竜の姫に俺は乗る─召喚されしロボオタ、姫が変身したロボを駆り最強を目指す─   作:三丈夕六

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第42話 自分達のために

 〜ショウゴ・ハガ〜

 

 竜闘の儀の予選が終わり、俺達は戦艦竜ヨルムンガンドに帰還していた。俺とティアマトは最終的に2位での通過。最後の最後にユウとツィルニトラに1位の座を奪われたけど……悔いはない。俺達は取れる中で最善手を選び続けた。その結果が予選突破だ。順位を気にする意味はない。

 

「とか言って、悔しいけどなっ!」

 

 誰も見ていないのを確認してから声を張り上げてみる。月明かりの差し込む廊下に俺の声がこだまする。うん、ちょっとスッキリしたかも。

 

 ──イルムガンとの闘いの傷を修理するため、ティアマトはブリッジで修理を受けている。彼女を残して俺だけ先にブリッジへ報告に向かっていた。

 

「ショウゴ殿が来たぞ!!」

「アシュタリアの勇者だ!」

「胴上げしろおおお!!」

 

 ブリッジのドアが開いた瞬間、歓声が上がる。中はもう、祭かってくらいみんなはしゃぎまくっていて、駆け寄ってきた兵士のみんなに担ぎ上げられてしまった。

 

「わ!? ダーナ!? なんだよこれ!?」

 

「もちろんお祝いですよ〜!!」

 

 ダーナや兵士のみんなに胴上げされて、そのままアシュタルの元まで運ばれていく。

 

 彼女の目の前まで行くと、俺は放り出されるように降ろされた。 

 

「……」

 

 兵士達がサッと身を引き、視界が突然開かれる。目の前では、アシュタルがジッと俺を見つめていた。うっ……なんだ? なんか俺、怒られるようなことしたか?

 

「よくやりましたよショウゴ。2人が成し遂げられて私はとても……誇らしいです」

 

 一言呟くとプイッと顔を背けるアシュタル。一瞬、何を言われたのか分からなくて困惑してしまう。彼女の耳が真っ赤になっているのを見て、そこで初めて俺は褒められたのだと分かった。

 

 笑いそうになるのを堪えて、自分ができる1番真面目な顔をする。そして彼女に告げる。大切なことを。

 

「アンタの妹はやっぱスゴイヤツだ。後で褒めてやってくれ」

 

「……そうですね。ちゃんと言葉で伝えます」

 

 アシュタルが振り返る。その顔はいつもの涼やかな顔。いつもの顔だけど……今のアシュタルならきっとティアマトの事を褒めてくれるだろう。2人にとってはすごく大切な事だ。それをアシュタルも分かっているはずだから。

 

 彼女は、いつもの口調で続ける。

 

「明日の朝、ヲルス城で本選参加者の顔合わせがあります。時間になったら迎えを送りますから……アナタも休息を」

 

「ああ。分かったよ」

 

 顔合わせか。イルムガンと会うのは気まずいけど、ユウやヴィヴル達には会いたいな。

 

「よし! もういいぞみんな! ショウゴ殿を囲め〜!!」

 

「うおおお!!!」

「予選の話聞かせてくれええ!!」

「ハーモラの竜機兵は強かったですか!?」

「ダブルヴァース・キャノンのコツを……!!」

 

「うわあああああ!?」

 

 ダーナのかけ声で兵士達に取り囲まれる。それからしばらくみんなから質問攻めに遭い、俺が解放されたのは1時間後だった。

 

 

◇◇◇

 

 ブリッジを出て、格納庫にいるティアマトの所へ帰っていると、廊下でハインズを見かけた。ハインズの顔は、無表情なのにどこか悲しげだ。

 

「ハインズ? こんな所で何してるんだよ?」

 

 ハインズは俺をチラリと見てから視線を通路の窓へと向ける。その視線を追うと、ヲルス首長国の街が広がり、家々の灯りが夜を照らしていた。

 

「アンヘルの見舞いに行っていた」

 

「アンヘルさん……? 体調悪いのか!?」

 

「今は眠っている。イルムガンを見たことで精神が不安定になってしまったようだ。先程まで酷い有様でな」

 

 ……そうか。俺達がイルムガンと闘ったという事は、当然ブリッジにもその映像が中継される。イルムガンの被害者であるアンヘルさんへの影響は大きいかもしれない。

 

