起きたら仁義なき転生、それから。   作:函南

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感想、評価、ここすき、ありがとうございます‼︎

実態がどうかは別ですが、空挺兵は精鋭だったと聞きます。後継のみなさんは残念な様でしたが…
ネタバレしない自信のある感想に返信したいと思います(下手くそ)。
常に3話〜4話予約投稿セットしてるので…


背徳の戦禍

「ブルクドルフ‼︎敵の無力化に成功した‼︎一時、敵陣を占拠しろ‼︎」

 

『トーゴー!?助かります‼︎』

 

「抵抗しない人間は捕虜にしろ。負傷している。手当して連れて帰れ。」

 

『善処します。』

 

アンドラスたちに向き直ると整列していた。

 

「作戦行動中…と言うのだろう?そこまで畏まるな。アンドラス、この手法は有効だ。何箇所か回って、正面の負担を軽減しに行こう。」

 

「しかし、コマンデール。それでは…。」

 

「ダイスラーに叱られるな。一緒に正座しよう。」

 

「それは…少々怖いですね。」

 

「あぁ。ダイスラーの理詰めは怖いぞ?なにも言い返せなくなる。なので功績を上げよう。独断専行は指揮官の華だ。」

 

「ならば命令違反を処断す…」

 

「次の敵陣を選定だ。アンドラス。」

 

苦笑いしながらも、アンドラスたちは地図を広げる。ダイスラーの指揮官教育は素晴らしい。本当に優秀だ。

 

 

夕方までに四回の奇襲をかける事に成功したが、昼過ぎからは対策されてしまったために成功率はグッと下がった。無線からはダイスラーの『コマンデール‼︎どこにいるのです‼︎アンドラス‼︎帰還しろ‼︎』という叫び声が度々聞こえていたが…無視した。もちろん前線指揮所に戻って早々、俺とアンドラスは正座させられたのは言うまでもない。

 

日が沈み夜も更けた頃、前線指揮所には各中隊指揮官の総司とキャクストン、オスカーとアレク、マクドゥガルが集まった。

 

「さて、初日は順調だ。負傷者は一定数出た様だが、戦線離脱した者はない。みんなよくやっている。」

 

「父さん、ブルクドルフが三人捕虜にした。自白は取れなかったけど、所持品から受けている命令がわかった。彼らは父さんとダイスラーの写真を持っていた。」

 

「バラライカは。いい指揮官の様ですね。」

 

「敵の目的がわかる分、対策が取りやすい。ダイスラーの指揮所はオスカーの砲兵陣地より後ろに、トーゴーは…コンテナにでも放り込んでおこう。」

 

「キャクストン、俺は君たちに戦地へ行けと命じている。俺が下がっては話にならん。」

 

「同意です。市街地戦において後方から取れる指揮は限られます。」

 

「シェーンの言うことは正しいが、無意味だ。聞くわけない。ところで敵の規模だが、みんなどう判断する?」

 

マクドゥガルのおかげで本題に戻れた。あとで礼を言おう。

 

「観測手、追撃班の報告に、正面火力から推察される敵戦力は一個中隊前後でしょう。バラライカの目撃証言はありません。」

 

「一個中隊か…厳しい戦いだな。」

 

「なぜです?我々の半分以下では?」

 

「オスカー、俺たちは戦いに制限がある。極力殺すな、だよ。父さんの方針だ。」

 

「そして俺は、それに応えられるのは一個小隊相手が限度と言った。」

 

「なるほど。総司の父は理想論者なんだな。どうする?」

 

一同の沈黙と視線は、無言の圧力の様に感じる。本当にどうしたものか。

 

「済まないが、譲れん。現実は見るが、俺は君たちの上に立つ人間だ。理想を語らねばならん。」

 

「そうだな。そうだ。だから俺は古巣からアクシズにきた。」

 

「そうです。なぜ皆がここに集まったのか思い出しましょう。」

 

「ありがとう。では、今後の方針だ。開戦当初の第一ラインを基本とし、防衛線を堅持。積極的攻勢には分隊規模で、散発的に。」

 

皆の表情には余裕がある。まだ大丈夫だろう。

 

