竜の姫に俺は乗る─召喚されしロボオタ、姫が変身したロボを駆り最強を目指す─   作:三丈夕六

39 / 50
第37話 2人の実力

『ショウゴ、いつでもいけます。本気でやってください!』

 

〈魔力感知術式起動。前方5機がヴァースショットの発射態勢に入っています〉

 

 ティアマトとAIの声が聞こえる。この数なら……!

 

『撃て撃て!!』

『俺が落とすんだから落とすなよ!』

『貰った!!』

『あ! 抜け駆け!?』

『遅れるな!』

 

 5機が一斉にヴァースショットを発射する。俺達の行動をコントロールしたいなら時間差で攻撃を仕掛けるはずだけど……攻撃タイミングは同時。軌道も同一方向。連携は素人並みだな。即席での協力ならこんなもんか。

 

「これなら空賊の方がマシだぜ!」

 

 機体背面へマウントされた実体剣を引き抜き、ペダルを踏み込む。スラスターを噴射して横に回転。ヤツらの弾幕を回避しながら、こちらもヴァースショットで応戦する。

 

「な……!? なんで当たら……うわぁ!?」

 

 前方にいた灰色の竜機兵に攻撃が直撃し、大きくのけ反る。その隙に一気に加速。ヤツらの元へ飛び込んだ。

 

『竜騎兵ティアマト! 討ち取ったあああああ!!!』

 

 背後から青い機体がストームブレードを放つ。しかし、太刀筋も何もない貧弱な攻撃だ。ただ剣を振り下ろしただけ。ハインズやツィルニトラ達の動きとはハッキリ言って差がありすぎる。

 

「当たるかそんな攻撃!!」

 

 バランスを崩していた灰色の竜騎兵へワイヤークローを打ち込み、大地を蹴る。滑べるように灰色の機体の背後に周り、盾にした。

 

『わあああああああ!?』

 

 青い機体のストームブレードが直撃し、灰色の機体は悲鳴を上げる。仲間を攻撃してしまったことで動きを止める青い機体。戸惑ってる。だけど悪いな、もうお前は詰んでる。

 

『ひとつ! 打ち取りました!』

 

 灰色の機体越しにヴァースショットを発射。青い機体の頭部を破壊する。盾にしていた灰色の機体の背面を蹴り飛ばし、その首を実体剣で跳ね飛ばした。

 

『何いぃぃぃぃぃぃ!!?』

 

 驚愕の声を上げて倒れ込む灰色の竜騎兵。銃撃音が聞こえ、横へ飛ぶ。直後、残り3機の放った銃弾が大地へ直撃した。

 

『もう2機もやられたぞ!?』

『まだだ!』

『お前ら合わせろって!!』

 

 ワイヤークローを白い機体へ撃ち込み、スラスターを噴射。後方へ飛ぶと同時にワイヤーを急速巻き取り。ヤツらの隊列から白い機体を引き剥がし、その首を実体剣で跳ね飛ばす。

 

『うわああああああああああ!? 私の頭が!?』

 

『悪いですが……仕掛けてきたのはそちらです!』

『利用させて貰うぜ!』

 

 吹き飛んだ頭部にヴァースショットを浴びせると、白い機体の頭部が爆発を引き起こした。

 

 煙を上げる竜騎兵の頭部。その煙に紛れるようにその場を離れる。あと2機。このままいけば──。

 

〈背後からさらにマナ粒子反応。6機がこちらへ向かっています〉

 

 6機……前後から挟み撃ちを狙っているのか?

 

『へへへ……あ、諦めるんだな』

『こんなこともあろうかと増援を仕込んでおいたんだ』

 

 ヴァースショットを連射している2機から品のない笑い声が聞こえてくる。……なるほど。ここまでは想定していたってことか。

 

 だけどな、お前らが余裕なのは平面で捉えているからだ。立体での戦闘なら……。

 

「スラスター全開でいく。飛ぶぞ」

『はい♡ 激しめでお願いします♡』

 

〈接続率110%突破。竜機兵ティアマトの全性能が60%上昇します〉

 

 操作魔法陣を思い切り引き込む。ペダルを踏んだ瞬間、膨大なマナ粒子が周囲に降り注いだ。奴らの照準をブレさせるようにジグザグに飛行し、頭上高くに舞い上がる。

 

