三馬鹿がキヴォトスを巻き込むだけの話。 作:カブトムシの相棒
早くぐらんぶるパロ書きてぇっすわ。
でも後もうちょいですわ!
では、本編です。
■
☆トリニティ総合学園:正義実現委員会空き教室。
「────ほんっっっと信じらんないっす!!アホだバカだとは思ってたっすけど、まさかふんどし一丁で来るとは思わなかったっすよ!!このおばか!」
「こ、これには谷より深い訳が……ないかもですぅ」
「んな事知ってんすよ!そんな…ぷふっ……ペロロ様?ってキャラクターの顔を堂々と写したふんどし着てれば只のふざけたバカっすよ!!」
「今ちょっと笑った?」
「うるさいっす!!!」
「あいってーー!!」
現在、シンタロウはイチカに預けていたナイフを受け取る為、トリニティに来ていた。
だが格好がふんどし一丁だった為、即座に逮捕。そのままイチカによって連行された。
場所は大きな檻がある空き教室。普通なら牢屋行だが、ここ最近シンタロウがトリニティにて神出鬼没なのと、牢屋の檻では普通に破壊されるのを鑑みて、何と正義実現委員会が特注で超強固な檻を空き教室に設置。
ほぼシンタロウ専用の檻だが、それが今では確りと機能している。
傍にはイチカの他に、マシロ、ハスミ、ツルギが事を構えている。
「イチカ先輩、凄まじい怒気ですね」
「……仕方がない事でしょう。以前にもあの男はこのトリニティで下着のみのまま、校門前のベンチで寝更けいたので。そして今は…何故かふんどし一丁。度が過ぎています」
「ど……どういう意図があってあの姿なんだ……っ」
他の面々はイチカの変貌っぷりに少しだけ戸惑うが、この男を前にすれば正常など保てない。
それを分かっているからこそ、面々は納得する。
……イチカにも、こんな一面が有るのか。
奇しくも彼のお陰でイチカの人間らしい素面を見れた。感謝こそしないが、そこは評価したい。
「あったたたた……やっぱイチカさんの拳骨は響くなぁ」
「するコッチも痛いんすからね!?まったくも~……先ず、コレを着るっす」
「んあ?何だコレ。男用のスーツじゃねぇか」
イチカは檻の隙間からスーツを渡す。
それは男性用のスーツで、しかもシンタロウのサイズに合うものだ。
トリニティに教員が居るとはいえ、シンタロウ級の教員など存在しない。では何故、それが此処に在るのか。それは……イチカが要因している。
「どうせ貴方の事っスから、こういう事もあろうかと用意したんすよ。まさかこんなにも早く使う事になるとは思わなかったっすけどね!」
「イチカさん……お、俺の為にッ!!なんてスゲェんだ!カッケェ!!ありがとうイチカさん!」
「っっ……褒めるのは良いんで、早く服着て下さい!他の方々に迷惑なんで!」
「あぁ分かった!っと………しょっと…………おぉ!ピッタリだ!スーツなんざ久しぶりだ、傭兵以来か?まぁいい!流石イチカさんだ!俺の体型を熟知してんのマジどんな記憶力だよ!いよっ!イケメン!最高!出来る女!」
そうノリノリでイチカを褒めるシンタロウ。
ふんどしから一変。シンタロウは黒を基調としたスーツに着替え終え、煌びやかな瞳でイチカを称える。
それがどうしようもなく、イチカは嬉しかった。だが、同時に……恥ずかしかった。
「っっっ!!!あ~~~~もうっ!!うるさいっ!それ以上なんか言ったらマジでボッコボコに…っ!!」
「お、落ち着きなさいイチカ!100%彼が悪いとはいえ、彼の挑発?に乗っては駄目です!」
「挑発じゃねぇよ!!全部俺の本心だッ!」
「くぅ~~~!!!こんのっ……あんたって人は…っっ!」
真っ赤っか。イチカ真っ赤っか。
最早かわいそうまであるレベルで、イチカは羞恥の嵐に襲われる。コレが彼だ、コレがシンタロウだ。そんな事分かってるのに、制御なんか出来ないなんて、分かってるのに。
悔しい。これが嬉しいって思ってしまう自分が、どうしようもなく悔しい。
「……ハスミ、イチカをそのまま抑えておけ。別件でその男と少し話がしたい」
「え?は、はい。それは構いませんが」
「ガルルルルルルル………ッ」
「イチカ先輩、らしくないですよ。落ち着いて下さい」
「ぐぅ……すみません」
ハスミ、そしてマシロに窘まれてしまえば、この状態でも流石に落ち着く。
確かにらしくなかった。この男を前にして正常な状態など保てる方がおかしいが、反省だ。
すると、ツルギが檻の前に進み、シンタロウに問う。
「正義実現委員会の委員長、剣先ツルギだ……少しお前に聞きたい事がある。良いな?」
「イチカさんと話し合いたいトコだが、まぁいい。んで?ツルギさんとやらは俺に何を聞きたいんだ?」
