三馬鹿がキヴォトスを巻き込むだけの話。 作:カブトムシの相棒
ゲヘナ組のアレコレは今の関係値だと妙になってしまうので辞めました。
☆パワーバランス
三馬鹿ですが、実力は拮抗しているものの、明確にはこうなっています。
丹花シンタロウ≧桜庭ケイスケ=神崎レン
となっております。
喧嘩、殺し合い、生物としての強さはシンタロウが一番となっています。
では、本編です。
「────フウカちゃん、お粥持ってきたで……食える?」
「けほっ……なに、食べさせてくれるの?」
「あっと、おぉ……もしかして、あーんってヤツけ?」
「食べさせるんだらソレしかないでしょう?んもうっ……げほっけほ………はやくっ」
フウカの部屋、そこに上がったレンは台所を借りて簡易的なお粥を作った。
ただレンジでチンするだけ。料理に関してはからっきし過ぎるレンだが、弱ってるフウカに負担を掛けさせる訳にはいかないので何とかレンジでも出来るお粥を買い、今……食べさせようとしている。
ベットに座り、湿っ気のある視線でジロリとレンを見つめ、早く食べさせてと催促するフウカ。
そんなフウカを見て、何とか平静を保つレン。
「分かったで、ほなどうぞ」
「ありが、っ!あちゅ…!」
「あっ!す、すまん!もっと冷やさなアカンかったか……べろ火傷してへんか?大丈夫よな?」
「んっ……ふぅふぅしてよ、ばか」
「あ、あぁ……ワイの息でしてえぇんならするけども………あ、えぇんのね。ほな失礼しますぅ」
ふぅふぅ、ふぅふぅ、ふ~~……と、今度はちゃんと冷ましてからフウカにあーんさせる。
パクッと小さい口で食べるフウカ。体調は悪い筈なのに、レンには何か……少し、良い意味でも冷たく当たっている。
食べさせること数分……皿は空になった。
「ん…御馳走様でした。食べさせてくれてありがとう…けほっ……助かったわ」
「わ、ワイは何も……するべき事をしたまでやフウカちゃん」
「その割には、けほっ……最初は、ドアノブに掛けて帰ろうとしてたでしょ?バレてないとでも思った?」
「わ、分かっとったんか……」
「当たり前でしょっ……シンタロウが『信頼できる人を向かわせる』って、言っていたんだから……どうせ、あんたを寄越して来るんだろうなって思ったし」
「あのクソ野郎ッ……ごめんなぁフウカちゃん、俺で……」
「ゲホッ!ばっ、んっ……なんでそうなるのっ…ホント、朴念仁」
「え?フウカちゃん、今なんか言うたか?」
「うるさいっ!ばか!」
「は!?な、何やねんもう……」
まるで猫のようなフウカにたじたじなレン。
普段のレンとは打って変わって消極的に見えるだろう……それもそうだ、いつものクズ面子とは違うのだから。
相手は愛清フウカ。幼き頃からの友人で、幼馴染とも云える……深い関係値の間柄で。
そして今じゃ、レンにとっては後ろ暗い相手と鳴り、フウカにとっては……並大抵の言い訳では許さない相手となっている。
薬を飲み、即効性の咳止めも服用したフウカは布団にくるまる。
「………」
「…………なぁ、フウカちゃん」
「…なに?」
数秒の間、沈黙が流れる部屋で……レンが告ぐ。
「────黙って消えてもうて、すんまへん」
「………理由は、言えるの?」
「今は、まだ言えへん。でもいつか必ず言うからさ、もうちょっと待ってくれへんか?」
それは、謝罪と懇願だった。
神崎レン、彼もまた後ろ暗いモンを持つ男だ。
ソレを薄々理解していたフウカは、彼の表情を見て……
「分かった。待ってる」
「ッ!フウカちゃ…」
「但し!条件があるわ!」
「!?」
ビシッ!と、フウカがレンに向け指を差してそう告ぐ。
体調が悪そうな顔で、でも威勢は良く、キリっとした目付きで彼を見る。
呆気に取られるも、直ぐに姿勢を正してフウカを見る。彼女が言う事に、確りと耳を傾ける。
「もう────私の目も前から、いきなり居なくならないでっ」
「ッ……」
「本当に、ほんとに……寂しかったんだからね?ばか…」
「フウカちゃん……」
気付けば、フウカはレンの腕を掴んでいた。
理由も分からず失踪して、気付いた時にはミレニアムに進学していて、2人のクズ(シンタロウとケイスケ)と云う同じ男と仲良く喧嘩して。
自分がどれだけ心配したと思っているんだ。
自分がどれだけ探したと思っているんだ。