『な、なんだ!? 何が起こってる!?』

『増援! 早く撃てよ!!』

『無茶言うな!!』

『狙いが定まらないって!!』

 

 攻撃体勢に入っていた増援も戸惑ったような声を出す。そんな隙を見逃せるほど、俺達は甘くない。

 

「ティア、両方同時で行くからな」

 

『両方!? ……望むところです! 来て、ショウゴ』

 

「覚悟決めろよ!!」

 

 奴らの頭上を飛行しながら俺の両手にある操作魔法陣を展開。本来ヴァース・キャノン発射の際に拡大する魔法陣は1つだが……無理やり2つの魔法陣をこじ開け、両腕を思い切り突っ込んだ。

 

『ひぎっ!? い、いいですよ……!! このま、ま……!!』

 

 一瞬ティアマトの甲高い声が聞こえたが、なんとか体の負荷は大丈夫そうだ。両腕で魔法陣奥のグリップを掴むと、ティアマトの両腕にヴァース・キャノンの銃身が展開した。

 

「新技を披露をしてやるぜ」

『ひっ、私のちか、らぁ、あ♡ ……見せてあげますから……!!』

 

 周囲のマナ粒子がティアマトの両腕に収束される。地上には8機の竜機兵。皆呆気に取られたように俺達を見上げていた。

 

『な、なんだよあのマナ粒子量』

『え、あんなの撃ったら……』

『私達を殺す気なの!?』

『ヤバイってアイツら!?』

『逃げた方が……』

『バカ! 数で押してるのはこっちだぞ!』

 

 ……攻撃が止んだ。ヤツら、集約したマナ粒子を見て困惑してる。なら、ここで最後の仕上げだ。ヤツらの戦意を完全に奪う。俺達に手を出したらどうなるかを見せ付けるために。

 

「AI。拡声魔法頼む」

 

〈拡声魔法展開〉

 

 ティアマトの周囲に魔法陣が浮かび上がる。俺は、周囲の竜騎兵へ聞こえるように叫んだ。

 

 

「俺達に挑むヤツらは全員速攻でぶっ倒す!! 覚えておけ!!」

 

 

 両腕のヴァース・キャノンが臨界点を迎える。俺は、両腕のマナ粒子を解放した。直撃させればただじゃすまない一撃。だから、行動不能の機体周辺は狙わない。集まってるヤツらの頭上を狙う。

 

 

「避けろよぉおおおおおおおお!!!!」

 

 

 射出される2つの砲弾。膨大に膨れ上がったマナ粒子が空中で衝突し、爆発を引き起こす。砕け散ったマナ粒子が無数に地面へ降り注ぎ、さながら流星雨のような光景が広がった。

 

『広範囲攻撃が来るぞ!!』

『あんなの使うって聞いてないよ!』

『きゃあああああああ!?』

『巻き込まれるぞ!!!』

 

 竜機兵達が蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていく。光の弾丸が振り注ぎ、それが大地へと着弾。爆風と共に大地が弾け土煙を上げる。

 

『うわあああああああ!?』

『どけ!! 俺が先だ!!』

『あんなの倒せる訳無いってぇええ!?』

『逃げろおおおお!!!』

 

 荒野へ響き渡る悲鳴。俺達を狙っていた竜機兵達は次々に吹き飛ばされていった。あれなら、もう不用意に俺達へ攻撃する事は無いだろう。

 

「ふぅ、よし。上手くいった」

 

『さすがショウゴですね! 終わったらは抱きしめてあげますね♡』

 

「ちょ、まだ拡声魔法残ってるからやめろって!」

 

『恥ずかしがって可愛いです♡』

 

 クソ……せっかくカッコよく決められたのにまたティアマトのペースに飲まれてるよ……。

 

 

 

 ティアマトとそんなやりとりをしていた時。

 

 

 

 ふいにAIが警告音を発した。コクピット内に鳴り響く不快な音。目の前に魔法陣が浮かび上がり、「敵機接近」と文字が表示される。

 

 

 

〈高速で接近する機体があります。データベースと照合──〉

 

 

 