「強行偵察だな。今日のアンドラスたちか。」

 

「そうだ。時々、俺が散歩に出る。」

 

「シェーン、アンドラスは優秀だが悪ノリする。人選はそれでいいのか?」

 

「仕方がない。ローテーションから抜けている遊撃戦力がない。」

 

「では決まりです。皆、夜だ。警戒を厳となせ。仕事に戻りましょう。」

 

 

それぞれが解散し、持ち場に戻ったり休憩に入る。皆の努力に期待するしかない。

 

「ダイスラー、敵の物資集積所は把握できているか?」

 

「巧妙に分散していますが、四箇所把握しています。」

 

「一番大きいのは?」

 

「ここです。」

 

「よろしい。アンドラスに夜勤を頼みたい。」

 

「承知しました。三十分後に。」

 

「済まないね。」

 

 

タイメックスがかっちり三十分を刻んだ後、アンドラスが部下を連れて集まった。

 

「日勤もあったのに夜勤まで申し訳ない。これより我らは怪盗となり、明日の朝食の調達に向かう。」

 

「閣下、物資は潤沢では?」

 

「俺は朝食にロシアンティーを希望する。」

 

「ミソスープにロシアンティーか斬新だな。」

 

「仕方ない。ボルシチでもいいぞ?」

 

アンドラスはアメリカ人、その部下はベトナム人だがノリは米兵のそれに近い。その軽薄さが今は救いだ。

 

「よし。我らがコマンデールはロシア料理を所望だ。押し込み強盗に行くぞ。」

 

 

夜の湿気に乗じて慣れた街を歩く。いつもの喧騒はなく静まり返っている。もちろんダイスラーも寝ている。夜中、いつもなら酔っ払いの喧嘩や客引きの女が立っているのに、猫一匹いない。気味が悪い。少し待つと、暗視ゴーグルをつけたアンドラスの部下が戻ってきた。

 

「分隊長、監視は表に四名、裏に二名。いずれもAKにて武装。倉庫内は無人の模様です。」

 

「コマンデール、制圧は可能です。どうされますか?」

 

「定石通りに裏手の二名を無力化、朝食を分けて貰おう。」

 

それはもうひっそりと言う表現が合う行動をとり、二人のソ連兵を締め上げて、無力化する。効率よく引きずって物陰に隠していく。本当に優秀だ。罠や、警備装置の有無を確認したアンドラスから安全確保の合図が出る。

 

「さて、朝食朝食。」

 

「コマンデール、ご期待には添えなさそうです。」

 

「空振りか?」

 

「いえ、物資は主に武器弾薬です。」

 

「武器庫…でしょうな。これは。」

「新品のAKだ。トカレフもあるぞ。」

「手榴弾もあるな。」

 

手近な木箱を開封しながら中身をみんなが改めている。武器だけか。

 

「おい。このシートを剥がせ。」

 

「「はっ‼︎」」

 

シートを剥がすとそこにはスープ缶や茶葉の山が…なかった。

 

「アンドラス、これはなんだ?よくわからん。小火器か?」

 

「いえ、コマンデール。これはハインドという攻撃ヘリの武装です。対地装備ですね。詰まる所、連中は攻撃ヘリを…この分ですと二機くらい保有しているでしょう。」

 

「ここはアフガンじゃないんだぞ…方針を転換しよう。朝食はいつも通り納豆と味噌汁だ。」

 

「あのビーンズ、苦手なんだよな…。」

「だがライスと絶妙に合うだろ?」

 

「コマンデール、朝食の前に今の方針を。」

 

「我々は放火魔と成り果てる。」

 

「了解。おい。爆発物を集めろ。そっちの燃料缶もこっちに持って来るんだ。」

 

アンドラスたちが可燃物と爆発物を手際よく集めていく。特殊部隊ってのかな?すごいな。

 

「コマンデール、三分後に花火が上がります。撤収を。」

 

「よし。では、一騒ぎして帰るぞ。」

 

「それでは隠密行動の意味が…」

 

「このまま吹き飛ばしたら表の警衛は?」

 

「なるほど。おい。一頻り騒いで逃げるぞ。」

 

「承知。」

 

 

表の警衛に向かって一斉射をかけると、ロシア語で叫びながら追ってきた。いいぞ。

 

「食いつきました‼︎どうしますか‼︎」

 

「全力で…逃げよう。もう銃には安全装置かけていいんじゃないか?」

 

「なるほど。先導します。総員、全力で走れ‼︎撒くぞ‼︎」

 

建物を繋いで作ったなんちゃって坑道を走り抜ける。これ、本当に元に戻せるだろうか?

