフシュの視線の先で爆発が巻き起こる。小型飛竜達を撃墜しながら2体の竜機兵が向かってくるのが見えた。ムシュフシュは、迎撃のため新たな小型飛竜を向かわせた。

 

 ムシュフシュが思考を巡らせる。

 

 ……マナ粒子を吸って動きを封じる手は流石に警戒されているか。だが、黒い竜機兵が高速で移動する力を使っても、碧の機体はそこまでの速度は出せない。厄介なのは連携攻撃。どちらか一方を獲った時点で勝利は確定する。

 

 

 ならば、広範囲への一撃で──

 

 

『終わりだ!!!』

 

 

 ムシュフシュが電撃ブレスを放つ。極限までマナ粒子が圧縮されたブレス攻撃は、周囲を電撃で埋め尽くすほどの破壊力を持っていた。

 

「ギャアアアアアアアア!?」

 

 一部の小型飛竜も巻き添えを喰らい、悲鳴が上がる。その飛竜達が爆散。体に蓄えていたマナ粒子を放出する事で、ブレスの電撃がさらに電波し、威力を底上げしていた。

 

 竜機兵がいた場所を中心に眩い光を伴った爆発が発生する。それは周囲のマナ粒子すら巻き込み、範囲を広げていく。

 

 当たりを包む閃光。巻き起こる雷の爆発。怯える竜の嵐。この広範囲攻撃を避け切れる者はいない。ムシュフシュは、勝利を確信した。

 

『素晴らしい……! このブレスも完全に元通りだ!!』

 

 ムシュフシュは全盛期の力を取り戻した事に歓喜していた。老化によって自分の思考がおぼつかない時、必死になって力を蓄えていた事がついに身を結んだのだ。戦艦竜に改造された事で体も強靭となり、あの竜機兵達の攻撃程度は恐るるに足らない。

 

 

 ムシュフシュは思う。黒い竜機兵を落としたとなれば、忌まわしい弩級戦艦竜共も戦意を失うだろう。そうなれば……竜嵐として蓄えていた戦力を解き放ち、一気に攻め落とすと。

 

 

『恐れるものはもう何もない。今こそ屈辱を晴らす時だ!!』

 

 

 彼がそう確信した時、煙の中から一体の竜機兵が飛び出した。腰に翼を生やした漆黒の竜機兵。全身に紫の光を浮かべたそれが、光の軌跡を描きながらこちらへと向かって来る。

 

 あの碧の竜機兵はいない。1体を仕留めた事にムシュフシュはニィと笑みを浮かべた。

 

『ククッ、自身が助かるために仲間を見殺しにしたか』

 

 ムシュフシュが漆黒の竜機兵……ツィルニトラを迎え撃つ。小型飛竜達を操作しツィルニトラへ連携攻撃をかける。

 

 

『行くぞツィル!!』

『私の命……預けたぞユウ!!』

 

 

 襲いかかる小型飛竜を躱わし、すれ違い様に右手のライフル(・・・・)で撃ち抜くツィルニトラ。左腕を庇いながら右手にヴァース・ライフルを装備した姿……ムシュフシュの瞳には、それが満身創痍の抵抗に映った。

 

『この攻撃を躱わせるか!?』

 

 ムシュフシュが天へと向かって吼える。広範囲に暗雲が広がり、広範囲に落ちる落雷。ツィルニトラは、それをクルクルと回避し続け、さらに速度を上げた。

 

 光の軌跡を描きながら突撃するツィルニトラ。彼女がライフルを連射し、道を作る。弾切れになった瞬間それを捨て、右腰の実体剣を装備する。

 

 右腕一本で飛竜達を薙ぎ払い、突撃する彼女の姿には鬼気迫るものがあった。

 

 

『おおおおおおおおお!!!!』

 

 

 ツィルニトラが叫び、翼をはためかせる。戦艦竜まで残り数十メートル。彼女はムシュフシュへ向かって叫んだ。

 

