竜の姫に俺は乗る─召喚されしロボオタ、姫が変身したロボを駆り最強を目指す─   作:三丈夕六

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第39話 上位ランカー達

 イルムガンをなんとか撃退した俺達。砂漠に点在している大岩の上に着地すると、ティアマトはガクリと膝を着いた。

 

『す、すみません……すぐ立ち上がりますから……』

 

〈機体内のマナ粒子量が低下しています。休息を取ることをオススメします〉

 

 AIがティアマトの状態を教えてくれる。ダブルヴァース・キャノンに加えて、共鳴接続(バーストリンク)……流石に無理させすぎたな。

 

 あのタイミング、イルムガンが引いていなかったらマズかったかも。いや、ティアマトの実力がヤツを退かせたと考えよう。

 

「気にするな。イルムガンの影響で4位と5位の間には相当な差が開いた。あとはランキングを確認しながら休もう」

 

『でも……』

 

「本選に上がるには順位をキープすればいい。俺達なら大丈夫……だろ?」

 

 昨日、俺の焦りを和らげるためにティアマトが言ってくれた言葉。そのおかげで俺に焦りはない。

 

 今の俺達は無理をする順位じゃない。それよりも怖いのは、弱ったところを他の竜機兵に狙われる事。だからこそ、ティアマトを休ませながら竜機兵からの不意打ちに備える……それが最善の戦略だ。

 

『ふふっ……優しいですねショウゴは……ランキングに動きがあったら教えて下さいね? 順位が危なくなったら動きますから』

 

「ああ。寝てていいぜ、起こしてやるから」

 

『では……お言葉に……甘えて……』

 

 しばらくして、精神リンクの接続が弱くなる。モニターはそのまま生きているけど、ティアマトの意識は眠りに落ちたみたいだ。

 

 正直、ティアマトの様子を見て少し安心した。イルムガンと戦っていた時のティアマトは見たことないほど怒っていたから。いつものティアマトではないくらいに……だけど……。

 

 ティアマトの言葉が脳裏をよぎる。イルムガンに言い放った言葉が。

 

 ──搭乗者は私達竜機兵の半身です! 命より大切な存在です!

 

「あんな風に考えてくれていたのか……」

 

 あのティアマトの怒りは、いつも俺に向けてくれる優しい顔の裏返しだ。俺を大切に思ってくれているからこそ……イルムガンに怒った。そういうことだよな。それぐらい分かれよ、俺。

 

 動揺していた自分が恥ずかしくなって、頭を振って思考を追い出した。

 

「ふぅ、気を付けないとな。見張り中だぞ」

 

〈搭乗者まで休息に入るのは危険です〉

 

「うわ!?」

 

〈何か問題でも?〉

 

「い、いや。なんでもない」

 

 突然鳴り響いたAIの声に飛び上がりそうになる。ティアマトの意識はなくても動いてるの久しぶりだな。ビビったぁ……。

 

 こういうシチュエーションになったのって、ハインズと決闘した時以来か? ティアマトとの精神リンクが低下してAIと俺だけに……あの時、だいぶAIに暴言吐いちまったよな。ちょっと気まずい……。

 

〈日の入りまで残り30分です。5位以下の機体が本選に上がるには上位ランクの竜機兵を狙うのが最も効率の良いポイント獲得方法です〉

 

「分かってる。だからティアマトを休ませて他の機体からの襲撃に備えてるんだ」

 

〈懸命な判断です〉

 

 俺の内面などお構いしなしに話すAI。それはそれで楽かも。俺は気まずさを無視して切り替えることにした。

 

「AI、周辺を索敵してくれ。こちらに向かっている機体はあるか?」

 

〈広範囲に魔力感知術式発動。森林エリア、ゼロ。荒野エリア、4。渓谷エリア──〉

 

 AIが確認するように声を上げる。ティアマトの声を冷静にした声。こうして話していると、人と話しているような気がして妙な錯覚を覚えてしまう。ティアマト、アシュタル、エーアイの三姉妹みたいな……はは、それはないか。

 

〈確認完了。砂漠エリアに向かう竜機兵の姿は見られません。他の機体は渓谷エリアを中心に活動しているようです。複数機の戦闘を確認〉

 

「渓谷エリアってヴィヴル達が向かったところかよ。大丈夫かよ……ヴィヴル達」

 

