三馬鹿がキヴォトスを巻き込むだけの話。 作:カブトムシの相棒
コメディ強めの作品なので、多分書かないかな~。あまり期待せず見守って頂ければと。
では、本編です。
■
”プルルルルルル……”
「────チッ、んだよクズが……」
D.U.子ウサギ公園前。
そこでシンタロウは少し早めに待ち合わせしていた。
一昨日のトリニティでの一件で、シンタロウは一人の女の子と仲良くなった。
その者は仲正イチカ。人当たりがよく、世話焼きな美少女だ。
妙な事に、この二人は【同盟】の関係だ。
イチカはシンタロウの〈女子に向ける恋のアドバイス〉を。
シンタロウはイチカの〈好きな事、趣味を探す〉といった事を。
この二人はゲヘナとトリニティであるが、そこに溝はない。
あるのは……形容出来ないナニかだ。
しかし────そんな中、シンタロウから一本の電話。
”ピッ”
「……んだよ
『シ〇ってる最中悪いんだが聞け
「マジで?行くっきゃn……いや、悪い。今日は外せん用事があんだわ、また今度行く」
『あ?なんだよツレないな。用事って何だよ』
「オ〇ニー」
『そうか…で納得する訳ねぇだろボケッ。射〇寸前にも関わらず私の電話一本で来たじゃないか』
「アレは新しく発売されたドスケベAV女優がパチンコ店に来るって話だったからだ。限定的すぎて行くしかなかったんだよ」
『まーそう言われるとそうだが……』
『なんや、アホは来ないんか?因みに緑髪の色白ぺちゃぱいロリも居るで!』
「黙れ性犯罪者が。行かねぇったら行かねぇ。テメェ等クズ共で行けよ」
その電話の主は桜庭ケイスケ。
どうやらミレニアムのメイド喫茶に中々の上玉が居るらしい。
途中で神崎レンも入って来た。この性犯罪者(予備軍)は知らん。
『なんだつまんないな。お前の好きそうな面白そうな女の子も居んのに』
『そうやぞ、しかも今日はファン感謝デーだからチェキが3割引きやのに。勿体ないで?』
「おいヤメロ、マジで行きたくなる……開いてる時があったらまた行かせてくれ。今日はマジで無理だ」
『そうか、分かった。じゃあ私達だけで楽しむか―』
『まー思えばこのチンカスが居たら居たらで邪魔になるかもしれへんしな!』
『だな!ふははははは!』
「おーおー、じゃあ切るぞ」
いつまでも相手してたら気が滅入るし、今直ぐにでもぶち殺したくなるから電話を切ろうとした……瞬間。
「────おーーい!!シンタロウさーん!」
”ピクッ!!”
『……あ?』
『……お?』
「や、ヤベ」
可愛い声が、響いた。
「はぁ、はぁ……いやーギリギリ間に合ったっす!電車がちょっと混んじゃってて、危うく遅れる所でした。もしかして待ってて……あ」
「………」
「す、すみません、電話中だったんすね!?静かにしてるっす」
そう、イチカが現着したのだ。
改札から走って来たからか、少し汗が流れている。
急いでたが故、シンタロウが電話をしているのに気が付かなかった。
顔を赤くし、す~~っと後方に行き口を覆う。
だが……時すでに遅し。
「違うぞテメェ等。これはだn」
『そうかそうか、よーく分かった』
『教えてくれておおきにやで~』
速攻、シンタロウは弁明の意を言おうとするが……クズ共の声色が怪しい。
それは、もう答えだった。
『────貴様、女と居るな?』
『────えぇ度胸やんけ、水臭いんちゃうか?』
”ブツッ”
シンタロウは電話を切った。
そして携帯の電源も切った。
「あ……終わったっすか?いやーすみません、お邪魔しちゃって」
「いや気にしないでくれ。只の悪戯電話だったからよ」
「え?それにしては随分と仲良さそうにしてた様な……」