 直後。上空から何かが襲いかかって来た。咄嗟にペダルを踏み込み攻撃を回避する。ヴァース・キャノンモードだった魔法陣を通常状態に戻し、距離を取った。

 

『な、なんですかアレ!?』

 

「飛竜……?」

 

 先ほどまで俺達がいた場所にはティアマトと同じサイズの飛竜がいた。全身紫の体に赤いラインの入った竜。それが咆哮を上げて突撃してくる。

 

『グルアアアアアアアアアアアァァァ!!!』

 

「コイツ……!! 小型飛竜のくせに……!」

 

 

 襲い来る牙を実体剣でいなす。ヴァースショットを構え、マナ粒子の弾丸を放つ瞬間、紫色の飛竜は回転し、尻尾でティアマトの腕を弾いた。

 

 

『キャアアアアア!!?』

 

「体勢! 立て直すぞ!!」

 

 

 姿勢制御スラスター噴出させティアマトの体を仰け反らせる。ティアマトの目の前を通り過ぎる鋭利な鉤爪。コイツ、飛竜じゃない? 飛竜なら翼と腕が一体化しているはずだ。

 

 

 小さいけど……翼と腕が別れてる。コイツはムシュフシュと同じ古竜だ。強靭な四肢に翼を背中に備える竜。しかもこの機敏な動き……なんだこの違和感は?

 

『グルアアアアアアアアアアア!!』

 

「させるかよ!!」

 

鉤爪の連撃を剣で弾き返し、生まれた隙に斬撃を叩き込む。実体剣の切先がヤツの首元へ──。

 

 

『舐めた真似してくれるねぇ!!!』

 

 

 突然、交戦していた紫の竜が声を上げた。ティアマトの胴体に衝撃が走る。

 

『ぐううぅぅ……!?』

 

 吹き飛ばされてGが襲いかかる。必死に操作魔法陣を握りしめて状況を把握する。なんだ? 何をされたんだ……!?

 

 モニターへ意識を集中させると、その竜から脚が生えていた。竜の脚じゃない。人型の脚……竜機兵の脚だ。アレに蹴られたのか?

 

『ショウゴ!! 回避を!!』

 

「!?」

 

 再び後方へ飛ぶ。先ほどまで竜だったそれは、鉤爪を薙ぎ払うと同時に回転し、一瞬の内に人型へと変形(・・)した。

 

 紫の機体に日光が反射しギラリと光る。全身に施された赤い意匠に、竜機兵の証である左胸の装甲。両肘に備えられた戦斧。両手の鉤爪に尻尾。頭部には扇状に5つの瞳を備えた機体が浮いていた。

 

 

『す、姿が……変わりました……』

 

 

 精神リンクを通してティアマトの戸惑いを感じる。古竜から竜騎兵への変形かよ。そんなの初めて見たぞ……。

 

 

『アシュタリアぁ……ハインズの後釜がよ。アタシの仕掛けを軽く突破してくれるとは、調子乗ってんなぁ?』

 

 

 ハインズの後釜だって? なら、コイツは……この竜機兵は……。

 

 

〈データベース照合完了。姿は異なりますがビル・ハインズと交戦したヲルス首長国の竜機兵、イルムガンと反応が酷似しています〉

 

 

『イルム、ガン……』

 

 

 ティアマトがポツリと呟く。5つの瞳を光らせたイルムガンが両肘に装備された戦斧を展開。懐へ飛び込んでくる。

 

 

『よく分かってんじゃねぇか姫様! ……テメェらはここで終わりだ!』

 

 

 ドス黒いオーラを纏いながら、ハインズとアンヘルさんを苦しめた宿敵、イルムガンは戦斧を薙ぎ払った──。

 




〜ティアマト〜

 まさか、イルムガンとここで遭遇するなんて……!?

 あ、すみません! もしイルムガンって誰だっけ? と思った方は第14話「アンヘルの謎」をご覧下さい!


予告です。

ハインズとアンヘルの2人を苦しめる原因を作ったイルムガン。彼女の猛攻に押される私とショウゴ。ですが彼女の発した一言にショウゴは怒りを感じて……?

イルムガンの思い通りにはさせませんから!

次回、イルムガン強襲

……絶対見て下さいね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。