「……2つ問う。先ず、何故この様な愚行に奔った?」
「訳はあるが、何て言えば良いか……個人的に友好な学園がヘルメット団に襲われててな、校舎でドンパチすりゃ被害を抑える事は不可能。加え、その学園の生徒は弾薬の補充も芳しくなかった。そんで、まぁ、アレだ。相手は女だから、俺がふんどし一丁で脅せば退くと判断して制服を破り、そのままウィ~~!って感じで追い駆けたら撃退成功。終わったと同時、イチカさんに預けてた物を受け取りに行くって話になって、そのまま来たって訳だ」
「………意味不明だが、分かった。その事に関しては……ゲヘナ側に処罰を任せるとする」
聞く人は皆、全く以て理解は出来なかったが……シンタロウだからと云う名目で無理矢理納得した。
続いて、2つ目。ツルギにとって聞きたかった事だ。
「2つ目……桜庭ケイスケの事だ」
「うーわ。あんのクソカスの事かよ」
「なんですって!?」
「ハスミ先輩!落ち着くっす!」
今度はハスミが怒る。この男は人をイラつかせる天才らしい。
ハスミはケイスケの事を非常に高く評価している。容姿、所作、学力、戦闘、在り方、そのどれもがトリニティ高水準。評価が高いのは当たり前だ。
ツルギは無視して、続ける。
「……奴はトリニティでは上澄みの男だ。だが、同時に謎が多い……少しでもいい、お前の知り得るケイスケの事を教えて欲しい」
「あぁん?何でまた……まぁいいけど。んで?特に何を知りたいのよ」
「……過去を知りたい。あの男がどうしてトリニティに来たのか、その強さの秘訣も……」
「あぁ、そういう事ね。えーでもコレって言って良いんかな?」
ツルギの言葉は、謂わばトリニティの総意。
ケイスケは秘匿主義の人物だ。誰も彼の事をよく知らないまま過ごして居る。
だが、彼は無所属ながらトリニティで屈指の実力を誇り、加え……あの【ティーパーティー】高い優遇を施されている。
謎が多い。それは、これからエデン条約を迎えるにあたって些か不安要素。それ故、ツルギは問うたのだ。
シンタロウはケイスケの事をよく分かっている。だが、言い淀む
「……言えぬ事なのか?」
「いや言えないっつー訳でもないんだがよ?如何せん、ちょいと難しい話なんだよコレ」
「それってどういう…?」
「先ずアイツがトリニティに来るまで何処に居たのか知ってんの?」
「そ、それは………」
ケイスケの過去。
それは、誰もが知る訳ではない。
知っているのは極一部。シンタロウ、レン、アキト、そしてナギサ。
他にも居るが、それだけなのだ。
「んー知らないならそれでいいんじゃねぇか?」
「どういう事だ」
「知らなくて良い話もあるって事だ。お前等、ソレを知ってどうすんだ?桜庭の過去を知って、邪魔でもするのか?エデン条約には何も関係ないのに、アイツの夢を壊すのか?いや────壊せんのか?」
言葉に詰まる。
何も教えて貰ってないのに、その妙な確信的な言葉が、恐ろしく聞こえる。
つまり彼は……生半可な覚悟で聞くなら辞めておけと、警告しているのだ。
「まー何も言わないってのも失礼な話だ。じゃあ俺も含め、1つ言える事は伝えるわ」
「っ、それは一体?」
ハスミが前のめりに問う。
ツルギも、マシロも、そしてイチカも。
「俺含め、神崎、逢冥、そしてお前等が知りたがってる桜庭は、元は全員────裏社会がルーツだ。アイツの情報は全てブラックマーケットの何処かに在ると思った方が良い」
「う、裏社会……ですって?」
「あのケイスケさんが、ですか?」
「………」
仰天モノだ。あのケイスケが裏社会の人間だった何て。
面々はそれぞれ驚愕の意を見せる。
だが、合点がいった。
「……ケイスケが秘匿主義なのは……相応の過去を持っているから、って事だな?」
「そういう認識で良いんじゃねぇかな?」
「そう、だったのですね……」
「癪だがあの馬鹿の名誉の為に一応言っておく。アイツはもう裏社会とは縁を切った人間だ。とはいえ、物心つく前から裏社会にどっぷり浸かった野郎だからな。本格的にアイツの事を知りたいんなら……相応の覚悟は持った方が良い」
「成程……分かった。ありがとう、もう大丈夫だ」
ツルギは礼を言って引き下がる。
何を思って此処に居るのか、何が有ったのか、その全ては全く分からなかった。
だが……彼が、桜庭ケイスケが大きな何かを抱えているのは、分かった。
「そういえばイチカさん、俺のアレって今どこ?」
「へ?それは私の部屋に置きっぱっすよ?あんな大きいの持って来れる訳ないじゃないっすか」
「あ、マジ?寧ろ好都合だわ。おいしょっと」
”バギュアァァン!!”
