三馬鹿がキヴォトスを巻き込むだけの話。 作:カブトムシの相棒
ストーリーはまだ1章も始まっていない状況です。
ですが、1章辺りは誰かが少し関わる程度なので直ぐに移行します。
クズ共が活躍する場は、エデン条約ですので。
では、本編です。
■
時刻:午後10時。
「────杯を乾すと書いてェ!!!」
「乾杯と読むゥ!!!」
「乾ァァァァ杯ッッ!!!」
”かんぱーい!!”
ガランッ!と、コップやジョッキの軽快な音が鳴り響く。
場所はトリニティ自治区のとあるアパート。そこで、シンタロウとレン、そしてこのアパートの住人であるケイスケがいつもの様に吞んでいた。
無論、その呑むは────酒である。
※お酒は20歳からです。
「んっ、んっ、ぅ…ぅ……ッッアァァァ!!!効くなァおい!」
「コレ、もしかして天崎ウィスキーか?」
「そうやで。ワイの地元の酒や!やっぱワイはコイツが一番なんよ……ほれ、コレや」
「ほ~、初めて見たし呑んだわ」
「私は数年ぶり以来だが、やはり中々に旨いな。山崎や白州とは別の香りと深みがある」
「せやろ!」
酒を飲む時はこうして集まって飲んでいる。
とは言え、飲まない時も普通に集まっているが……酒では何故か喧嘩をしない男どもなのだ。
だが、今日集まったのは意味が有る。
「それで?今日は珍しく丹花からの誘いだが……なにかあったのか?」
「む……いいのか?」
「今日は気分がえぇ。1つでも2つでもなーんでも話せぇ!」
「テメェ等………あぁ、やはり持つべき者は同性の友人だな!」
気持ちわr…気味悪い位に雰囲気が良い3人。
酒の力か、それとも元々の3人しか居ない男としての絆の力か。
シンタロウは何かを感じ、話す姿勢になる。
「実は何だが……先日のイチカさんとのデートの件についてだ…実は……」
「あぁ…」
「ほうかぁ……まぁなんや。今日はぶっ潰れる日や!飲んで忘れようや!」
「そうだな、神崎の言う通りだ丹花。ほれ、お前が好きなスミノフだ」
「実は────2回目のデートが決まったんだ!」
「うおぉらぁぁ!!!」
「がぼぉ!?」
ケイスケがシンタロウに無理矢理スミノフウォッカ700mⅼ瓶を口内へと捻じ込ませる。
ゴポポポポ…とスミノフがシンタロウへと入って行く。因みに度数は40度だ。
そのまま暫く突っ込み、シンタロウは半分以上を飲んだ。
※大変危険なので20歳越えの皆様は真似しないで下さい。
「ごぽっ、ごぽぽぽ………ぶはっはぁぁ!!いきなり何しやがる!!」
「黙れ!貴様ァ、あの美麗千万の仲正さまと2回目のデートが決まっただと!?」
「此処へは自慢に来たんかぁ~丹花くぅぅん!!?」
いきなり豹変するゴミとカス。やはり、この3人に絆などなかった。
「半分正解だがもう半分は違うわァッ!次のデート先が決まらんからテメェ等に聞こうと思ったんだよ!!」
「っざけんなぁ!!只でさえテメェがイチカちゃんと上手くいって腹ァ立ってんのに、なんでワイ等が次のデート先決めなアカンのじゃあ!」
「寝言は寝て言いやがれクズ野郎ッ!」
「クソが!!やっぱテメェ等には話さなけりゃ良かったわ!!あークソ、寄越せボケ!…んっ、んっんっ……ふぅぅ」
しょうも無さ過ぎる言い合いの後、シンタロウはケイスケが持つスミノフを一気飲み。
何にも割っていないのに、そのまま飲む。このクズ共ならではのやり方だ。