「気の所為気の所為!只のクズ……ゴミカスッ………まー気にすんな!」
「えぇ!?凄い悪口言って終わりっすか!?気になるんすけど……」
電話を終え、シンタロウはイチカと話す。
どうやら友達とかではなく、悪戯電話と言い張るようだ。
気になるが、まぁ良い。イチカはそう結論付けた。
「にしても……アレだな!」
「ん?な、なんすか…?」
「イチカさん、貴女は美しい……まるで砂漠の地にて力強く咲く一凛の花。何者にも染まらず、己を貫く強さを秘めている……綺麗だ」
「は?」
「え?あれ、ダメかコレ?」
瞬間、シンタロウが急に意味不明な事を言い始める。
イチカは頭に疑問符しか浮かばない。急に何を言い出しているんだ?この男は……と、本当に訳が分からないでいる。
すると、シンタロウが弁明の意を告ぐ。
「いや、イチカさんの服が洒落てて可愛いから、詩的に伝えてみたんだ」
「はぁ!?伝わる訳ないっすよ!何すか砂漠の地に咲く……何とかって!」
「砂漠の地にて力強く咲く一輪の花だ」
「よくも噛まずに言えるっすね……って!普通に言って下さいよ!まさかっすけど、今迄の女の子にもそんな感じで言ってたんすか…?」
「え?あぁ、バリエーションを変えてな」
「………すみません、失礼を承知で言わせて下さい。シンタロウさんって馬鹿ですよね?」
「本当に失礼だな」
まぁそう言うのも仕方ない。
何故なら本当に馬鹿だから。
優しいイチカですら呆れてしまう程、シンタロウの愚かさは重症だ。
滅入ってしまうが、此処は言う。
「はぁ~……いいですかシンタロウさん。女の子の服装には普通に『似合ってる』や『可愛い』で十分です。ってかそれしか言わないで下さい、貴方の場合は」
「そうなのか!?」
「そうっすよ!今までの49人の女の子がシンタロウさんみたいな巨躯な男子にそんなこと急に言われたって思うと、その子達に同情っすよ……」
「イチカさん何か辛辣じゃないか?まー為になるからいいけど」
シンタロウはイチカに言われた事を確りとメモ帳に書き纏める。
会って早々辛辣なイチカ。新鮮だ。
何故かは分からないが、イチカはこの男に対して我慢を余りしなくなってきた。
自分でも、何でかは分からない。
寧ろ分からなくて良いとそう思ってしまう。
「成程な。よし分かった。イチカさん、今日の服も可愛いな、似合ってる」
「……そうっす。それでいいんすよ!」
「まー最初から思ってた事だが、なーんだ、普通にそう言えば良かったのかよ。何か勿体ねぇなァ」
「え?あ……そうなんすね?」
「なにがだ?」
「な…なにって、その。私の今日の服っすよ」
「あぁ、可愛いじゃん。イチカさん可愛いから服も相俟って似合ってるし」
「ぎっ……ッ」
まさかの不意打ち。
何気ない顔でそう言ってくるシンタロウ。本気でそう思っている顔だ。
イチカは少し顔が火照る。何なんだ、この男は……ギャップがエグイ。
「でもやっぱ俺は正義実現委員会の服装が好きだなー!あれエロくね?」
「……逮捕されたくなかったら口を閉じるのをオススメするっす」
「だははは冗談冗談!ゲヘナジョーク!(大汗)」
「はぁぁぁぁぁ……メモの準備っす」
「はい」
「先ず、女の子の前でエ、エロイとかそういうのは言わない事」
「うす」
「次に、女の子に気軽に可愛いとか言わない事っす!」
「分かっ……ん?」
シンタロウが少し引っ掛かる。
「なぁ、さっきイチカさん可愛いって言えって言ってなかったか?」
「それは服装っす!私っ……女の子の可愛いは特別なんすよ?タイミングってモンがあるんす!」
「えぇ………女心ってヤツ?」
「そうっす!シンタロウさんは女心を1ミクロも分かってないっす!」