”「……は??」”
シンタロウは突如、檻を小枝を折るように破壊。
その行為に一瞬時が止まるが、シンタロウは続ける。
「え、何してんすか…?」
「此処に居ちゃ迷惑だし、何よりヒナさんにぶっ殺されちまう。だから……イチカさん」
「へ?ちょ…きゃぁ!?」
何とシンタロウは予備動作もなくイチカに接近し、お姫様抱っこをする。
余りにも唐突過ぎる光景。シンタロウのターンは続く。
「────イチカさんの部屋まで行くとしよう!よぉし、舌噛むなよ!!」
「な、なにし………へぇ!?」
”ドゴォォォン……!!!”
そのまま、彼は誘拐するが如く、イチカを連れ去ってしまった。
突発的過ぎる行為。あのツルギとハスミが何も出来ぬまま、彼の逃走を目の前で逃してしまった。
だが、ボーっとする訳には行かない。ツルギが瞬で意識を取り戻し、告ぐ。
「ハスミ、正義実現委員会の委員に即伝達をしろッ。即座にイチカの住む寮に向かう」
「ッッ!!はいッ!マシロ!」
「承知しました」
そうして、正義実現委員会の委員を含む、殆どの者がイチカの部屋に向かった。
結果として、イチカは無事だったが……張り詰めた笑顔とは裏腹に、顔中青筋だらけで怒り狂ってたとか。
ナイフは返したが、イチカの頬には血痕があった。
恐らく、シンタロウをタコ殴りにしたか、或いは……。
それを聞くのは恐ろしくて、誰も聞けなかった。
▼
────そして時は進み……アビドス高等学校付近。
「────止まれ」
「あだっ!……んもうっ!急に止まらないでよ!」
「……」
「あ…アキトさん?」
アビドス襲撃日。便利屋68は傭兵バイトを連れて学校に向かっていた。
道中は順調。大きな障害もなく、後は戦闘で勝利してアビドス校舎を奪うだけ…だった。
突如先頭を歩んでいたアキトが立ち止まり、制止の声を掛ける。
元々の雰囲気から、更に重みを乗せた重圧を纏って。
アルを含む、一同が疑問を浮かべる。
「どうしたのアッキー?何かあった?」
「アキト?」
「………空気が重い。誰かが明確な敵意を以て、俺達を見ている」
「へ!?み、見てるって!?」
「てて、敵ですか!?それなら、わ、私がブチころします…っ!!」
「二人共少し落ち着いて……アキト、方向は?アビドスの誰か?」
「……まさか」
その、瞬間だった。
”ドサッ……”
「え?」
「……やはり、貴様だったか」
後方から複数の人が倒れる音が聞こえる。
アキト以外の全員が後ろを振り向き、その光景に声すら発せない。
そう、便利屋の視界には……なんと。
「少し、貴女方にお聞きしたい事が御座います。この傭兵集団を引き連れ、この地で、一体なにを為さるおつもりだったのでしょうか?」
「あ、え……これ、どういう……」
死屍累々とはよく言ったモノ。総数20名弱も居た傭兵達が、物の一瞬で気絶させられていた。
音もなく、声を発する間もなく……全員が静かに地べたに倒れ伏している。
その場に居る一人の男を除いて。
「アルちゃん、コレちょっとヤバイかも」
「気配なんて1mmもなかったのに、この数を一瞬で………まさか、この人っ」
「っっ……」
「質問に答えて頂きたい。私とて、女性である貴女方に手荒な真似はしたくありませんので」
「な……なな、なによこれっ!?誰よ貴方!?」
右手に散弾銃、左手に蒼黒い槍を携える長身の美男子。
制服はトリニティの物だが、戦闘に特化した服装でその肉体が非常に分かり易く浮き上がっている。
そう、この男は────桜庭ケイスケ。
トリニティが誇る最強戦力の一角だ。
「桜庭ケイスケ……丹花シンタロウと神崎レンに並ぶ、超級危険人物の一角。比較的温厚で紳士で女性の理想と謳われ、その容姿から彗星の貴公子の異名を持つ怪物……」
「な、なんか凄そうな人なのね?」
