三馬鹿がキヴォトスを巻き込むだけの話。   作:カブトムシの相棒

7 / 8
☆重要


桜庭ケイスケの”ヒロイン”を変更しようと思います。


一応、構想では『錠前サオリ』でしたが、ストーリーを進めていく内にちょっと無理矢理感が生まれてしまうんです。


なので、変更として錠前サオリから『白洲アズサ』にしようと思います。




誠に身勝手で大変申し訳御座いません。宜しくお願い致します。


では、本編です。


仲正イチカの色恋模様!

 

────私には、最近悩みがある。

 

それは大きくて、とても面倒で、本当に心の底からどうしてやろうかと日々思っている人間に。

 

私は、悩まされている。

 

 

 

”「────丹花シンタロウって方と熱愛って本当ですかっっ!?」”

 

「違うっす違うっす!!マジで違うっす!!!」

 

 

 

彼と会って、トリニティでの騒動以降……こうして彼との関係を問われる位には、悩んでるっす!!

 

 

 

「で、でも!!先週の丹花シンタロウとの会話の言動やイチカ先輩の表情とか色々、すっごくアレでしたよっ!?」

「何すかアレって!?ちょ、みんなちょっと冷静になるっす!良いっすか?相手はあのシンタロウさんっすよ?あ!のっ!!シンタロウさんっす!!私があ、あぁ、あの人と熱愛なんて有り得ないっすよ!」

「動揺してる動揺してる!お顔真っ赤ですよイチカ先輩!?」

「ゲヘナとトリニティでの禁断の恋っ!きゃ~~~!!!」

「いやキャ~!じゃなくてですね!?ちょっ!あの~~!!」

 

 

 

当人である私を置き去りにして話が進んでるっす。

や、やばいっ!このままだと私とシンタロウさんがマジで恋仲だと勘違いされたまま噂されてしまうっす!

 

そうなったら……

 

 

 

『────え?俺とイチカさんが恋人の関係?あ~遂にバレたか~!イチカさんってそういうの隠すの下手くそ耳くそだからなぁ。因みに、アッチから惚れたんだぜ?』(ドヤ顔)

 

 

 

なんてことにッ……ッ!!!ッ、ッッ!!

 

マズイ、余りにもマズすぎるっす!これ以上ない屈辱!末代までの恥ッ!

ここは私の権威で直ぐにでもこの件は闇へと葬り去らなければ……ん?

 

 

 

「皆さん、イチカが困っていますよ。それまでにしなさい」

「あ、ハスミ先輩…!」

 

 

 

現れたのはハスミ先輩でした。

先輩は来たと同時、私を救う一言を言って周囲を沈着させました。有難すぎるっす!!

 

 

 

「すみませんイチカ先輩……私達、ちょっと調子に乗っちゃって」

「あ、いえいえ!あ、あっはは!まぁ誤解なんでそれだけ理解して頂ければっす」

「さて皆さん、そろそろ射撃演習の時間です。送れないよう移動をお願いしますね」

”「はいっ!」”

 

 

 

すると、委員の子達は勢いよく訓練場へと走って行った。

時間厳守、しかも今日は『ツルギ』先輩が直々に演習を行うので、皆さんのやる気も凄いっす。

 

私も向かおうとした瞬間、ハスミ先輩が呼び止めました。

 

 

 

「イチカ、少し宜しいですか?」

「え?あ、はいっす。なんですか?」

「その、お聞きして良いのか………先ほどの話、丹花シンタロウさんとは本当に恋仲なのですか?」

「ぶふっ!!!ち…違うっすから!本当に!!全て誤解っす!私と彼には何にもないっす!」

「そう、ですか?いえそれなら良いのです。彼は超級の危険人物の中でも一番の怪物ですから。ゲヘナ生らしく問題行動ばかり起こし、先週ではトリニティ校門前のベンチで…下着姿で熟睡していた暴れっぷりを見せた方ですので少し心配で……優秀で皆さんの模範であるイチカがあんな男とそういう関係だって噂に成れば事ですから。ですが、何事もないようでしたらそれで良いのです」

「………あはは!そうっすね!ホント、いい迷惑っすよ」

 

 

 

ハスミ先輩が言っている事。

 

正直……分かる。

 

私は自分の努力を否定した事は無い。

この外面は、この人格は私が勉強や努力を重ねて積み上げた賜物。

 

彼と会ってから凄く大変です。もう、本当に迷惑っす!