自分が……友人や家族に、彼はもう死んだかもしれないと告げられた時の気持ちを、考えた事はあるのか。
……自分はなんて、重いのだろう。
ゲヘナと百鬼夜行の遠い幼馴染の関係値で、只の友達で、恋人でも何でもない関係で。
フウカは自分が抱える嫌な重さに、また辟易してしまう。
「週に一回はゲヘナ学園の食堂に来て、私とご飯を食べよ?こうして会えて、話せて、また昔みたいに話、たいから…さ」
「……分かった、約束や。時が来たらフウカちゃんに必ず話すでな」
「ほんと…?」
「あぁホントや。だから今はゆっくり休んで良く寝ぇ……フウカちゃん今は病人なんやから。な?」
「んっ……うん………」
腕を掴んだまま、フウカはベットに寝転がる。
布団を掛けて、冷えない様にする。
そのまま、静かな時間が流れる。
1分後……。
「すぅ……すぅ………」
「寝たか……無理させてもうたな」
フウカが眼を閉じて1分しか経ってないが、もう夢の世界へ入った。
きっと疲労もあったのだろう。風邪も相俟って、身体は当に限界を迎えていたのだ。
「身長、伸びたなぁ……ワイからしたらまだ小っこいロリやけど」
「んぅ……変、態……ばかぁ……」
「え、起きとる?」
一瞬起きているかと思ったが、ヘイローの気配はない。
普通に寝言だろう。己が近くに居て、恐らく悪夢を見ている。
だが、こうして見て……思う。
「……ホンマえぇ女に成ったなぁ」
身長は160いかないが、笑顔や気丈に振舞い芯がある生き方をしている。
成長した己の【初恋】の姿に、つい心を踊らされる。
彼女の所為でロリコンになってしまった。昔、色々あってフウカに変な扉を開いて数年……拗らせて拗らせて、結局まだ童貞で。
「(ゲーム開発部のガキ共やC&Cのロリ先輩とも交流を重ね、楽しく過ごしても……ワイの心には……フウカちゃん、君が居たんや)」
何をしても、何処に居ようと、必ず心にはフウカが居た。
拗れてしまったこの関係。でもお互いにもう2年。少し、進んだ。そんな気がする。
寝息を立てて眠るフウカを見て、ふっと微笑む。
「……クソ野郎には、感謝せなアカンかもなぁ………オススメのAVでも送ったるか」
クソ野郎(丹花シンタロウ)にちょっと感謝して、この前抜いた最強のAVを送る決断をするレン。
そして、これ以上の長居は良くないと思い、そろそろ帰る決断もする。
レンが優しく、己の右腕を掴むフウカの手を解く。
「んぅ………レン、く……」
「ほなまた来るで。次は……食堂でな」
そうして、約束をして……レンはフウカの家を出た。
▽
1週間後………ゲヘナ学園、食堂前にて。
「────テメェなに上手くいってんだゴラァァァ!!!」
「死に晒せゴミ野郎ッ!!!」
「何やテメェ等!あぁッッ!?」
その日、クズ3匹はゲヘナ学園の食堂前に居た。
何故この3人が居るのか?それは普通に偶然である。
シンタロウはフウカの様子を見に。
ケイスケは久しぶりにフウカの顔とご飯を食べにお忍びで。
そして、レンは……。
偶然で気味悪がる3名だが、鉢合わせて、妙にウキウキなレンを見た2人は聞いた。
”フウカとはどうなったのか”
シンタロウは、入れて貰えるが直ぐに帰宅。
ケイスケは、門前払い。
そう賭けていた。普通にこの二択しかないと思っていた。
だが……答えは違った。
入れて貰え、お粥を食べさせ、距離が縮まって、ベットに寝かせ、1週間に一度会ってご飯を食べると約束した事。
それが、今日である事。
「テメエこの裏切り者がァ!!下衆なロリコンのテメェが何でフウカさんと仲良くなってんだよッ!!普通は気持ち悪がられて終いだろうがぁ!!」
「賭けが成立してないんだよクソ野郎!どういう了見だ貴様ァ!!」
「知るかこんボケ共がッ!!ワイがテメェ等クズ共と違って女と仲良ぉ出来て嫉妬してんのは分かるが、逆恨みは止せやクソが!!」
「あぁぁん!?」
「お前いま何て言った!?」
「嫉妬乙って言ったんやで~!!」
「ふざけんなクソが!!!ア〇ルに手ぇ突っ込んで!奥歯ガタガタさせたあと左目ブイブイ言わせてやろうか!?アァ!??」
「愛清さまには今日の食卓に貴様の生首を添えた最高級のディナーにするよう伝えてやるッ!!出来立てほやほやの生首はさぞ美味いだろうなっ!!」