イチカとのデートの話は置き、シンタロウが話題を振る。
「ぶふぅぅ……ってか聞いたか?」
「あ?なにがや」
「『ユメ』さんだよ!あの人、どうやらシャーレの事務員になるみたいだぞ?」
「ぶぅぅぅぅぅ!!!?」
シンタロウが話す内容は、中々に衝撃モノで。
彼の口から挙げられた者の名は『梔子ユメ』
アビドス高等学校のOGであり、なんと卒業後もキヴォトスに残りシャーレの事務員に成るというのだから。
アビドスには数億の借金がある。相当な覚悟の上での決断だろう……。
だが、そこで大体的に酒を噴いたのがケイスケだ。
「げほっ!グフッ……え、マジ?」
「マジ。この間シャーレに遊び云ったら来たんだよ。ってか、桜庭自身の家とは言え噴くなよ汚ぇ」
「まーしゃぁないやろ。あのユメちゃんやもんなぁ~………ケイスケとは、アビドスの子達も含め色んな意味でエグイしなぁ」
「ふぅ~~~……ちょっと待て、じゃあ私もうシャーレ行けないじゃん」
「なんでだよ。一発腹割って話し合えば良いじゃねえか」
「そうやぞ、テメェはあの巨乳美女を救ったんやから多分いけんで?それに
「あのな、それが出来ないから2年も会えてないんだぞ?アビドスにも行ってないし。年齢詐称までして同級生してたのと、密造酒の販売と梔子さまの胸を事故とはいえ触ってしまった身だ。しかも小鳥遊さまの前で。会った瞬間に殺される未来しか見えん」
そう、桜庭ケイスケは元アビドス生。
どういう過程で、経緯でアビドスに入っのか……それはこの2名も余り知らないが、ある程度の事は知っている。
2年前、ケイスケは色々あり、砂漠で行方不明となった梔子ユメを救出してからは……すれ違いもあり、そのままアビドスを去る形と成ったのだ。
その事に、ケイスケ自体は一切の後悔も悔恨の念も無い。まぁ当然か、と云ったスタンスを持っている。
だが……会えと言われれば、流石に気まずいので会えていないのだが。
「とは言え、だ。梔子さまはシンプルに鈍感だ。俺が顔を隠せばシャーレには……」
「先生、普通に俺等のこと言ってそうだけどな」
「終わった………」
「まぁ~えぇ機会って事やな。ユメちゃんホンマえぇ子なんやし。それに言っちまえばこれはチャンスやぞ?ホシノちゃんやノノミちゃん等よりも先に、少し大人になったユメちゃんと話す機会を得たんや」
「ぐっ、確かにそうだが……」
「俺が先生に言ってやろうか?」
「やめろ!!私が言うからもう勝手な事はするな!」
どこもかしこも問題だらけだ。
喧嘩の理由を知っているシンタロウとレンが妙に優しいのは、その内容が中々に中々だからだろう。流石にめちゃくちゃに茶化す事はしなかった。
……シンタロウとイチカの件は、普通に腹立つので全力で邪魔するが。
「んっんっんっ……ッアァァ、まぁアレだ。その件は明日に持ち越す。今日はトコトン飲む」
「ガハハ!それもそうやな!」
「よっしゃ!!どんどん空けてくぞ~!」
そうして、飲み明かして話し合い、次第に時間は溶けていった。
▽数時間後…。
数時間が経った飲み会。
少しは落ち着きを取り戻す時間帯か。飲みが始まって早々えげつないペースで飲んでいたクズ共だったが……現在、その一室では。
「アウトォォ!!!」
「セーフ!」
「よよいの~~~!!」
”よいっ!!!”
