コレでストック終了です。
ご期待に添えず申し訳ありません。
不興を買った様でしたので、再考して思いつけば続けたいと思います。
『ダイスラー‼︎コマンデールが顔面に散弾を喰らった。意識がない‼︎後送する。2ーAまでケッテンクラートを回してくれ‼︎敵はスモークグレネードと散弾を使う。近接戦闘は避けてくれ‼︎』
『なッ…ケッテンクラートを回せ‼︎急げ‼︎俺の息子にまた家族を失わせるな‼︎総員、敵の散弾に警戒しろ‼︎奴らは条約批准国ではない‼︎』
『トーゴーがやられたとはなんだ‼︎ダイスラー‼︎指示を‼︎』
『総員、聞いてくれ‼︎全体指揮はこのモンテナ・フォン・ダイスラーが執る‼︎次席指揮官は総司だ。状況を維持してくれ‼︎』
父さんがやられた?どういう事だ?散弾に警戒しろとは?
「ダイスラー…状況は?」
『コマンデールは指揮不能です。総司、次席指揮官は君だ。状況は維持する。君はどう動く?今なら優勢なまま状況を固定できる。希望があれば叶えよう。』
指揮不能…であるなら意識はないか、死んだと思っていいんだろう。どうしたらいい?トーゴーなら…?
「父さんの作った状況を活かしたい。みんな協力してくれるかな?」
『トーゴーは言葉と行動で示しました。まず言葉を。』
「わかった。みんな聞いて欲しい。父、トーゴーが指揮を取れなくなった。次席指揮官は自分だ。全体指揮はこのままダイスラーにお願いする。今の状況を活かして、事を運びたい。アレク、クローゼ戦隊は海の封鎖は解除、河川に回って欲しい。6ーBから6ーFのエリアに沿って展開して欲しい。キャクストンは現状維持、合図を出すから第三ラインまで後退、ブルクドルフは支隊を3から5にかけて横陣を敷いてくれ。レイ、ブルクドルフの横陣形成の援護を。アンドラスは父さんを引き渡したら、ブルクドルフに合流を。第二は3ーCからEに縦陣を敷く。全ての部隊で包囲する。オスカーは砲兵陣の移動用意。」
『アレクだ、了解した。全力で回る。』
『こちらブルクドルフ、第三分隊ともう少し回して欲しい。指揮所の部隊を貸してくれ。』
『総司、第三まで退いたら後がない。信じない訳ではないが勝算は?』
『マクドゥガル、了解した。道を開こう。』
『強行偵察分隊、承知。』
『オスカー、了解。』
「キャクストン、勝算はある…と思う。父さんは博徒だったと聞く。ここ一番、俺も先代に倣ってみる。みんな聞いてくれ。父さんほど上手く出来るかは分からない。だからこそ、みんなの協力が欲しい。頼む。この博打に勝たせて欲しい。」
『どえらい二代目だ…第二中隊承知した。』
『クローゼ戦隊、コマンデールに従います。』
『こちらブルクドルフ、了解だ。』
『空中戦隊、この博打、乗った。』
『強行偵察分隊、もちろん参加する。』
『総員の同意と見ます。総員、落ち着いて状況を進めて貰いたい。』
『迫撃砲隊、もちろんだ。』
「みんな、ありがとう。ダイスラーさっきの通りに全体の指揮を。」
『了解した。コマンデール、武運を。』
「最後に、父の建てた基本方針の三項目だが…第三は強制しない。留意してくれればいい。理性を持った行動を望む。」
甘美な響き、包囲殲滅。だが、父さんが作った状況はそうだ。第一中隊と遊撃戦力で包囲陣を敷いた。これを全体に広げる。ある程度、追い込んで降伏させたい。
一時間が経ち、みんなが配置についた報告をダイスラーが入れてくれた。
「ダイスラー、損害は?」
『負傷は全体で十二人、戦線離脱なし。敵は四人殺害。捕虜無し。であります。』
「よし。状況は整った。キャクストン、第三ラインまで…」
『総司‼︎マクドゥガルだ‼︎敵、航空戦力出現‼︎ハインドだ‼︎4ーFから二機くるぞ‼︎』
「なっ…ビアッジ‼︎防空隊はスティンガー担いで4ーFに向かってくれ‼︎レイは対応効くか?」
