最近艦これにハマった勢でして、「こんなん書きてェ〜!」ってのを勢いそのままに書いてしまいました。
そのため設定はガバガバ、ストーリーもガバガバ。
まあそんなダメなところもひっくるめて愛していただけると幸いです。
釣りしてたら艦娘見つけた。
季節は真夏。時刻はヒトサンヨンマル。
雲ひとつない、スカッとする晴天。
風は優しく、撫でるように吹いていて、どこかで鳥も鳴いている。
どこまでものびていく水平線、果てしなく続く大海原。
ああ、綺麗だ。綺麗だろう、本当に。ただ___
___その中をただ1人、血を流し、今にも倒れそうな状態で、海の上を“浮かんで進む”少女を除いて、だが。
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季節は夏真っ只中。時間は大体午後2時前くらい。
呆れ返るほどに綺麗な空。
水面がチカチカ眩くて鬱陶しい。
おまけに潮風は魚臭い上に生ぬるい。ベッタリと付き纏うように吹いてくるのも不快感を倍増させる。カモメの声もうざったい。
果てがないかのような水平線。無駄に広い大海原。
「…ヒマだ。やっぱヒマだ。そして暑い。茹だるような暑さとはこーゆーのをいうんだろな、ほんと。」
めんどうくさそうに汗で濡れた前髪をかきあげ、汗で濡れたTシャツの襟を持ってパタパタ仰ぎながら、そうブツクサと独り言を捻り出すようにして吐き出し、名もなき小さな島の沖で1人ひっそりと、俺、東郷弘明(とうごうひろあき)は釣りに勤しんでいた。
御年17歳。身長は170cmほどはあるが、体重は60kg前後。細身であることと猫背気味なことが相まって、夜に会うとカラスのバケモンかなんかとよく見間違える、というかそうとしか見えないとは友人談。
両親は幼い頃に他界。優秀な軍人だったそうだが、運が悪いことに、このご時世に海軍であった。
趣味は釣り。家にいてもやることがないため、友人の予定が空いていなかったら釣りに出かけることにしている。3年前、唯一と言っていい身内の祖父が亡くなってからは毎日釣りをしている。
釣りが趣味になるきっかけは、過去に一度、祖父からのしごきから逃げるために友人宅ですごろくやらなんやらして遊んでいた時、祖父がクワを片手に友人宅に殴り込み、なぜか友人も一緒に日が暮れるまでしごかれる羽目になったという事件から。真っ白に燃え尽きた友人を見て申し訳なさでいっぱいになり、1人で
…まあ今は他にやることないからやってんだけど。
何はともあれ、こうして釣りでもしていたら幾分気は紛れる。
だがなんとも平和である。一応、今日本は深海棲艦とドンパチやってるわけなのだが、微塵もそんな気配は感じられない。これも艦娘サマのおかげなのだろう。頭あがんないわー、ほんと。
え?「シンカイセーカン?カンムス?何それ美味しいの?」だって?しゃーない教えてやろう。最近学校で習いたてホッヤホヤの知識を伝授してやろう。
___深海棲艦。
西暦20XX年、突如として世界各地に出現し、人類に混乱と絶望を与えた異形の怪物。
サイズには見合わない異常な火力と硬さを兼ね備えるソレの大群はまるで意思を持つかのように各国の中枢都市に侵攻、須く更地にした。
後に第一次全力抗戦と呼ばれた地獄を乗り越え、かろうじて国としての体を保っていられたのは、四方を海で囲まれた島国であり、戦うことよりも自国防衛に重点を置いた戦力を持っていた日本のみといった有様。
また、その日本も、国としての体を保っていられたと言っても“かろうじて”である。元々多くの食料は海外にほぼ依存状態であったし、かつてないほどの脅威の突然の出現によって国民の混乱は最高潮。初っ端の侵攻をなんとか追い返せたものの、依然海に潜む
要するに世界を全滅寸前にまで追い込んでいる正体不明の侵略者ってこと。
___艦娘。
そんな
