ご理解いただける続きを出せる努力をします。
日が傾きつつある中、最後と思って道を歩く。
「本当にいいんだよね?」
「是非もない。道をつけて差し上げよう。」
「じゃあお願いしよう‼︎」
張たちがホテル・モスクワへの道を開こうとすると同時、みんなが火力を集中する。全方位からの集中攻撃にソ連兵も全力で撃ち返す。
「あと少し、もう少し保たせろ‼︎」
「意地をみせろ‼︎ここがで性根みせな‼︎」
「三合会、こっちだ‼︎少し弛んだぞ‼︎」
「さて、鉄火場だ。一つ見せ場を作ろうじゃないか。」
二丁拳銃を構える張とその手下が全面に立ったことで、火線が明らかに減る。それでも拮抗状態に近い。
「ほぅらお前ら、もう少し気合い入れたらどうだ‼︎」
「大哥‼︎出過ぎです‼︎」
「我々にお任せを‼︎」
「ここで見せ場を作ったらトーゴーの息子にも感謝されるぞ‼︎この街でそれ以上の価値ある事があるか‼︎」
「違いない‼︎」
「道を開け‼︎大哥が通るぞ‼︎」
「総司‼︎道が開けた‼︎走れ‼︎」
「張‼︎感謝する‼︎」
張が開いた文字通りの血路を走る。この道に文字通りみんなの命を賭けた。
銃声の聞こえる方へと走るが、どちらからも銃声しか聞こえない。どこにバラライカがいるのか。
「ーーー‼︎」
聞こえた。女の声でロシア語を叫ぶ声がした。声の方へ走るといた。金髪を揺らしながらAKを振り回す姿を確認する。バラライカだ。
「バラライカぁぁぁぁっ‼︎」
振り返ったバラライカの頭にM16の銃床を叩き混んで、薙ぎ倒す。
「ホテル・モスクワ、今直ぐ武装解除、抵抗するな‼︎」
こうして長い一週間は終わった。失ったモノは多く、得たものはそう多くなかった。
街の後片付けに精を出した数日後、エーカーが意識を取り戻した頃に応接室で俺はダッチとレヴィに相対していた。
「呼んだ理由はわかってるよね?」
「終戦の報告か?」
「連中の武器弾薬、どこから来ていたんだろうかと思って。」
「お宅の艦隊の隙間を縫って、届けるのはホネだった。流石にハインドはどう転んでも持ち込めなかったが。」
「わかっててやってた?」
「それ込みの金額で請け負った。仕事として。」
「あくまでも仕事だね?」
「仕事だ。それ以上も以下もない。」
「そっか。今日は帰ってくれていいよ。」
「なら俺たちは失礼させてもらう。トーゴーの快復を願っているよ。」
「うん。ありがとう。」
ダッチたちを見送ったあと、廊下でダイスラーが寄って来た。表情を見るに、期待は出来なさそうだ。
「総司、いいのですか?彼らは間接的に…。」
「仕事だって。なら言うことはない。で、アポ取れそう?」
「各方面、手は尽くしていますが…。」
「難しいか…オロホフさん通してみよう。繋がるかもしれない。」
気難しい空気を醸しながら二人で歩いていると、事務所からルワンが顔を出した。
「総司、電話だ。アメリカからだ。」
「アメリカから?」
「責任者と話がしたいってさ。」
「責任者か…重い言葉だね。」
「応対、頼んだ。」
事務所で電話を受けると意外な人物からの電話だった。
『やぁ。久しぶりだね。先週も連絡したんだが、忙しかったみたいだね。あ、僕のこと覚えてる?』
「東京のミズガミでご馳走になったね。覚えてる。」
『ホテル・モスクワの大頭目に繋ぎを取りたいって噂を小耳に挟んでね。』
「随分いい耳してるんだ。」
『そう言う仕事だからね。僕たちは耳と目が商売道具と言っていい。』
「で、紹介状はいくらで貰えるのかな?」
『父上の友人の様に駐在員を君たちの街に置きたくてね。』
「考慮する。それくらいの返事しかまだ出せない。」
『じゃあ期待させてもらうね。紹介状は共通の友人が届けてくれるよ。』
「わかった。」
数日して事務所に来客があった。ダイスラーとルワン、キャクストンを連れて応対した。応接セットに座る紳士とクルツコワさんが居た。
「クルツコワさん、お久しぶりですね。ご無沙汰です。」
「えぇ。随分と大きくなったわね。おばさん驚きだわ。」
「共通の友人ですか。驚きました。」
「紹介するわ。ブーゲンビリア…ホテルモスクワ大頭目ゲオルギー・デニーギンよ。」
「ゲオルギー・デニーギンだ。」
父の友人は本当に繋いでくれたらしい。何か応えるべきだろう。
「率直に申し上げる。数名殺害した。だが、彼女たちはホテルモスクワの最大戦力と聞いている。」
「その通りだ。」
「無傷ではないが、その戦力の多くを生きたまま捕虜にしている。これは父の方針だ。その方針を堅守して我々は多くの負傷者を出した。」
「お伺いしている。」
「我々の街も多くの犠牲を払った。父の意を汲みたいと思う。」
「意、とは?」
「俺たちの街から、この街から出てくのが一つ。だが、別の道もある。」
「それは朗報ですね。我々に選択肢があるというのは。」
「では、本題の前に一つ言わせていただく。貴様らどこに座っている?敗者は地べたに平伏して慈悲を乞うたらどうだ?露助。」