「言っちゃえばヒナよりも更にヤバイ人って言えば良いかな?アルちゃん、ホントまずいかも。この状況」
「あ、アル様は…私が……っっ」
便利屋はそれぞれの反応を見せるも、最終的に辿り着くのは────生物としての格の違い。
字面に転ぶ傭兵達。ケイスケが放つ全てを刺し穿つ程の狂気の圧。
アルはアキトとは別ベクトルの恐怖を感じ取っていた。
それは、他の面々もそうだ。あのハルカが怯えているレベルの恐怖。
だが、そんな彼を前に堂々と歩み、ケイスケの前に立つアキト。
そのまま話しかける。
「久しいな、桜庭ケイスケ……相も変わらず悍ましい口調だ」
「……逢冥。本気で便利屋68に入ったのだな」
「あぁ……我が人生の忠誠、陸八魔アル……俺は今、この女の一部として動いている。後方の3人も同様だ。あと、貴様の質問だがアル社長の代わりに答えよう……もう分かっているだろう。此の先にあるアビドス高等学校を襲撃する」
「そうか……」
ただそれだけ。その一言のみ。
「残念だ。仕事とはいえ、まさか嘗ての好敵手を殺さなくてはならないとは」
「貴様が、俺を?ククッ……一体どんな命令を貴様の御主人とやらに下されたか……些か気になるな?」
「………」
アキトの挑発に、ケイスケは無言を貫く。
緊迫した空間。数秒の間が静かに過ぎて行き……。
「────来いッ」
瞬間……左手を上げたケイスケの下に、閃光の速度で振り落ちてきた槍。
爆風が周囲を襲う。彼の周りから紫色の稲妻が彼を囲う様に、纏わりつく。
「……なに、あれ」
「っっ……あー、マズいなぁこれ」
「ひっ、うあぁ………っっ!!」
「(呼吸すら困難な重圧ッ……コレが、桜庭ケイスケ…ッ)」
便利屋はその異様な雰囲気を放つケイスケに、本能から恐怖を覚える。
理由は全く以て不明。だが、確実に怒らせてしまっている事は理解出来た。
明確な死を目の前にした気分。不思議と、呼吸すら忘れてしまいそうになった。
「アル社長」
「っっ!!ぁ、あう…っ」
ぽんっ……と、アルの肩に触れるゴツゴツした掌。
その正体は、便利屋68が抱える最強の懐刀────逢冥アキト。
「喋らなくて良い。呼吸を整えろ……この男は俺が相手取る」
そう言いながら、一歩二歩とケイスケの前へと進むアキト。
その光景は、彼女達からしたら正に光そのもの。アキトの背中が人一倍大きく見えた。
だからか……呼吸を整える事が出来た。
「っ!は、あ…はっはっ……あ、アキトさん?」
「アッキー……」
「っ……アキトさ…」
「ふっ、ふぅぅ……アキトッ」
面々が彼の名を呼ぶ。それは心配から来る掛け声。
だが、それは彼にとって不要なモノ。
「安心していい……必ず生還する。お前たちは、先にアビドス高等学校へ向かうと良い」
「で、でもっ!」
「────行け」
有無を言わさぬ圧力。
そうだ、此処に居ても彼の邪魔になる。それを理解するのに、そう時間は掛からなかった。
でも、それでも尚、心配だ……だからっ。
「っ!!!け、怪我したら、承知しないからねっ!!行くわよ皆っ!」
「あ、アルちゃん!」
「っっ!!」
「……直ぐに終わらせる。絶対に無茶はしないでッ」
そう言い、彼女達はその場を後にする。
背中越しから聞こえる足音が、次第に遠くなっていく。
それをただ静観していたケイスケ。
「……追わぬとは、意外だな」
「元々私の標的はお前1人。寧ろ好都合だ……これで楽にお前を殺せる」
「そうか……それは」
”バッ”
アキトは大剣を。
ケイスケは槍を。
己の得物を互いに構え────そして。
「────俺も同じだッ。桜庭…ッ」
「────吐いた唾は飲めんぞッ!逢冥ッッ!」
戦闘が勃発された。
殺し合いの火蓋が、豪快に切られた。
次回
────血濡れの戦線。
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