「アカン!!また負けてもうたがなッ!」
「ぎゃははははは!!!もう全裸じゃねぇか!次は何処を脱ぐんだ!?」
「舐めてんちゃうぞ三下ぁ!ワイはなぁ、この時の為に……ピアスと髪留めをしてんじゃあ!!」
「じゃあ全裸になる前にそこを先に取れよ。あと丹花、お前もパンツ一丁じゃねぇか」
「いや下半身露出してるテメェに言われたくねぇんだが!?」
「んなははははははは!!ほな、今度は梅酒一気、いくでぇ~~!!」
「フォーーッ!!」
「色んな意味で、御立派ぁ!」
地獄みたいな光景が出来上がっていた。
このクズ共がやっているのは野球拳。
じゃんけんをして、負けた方が脱ぎ、そして好きな酒を一気飲みする史上最悪に頭が悪いゲームだ。
こういった飲みゲーをかれこれ数時間している。男は集まるとこうなる生き物なのだ。
「んっ、んぅぅ……がぁああぁ!!梅酒きっついのぉ…」
「じゃあ俺も続いてウォッカを頂くぜ」
「やばい、私ちょっとしんどくなってきた」
「実はワイも、あ…アカン……トイレ借りるでホンマにエグイ」
「吐くなら外かトイレかアホの口ん中だぞ」
「じゃあこのボケの中に……」
「したら殺すぞボケェ!さっさとトイレに行け!」
しかし、それでも限界は来る。
ケイスケとレンは流石に厳しいか。レンに関してはトイレに直行だ。
床を見れば、ワインや焼酎、ウォッカにウィスキー類の瓶が散乱。缶酒も多々ある。
この中で比較的余裕を見せるのはシンタロウだろうか……。
「よっこらしょいと……しょうがねぇ、俺が片付けてやるか。感謝しろよ?」
「………………」
「ん?」
「……Zzzzzz………Zzzz…」
「桜庭のヤツ、もう寝てやがるぞ……まぁいいや」
”ガシャガシャ、カランカラン……”
速攻で爆睡したケイスケ。
溜息を付いて、起こすのは無理だと判断したシンタロウはもう自分で片付けると決断。
シンタロウが持ってきた袋に瓶と缶、そして燃えるゴミを分けて袋に入れる。
片付けるその速度は酔っ払いには見えぬほど速く、そして余り音もしないスピードで。
2分が経過した頃には、もう……。
「うっし……まぁこんなモンか」
部屋は大分綺麗になった。
とんでもない量の酒類だが、まぁ己達はいつもこれくらい飲む人種だ。
時刻は既に3時を回っている。
「ここで泊まる算段だったが、なんか風に当たりてぇ気分だしなぁ……あ」
そういえば、と……シンタロウが思い出す。
レンはどうなった?トイレを流す音が聞こえたがそれ以降帰ってきていない。
「あのゴミ人間、まさか床で寝てんのか?」
いっそトイレの水で溺死してればいいと思って、様子を見に行く。
トイレへの道はもう把握している。若干の千鳥足になりつつも、シンタロウがゴミが居るトイレへと向かうと……。
「すぴ~……すやすやぴ~………」
「……マジで床で寝てやがる」
涎を垂らし、大の字で寝ている馬鹿を発見。
やはり、床で寝ていた。
かなり吐いたは良いものの、恐らくそれが原因で力尽き、そのまま倒れる様に眠ってしまったのだろう。
「はぁ~~……しゃあねぇな、っと!」
「んぐぉ」
シンタロウがレンをおんぶし、ケイスケが居る居間へと運ぶ。
「よっこいしょっと……確か毛布は………あった、ここか」
「んぉ……フウカちゅわぁぁん………」
「コイツ、夢の中でユウカさんを視てやがる」
勝手だが、シンタロウは客用の棚を開け、そこから毛布を二枚取り出す。
そのままそれをケイスケとレンに掛ける。
元はと云えば己が誘い、入れて貰った身。これくらいは……まぁ、してやっても良いだろうの精神だ。
「このクズ共が風邪引くとは思えんが、一応な……あ~~~、っと……俺も酔ってんな……まぁいい、帰るか」
「んぅ~~~……フウカちゃぁん…スケベさせてくれぇ~~……ひっく…」
「Zzzzz……うるせぇぞばか……尾刃さま…ふんでくだひゃい……」
「(コイツ等マジでどんな夢みてんだ…?)」
凄まじい寝言だが、取り合えずこれは寝かせてやろう。なんか幸せそうだし。
”ガチャン……”
そうして、シンタロウは毛布を掛けたあと、スマホを持ってそのまま流れる様に外に出た。
▽
「────ふぅ……悪くないな、よく分からん所で風に当たるのも」
暗くてよく分からないが、良いベンチがあったのでそこに座り、そのままウーロン茶を飲む。