余りにも汚すぎる舌戦。何時もの光景だが、その迫力は空間が歪む程だ。
いつもは騒がしい食堂でも、この怪物3人が居て且つ、大殺気を放ちながら大喧嘩をしているのでその場にいる全員がビクビクしている。
それもそうだろう。全員が身長190越えで、まだまだ伸びそうな雰囲気もある。
加え筋肉質だ。シンタロウなんかボディビルダーと云われても違和感がないほどデカい。
「クソ共がッ!殺し合いをしようってんなら殺ったるわァ!!光物出さんかいッ!」
「首を圧し折ってほしいらしいなッ!言われなくても出してやるッ!ゴミとカスが!テメェ等この世に別れ告げたか!?」
「アホな割に随分と喋るなクズ野郎ッ!!ロリコンの生首に加え、アホゴリラの生き血を牛乳の代わりにワイングラスで豪快に飲んでやる!あの世で私の食評価を聞いているんだな!!」
瞬間、三者が銃ではなく刃物を取り出す。
シンタロウは堅物なロングナイフ。
ケイスケは古風な西洋ナイフ。
レンは百鬼夜行の歴史あるドス。
そのそれぞれが、数多の血を吸ってきた傑物品。それを抜いた即ち……この殺気は本物だ。
「ちょちょちょ、これマジでやばいんじゃ!?」
「どど、どうしようッ……刃物とか、え、本当にマズいよね…!?」
「だ、誰か【風紀委員会】を呼んだ方が……ッ!」
ギャラリーもいよいよ危険な領域に入ったと察する。
大男三人衆の超強烈な言い合いだ。迫力は凄まじく、誰も止めにいけない。
このまま、この場で血が流れる────皆がそう思った、瞬間だ。
「────こらぁ!」
「あ!?って、お前ッ!」
「なに…んなッ」
「な、なんやぁ!?」
いがみ合う三馬鹿の真正面に立ち、一喝の意を含めた声を上げる者が居た。
その者は…余りに小さく、余りに可憐で。
ギャラリーはその者を見て顔面を蒼白させ、度肝を冷えさせる。衝撃過ぎて声が出ないレベルだ。
そして、クズ共もそれは然り。だがシンタロウは違った……その者を見て、こう告げる。
「おい『イブキ』なんだよ!今からこの馬鹿共を消し炭にすっから、離れろ!」
「ダメだよお兄ちゃん!また喧嘩して、みんなに迷惑掛けちゃだめ!」
「ぐっ……あー、イブキ?これは喧嘩じゃなくてだな?ころ……んぅ………あ、遊びだ遊び!同じ男同士のな!だからイブキはあっちで遊んできなs」
「遊びでも、誰かが嫌な思いしたらだめだよっ!お兄ちゃん!めっ!」
「うぐっ……」
プリプリと、シンタロウを見上げながら怒るその少女の名は『丹花イブキ』だ。
高等部1年だが年齢は11歳。まだまだ幼いが高校生以上の学力や高級なIQを要しており、飛び級で1年生になっている才女だ。
所属は【万魔殿】で、議長である『羽沼マコト』や議員である他の面々達から溺愛されている。良い子で可愛く、ゲヘナで一番の優しい子であるからだろう。
そんな子であるが、苗字を見ると……衝撃な事実がある。
「お…おい」
「あん?なんだよ」
「その子、今、お……お前のこと”お兄ちゃん”って、言わなかったか?」
「あ?あぁ、そうだが?」
「────は?????」
「そりゃそうだろ、だってイブキは────俺の妹だぞ?」
丹花、お兄ちゃん、イブキと呼び捨て。
どんな幼い子でも必ず”さん付け”する(ケイスケとレンは例外)で有名なシンタロウが、この女の子……イブキにのみ呼び捨てで、しかも非常に兄妹な感じを出している。
それはもう、そういう事なのだ。
「────丹花イブキ、11歳だが飛び級で高等部1年のすんげぇ子だよ。おいイブキ、一応このボケカス共に挨拶しとけ」
「もうっ!そんな悪口だめだってばお兄ちゃん!お友達なのにっ……あ!えっと、こんんちは!イブキね、お兄ちゃんの妹のイブキっていうの!」
「んなッ……あ…あぁ!これは失礼しました。丹花s……ンッ!!ごぉぉ………」
「言えよ、丹花さまってよぉ。なぁ?」
「ギッ!!……死んでも言うかよッ………も、申し訳御座いません。貴女さまの事を、い…イブキさまとお呼びしても宜しいでしょうか?」
「え?うん!でも呼び捨てでもいいよ?えっと……」
「ありがとう御座います、ですが私の秩序ですのでお気に為さらず……以後お見知りおきをイブキさま、私は……桜庭ケイスケと申します」
「ケイスケさんって言うんだ!えへへ!よろしくね!ケイスケ……先輩?」
”キュんっ!”