 

そう思ってるので。だからこの件は直ぐに………直ぐ、に……。

 

 

 

『────俺には素で居ろ』

『────俺の前では、曝け出して良い』

 

 

 

………。

 

 

 

「?……イチカ?」

「……いえ、なんでもないっす!」

 

 

 

やっぱ、んっ……あ~~~……我ながら面倒な女っす。

 

どうして私は、あぁ、もうっ……あんなアホな子に。

あんな、デリカシーも無くて、うるさくて、筋肉バカでゴリラで、いつもの二人と直ぐ喧嘩して、女の子に49回も振られる何て意味不明な記録を持ってるおばかさんで、鈍感で……朴念仁でっ!

 

頭を撫でるのが上手くて、欲しい言葉をくれて、ずるくって………変な人で。

 

 

 

『────イチカさんが【彼女】に成ったら、尻に敷かれそうだな~って』

 

 

 

本当に……変な人。

 

同盟だからって、グイグイ来すぎっす。

ほんと私で良かったっすよ。他の人だと直ぐに……あぁ、普通に怖がられてるっすもんね。じゃなきゃ49回も振られないっす。

 

まぁ私と会えた事が幸運っすよ!シンタロウさんは私に感謝するっす!ひひひっ!

 

 

 

「ひ、ひひっ……!」

「い…イチカ?どうして笑っているのです?」

「ひひっ……え?あ……あーいや!!すみません、その、ちょっと思い出し笑いしちゃって…あ、あはは!」

「そ、そうですか?それなら良いのですが……」

 

 

 

だめだ。

彼の事に成ると、どうしても気が緩んで自制が効かなくなる時がある。

 

私はトリニティ生で、正義実現委員会の中核っす!気を緩めちゃだめっす!

 

……でも。

 

 

 

「(シンタロウさん……元気っすかね)」

 

 

 

彼の事を少し、ほんの少し……思う事は。

 

どうか、許してほしいっす。

 

私の内面を肯定してくれた、初めての人だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────つ……疲れたっす」

 

 

 

あの後演習をして、後輩の子達に射撃や体術、生活でのお悩みの相談を受けていたらこんな夜更けに成ってしまったっす。

 

時刻は……うわ、もう8時半じゃないすか。明日なにもない日で良かったっすよホント。

 

帰ったら夕飯作らなきゃ。今日は何をハンバーグでも………………んえ?

 

 

 

「────あ、あのっ!今日は……あ、ありがとうございますっ…来て頂いて」

「ふっ……いいさ。シャーレからあんなメールを頂いたんだ。是非とも君の力になりたいから、んなっ!」

 

 

 

女の子の声と、聞いた事のある男の人の声。

ふと見えた右側の公園。その端の方で話し声が聞こえた。

 

木陰に隠れ、すっと覗く。

 

その正体は……。

 

 

 

「(え………し…シンタロウさん?)」

 

 

 

そう、やはりシンタロウさんでした。

彼の正面に立つのは私と同じトリニティ生。

 

なんで、ゲヘナ生のシンタロウさんとトリニティの生徒さんが……居て…?

 

それに、あの雰囲気……まさか、告白?

 

え、うそ、シンタロウさんに!?トリニティ生が!?あのシンタロウさんに!?

 

 

 

「その……さ、早速お聞きしたい事が、あって……うぁぁ~!恥ずかしい…っ!」

「大丈夫だ、俺は何処へも行かない。ゆっくりで大丈夫だから離してごらん?」

 

 

 

うわ、何すかあの話し方。キモいっすよ。

 

意識してんのバレバレじゃないっすか……おーい!そこの生徒さーん!考え直した方が良いっすよ!マジで!

 

 

 

「でも、本当にありがとう御座いますっ……来て頂いて」

「〈丹花シンタロウさんにお聞きしたい事が御座います。宜しければ、シャーレとして依頼をお願い出来ますでしょうか。お返事、お待ちしております〉……なんて手紙を頂いたら風呂入ってでも来るよ☆ まぁ先生から頂いた話ではあるが」

「うふふっ……でも良かったです。トリニティがお嫌いだったらどうしようって思っておりまして」

「俺はそういうのよく分からんのでね。ゲヘナもトリニティも皆仲良くしてほしいと希う平和主義ですから」

「まぁ!素敵ですわっ!」

「いんにゃぁ~~~それ程でも~~!!」

 