「そんな、千年問題と同じくらいの難易度だぞ?女心を理解するなんざ」
「いやそんな難解ではない……と云い切れないのが悔しいっすね…」
「まーでも、イチカさんがソレを言われて嬉しいってのは分かったから、そういうもんか」
「はい!?ど、どこをどう汲み取ったらそんな事が…!」
「まぁまぁマンマミーア!落ち着け、それと……ほれ」
イチカに舐めた態度を見せ怒らせると同時、シンタロウはさっきから持っていた何かを差し出す。
それは、専用の袋に包まれたもの。正体は…。
「じゃーん!カメラだ!」
「カメラ?…あ、言ってたやつっすか!」
「そう、これを貸してしんぜよう。きっとハマる」
そう、シンタロウが所持していたデジタルカメラだ。
少し傷付いており、それなりの年季が入っているのは確かだ。
シンタロウはイチカにそれを渡す。
「今まで撮った写真はそのまま残ってるから、まー見たいなら見て良いぞ」
「い、いや流石に見ないよう努めますけど……でも、ありがとうっす!早速試写してもいいっすか?」
「勿論だ!俺撮ってよ俺」
「え~…?」
「あー分かった、俺を撮んないなら此処で脱ぐ。そして198㎝代の高校生が見せる全力駄々っ子をこの場で披露してやるぜ!!」
「マジで辞めてほしいんすけど!?ちょ、なんでズボン脱ぐ動作してんすか!脱ぐなら普通は上着からっすよね!?」
「知らないのか?男は先にズボンから脱ぐんだぜ」
「そうなんすか!?」
※決して誰もがそう云う訳ではございません。何ならクズ三人衆ぐらいです。
「…って!そんなんどうでもいいんす!撮るっすよシンタロウさん!撮んなきゃ脱ぐとはなんて脅しっすか!もう…」
「お、よし。じゃあ……俺を撮れい!」
シンタロウはズボンを脱ぐのをやめ、そのまま上着を肩に掛けカッコつける。
心底ムカつく動作で行われるキメポーズ。イチカですら少しイラつく。
”パシャ!パシャ!”
「……消していいっすか?」
「終いにゃ手出るぞおい」
「ぷふ!ひひっ!さっきのお返しっす!」
「なんてカウンターだ、ったく。俺の美顔は大事に保管しろよ?」
「落書きして保存するっす」
「おぉーーい!!」
「はっははは!」
あれ?
シンタロウとテンポよく話してると、イチカの胸中に妙な感覚が沸々と湧く。
「(……いやいや、ないない)」
こういうのはお決まりだ。
だが、そんな訳ないと決めつける。
だって、相手はあのシンタロウだ。それに、まだ会って3日。初対面はそれはまぁ衝撃ではあったがそれだけだ。
「同盟組んだとはいえ酷いなおい……んで、どうだ?調子よさそうか?」
「はいっす!結構手に馴染んでるんで、色々と撮りたいと思うっす。ホントありがとうっすシンタロウさん!」
「そうか、なら良い。どれ、上手く撮れてる見てやろう………悪くないな。今日も俺はカッコいい」
「その自信はどっから来るんすか」
「クハハ、冗談だ。って誰が冗談だコラァ!!」
「自分で言ったっすよね!?いま自分が冗談って言ったっすよねぇ!?」
「全く、なんて女だ……」
「えぇ……」
「……まーもうちょっとピントが合えば更に良い感じになるぞ。こんな風に。えい」
”パシャッ、パシャパシャ”
瞬間、シンタロウがカメラを使いイチカを撮る。
しかも、3回も。
「……へ?」
それは余りにも一瞬で。イチカは理解するのに数秒時間を掛けた。
だがそれも束の間、シンタロウがイチカに向け撮った写真を見せる。
「おぉーやっぱ美人だから写真映えすんなぁ。保存っと」
「は……な、なぁ!?なにしてんすかっ!」
「あ?何って、撮った。あんたを」
「それが何してるって話っすよ!消してっす!!」
「なんでだよ、良い写真だぞ?ほら」