瞬間、ケイスケの心にイブキに対する庇護欲が生まれる。
なんだ、この天使は。
なんだ、この愛おしすぎる女の子は。
様々な感情が芽生え、キュンっと来てしまった。
「ッ!え、えぇ。宜しくお願いします」
「お前いま神崎みたいな雰囲気だったぞ」
「このクs……神崎と一緒にするな」
「お兄ちゃんからお話はいっぱい聞いてたんだ~!ケイスケ先輩と、えっと、レン先輩……かな?」
「────────」
「あん?コイツ動かねぇぞ」
「恐らく、丹花にこんな可愛い妹さまが居た事に呼吸を忘れるほどのショックを受けているんだろう……」
「ヤバすぎんだろ」
そう、レンは現在……気絶している。
シンタロウとかいうクズに、こんな可愛い妹がいる事実。それに対するショック死だろう。死んではいないが。
「大丈夫?お目目が真っ白だけど……」
イブキがレンを見上げ、心配そうな表情になる。
すると、なんとイブキはレンのお腹をツンツンする。
白目を剥いて立ったまま気絶していたレンは……その瞬間に。
「ッ!!!かひゅ!!かひゅっ!はっはっ!はぁ……」
「わっ!びっくりしたぁ……!」
「チッ!生き返りやがったか……」
「あと15分放置してたら殺せてたんだが、仕方ない」
息を吹き返した。
イブキが触った事により、レンは蘇生。
よく分からないけど取り合えず息を吹き返して良かったって思うイブキと、死んどけやと思っていたシンタロウとケイスケと云う人間性の格差が凄まじく出る一幕だった。
「は、はぁ………吃驚した、アホに天使の妹がいるって悪夢みてしもうたわ。あー夢で良かったd」
「大悲報で申し訳ないが事実だ。イブキさま、この男が神崎レンで御座います」
「あ!やっぱそうだったんだ!えへへ~!こんにちは!初めましてレン先輩!お兄ちゃんの妹の、イブキっていいます!よろしくね!」
「悪夢だぁぁぁぁぁ!!!!」
「テメェ等マジでいい加減にしろよ…ッ」
そうこうしている内に、食堂の扉が開かれる。
「ちょっとあんた達!入り口前でなに騒がしく……って、イブキちゃん?」
「あっ!こんんちはフウカ先輩!」
その主はフウカだった。
レンがドキッとする。髪巾着とエプロンを付け、お玉を持つその姿は非常に様になっており、綺麗だった。
フウカは周辺を見渡す。
「はぁ……取り合えず、お昼食べてって」
そう言って、フウカは4人を食堂に入れた。
▽
「────食膳のぉぉぉぉ!!!合ッッ掌ぉぉぉぉぉぉ!!!はいイブキ!」
「いっただきまぁす!!」
「イブキちゃんの教育に良くない事させてんちゃうぞボケェ!!」
「そうだぞこの下衆野郎がッ!イブキさまはお前と違って可憐なんだ、一緒にすんじゃねぇ!」
「あぁ!?人様の教育に口出せるほどの器かテメェ等はァ!おいイブキ!何か言ってやれ!」
「ん?えへへ~!フウカ先輩が作ったオムライス、すっごく美味しいよ!皆も冷めないうちに食べて食べて~!」
「は~~~い♡♡」
「イブキさま、なんとお優しい方……頂きましょう」
「なんじゃテメェ等……」
真ん中のテーブルを使い、囲って昼飯を食す4名。
うるさいシンタロウに合わせ合掌をするイブキ。
非常に駄目な兄を持っても、イブキにとっては唯一の兄。真似もする。
そして昼食のメニューだが、何とまさかの全員オムライス。