 

 

”モヤっ……”

 

 

 

「(っっ……ふぅ~~~~ん………)」

 

 

 

なんか、楽しそうっすね。

いや、別に良いんすよ。だってシンタロウさん彼女欲しがってましたもん。

元々私と彼はそういう同盟っすから。寧ろ喜ばなきゃっすよ。

 

良かったっすね?貴方の事を好きに成ってくれる奇跡的な淑女が居て。

 

 

 

”モヤモヤモヤモヤモヤ……っっっ”

 

 

 

「(っ……っっ!……なんで、苦しい…んすかっ……?)」

 

 

 

こんな捻くれた言い方で良いのか?そんな訳ないっすよ。

いつもみたいに、いつもみたいにすればいいんすよ。

 

 

 

「そ、そのっ………お聞きしても、いいですか?」

「ッ!えぇ、勿論。この全女性の味方、丹花シンタロウに何でもお聞き下さいませモブ絵さん」

 

 

 

あ、くる。

 

あの人モブ絵さんって言うんすね。

 

いや、今はそんな事どうでも……よくは、ないっすよね。だって付き合うんすもんね。名前、知った方がいいっすよ…ね。

 

 

 

”モヤモヤモヤモヤモヤモヤモヤモヤっっっ!!”

 

 

 

「あ…」

 

 

 

苦しい。

動悸が早くなる。

 

分からない。なんなんすか?コレぇ…っ。

 

なんで、私……やめてって、思って…?

 

 

 

「────あのっ!!」

 

 

 

あ、だめだ。

 

まって…まっ…て。

 

 

それが云われる。

私は、動けない。

 

 

シンタロウさん。お願い、お願いっすよぉ……。

 

 

 

 

 

 

 

「────ケイスケさまって彼女とか居たりしますか!?」

「………ふぇ???」

 

 

 

………。

 

 

…ん?

 

 

 

「桜庭ケイスケさまっ!私、あの御方が大好きでぇ!んもうっ、本当にカッコ良くって!シンタロウさんってケイスケさまと御友人ですよね!?って事は知ってますよね!?彼いまフリーなのかとか、どんな女性がタイプとかっ!きゃ~~~!!!」

「あっ………すぅぅぅ……………おうっ!知ってるぞ!」

「本当ですか!?ち…因みに、彼女さんは…?」

「あのクズy……桜庭はッ!今は、あーっと、ドフリーだな。彼女欲しいな~とか呟いてたし」

「いよしっっ!!」

 

 

 

………告白じゃ、なかったみたいっす。

 

彼女がシンタロウさんに言ったのは、まさかの〈ケイスケさんの恋愛事情〉でした。

 

あ、そうなんすね。あぁ~……ま、まぁ何かそんな感じしたっすけども。

 

 

 

「どんな女性がタイプなんですか!?」

「むn……げ、元気いっぱいで、ケt………髪が長い子が好きと云ってた気がする…………だ、だから、君はワンチャンあるぞ」

「えぇ~~!?うっそやだー!きゃぁぁぁ!!な、なんて告白すればいいですかね!?」

「あ、アイツはシンプルが好きだからぁッッ……正直な告白で良いと思うぞ?」

「っ!分かりましたっ!あ~~ほんとにありがとう御座います!相談できてよかったです!」

「い、いや、うん………なんとか、うん…良かったわ………もうない?気を付けてね」

「はいっ!本当にありがとう御座いました!私はコレで失礼します!シンタロウさんも帰り道にはお気をつけて!では!」

 

 

 

”タッタッタッタッ………”

 

 

 

そうして、モブ絵さんって方は走って帰っていきました。

シンタロウさんはその背中を見届け、姿が見えなくなるまで黙って見ていました。

 

 

 

「(………ぐ、グロイっすねぇ……)」

 

 

 

シンタロウさんの背中から溢れ出る半端ない哀愁。

なんか既視感あるこの雰囲気。

 

私は、もう何となく察したっす。

 

 

 

「────ぐっ!えぐぅ!えぐっ……えぐぅぅぅ!!」

 

 

 

うん、泣いたっすね。

地面に手と膝を着き、四つん這いの姿勢で滅茶苦茶に泣いてるっす。

 

……いやコレに関しては泣いて良いっすよ。正直マジで可哀想っすもん。

 

 

 

”ほっ……”

 

 

 

「……?」

 

 

 

あれ?

私、今……ホッとした…すか?