 

『ムシュフシュよ! 貴様が誇り高き古竜なのであれば、その爪と牙を持って私を屠ってみせよ!!!』

 

 

『なんだと……!?』

 

 

同族(・・)を盾に使う臆病者が!! それすらできぬのであれば、貴様に誇り高き古竜を名乗る資格は無い!!!』

 

 

 ツィルニトラの挑発にムシュフシュが雄叫びを上げる。古竜である事を誇りに持つムシュフシュにとって、その言葉は最大の侮辱であった。

 

 

『グルオオオオオオォォォォオオオ!!!』

 

 

 ムシュフシュが強靭な前脚でツィルニトラを狙う。鋭利な鉤爪が当たるかと思われた次の瞬間、ツィルニトラは霧を掻き消すように姿を消し、鉤爪を回避した。ツィルニトラが消えた箇所、その1メートル横に彼女の実体が現れる。ムシュフシュは怒りのあまり叫び声を上げた。

 

『マナ粒子の分身など小賢しい!!!! 食い殺してくれる!!!』

 

 ムシュフシュがツィルニトラを追う。古竜ムシュフシュは、大口を開けてツィルニトラを食い殺そうと迫った。

 

『……ツィル、2人(・・)は無事か?』

『問題無い。決して握り潰さぬよう細心の注意を払っている』

 

 

 ユウとツィルニトラが小さな声で確認する。

 

 

 ……ムシュフシュの行動はあまりに軽率であった。彼にとって、1機の竜機兵を倒したという誤認(・・)が、このようなミスを誘ったのだ。

 

『グオオオオオオオォォォォオオオ!!!』

 

 ムシュフシュが大口を開けた時、ツィルニトラは左手に持っていた「何か」を口の中へ放り投げた。

 

 それは、人であった。

 

『う、ショウゴ……』

『絶対離すなよティアマト!!』

 

 ショウゴ・ハガ。彼が人の状態であるティアマトを抱きしめたまま、ムシュフシュの口へと吸い込まれていく。巨大な戦艦竜は、それに気付かずツィルニトラを襲った。

 

『このままヤツを引き付けるぞ』

『お、近接戦やるのかツィル?』

 

 ツィルニトラがクルリと身を翻し、ムシュフシュへ突撃する。両手に実体剣を構えた彼女は、嬉々として叫んだ。

 

『当たり前だ!!!』

 

 ムシュフシュの鉤爪を避け、波動斬を放つツィルニトラ。が、ムシュフシュの皮膚にはダメージは入らない。彼女は天高く飛翔し、落下攻撃を仕掛けた。

 

『オオオオオオオオオオオ!!!!』

 

 ムシュフシュが巨大な尾を天へと向かって薙ぎ払う。ツィルニトラはその攻撃を分身で回避し、さらに落下。ムシュフシュの鼻面へ両手の剣を突き刺さした。

 

 

「ギアアアアアアアアアアア!!!?」

 

 

 叫び声を上げ、無茶苦茶に暴れ回るムシュフシュ。彼の前脚がツィルニトラを捉える。両腕で攻撃を防いだものの、女王はそのまま後方へと吹き飛ばされてしまった。

 

 

『ぐ、うぅぅぅ……鬱陶しい事この上無い……!! もういい!! 貴様らの余興に付き合うのはここまでだ!!』

 

 ムシュフシュがその口に電撃を迸らせる。その様子を見たツィルニトラは彼をバカにしたように笑い声を上げた。

 

 

『己の意地すら通せぬ者に、王足る資格は無い。消え失せよ』

 

 

『!? 何をふざけた事を!! 貴様達程度の攻撃で……!!!』

 

 

 ムシュフシュがそこまで言った時、彼はふと己の()に違和感を感じた。

 

 

『……なんだ?』

 

 

 戦艦竜の腹部が光を放つ。

 