そう言うと、シンタロウはカメラをスクロールして撮った写真を見せる。
イチカの顔は、1枚と2枚目は真顔で、3枚目は呆気に取られ目が見開いたものになっている。
それを見たイチカは形相を変え、切羽詰まった様子でカメラを持つシンタロウに手を伸ばす。
「貸してっす!そして消すっす!!」
「は?だからなんでじゃ!嫌だよ!」
「恥ずかしいじゃないっすか!って、何で避けるんすか!ちょっとっ!」
「まー待て!落ち着けぃ!よくみろ、ちゃんと撮れてる!恥ずべきところ何か皆無じゃねぇかッ!お前の可愛い写真だぞ!?」
「どこがっすか!!こんな、全然変っすよ!」
逃げるシンタロウ。
追いかけるイチカ。
女子として、あんな顔写真を保存されたままでいられない。早く奪い取って消さなければ。
その一心で追う。それにはシンタロウも驚愕だ。
「くそ、ヤケに頑固だなッ……あーっと、こうして、こうで………よし」
すると、いきなり止まるシンタロウ。
息を切らしてシンタロウの正面に立つイチカ。そのまま言を投げる。
「はぁ、はぁ、はぁ……さっ!さっさと渡すっす!消させて貰うっすよ!」
「あぁ、もう消したよ。ほら」
「え…?」
シンタロウは何の意も無く、そのままカメラを渡す。
イチカが受け取り、スクロールしても、イチカの写真は出てこない。
まさか、本当に消した?だが保存場所の所を詮索しても見当たらない限り、本当に消したとしかいう他ない。
「な?ちゃんと消したろ?」
「ん……なんか怪しいっすけど……まぁ、いいっす!」
「にしても勿体なかったなー、どれも良い写真だったのに」
「全然よくないっすよ!全くもう……良いっすかシンタロウさん。女の子の準備が出来ていない時に写真を撮るなんてご法度っす!私でしたから良かったっすけど、人が違えば大喧嘩の下なんすよ?」
「こんなので喧嘩するんならそれまでの関係だったって事だろ」
「ぐっ、急に一理ある事を……で、でも!次からはタイミングを見計らって撮ってくださいっす!分かったっすか?」
「うーい」
「本当に分かってるんすか?もう……」
適当な返事に呆れてしまうが、シンタロウはその言葉を聞いてちゃんとメモを取っている。
怒るに怒れない。全く以て、やり辛い男だ。
「そうだなー、じゃあちょっといいか?イチカさん」
「ん?なんすか?」
「俺とイチカさんでツーショットを撮ろう!ほら、こういうのはいいタイミングだろ?」
「それを言ってしまったらアレっすけど……うーん、まぁ良いっすね。撮りましょうか」
シンタロウがイチカの後ろに回り中腰になる。
身長差はある。イチカが163㎝に対し、シンタロウは何と198㎝だ。
35㎝差。丁度シンタロウの胸筋付近に顔がある程度の身長差と云えば分かり易いだろう。
「……近くないっすか?」
「そうだな。良い匂いする」
”ビキッ”
イチカ、一段階キレる。
「え~午後14時27分、D.U.子うさぎ公園にて犯罪者を確保」
「ソレもしかしなくとも俺の事言ってんのか!?」
「あんたの事っすよ!この変態っ!ほんと信じらんないっす!!だから万年チェリーなんすよ!」
「ぐぅぅぁぁあぁぁああぁぁぁ!!!!」
バタリ……と、シンタロウは血反吐を吐いて倒れる。
相当精神的に来たのか、ピクピクと身を震わせ悶絶している。
「メ…メモっ……お、女に、男のノリはイケナイ…ガハッ」
「瀕死でもちゃんとメモは取るんすね……」
「はぁ、はぁ……何て女だ、仲正イチカっ……この俺が、一撃でゴフッ!!うおぁぁぁぁ!!!」
「いやなんで!?私もう何も言ってないっすよ!?」
「その眼が俺を殺しているぅ!」
「……同盟解消していいっすか?」
「嘘ですごめんなさい。真面目にやるんでそれだけはッ!」