なんで………いや、私、ほんとに?

 

もしかして私……彼に、シンタロウさんに恋人が出来なくて。

 

安堵した……?

 

 

 

「うっ!うぅぅぅ!!えぐっえぐっ!!えぐぅぅぅぅ!!!」

 

 

 

ッ!

いや、それは…また今度考えれば良いっす!

 

今は、先ず……

 

 

 

「……シンタロウさん」

「っっ!!い、イチカしゃん…?」

 

 

 

この惨めすぎる男の下に、居てあげたい。

 

 

 

「ちょっと、あそこのベンチまで行きましょっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────そらねぇーよぉぉ~~!!あんな手紙を寄越しておいて!あの雰囲気で!聞くのはあのクズ野郎の近況とタイプって……最初っからそれを手紙に書けよぉぉぉ!!!あぁぁぁ~~~っっ!!えぐ!えぐぅぅ!」

「いやー、ホントにっすよね~……私も一部始終って言うかほぼ全部って言いますか見てたっすけど、アレはちょっと酷いっすよねぇ」

 

 

 

私はシンタロウさんをベンチに座らせ、御話を聞いてるっす。

無論、彼は泣きながら今回の件の怨嗟をズルズルと吐き出すっす。

 

正直、今回に至ってはマジで可哀想っす……うん。態々トリニティに呼んどいて、その内容が別の男の人の恋模様だったんすから。発狂したくなる気持ちは私でも分かるっす。

 

 

 

「いや別に良いんだよ!?アイツのこと好きでも!!あのカスムシ顔だけは良いし!でもそれを何で俺に聞くんだよッ!神崎で良いだろ!!なんでよりにもよってゲヘナ生である俺に聞くんだよッ!!ふざけんなよぉぉぉぉ!!!」

「ホントっすね~……ゲヘナに差別や嫌悪感がないタイプのトリニティ生だったのがまた質悪かったっすねぇ、本来なら良い事何すけど………」

「えぐっ~~~~!!くそぉ……遂に俺にも女の子から告白される日が来たと思ったのに…っ!よりにもよってあのクズ野郎にいくのかよっ!!!くっそ………主食が虫(大嘘)っての吹きこんどきゃ良かった…ッ」

「それはやめてあげてっす……っ!」

 

 

 

ドンドン恨み節になってきちゃったっすね…。

まぁそれも仕方ないっすよ。期待して、過ぎればマジの相談事だったんすから。

 

 

 

「でも、ケイスケさんの本性とか色々と告げなかったの、あの子を傷つけさせない為に誤魔化したのは結構いいなって思ったっすよ?私は」

「うっ!!うぅぅ…………そう?」

「そうっす!何だかんだシンタロウさんの優しい瞬間が垣間見えて素敵でしたよ!」

「うぅぅぅ!!!イチカさぁぁぁぁん!!」

 

 

 

”ガバッ!!”

 

 

 

ッッ!?!??!??!?

 

 

 

「は、はぁ!?ちょ、なにして!?」

「俺っ!イチカさんとダチで良かったぁぁ~~!!!頼むから俺の傷付いた心を癒してぐれぇ~!!!」

「ちょ、もうっ!だからってお腹に抱き着かないでっす…っ………あーもう、本当に…しょうがない人っすねぇ」

 

 

 

シンタロウさんが私のお腹に抱き着いてきたっす……普通に痛いし恥ずいんでやめてほしいんすけど…っ。

 

でも、まぁ……今日は特別って事で。私はシンタロウさんの背中や頭を撫でる。

 

筋肉がムキムキで、強面の彼ですが……やっぱ年相応の青年で、人一倍感情豊かな方なんだなーって思うっす。

 

人は、意外と見かけに寄らないもんっすね……。

 

 

 

「(こう見ると、なんだか私達………)」

 

 

 

一つのベンチに男女二人が並んで。

いや、それ以上に近く。男側が甘えて来て。

 

抱き着かれて。それを甘んじて受け入れて。

 

まるで、私達………恋…人………っっ!!