一応言っておくが、このウーロン茶は普通のウーロン茶である。
ケイスケの家にあったのを1個持ってきたのだ。酔い覚ましにも丁度良いだろう。
「確か、こんな感じのベンチで俺は……イチカさんに会ったんだよなぁ」
思い返せば、己は中々に運が良いんだと思う。
トリニティの中でも抜群のプロモーションを持ち、自分好みの女と同盟関係に成れた。
正直、アツい。シンタロウはゲヘナでイチカがトリニティなのが少し痛いが、それを加味しても運が良い。
昨日会って、カメラ渡して、クレープ食って、スーパーに寄って色んなモン買って、飯食って、電車まで送って。
そして……。
『────今日は楽しかったっす!!でもシンタロウさんはまだまだ女の子の扱いがダメダメなので、また私と、えっと……デート!い、行くっすよ!』
そう、言ってくれたのだ。
「(益々思うが、マジで良い子だよなイチカさん……何かのバグで俺のこと好きに成ってくんないかな)」
────イチカさんのタイプは、きっと俺みたいなアホよりも、もっと頼れる人が好きなのだろう。
不思議とそう思った。いや、そう思って当然だった。
「イチカさんは我慢する女だが…度が過ぎるからなぁ……俺には大分素で居るが、ありゃ男友達的な感覚なきが澄んだよな~俺」
麦茶をクピクピと飲みながら、そう独り言つ。
無論シンタロウはイチカの事は気になっている。
二面性を持っているものの、糸目で、スタイル抜群で可愛い女だ。
そして世話焼きで口調が”っす”系だ。面白すぎる女なのだ。
シンタロウの好みドストライク。今まで数打ちゃ当たる戦法で気になる女の子にアタックしたが、49回も破壊されている。
節目の50回はイチカで決まりだ。そう言ってきたのはあのカスとゴミ。だがそれは……ほぼ当たっている。
「────俺じゃ無理だな」
もっと良い人が居る。
シンタロウは無理にそう決め込んだ。そうでもしないと、50回目がイチカさんに為りかねないから。
せめて、50回目は成功されたい。それ故に……今は耐える。
「今は修行だ。イチカさんの下で、俺は修行を積むんだッ!」
そう意気込み、シンタロウは立ち上がって意を決する。
いずれ彼女を作り、己は幸せに暮らす!そして……己が死んだ後に、先に死んだ救えない両親共にも、確りと教えるのだ。
────俺は幸せになったぞ、と。
「……ガキ臭ぇ。ポン中に人身売買した下衆以下の奴等に、俺は何を………はぁ、俺もまだ子供だな……ってアレ?」
下らない事を思ってしまい、直ぐに気を取り戻した瞬間だ。
そういえば何か妙に肌寒い。なんだろう?そう思ったのだが……同時に。
「ふわぁぁ~~……やっべ、俺も眠い」
強烈な眠気が襲ってくる。
流石に酒を入れ過ぎた、少し気が入ってしまったのも相俟って非常に眠い。
「あぁ………これだめ、だ……………」
そうして、数秒もしないでシンタロウはベンチに横たわり、夢の世界へ入って行った。
2m近い巨躯で、ベンチから足が悠々とはみ出る。筋肉質な肉体でもあるので、ベンチから落ちないで眠れてるのはほぼ奇跡だろう。まぁ、本人の脅威的な体幹力もあるのだろうが…。
そうして、シンタロウはそのままベンチで眠りについた。
────トリニティ総合学園の校門前で……。
▽
時刻:8時
”────ッ!”
「ん……あぁ…?」
何者かに呼ばれている気がする。
シンタロウはズキズキと痛む頭を何とか抑え、意識を次第に覚醒させる。
「んっ……んぉぉぉ………ッッ」
「わっ!お、起きたぞ!!」
「そ、総員構えろ!」
「委員長とハスミ先輩はまだか!?」
「いま向かってるって言ってる!!!」
「クッ……ん?あ、貴女は!」
「ふぅ……一応、状況を教えてほしいっす」
「先輩!その、朝の見回りをしていたらこの男が、え、えっと……既にこの状態で熟睡しておりまして……」
「すぅ~~~…ふぅぅ………了解っす」
女の甲高い声がキーンと耳鳴りの様に頭に響く。
浅い二日酔いだが、これはしんどい。
「どぉ…っと………あん?」
イライラしながらベンチに座り、周囲を見渡す。
すると、辺りは朝日が眩しく、綺麗な青空が見え映る。
どうやら朝になったようだ。4時間ちょっと寝たか、余り記憶がない。
シンタロウは伸びをし、そのまま息を付いた……瞬間だ。
「────ふんッ!!」