すると一気に復活して土下座。
流石にそれは嫌らしく、クズは誠心誠意の謝罪を行う。
それを見たイチカは……本当に仕方のない男を見るような目で、シンタロウに言う。
「いいっすよ、もう。全くシンタロウさんは、本当に馬鹿っすね~」
「いやぁそれ程でも」
「何処に褒める要素が…?」
「まー許してくれたんなら良かった。毎回土下座して許しを請うんだが、成功率は1割を切る」
「先ずシンタロウさんが何をしたかで話しは変わるっすけど、成功率1割切ったらそれもうほぼ0に近いじゃないっすか」
「因みに成功した事は無い…今を除いて」
「じゃあ混じりっ気のない0%っすよ!!」
「いいや違う!」
「なにが!?」
「イチカさんが許してくれたろ?だから0じゃねぇじゃん」
「ッ…!?た、確かに……」
イチカはシンタロウのその発言にピキリと来た。
普段はこんな事でイラついたりしない。だが相手はあのシンタロウ。
この男、バレない為に小声で言っていた。クズである。
なんか論破された気分だ。
あの、馬鹿で、クズで、アホなシンタロウにだ。
「ん?あーらあらあら!?図星ですか?図星っす~っか!?」
「ふ~~~~~~~~~~~…………」
「ぬはははははははははッ!!うわ気持ちェェェェェ!!!イチカさん黙らせたの気持ちェェェェ!!」
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅ………」
ヤバイ。フラストレーションが溜まる。
この男を奈落の底に落としたくて仕方ない。
「あぁ?……はぁ、おいおいイチカさん!まーた我慢してんのか?」
「はい……?」
「酷い我慢癖が付いてる様に見える。さっきみたいに素で居て良いんだぞ?ん?」
「……あんたが私の何を知ってんすか?分かった風なこと言ってるっすけど、私という人格は私がいちばっ」
「努力とかだろ。後天的な、頑張りの末に得たな」
「なっ……」
まただ。この腹を見透かれてる感覚。
イチカは、この感覚がどうしても苦手だ。会って間もない人間に、胃袋の中ですら覗かれる感覚。
ハッキリ言おう……怖い。
「あんたは完璧だが隙がある。そんで優秀だが弱点だらけだ。それを見せぬよう巧い具合に隠してる……それキツイだろ」
「ッッ……わ、私は…」
「なぁイチカさん。それってそんな嫌な事か?」
「………え?」
瞬間、イチカの顔がポカーンとなる。
ふざけて、急に詰めて見透かして、すると次は何だ?己の本性や葛藤、積み上げた努力に疑問を抱かれた。
何なんだ、この男は。
「い、嫌な事っすか?な、なん…」
「良いじゃねえか、我慢なんてしなくて。俺なんかもう諦めたぜ?この性格治すの」
「諦めたって……元々そんなつもりなかったように見えるんすけど」
「お?そう見えるか?中途半端に見えないのは嬉しいなァ」
「………」
「いいかイチカさん。自分を変えるってのは思っていた以上に難しいが、それ以上に簡単でもある二面性を持つモノ。人はキッカケ一つで直ぐに変わっちまう生き物だ」
「結局、なにが言いたいんすか?」
「まぁ、そうだな。回りくどいのは好かんから単刀直入に云うが……」
すると、イチカの頭に……乗る掌。
「は…」
「────俺には素でいろ。我慢なんかするな。口も悪くて良いし、素行も悪くったって良いじゃねぇか。俺の前だけにやって、それで誰かに迷惑掛けんのか?」
「なッ……!?」
「イチカさんは頑張り屋で誰よりも優しく、先輩後輩問わず誰からも頼られる人なのだろう。あんたを見りゃその情景が目に浮かぶ。加えゲヘナの俺にもアドバイスをくれる分け隔てない女の子だ。それ故……自分を後回しにして我慢する」