 

 

 

「~~~~~っっっ!!!は、はいっ!終わり!おわりっす!」

「うびぃぃぃ~!!ま、まだ数十秒しか経ってないじょ!?」

「それでもっす!んもうっ!第一としてっ!女の子に簡単に抱き着いてこないでっす!わ、私だから良かったっすけど、こんなこと私以外でやったら…っ」

「む?イチカさんにしかしないぞ?当たり前じゃん」

「んなっ!??……~~~~っっ!!おばかっ!」

「ほげーーー!!?」

 

 

 

ペチンっ!ぺチペチペチ!…と、彼の頭を何度も叩く。

このアホなシンタロウさんは時折とんでもない言動をする。

 

本人は根っからのアホなので、質悪い事に自覚がないんすよね……あ~もう!ホントずるいっす!

 

 

 

「はぁ、はぁ………ってか、ちょっと聞きたかったんすけど」

「ってて……んお?なんだ?」

 

 

 

少し落ち着いて、私はとある事を聞くっす。

 

これは、その、やっぱ…ちょっと気になっていたので。

 

 

 

「その……あの女の子がもし、シンタロウさんに告白をしたら」

「おん」

「シンタロウさんは────受けたんすか?その、告白を」

 

 

 

別に、これは嫉妬でも何でもないっす。

ただ確認したいだけ。どうせ分かり切ってる答えでも、一応っす。

 

………ほんとっすから。

 

嫉妬じゃないっすからね!!

 

 

って……私は誰に言ってんだか。

はぁ……どうせ、彼は意気揚々と答えるんすよ。そらそうだべ~!的な感じで…。

 

 

 

「いや受けねーな」

「そうっすよね、貴方ならそう言うと…………へ?」

 

 

 

え。

今、彼は何と…?

 

 

 

「う……受けない?って言いました?今……」

「え?おう、受けんぞ?まぁ仮に告られたらメチャクチャ嬉しいし最高だが、クッソ喜んだ末に断る予定ではあったな」

「え……えぇ!?」

 

 

 

驚愕を禁じ得ないっす。

な、え!?あんなに彼女を欲しがってたのに!?

 

な……なんで?

 

 

 

「なんで、っすか…?」

「なんでって……まぁ、そりゃー、な」

「いやそりゃーな…じゃ分かんないっすよ!だってシンタロウさんあんなに彼女さん欲しがってたのに!今回は違かったっすけど、告白されたら普通は受けるモノでは?」

「イチカさんが居るのにか?」

 

 

 

え?

 

 

 

「────イチカさんが居るのに、他の女に尻尾振れってのか?」

「あ、え……はえ??」

 

 

 

余りにも、余りにも……脳が追い付くのを拒む。

そんな凄まじい発言を、今、彼は私に言っているっす。

 

え………そ、それ、って……。

 

 

 

「………」

「うっ……ぁ…ッッ」

 

 

 

なんで、顔真っ赤にしてるんすか……?

 

 

 

「……やっぱ今の無し」

「へ…………は?」

 

 

 

そう言うと、シンタロウさんは回れ右するっす。

いや…なに言ってんすか?無しって何すか?

 

 

 

「悪い、やっぱ今のは忘れてくれ。俺らしくなかったわ……んじゃ帰る、今日はすまなかったな。イチカさんも気を付けて」

 

 

 

そう言いながら、勝手に……余りにも身勝手に背中を向け帰るシンタロウさん。

は?はぁ?何なんすかマジで。

 

喧しく泣いて、私に抱き着いて来て、言いたいこと言って……。

 

それで?私が居るのに~とか何とかほざいて……やっぱ忘れろって?

 

 

 

「ふ……ふざけんなっす!」

 

 

 

”ガシッ!”

 

 

 

私は直ぐに追いかけて、シンタロウさんの腕を掴む。

彼の身体がビクッと震えた。

 

 

 

「なっ……なんだ?」

「なんだじゃないっす!か、顔を真っ赤にして、カッコ付けんじゃないっすよ!」

「ッ……真っ赤なのはお前もだろッ」

「んなっ!?う、うるさいっす!だっ、大体!こんな夜更けに女の子一人残して帰るとか、どうなんすか!」

 

 

 

違う。

そんな事を言いたいんじゃないっすよっ!

 

わ、私は……

 

 

 

「そ、それは……そうか。そうだな?」

「そ…そうっす!じゃあ、どうするのが正解っすか!?」

 

 

 

なに女々しい事を言ってるんすか!

私はただ、さっきの発言の意図を問いたいだけなのに…っ!

 

あーもう!もうっ!なんでこの人の事に成ると私は……!