幾つかの建物を抜けた頃、凄まじい爆発音が聞こえる。え?まだ三分も走ってないの?おいちゃん、足攣りそうなんだけど。攣りそうな足を気遣いながら前線指揮所に戻る。差し出されたコーヒーを受け取りながら報告を聞く。

 

「コマンデール、第二の防衛陣地の一つに強襲攻撃がありました。威力偵察と思われます。防御陣にいくらかの損傷はありますが、問題なし。双方に人的被害はないと見られます。その他の防衛陣には攻撃はありません。父はあと二時間で起きます。」

 

「オスカーありがとう。アンドラス、あと二時間待機してくれ。」

 

「了解です。待機にはいります。」

 

手近な椅子に座り、地図を見る。主だった指揮官は休息中だが、うまく立ち回れている。全体的な能力が高い故に出来るローテーションだ。タバコに火をつけて紫炎を吐き出す。次の目標はどうしたものか。出来るならヘリの隠し場所を探し出したい。

 

「オスカー、街の地図はあるか?」

 

「詳細な地図はありませんが広域地図なら。」

 

「うーん…これじゃあな…。事務所の周囲と前線に防空隊を。敵は攻撃ヘリを複数持っているらしい。」

 

「では、UH-1に待機させましょう。」

 

「え?あれって非武装じゃ?」

 

「ドアガンを据付て簡易的なガンシップに改造しました。スティンガーの数に限りがあるので旧式の地対空追尾ミサイルも少数ですが積んでいます。追尾ミサイル対策として照明弾も用意しています。」

 

「聞いてないな…決済もしていない。」

 

「でしょう。ドアガンは総司の成人祝いに、ミサイルはスティンガーの数が発注どおりに揃わなかった埋め合わせだそうで。」

 

「決済書がなければ知る由もなし…今はいいや。まぁいいや。うん。」

 

「引き継ぎと同時に待機させます。」

 

 

ダイスラーらが起きてきて朝食を摂っている…の前に正座している。俺も食べたい。

 

「よろしくありませんね。非常によろしくない。」

 

「攻撃ヘリとはね。ここはベトナムの密林ではないのだぞ。」

 

「マクドゥガル、攻撃ヘリの存在は大問題ですが、夜遊びを問題視しているのです。」

 

「いいじゃないか。トーゴーのおかげでわかったんだ。ダイスラー、トーゴーも飯食わせていいんじゃないか?」

 

「反省してもらいます。朝食抜きです。キャクストンは甘い。」

 

「父さんはこの程度じゃ反省しないよ。」

 

「総司も大変な親を持ったね。」

 

散々な言われ様である。カースト制度があれば俺は最下位だろう。指揮官とはなんだ。

 

「出来れば、情報を持ち帰った点の評価も頂きたいのだが?」

 

「その点を評価してアンドラスたちは便所掃除、コマンデールは正座なのです。本来なら重営倉に入っていただく所です。」

 

「信賞必罰は武門の拠って立つ所ですから。」

 

「ドイツ人はコレだからな。仕方あるまい。」

 

キャクストンが指先で四角を描いてみせる。四角四面だと言いたいのだ。

 

「俺とオスカー、アレクはドイツに行ったこともないぞ。」

 

「それもそうか。」

 

マクドゥガルの発言で皆が笑う。いいことだ。まだまだみんな、笑う余裕がある。

この日、俺は赤だしと納豆、キュウリのわさび漬けを逃すこととなった。

 

丸一日ぶりの布団に勝てる精神力は…持ち合わせていなかった。これが最後になればいいと心から願いつつ、次なる任務、オペレーション・イビキの遂行に入った。

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