一人くらい別メニューを頼めばいいモノをと、フウカは少し思ったが……まぁいいかと軽く流した。
「あぁそうや、フウカちゃん。ちゃんと約束は守ったで」
「当たり前でしょ?破ったらミレニアムに突撃するんだから」
「原付で突っ込んでも意味ないと思うぞフウカさん」
「ミレニアムの最新技術を侮り過ぎでは?」
「揶揄よ揶揄ッ!嫌なマジレスやめてくんない!?」
「あはは!それにしても今日は勢揃いで、しかもイブキちゃんも来て下さったんですね!」
「うん!今日は皆忙しいから、イブキ1人お昼ご飯食べり/る予定だったんだけどね?食堂に来たら、お兄ちゃんとお友達さんに会えたの!」
途中から同じ給食部の『牛牧ジュリ』も混じり、談笑を重ねる。
シンタロウの隣に座り、美味しそうにオムライスを頬張るイブキに、ほぼ全員がメロメロだ。
レンに関しては目がハートに成り掛けている。性犯罪者予備軍の異名の通り危険すぎる男だ。
フウカはレンを見て、どう調理(躾け)てやろうかと悩ませるも……今はそう考えず、告ぐ。
「はぁ……汚い罵声に低い怒声に可愛い癒声が混ざり始めた時は、本当に肝が冷えたんだから」
「お前等フウカさんに汚い声って言われてるぞ」
「自己紹介か?」
「寝言は死んで冥途に行ってから言えやボケカスが」
「あぁ!?」
「食事中は喧嘩しないの!後あんたら3人共の事だから!ばかっ!」
放って置けば直ぐに喧嘩するから、未だに目が離せないフウカ。
レンもこの前よりもイキイキしている。この馬鹿二人といると途端にIQが下がるのか、それともこれが男子生徒の生態なのか。
いずれにせよ、ツッコミが冴えてしまう面々だ。
とはいえ、彼等の出現により不良集団が沈黙を守っているこの状況に、フウカは心の何処かで安堵していた。
給食部は毎日がフィーバータイムだ。
何万人分にゲヘナ生の料理に、不良の暴動、そして謎の怪物の出現。
此処ではほぼ毎日、それが起きている。だが……この怪物達が絶大な重圧を纏い、周囲に振り撒いている故か、今日は本当に大人しい。
「ふぅ、ご馳走様でした。美味しかったぜフウカさん!」
「ご馳走様でした。やはり愛清さまの御料理は至高の領域、トリニティでは味わえない一品です」
「おいしかった~!ご馳走様でしたフウカ先輩!」
「お粗末様でした!」
「……フウカちゃん、美味しかったで。また腕を上げたんやな」
「ッ!ま、まぁ!頑張ったからね!ふふっ……」
「………また、食べに来てもえぇか?」
「……そういう約束でしょ?一週間とかじゃなくていいから、時間ある時にでも来てよ」
「フウカちゃん……」
「(な、なに良い雰囲気に成ってんだこの二人はぁ!!)」
「(ゆっ!許せん!!この
殺意の炎を燃やすクズ二人と、お腹いっぱいで幸せなイブキ、そして甘酸っぱい雰囲気で離す良妻賢母なフウカと史上最強のロリコン。
妙な場の雰囲気だ。殺意、幸福、酸いも甘い関係、そして純度100%の殺意を胸に宿すクズ共。
行き違いや変な意地もあったが……何はともあれ、神崎レンと愛清フウカは少し、ほんの、ほんの少しだけ。
また、こうして距離を縮める事が出来た。
二人は、そう思えた。
次回
仲正イチカの苦悩
イチカはシンタロウに対しかなり複雑で重い感情を抱いています。
誤字報告、感想、評価お気に入りここすき、お待ちしております。