見た目はどう見ても七五三の帯解(おびとき)終わってなさそうなちんちくりんからグラマラスなお姉さんまで多種多様。おまけに全員美人ときたもんだ。直前にバケモン呼ばわりしたがそれを撤回できるレベルにはかわいい。おまけに強い。そしてかわいい。ついこの間艦娘が訓練ー演習とか言ってたっけーしてる様子を撮ったビデオを学校での教育の一環として見せてもらったんだが、画面越しで、しかも激しく動いている中でも「あれ?この子達めっちゃ可愛くね?」って思うくらいにはかわいい。
こう言っちゃ不謹慎だと我ながら思うが、こんなかわい子チャンたちと仕事できる提督サンは役得だと思う。人によっちゃ夜戦(意味深)の相手とかしてもらえるんだろうなあグヘヘ。
おっと話がそれた。
まあともかく、艦娘ってのは深海棲艦に対抗するべく人類が創り上げた“兵器”だそうで、名前は元になった艦の名前からとっているらしい。
だが個人的に、“兵器”呼ばわりは気に入らない。いやだって、確かに艦娘は強いよ?銃弾だって簡単に跳ね返すらしいし、エッグい力持ちだし、自分の身長の半分以上もあるデカさの艤装を軽々背負って戦えるし。だけどさ、あんな小さいのに…いやおっきいのもいたけど、色々と。何はともあれ。ビデオの中でも、負けて悔しがってるヤツ、相手に賞賛の眼差しを向けてるヤツ。勝って嬉しそうにしてるヤツ、冷静に何か考え事をしてるヤツ。なんか兵器として、道具として見なすにはあまりにも感情豊かすぎるというか。というかそもそもの話命をかけて国を守ってくれてる存在を兵器呼ばわりってどうなのよ、とは思う。
やっぱり軍人サンってお堅いのね。ウチの両親も
っと、気分転換は一旦ここでやめまして。釣りに集中せねば。
落ち着いて見てみれば、ここもなかなかいい景色じゃあないの。誰だよ風くせえだのクソ暑いだの言ってたバカはよ。
ほぉ〜ら、ちぃよぉ〜っと辺りを見渡せば、雲一つない青空、光り輝く
………え?可愛い少女が…………………“浮かんでる?”
「え?マジ? (目ん玉ゴシゴシ) ………え?」
あ、いや違うね、厳密には進んでるね、フラフラと陸を目指して進んでるね。と言うか移動方法からしてどっからどう見ても艦娘だよねあの子ね。だって艤装みたいなもんつけてるよね。あ、今倒れた。
そうかそうか、なーんだ安心。ただの艦娘かー。うんうん。
…
………
………………
…………………………
……………………………………
……………………………………………は?
気がつくと俺は大急ぎで倒れた少女の元へ駆け寄り、側で片膝をついていた。
背格好は10歳前後。激しい戦闘でもしていたのか、膝まで届く銀髪はボサボサで、所々が赤黒い。胸元の大きな青いリボンも、いかにもお嬢様校って感じの赤い制服も、桃色がかった灰色のタイツも、全てが所々破けていて、そこからのぞく傷跡が痛々しい。
そしてよほど大事なものなのか、自分の身長には見合わない大きな黒いコートを両手で胸に抱いている。
「この子…艦娘…だよな?艤装みたいなもんついてるし…」
右腕には砲塔。左足には魚雷管。背中には船の一部のようなもの。
間違いなく艦娘。
「…っ」
「うぉっ!?」
不意にゆっくりと顔を上げる少女と、それに驚いて尻餅をつく俺。
「…おね…がい…し…ます、おう…えん…よう…せい、を。わ…たし、くしま…の…きよ…しも…です…おうえ…ん…を」
痛みと体の震えで意識を保つことさえ苦しいだろうに、それでも必死に言葉を紡ぐ少女。
「わ…かった。くしま?…ってところに、応援要請をすればいいんだな?」
うん、と言うかわりに小さく頷く少女。ほとんど開いていないその目には、涙と懇願の色が浮かんでいる。
断れるわけがない。
「…任せろ。確か島の病院に、内地との連絡用通信機があるはずだから。だから、安心してくれ。な?」
そう言って涙を拭い、ぎこちない笑みで頭を撫でると、少女はほっとしたような顔になって、完全に意識を失った。艤装もそれと同時に光のモヤとなって消えていった。一瞬死んでしまったかと思ったが、そういうわけではないらしい。すうすうと、か細くも確かに息をしていた。
「…さて、と。」
あまり揺さぶってしまわないよう気をつけながら少女をおんぶする。幸い、体重は見た目通りだった。体重まで艦と同じとかだったら無理だった。
正直突然の出来事でだいぶ混乱しているが、幸いにもやることははっきりしている。