「うっ……」
「ぐうの音も出ないだろ。だが、それも今日で終わりだ」
「え?わ、わっ……!」
瞬間、シンタロウがイチカの頭を乱雑に撫でる。
まるで大型犬を強く愛でる様に。
「今まで通り我慢したきゃすればいい。意味は乖離気味だが、能ある鷹は爪を隠すとも言うしな……だが、俺の前では曝け出していい」
「な……なんで、そう言うんすか?」
「友達だからだ」
彼にとって、それが動く意味だったのだ。
「互いの利を得る同盟関係とはいえ、俺とイチカさんは友達だ。友達の前でも理性的で素を出さないのは、俺からしたら気持ち悪いしな」
「き、気持ち悪いって………」
「まぁ何でもいい。それでいいな?イチカさん」
「いいなって………本当にいいんすか?私、マジで酷いっすよ?」
「いいよ、何なら俺の方が1億倍は酷いし」
「ぷっ!ひひひっ!それもそうっすね……」
「(それもそうっすね…?)」
なにやら引っ掛かるが……それでも、イチカがやっと素で接すると云った。
これはシンタロウが一昨日から狙っていた展開だ。
「いやー……とはいえ、素で接するって言われてもなんすよね~。本性を隠して随分経つっすから」
「偶に見えるエロイへそや黒パンツは隠せてないのにな」
”ドガッ!!バギッ!!”
「ま…前が見えねぇ……」
「ん~、まぁこんな感じでいいっすかね!あはははは!何だか気が楽っすよ~!」
「んいっててて……まー良い。それでこそイチカさんだ」
早速、シンタロウは試しにイチカをブチギレさせてみたが、早速ノータイムで顔面を殴って来た。
余りに一瞬で吃驚したが、本人が楽しそうなので良しとする。
「よーし!長話もアレなんで、近くの屋台クレープで小腹でも満たすっすよ!」
「お、それもそうだな。そんじゃ行くか、イっちゃん」
「ぶふっ!何すかその仇名!?」
「いや今思いついたから読んでみた。やめとく?」
「絶対にやめてっす!!何すかその痛いカップル…みたいな………の」
「なんで言い淀むんだ?」
「う、うるさいっす!丹花シンタロウさんにマイナス10ポイント!」
「えっ!?なにそれ何の数字!?怖いんだけどッ!?」
そうして、一段落が付いた所で……二人はやっとその場から歩き出した。
長いようで短い、濃厚な数10分だった。
イチカにとっては……初めて出来た【素】を出せる対等の友人。
ゲヘナではあるが、その馬鹿正直さにはトコトン押される。
本当に、馬鹿なんだなと……そう思ってしまう。
そして、二人はクレープを買って食べた。
味は……少し濃かったとか。
「ってか二人で写真撮り忘れてね?」
「あっ……そういえばそうっすね?何ででしたっけ?」
「イチカさんの匂いを嗅いでたら、それっきりだな」
「あーそうでしたね。では、逮捕っす」
「この流れもっかいやるの!?」
■
☆一方その頃、ゴミとカス。
「────アホのクズの隣に絶世の美女……どう思う?」
「洗脳か脅しやな。あの笑顔の裏には涙が隠れているとワイはみたで」
「しかもあの女神の腹だしファッション……クッソ刺さる…くぅぅっ!それがあんなクズにッ……許さんッ!」
「ロリちゃうならワイは別にどうでもええがな」
「お前より先にアイツが童貞捨てる可能性があんだぞ」
「八つ裂きにしてやるゥゥゥ……ッッ!!!」
「私が首。お前は心臓を狙え、タイミングを見計らうぞッ」
この二人は虎視眈々とアホのシンタロウの命脈を断ち切らんとして狙っていた。
イチカをシンタロウにツッコむ系の女子で行かせたく、2話でイチカの二面性を解決しました。
故に次回は超コメディで行くかもっす。
感想評価ここすきお気に入り誤字報告、いつもありがとう御座います。