「あだっ!?」
急に頭上から思い拳骨を喰らった。
「いってぇ…テメェいきなり何しやがる!!」
「こういう輩には時折コレが良いんすよね、みんな覚えておくっすよ」
「あぁ!?言い訳ねぇ…だ………うっそ、マジで?」
直ぐに反撃の意志を持とうと、食って掛かろうとした瞬間だ。
シンタロウは拳骨をしたその女性の顔を見て驚愕。
それは、何と……。
「────イチカさんじゃねぇか!なんで此処に居るんだ?まぁいいや!おはよう!」
「………○○ちゃん、手錠」
「あ…は、はいっ!」
そう、イチカだった。
だが今回のイチカは何やら冷徹で、シンタロウの挨拶を返さない。
それに疑問を持ったシンタロウはイチカに近付き確認を取ろうとした、瞬間だ。
「丹花シンタロウさん、で宜しいですか?」
「あ?何言ってんだ?見りゃ分かるだろ俺だよ俺!砂漠の地にて力強く咲く一輪のはn」
「服はどうしたんすか?」
「え?服?いやそれなら普通に………あら?」
絶対零度の声質でセリフを遮られ、少し怖くなると……イチカから思いがけない言葉が飛んできた。
服?急に何を言っているんだ?そう思い、シンタロウは威風堂々とした様で己をアピールする……と、直ぐに気付いた。
「────俺、服着てないじゃん」
そう、今の己はパンツ一丁。
それ以外は何も持ち合わせていないのだ。
「さて、一体どうしてこんな事態になったのか、事細かく聞かせてもらうんで取調室まで来て頂くっすよ」
「え?おいおいちょっと待て!俺が何をしたって言うんだ!」
「は???その恰好で何をほざいてるんすか?まだ寝惚けてんなら覚ましてやってもいいんすよ?」
「別に俺の御立派様を露出した訳じゃねぇ!パンツぐらい許せよ!」
「女所帯のキヴォトスでよくもまぁ吠えたっすね?そして何より、貴方はゲヘナの人間っす。この時期にこういった騒動を起こすのは流石に頂けないんすよ。マジで。あと普通にパンツ一丁は公然わいせつ物陳列罪っす」
「クッ、一理ある!」
「いや一理どころじゃないんだけど……」
シンタロウとイチカの言い合い。それに少しツッコム新入生。
だが、やはり此処はイチカに軍配が上がる。ってかそうじゃなきゃ可笑しい。
「はぁ~、分かったと。イチカさんが言っている事は」
「ふぅ……なら良いんすよ。ソッチも何かそれなりの事情があるのは察しているので」
「あぁ、騒がせてすまんな………ソレで何だがよ」
シンタロウはイチカの言っている事を汲み取り、理解する。
つまり服を着てなきゃダメだと言う事。
確かにパンツ一丁でもダメなものはダメだ。それもトリニティで。それは謂われてみれば確かに理解出来る事だ。
ズバリ!イチカが言っているのは……服を着ろと言う事。
「このままじゃ俺は羞恥の的だ。ハッキリ言って、色々とマズい」
「ッ…まぁ、そうっすね?でも安心してっす。いま何とか替えの服を探して……」
「そう、だからイチカさん」
”ガシッ!”
「へ、あ…ちょっ?」
「悪い、この場で言うのは忍びないんだが」
「は、はぁ!?なっ、え!?なんで……だ、だめっすよ…?」
シンタロウはイチカの肩を掴み、視線を合わせる。
それは、余りにも唐突で。
イチカはシンタロウのパンツ姿でも死ぬ気で平静を装い、仕事を全うしていた。
また馬鹿な事をしたのだろう。そう思い、今回は少し取調べをした後に普通に帰らせるつもりだった。
だが……この男は、余りにも急なのだ。
だから……仕方ないと受け入れる。
「あぁ、分かってる。だがどうか頼む」
「っ……はいっ」
シンタロウは真剣かつ真面目なトーンでこう告げた。
「────着ている服を脱いでくれないか」
瞬間、飛んだのは鋭い右ストレート。
顔面一閃。それから、一人の怪物がたった一人の少女に完膚なきまでにボコボコにされ、収監されたとか。
その全貌を見た複数名の新入生曰く…『変質者が可愛そうになるくらいイチカさんが怖かった』…と語っている。
この日、仲正イチカには決して着ている服を要求してはいけないという、余りにも妙な噂が立った……らしい。
☆次回の一部会話
「おい、人を助けるのに理由なんて要るのか?」
「いやそれソッチ側が言うセリフじゃねぇから」
次回
アホ、トリニティに捕まる。
感想、誤字報告、お気に入り評価、本当にありがとう御座います。