この子を病院に送って、“くしま”ってところの…鎮守府かな?がピンチってのを、他の鎮守府に伝えてもらう。要するに、病院の大人を頼る。院長のケンさん(本名:
そう思っていた。
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島内、
「…すまない、東郷くん。今しがた
ケンさんはかれこれ2、3時間格闘していたパソコンから目を離し、メガネを額の上にのせ、目頭を押さえながらため息まじりでそう言った。
相変わらず何年使い古しているかわからないヨレヨレの白衣に、シンプルなヨレヨレのワイシャツに黒めのヨレヨレジーンズ。体重は平均的だが、服装のせいで大分痩せて見える。
「ぇ?機能を失った?もぬけの殻?どういうこと?」
予想だにしていなかった展開に対して思わず子供のような口調で返してしまった俺に、ケンさんは答える。
「もともとあの鎮守府は艦娘の運用についてたびたび注意されるくらい、艦娘使いが荒い鎮守府だったそうでね。燃料や弾薬の補給、それに入渠も満足にさせてもらえずに次の作戦に駆り出されていたらしい。少数ながら優秀な艦隊を持っていたそうだが、なんでも作戦終了後、帰港時に敵艦隊に遭遇したらしくてね。数は多いが万全の状態なら苦労しない相手…だったんだろうけど。普段から補給も入渠も全然させてもらえなかったせいで、艦隊全員が燃料も弾薬もスッカラカン、入渠させてもらえなかったせいでみんなボロボロで、結果は
「…は?」
あまりにも荒唐無稽。あまりにも愚か。そしてあまりにも救いがないことの顛末を聞いて、俺は間抜けな声を出すのが精一杯だった。
「全く同じ大人ながら激しく嫌悪するよ、串間の元・提督サマにはね。」
大袈裟なジェスチャーでフンッ!と鼻を鳴らすケンさん。よほど頭に来ているらしい。
「…
___清霜。俺が海岸で見かけた艦娘の名。串間鎮守府唯一の生き残りであり、串間鎮守府の
当然謝罪の言葉があって然るべきなのだが、
「…それについては、“串間の提督には身元が割れ次第、厳しい処罰を与えておく。そちらで保護している清霜に関しては、後日、改めて謝罪に行かせていただく。“ってさ。お堅いよねぇ、文も短いしさ。」
あまりにも他人行儀。鎮守府とは、軍人とはみんなこうなのだろうか。自分の思い描いていた輝かしい日々が一瞬で崩れ去る。
「…なんか。」
「ん?」
「とことん報われないっすね、
「…」
「あんなにボロボロになって、怖い思いも、痛い思いもたくさんしただろうに。やっと陸地に辿り着いて助けが呼べたと思ったら、仲間はみんな亡くなってて。なのに罰を受けるはずの
そう、報われない。報われていないのである、あの子は。
「…ごめんね。力になれなくて。」
力になれてないのは、自分も同じ。
「いや、いいんすよ、ケンさんのせいなんかじゃないし。つーか十分力になってるし。…それよりも…清霜の様子は?」
「今はぐっすり寝てるよ。だけど、どんなに時間がかかっても、明日には全快、衣類もコートもバッチリさ!…ただ、あの子が今の鎮守府の惨状を聞いたらどうなるかは…あまり想像したくはないかな。」
じゃあ、どうする?自分はあの子に、清霜に、何ができる?
「…そっすか。」
…決めた。
「うん。ヒロくんはどうする?もう帰ったっていいんだよ?清霜ちゃんが心配なのはわかるけどさ、あの感じじゃあ起きるのは1番早くて真夜中だよ?そ・れ・に。こんな胸糞悪い話は、あとは全てボクが片付けておくからさ。ね?」
やってやる。
「…ヒロくんって呼ぶのやめてくださいよ、恥ずかしい。」
「ええー…好きなのに。この呼び方。」
ある一つの決意を固め、口を窄めてイジイジしてるケンさんに向かって、自分の決意を語る。
「ケンさ…賢治さん。」
「…なんだい?弘明くん。」
「俺は…」
ー俺は、そのいわくつき鎮守府の提督になる。ー
と。
ちょいとシリアスめです。次は清霜の過去をひとつまみ…できるかな?できたらいいな?
学業と掛け持ちなのでクソ遅ペースになってしまいそうですが、許してください。後生ですから。