『ビアッジだ。ケッテンクラート借りるぞ‼︎』
『やってみる。だが、簡易武装のUH-1では一機仕留めるか、鬼ごっこくらいが限度だ。』
「ビアッジを急がせる。いざとなったら逃げていいです。」
『逃げられたらだな‼︎』
笑いながら返してくれると言う事は、勝算はあるのだろうか。米軍から転向してきた十二人、エーカーは負傷して下がってしまったが彼らはノリが軽い。だが、ダイスラーや、その部下たちの子、ドイツ系に次いでタフだ。これは結構、みんなの救いになる。
「どーも。呼ばれて出てきた救いのヒーローだ。お待たせしたな。」
「え?張?なんで?」
「三合会はこれよりアクシズに加勢させてもらう。気合いの入ったのを三十人ほど連れてきた。」
「正気ですか?比較的優位に進めているが、航空戦力まで出てきた。いつひっくり返るか分からないんだ‼︎」
「君の父上と勝ち馬に乗せてもらう約束をしててね。本当は逃す段取りを頼まれて、それを受諾した。その時に感謝されたんだよ。して、今回は武装親衛隊の要請を貰った。マニサレラとコーザ・ノストラも誘ったんだがチビった様でね、戦後復興に協力するそうだ。兵隊を出したんだ。俺たちにはここ一番、いい役をくれよ?」
「では…お願いします。ダイスラーのいる指揮所へ。武器弾薬を受け取って来てください。」
「従おう。コマンデール。」
飄々と中隊本部に顔を出してきた張は意外な援軍だった。父さんはどこまで先を見ているのだろうか?
制空権があれば状況を動かせる。まだか、まだ落ちないのか。焦りだけが増大していく。父さんはこう言う時、どうやって凌いできたんだろう?
『マクドゥガルだ‼︎一機落としたが、三番機が3ーEに不時着した。救援に向かってくれ‼︎』
「ありがとう‼︎ブルクドルフ、いくらか回してくれ‼︎」
『わかった。迎えに行く‼︎』
『マクドゥガル‼︎迎撃陣を2ーBに用意した‼︎スティンガー五発の斉射をかける。エスコートしてくれないか‼︎』
『空中戦隊もとい、ウサギさん了解した‼︎敵航空戦力はもう無視してくれ‼︎』
『総司、状況は整っています。今なら‼︎』
「よし‼︎状況を終わらせよう。ダイスラー、今だ‼︎」
『キャクストンは第三まで撤収、敗走したふりを。ブルクドルフは全力で突っ込んでください。オスカー、キャクストンのいた場所に効力射。アレク、着上陸戦だ。海賊の本領をみせるのだ‼︎」
『第二中隊、カッコよく負けてやるぞ‼︎』
『ブルクドルフ支隊、吶喊‼︎』
『鉄の海賊、進め‼︎』
みんなが俺の策で状況を終わらせに向かう。これ以上の期間、戦えはしない。隠しきれない。父さんの作った街が消える。そうはさせない。
「張、第一中隊は撤収する。一緒に来てくれ。」
「ほう?聞いているに状況はまだ続いているようだが?」
「帰りがけにこの戦争を終わらせる。第一中隊はこれより敵陣を強襲、日常に帰るぞ‼︎非日常からの退き口だ‼︎第一中隊総員、着剣‼︎走れ‼︎」
配置した中隊が一斉に正面の川へ向かって走る。
走りながら全ての角のクリアランスをしつつ、走る。
ソ連兵を視認。
「ソ連軍だ‼︎撃って撃って撃ちまくれ‼︎抵抗する奴だけ相手しろ‼︎走り抜けろ‼︎」
「走れ‼︎銃剣が折れても走り続けろ‼︎リトル・トーゴーに遅れるな‼︎」
「そこのクリアランス急げ‼︎進めないぞ‼︎」
「ここ一番が銃剣突撃とはね。最高にキマってるじゃないか‼︎」
「マフィアと思っていたが、俺に付き合って走れるとは体力あるね。」
「マフィアになる前は警察官だった。体力は自信あるんだ。」
「へー…ルワンの言うとおりだ。冗談のセンスは三流だ。」
「これは手厳しい‼︎」