 ……イルムガン。

 

 アイツ、ハインズ達の事を馬鹿にしたような事を言いやがった。絶対許さねぇ。本選でやり合う時は絶対に……潰す。

 

「ショウゴ」

 

 ハインズは、横目で俺を見た。

 

「俺達の事は気にするな」

 

「!? だけどさ!!」

 

「いや、気を使っている訳じゃない。お前達の怒りをイルムガンなら利用して立ち回るだろう。ヤツはそれができるだけの実力ある戦士だ。その証拠に、お前達は切り札を奴に見せてしまっただろう?」

 

 切り札……共鳴接続(バーストリンク)のことか。確かに今になって考えてみると、イルムガンはわざとハインズの名前を出して俺達を挑発していたのかも。もしそれが俺達の実力を測るための行為だったら……クソッ。まんまとヤツの狙いに乗っちまったってことかよ。

 

 俯いているとハインズに肩を叩かれる。見上げると、ハインズはうっすらと笑みを浮かべていた。

 

「心配するな。お前と姫なら冷静に戦えば必ず勝てる。だから……お前達のために戦え。アンヘルもそれを願っているはずだ」

 

「ハインズ……」

 

 なんと返していいか分からず、俺は頷いて返事をする。そうしていると、奥の階段からティアマトが上がって来るのが見えた。

 

「また明日にな」

 

 もう一度俺の肩を叩いたハインズは、長い廊下を歩いていった。彼と入れ違いになるような形でティマトが駆け寄ってくる。

 

「ショウゴ!」

 

 息を切らせて走る彼女。止める間もなく、彼女は俺に飛び付いてきた。

 

「うお!?」

 

「やりましたね! 私達、予選を突破できたのですよ!?」

 

 突然の事でバランスを崩してしまう。でもティアマトを怪我させてはいけないと頭の中で声がして、咄嗟に彼女を抱きしめてしまった。

 

「ひうっ!?」

 

 顔を真っ赤にするティアマト。彼女がみじろぎしたことで崩したバランスが行き場を無くし、俺は尻餅をついてしまった。

 

「いてて……いきなり飛びつくなって……」

 

 腰を摩りながら目を開けると、ティアマトと目が合う。そこで初めてティアマトが泣いている事に気が付いた。

 

「やりました。やりましたよ……ひぐっ、ここから本当の戦いですが……でも私……嬉しくて……」

 

 彼女はとても嬉しそうで、でも涙をポロポロと流していて……その姿を見ていると、俺の胸の奥にも嬉しさが込み上げてくる。

 

 ティアマトが今日まで必死に頑張ってきたから。それが報われたような気がしたから。

 

「ああ……やったな!」

 

「はい……! ヴィヴルさん達も突破していますしこれで約束が守れます! イルムガンもコテンパンにしてやるのです!」

 

 イルムガンのことを聞いて、アンヘルさんのことが口から出そうになって……やめた。

 

「とりあえず、休もうぜ? 明日ヲルス城に行くらしいからな」

 

「ショウゴと一緒のベッドで休みます!」

 

「俺の気が休まらないからやめて!!?」

 

 アンヘルさんの話をやめたのは、さっきのハインズの言葉がよぎったのと……。

 

「? どうしましたショウゴ?」

 

「いや……なんでもない」

 

 ティアマトの嬉しそうな顔を見てしまったからだ。彼女が純粋に喜んでいるところに、水を差してしまいそうな気がして。今は、なんの心配もなくティアマトに喜んでいて欲しかった。

 

「じゃ、行くか」

 

 ティアマトの手を取って立ち上がる。ハインズが去っていった方向へ一度目を向けてから俺達は部屋へ戻った。

 

 アンヘルさん、ハインズ。俺達は自分の戦いに集中するよ。そして、俺達の戦いでイルムガンを倒してみせる。

 

 

 だから……見ていてくれよ。

 




〜ティアマト〜

 やりましたやりました!予選通過です!念願の本選ですよ!? やった!

 あっ、予告ですよね?

 ヲルス城に向かった私達は本選出場者との顔合わせをします。そして、本選で栄誉ある「先行者」という役職を決めることに。そんな中、ツィルニトラ女王様がある提案を……?

次回 本選への出場者達

絶対見て下さいね♡
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