〈竜機兵ヴィヴルの戦闘データを解析します〉

 

「え? 頼んでねぇぞ」

 

 コクピット内にモニターが展開。AIが勘違いしたのか、ヴィヴルの機体スペックをモニターに表示された。

 

〈記憶領域と運営データベースを照合。竜機兵ヴィヴル。天空国家ハーモラ代表。マナ粒子の圧縮と放出を利用した格闘攻撃を主体としています。搭乗者カズマ・タカナシは実直な操作技術でヴィヴルの戦闘スタイルとバランスをとっています〉

 

 ティアマトの記憶を読んだのか、戦闘中のヴィヴルの様子が映し出される。強靭な腕から放たれる衝撃波。この世界の大木を薙ぎ倒すほどの一撃……それに、行動や攻撃も的確。他の竜機兵と戦った俺には分かる。ヴィヴル達も並のヤツらじゃない。

 

 他の竜機兵にヴィヴル達が負けるのは想像が付かないな。

 

「アイツらの心配よりも、戦った時の自分達の心配をした方がいいかもな」

 

 ここで何もなければヴィヴル、ツィルニトラ、俺達……そしてイルムガンが本選に上がるはず。

 

 

 ……時間はあるんだ。少し、アイツらの性能を振り返っておくか。

 

 

「AI、イルムガンの機体スペック出してくれ」

 

 俺の指示に反応して、モニターにイルムガンの姿が映し出される。紫色の機体から放たれる威圧感。先程の戦闘を思い出し、背筋に冷たい汗が流れた。

 

〈竜機兵イルムガン。ヲルス首長国代表。小型古竜へ変形し、火球による攻撃と両手の戦斧での攻撃を得意とします。搭乗者はナミタ・イナモリ。戦闘時の主導権はイルムガンが握っているようです〉

 

 イルムガン……あの戦闘能力だ。ワイヤーを使った変形潰しも本戦では通用しないだろう。そのさらに上を行く動きをするしかない。

 

 搭乗者はナミタっていうのか。変わった名前だな。イルムガンがあそこまで高圧的だと精神接続率は低そうだけど……共鳴接続(バーストリンク)を使おうとしていた。ということは接続率は100%を超えてる? 謎だな。

 

 それにしても、竜形態の機動性と共鳴接続の力が合わさったらと思うと……一筋縄じゃいかないだろうな。本選までの期間はさらに腕を磨かないと。

 

 

 ……あと、最後に残ったのはアイツらか。

 

 

「AI、ツィルニトラも出せるか?」

 

 

〈竜機兵ツィルニトラ。トルテリア王国代表。両手の実体剣とマナ粒子を利用した斬撃、共鳴接続(バーストリンク)を使用します。搭乗者のユウ・シライ両者ともにトップクラスの実力を持つと推測されます〉

 

 そう、ツィルニトラ達はバランス型ながら全機体中群を抜いたスペックとユウの操縦技術がある。確実に予選を突破してくるだろう。

 

「考えれば考えるほどヤツらに勝つのは大変そうだな」

 

 ……けど、最後に勝つのは俺達だ。

 

 モニター越しに外を見る。水平線の彼方に沈みゆく真っ赤な太陽。あと少しで日が暮れる。周囲に竜機兵の姿はない。もう、予選が終わるな。

 

 その時、AIが声を上げた。

 

〈渓谷エリアで膨大なマナ粒子反応を確認〉

 

「膨大? どういうことだ?」

 

〈解。渓谷エリアで2機の竜機兵が交戦しています。機体反応を照合──ティアマト・リ・アシュタリアの記憶領域と一致。竜機兵ツィルニトラと竜機兵ヴィヴルが交戦中です〉

 

「なんだって?」

 

 日の入りすれば予選は終わりだ。なぜ上位ランカーの2人が戦っているんだ?

 

 

 




〜ティアマト〜

私を気遣ってくれるショウゴ……素敵でした♡
怒っている姿を見せてしまった時はどうしようかと思いましたが、いつものショウゴでよかったです……。

そ、そうだ次回! 次回はヴィヴルさん達のお話です!

渓谷エリアで飛竜狩りをするヴィヴルさんとカズマさん。そこへ漆黒の竜機兵がやってきます。どうやら他の機体から狙われているようです。それを見たヴィヴルさん達は……?

次回 女王様、見せ付ける

次回も絶対見て下さいね♡
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