実際、張の体力も戦闘能力も凄まじい。出来れば遠慮したいキャクストンやダイスラーの訓練を受けて、戦場で経験を積んだ奴らと同等に戦っている上に軽口を叩く余裕まである。冗談のセンス以外は本当に超一流かもしれない。
『総司、ハインドは二機とも落とした‼︎すまない、上空警戒に残せるのは一機だ。二機は飛んでいるが損傷が酷い。飛べてる理由がわからないくらいだ‼︎』
「一機を残して帰ってください‼︎」
『ホークを上空警戒に残す‼︎すまん‼︎』
「ありがとうございます‼︎」
レイが制空権を取り戻した。聞こえる銃声からして包囲はかなり狭い。四ブロックくらいで撃ち合ってるはずだ。もう一息で終われるはずだ。路地を抜けるとアレクたちに出会した。
「ここが包囲の果てだ。引き返せ‼︎」
「総司何してる?そいつらは?」
「三合会だ加勢に来てくれた。これから元の位置まで走る。」
「二代目は本当に一周するのか?」
「三合会?とりあえず総司を頼みます。」
「頼まれよう‼︎」
「よし、撤収だ。戻るぞ。」
「アクシズの二代目がこんな奴だとは…いやはや。」
「各分隊、状況知らせろ‼︎」
「第一、怪我人多数‼︎全員もう一回走ります‼︎」
「第二、全員負傷、全員参加‼︎」
「第三、全員走れます‼︎」
「アクシズの連中はイカれてるのかな?」
「戦史で習ったんだ。シマヅはこうやって生きながらえたってね。」
バラライカに出会っていない。もう一度、掻き回してやればどこかで接触するかもしれない。
「包囲はさっきより狭い‼︎味方に撃たれるな‼︎」
「ソ連兵よりそちらの方が怖いですな。」
「味方に撃たれたんじゃ恥ずかしくて申告できない。」
「ごもっとも。もう一回神とやらに祈ろう。」
「もう一回、吶喊しろ‼︎」
さっきより抵抗は格段に減った。走る道すがら、恐慌しているソ連兵も何人か見かけた。弱兵が何をしに来たのか。
「走れ走れ‼︎さっきよりは楽だぞ‼︎」
「中隊指揮官‼︎第二分隊とバラライカが接敵‼︎2ーCだ‼︎」
「ダイスラー‼︎こちら第一中隊、バラライカを発見‼︎2ーCだ‼︎」
『各員に伝達、敵を2ーCに押し込め‼︎全力でだ‼︎』
かれこれ小一時間、押し込むことには成功したものの、敵の密度が上がって攻めあぐねていた。さすがは正規軍か、まとまると厄介だ。
「どうするんだ二代目?」
「うん。どうも一手欠くんだ。」
「総司、砲兵を使う手もあります。」
「もう直ぐ日が暮れる。俺が転向組と潜入してもいいぞ?」
「迫撃砲を使う手もあるけど、狭すぎる。キャクストンの言う手もあるけど、時間が惜しい。」
「今だな。」
「張にはお考えがあるのですか?」
「そうだな。少し俺たちが手伝おう。」
「三合会が?出来るのか?」
「アメリカ人、俺たちはマフィアだ。奴らは君たちの迷彩服を見たら警戒するだろう。だが、我々を見ても便乗したマフィアくらいにしか思わん。そこに隙が生まれる。」
囮とも盾とも取れる提案に一同が驚くのがわかった、俺も驚いている。博打がすぎる。
「大哥、我らも共に。」
「何人残った?」
「五名ほど持っていかれました。」
「十分いけるだろう。どうだ?俺の博打に乗ってみないか?」
「勝ち馬だろうね?」
「それは総司にかかってるんだ。俺たちの責任じゃない。」
「わかった。ダイスラー他の指揮を頼んでいい?」
「承ったコマンデール。」
「それと‘俺の息子にまた家族を失わせるな’って嬉しかったよ。」
「当たり前だ。総司はトーゴーの息子で、私の息子だ。」
「ありがとう。お義父さん。行ってくるね。」
「カーテと來斗が帰りを待っています。」
「朝食までに帰るって言っておいて。」
「約束は自分でしなさい。」
「わかった。そうする。」
日が暮れていく。日付が変わるまでに終わらせる。朝食はみんな家で食うんだ。