 

 

 

「えっと……家まで送る、か?」

「そっ………そう、ですね?」

「いやなんでイチカさんが疑問形?」

「だ、だって!……すみません、なんか変な会話に成っちゃったっすね」

「あーいや、全然それは良いんだが……良いのか?俺が行っても。イチカさんの住所知る事に成っちゃうけど」

「……何か、やらしいこと考えてるっすか?」

「いや何だよやらしい事って……」

 

 

 

何か私の家まで送って頂ける話になってるっすね。

………よし。

 

 

 

「送ってっす」

「え?」

「だ…だから!私を……家まで、送るっす」

「お……おう、分かった」

 

 

 

なんでツンデレみたいになってんすか!!

普通に言って下さいよ私っ…!

 

 

 

「イチカさんの家か……どんな感じなんだろうな~」

 

 

 

あとなんでシンタロウさんはワクワクしてんすか!

絶っ対!エッチなこと考えてるっす!また何かやらかす予感しかしないっす…っ!

 

よく目を光らせなきゃっす!どうせ御飯も一緒に食べるんで、その間に変な事されたら直ぐに叱ってやるんすから!

 

 

 

「さ、先に言っておくっすけど!私の家で妙な真似したら直ぐに逮捕っすからね!そこんとこ、忘れないようにっす!」

「え?あ…うすっ!俺、なんもしねぇっす!!」

「どういうキャラなんすかソレは……はぁ、もう」

 

 

 

絶対にするっすね、この感じは。

 

はぁ……なんかすごい展開になっちゃったっすねぇ。

 

ただ歩いてたら、彼の勘違い告白事変に遭遇して、泣きつかれて抱き着かれて、変な事を言われて、勝手なことして帰ろうとして……それで、シンタロウさんに私の家まで送って頂ける話になって。

 

彼が絡むと直ぐに可笑しな展開になるっす……ホント、仕方のない人っす!

 

 

 

「さっ!もう行くっすよ!もう9時過ぎてんすから!ちゃっちゃと帰って一緒に御飯食べるっすよ!」

「分かったぁ………んあだが。なぁ、イチカさん。少し良いか?」

「ん?な、なんすか?」

 

 

 

そのまま歩いて、私の家まで案内しようとした時。

シンタロウさんが問いを掛けてくるっす。

 

これ以上まだ何かあるんすか?はぁ……今度はなんなんすか。

 

 

 

「聞こうと思って、でも勘違いだったらアレだから流してたんだが……やっぱ聞くぞ?いい?」

「なに勿体ぶってんすか?時間も時間なんで早く言うっすよ!」

「その………俺、イチカさんの部屋に上がっても良いのか?しかも御飯も頂いても」

「はぁ?そんなの当たり前じゃ……ないっす…か…………あっ」

 

 

 

そう、そうじゃないっすか。

 

なんで私、最初からシンタロウさんを部屋に入れる気満々なんすか……?

しかも御飯も作って……一緒にって………。

 

これ……完全に、私の方が浮かれて……~~~~!?

 

 

 

「あ、あぁぁ!!ちがっ、違うっすよ!?べべ、別に私は!か、軽くなんて、え、えぇぇっと!??」

「お。落ち着け!落ち着くんだイチカさん!」

「はっ!あ、あぁ………」

 

 

 

うそうそうそ!あぁ、なんでこんな…っ!

恥ずかしすぎるっす!こんなの、まるで本当に恋人みたいじゃ……うあぁ~~!!

 

 

 

「こ……ころしてっすぅ…っ」

「いやだよ……あぁーーっと、んじゃまぁ、行くか?」

「………はいっす」

 

 

 

ここで後悔しても遅いっす。

それは私が一番よく分かってる……うぅ、ほんと情けないっす。

 

 

 

「じゃあ、案内するんで……来てっす」

「声ちっさ」

「っ!!う、うるさいっすよ!誰の所為だと!」

「いや今回に関してはイチカさんの自爆じゃね!?」

 

 

 

なんか言ってるシンタロウさんの腕を引っ張って、私はズイッと進む。

また一段と濃い一日でしたね……ホント、疲れるっす。

 

でも……同時に、なんか元気にもなるんすよね。

 

この妙な矛盾が、今は何故か……心地良いっす。

 

 

 

そうして私は彼を引き連れて帰路へと着いたっす。

 

 

 

 

 

次回

シンタロウ、初めての女子の家。





次回イチカ×シンタロウの話を書いたらメインストーリーに移行します。



感想誤字報告、ここすきお気に入り評価、お待ちしています!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。