睨みつけると二人は驚きながら床に平伏した。当たり前だ。
「貴様らにもう一つ示す選択肢は我々アクシズ傘下となり、ロアナプラから消えること。それが出来ないと言うのならバラライカ以下、捕虜は骨壷で帰っていただく。」
ホテルモスクワとのお話が丸く収まってお引き取りいただいたところで、事務所に戻った俺には仕事が残っていた。
「義父さ…ダイスラー。いいかな。」
「なんでしょう?」
「ダイスラーはトーゴーを殴ったよね。」
「殴りました。」
「あれを許すわけにはいかない。」
「はい。そうでしょう。」
「ちょっと待て。総司あれは…」
「キャクストン、総司が話しています。」
「だが、俺たちはヤクザです。指揮権を継いだのは自分です。代表代行として言い渡します。モンテナ・フォン・ダイスラー、引退してくれ。」
「わかった。引退する。」
「後継はオスカーに。」
わかってる。みんなが二代目と思ってくれている。だから、俺が言えばなかったことに出来た。ここまでは父さんの意思だろう。
数日が経ってから、みんなを集めた。必要だと判断した。父さんの話し方を意識して、言葉を続ける。
「今回の騒動、みんなの協力に感謝する。ありがとう。」
まばらに拍手が聞こえた。
「知っての通り、父トーゴーは意識がない。よって自分がアクシズを預かる。肩書きは…総代とする。今日からの新体制を発表したい。」
そう言って俺は以下の人事を公表した。
若頭オスカー・フォン・ダイスラー
最高顧問バザーク・ルワン
若頭補佐アレク・クローゼ
若頭補佐シェーン・キャクストン
幹部レイモンド・マクドゥガル
幹部ナイトハルト・ブルクドルフ
幹部メモ・アンドラス
「以上の体制で今後、アクシズを運営したい。すまないがヤクザとしてまとめた。今後もやる事も内容も変わらない。よろしく頼む。」
頭を下げると歓声が聞こえてきた。ありがたい。これが父さんの遺してくれたモノか。改めてその大きさに戸惑う。
事務所に戻るとオスカー、ルワン、アレク、キャクストンが待っていた。
「総司、三合会が連絡を寄越してた。マフィア連中が状況の説明を求めてる。」
「今はそれどころじゃないだろう。」
「キャクストンさん、必要です。総司の言葉は今もトーゴー並みに効きます。」
「ですね。オスカーの言う通りです。」
四人が口論を続けるのを受け流しつつ、頭を回転させる。今必要なのは何か。どうすればいいのか。
「三合会、マニサレラ、コーザ・ノストラの代表者を集めよう。明日の夜、チャルクワンにあるローワンのストリップバーのVIPでだ。」
「そんなところで集まるって…いいのか?」
「ルワンさん、あそこはうるさい。そして、人目も多い。そして、会合とは思われない。」
「なるほど。賢い選択だと思う。」
ルワンの疑問をキャクストンが解決したところで、オスカーとアレクは黙ってくれた。こう言う時、年長者の言葉は俺たち若輩には響きやすい。何より一般人だったルワンの価値観は見失うべきではないし、キャクストンの冷静なモノの見方は学ぶべきことが多い。
翌日、陽も暮れて盛場が盛況を極めた頃、四つの組織のトップがストリップバーのVIPルームに集まった。ローワンの店は今日も繁盛している。いいことだ。
「今日の演者はそんなに魅力あったかね。なんでこんな店に呼ばれたんだ。」
「アブレーゴ、そう茶化すな。アクシズの招集だ。俺たちには是非もない。」
「だが張、ここはどうなんだ。」
「ヴェロッキオの疑問に答えるとうるさくて、人目が多い場所にある個室ってのが重要です。今後皆さんと会うのはここです。」
「で、二代目の要件は?」
張の言葉で三人がこちらへ視線を寄越してくる。答える義務があるだろう。
「アクシズの二代目を代行することになりました。今回の協力に感謝を。」
「そうじゃねぇ。ロシア人を叩き出したのはいいが、どうまとめた。そこが問題だ。」
「アブレーゴの言う通りだ。この街にいる以上、協力するのはいい。だが、俺たちのも危ねぇ目は見てる。仕切るってなら説明は欲しいぞ。」
「ホテルモスクワはアクシズの傘下となります。上納金も納めさせます。これはみんなにそれぞれ割り当てます。そこで皆さんに提案します。」
みんなが黙ってこちらを見ている。どう言う思いの視線か測りかねるが、一身に受けて言葉を続ける。
「ここにいる全員の国許に確認をとっていただきたいことです。三合会、マニサレラ・カルテル、コーザ・ノストラ、そしてアクシズ。全組織がソヴィエト…ロシアに拠点を持ちます。」
全員の驚愕しているは解るが、俺たちにしては本土決戦だった。自分の領土を守っただけだ。シマは広がっていない。最大の報酬は土地、占領地域の拡大だ。それを与えるのも上に立つ者のの仕事だ。
「不満かね?」
こうしてロアナプラをもう一度まとめた。
更新は遅いです。
申し訳ありません。
もしよろしければ、またお付き合いください。