 

 彼が疑問に思った次の瞬間、古竜ムシュフシュの腹が、眩い光と共に爆発を起こした。

 

 

『ガア゛ッア、アアアァァァァアァァ!!?』

 

 

 体内から放たれたヴァース・キャノン。もがき苦しむムシュフシュ。次の瞬間、彼の腹から1機の竜機兵が飛び出した。

 

 

『き、貴様は……!? ブレスで消し飛んだはずじゃ……!?』

 

「甘かったな! お前の腹ん中から攻撃する為だよ!」

『人に戻っていたのです!!』

 

 

『な、なんだと……!?』

 

 

 ショウゴ・ハガはこれを提案していた。ムシュフシュの広範囲ブレス攻撃を回避する為には、ツィルニトラ達の共鳴接続(バーストリンク)による超加速が必須。しかし、今のティアマトに同じ事はできない。

 

 そこで考えたのだ。ティアマトが「人の姿に戻れば」ツィルニトラと同じ速度で移動できると。ツィルニトラが2人を手で運べば、2機の竜機兵が高速移動できると。

 

 そして、彼らの狙いはここからだった。戦艦竜とはいえ、まだ体の大半を生身として残すムシュフシュは、生物らしく内臓が弱点であると。いくら強靭な鱗を持とうとも、内部からの攻撃には弱い。生物としてひどく当たり前の話である。

 

 

 そして、傷口として内部(・・)を晒した今、その明確な弱点を見逃す戦士(・・)はいなかった。

 

「ユウ!! ツィルニトラ!!」

 

 ムシュフシュの腹を狙い、ツィルニトラが剣を構える。

 

 

『これで決める!! 全ての力を使い切るのだぞ!!』

「任せとけって!!』

 

 

 ツィルニトラが周囲のマナ粒子を共鳴させる。彼女の全身を伝う光の線が脈動する。共鳴したマナ粒子が急速に剣へと収束。ツィルニトラは、二対の剣を横薙ぎに解き放つ。

 

 

極天波動斬(きょくてんはどうざん)!!!』

 

 

 二重の斬撃が放たれる。巨大な斬撃が、風穴が空いた腹部に直撃し、膨大なマナ粒子の爆発を巻き起こす。衝撃が周囲の小型飛竜達を吹き飛ばす。その威力に耐え切れず、ムシュフシュは断末魔の悲鳴を上げた。

 

 

『ギィアアアアアアアアアアアアァァァ!?』

 

 

 地面へ落下していくムシュフシュ。戦艦竜が大地に叩き付けられた事で轟音が辺りへ響いた。

 

『見て下さいショウゴ。竜達が……!』

『帰っていく……』

 

 周囲を旋回していた竜達は長の消滅を本能で感知し、散り散りとなっていく。

 

 竜嵐は消え、周囲が晴れやかな空に染め上げられる。ヨルムンガンド達が戦っていた飛竜達も、我に帰ったようにトルテリア王国から撤退していった。

 

 

 飛竜のトルテリア襲撃は、こうして幕を下ろした──。

 

 

 

 

 

 




やりました!なんとかムシュフシュを倒して襲撃を収めることができたみたいです!

そしてですね……何より……。

きゃあああああああああああ♡見ました見ました?私、ショウゴに抱きしめられたのです!!うれしいうれしいうれしいですぅ~♡♡♡

あ!お願いですよね! ふふっ分かってますよ♡

熱かった!ハラハラした!先が楽しみ!という方はぜひブックマーク、★★★★★評価をお願いします♡ 熱いレビューなどもお待ちしています! 作者さんにとって最高のモチベーションとなるそうですよ?

次回予告も!

次回、襲撃を防いだ私達はトルテリアのみなさんへ別れを告げます。そんな中、ショウゴがある言葉を……?

次回「約束」

少し大人になったショウゴ、素敵です♡

絶対見てくださいね♡
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。