起きたら仁義なき転生、それから。   作:函南

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感想、お気に入り、ここすき、評価、ありがとうございます。

ジョン・マクレーン…あまり本編に関係ないです。多分。
話作ってる時に見てる番組からちょいちょい、小ネタ引っ張っています。
過去にも色々出てますw


背徳の発火

『ディスクは回収、夕方にはドックに戻る手筈だ。死人は双方なし。好きだろう、アクシズは。』

 

「そう言わないでくれ。状況によるんだ。理由なき殺しをしないだけで。」

 

『それと二つばかり、レヴィが欲を掻いてな。一人攫っちまった。』

 

「それは預かり知らんことだ。欲しい物は取り扱いがあれば売ろう。あとは?」

 

『ハシェクが明日まで香港らしいんだ。ディスクは予定日まで預かりでいいのかな?』

 

「そうだな。ことはラグーンとブーゲンビリアの契約だ。持ってて貰っていい。依頼主もいない事だし、俺が慰労しよう。」

 

『いいのか?』

 

「あぁ。イエローフラッグで夕方過ぎに。」

 

『期待させてもらう。』

 

ダッチの報告は慶事、すると凶事がやって来るのは世の理と言う。ダッチの連絡からしばらく、今日はざる蕎麦を堪能した後にオスカーが凶事を持ってきた。

 

「総司、日本の旭日重工って会社からうちの警備会社の方に接触がありました。」

 

「直接?何用で?」

 

「東南アジアで海賊に奪われた重要資材を奪還、あるいは無くして欲しいという依頼です。」

 

「手当たり次第声かけてるのか…それで?」

 

「断りましたよ。」

 

「だろうな。次点で声をかける先はどこだ?」

 

「東南アジアで緊急展開出来るのはエクストラ・オーダーか、HCLIでしょう。十中八九、前者でしょうね。」

 

「HCLI?海運業者だろ?」

 

意外な名前が出てきたことに驚いた。キャクストンの認識は正しいし、確かオロホフさんの商売仇だったはずだ。

 

「最近、湾岸帰りの米兵を複数、抱えていると報告がありました。」

 

「湾岸帰りか。うちにも入社希望が来ているが、優秀だ。」

 

「キャクストンが優秀と言うなら優秀なんだろうね。で、エクストラ・オーダーは?」

 

「筋金入りの傭兵だ。正規軍経験はあるんだろうが、少々賊っぽいな。アフリカによく行ってる印象がある。うちとはカチ会ってないが、噂は聞いてる。」

 

「どちらにせよ厄介だね。」

 

「その二社なら今日中にでも来ると思いますが、どうします?」

 

「外回りしてる連中に、そう言った連中を見ないか聞いておいて。あと、夕方から夜にダッチと会う。イエローフラッグで。そこに一個分隊くらい置いておこう。」

 

「承知しました。チャドに言い含めましょう。」

「わかった。レイは香港だから俺が出よう。」

 

「では、そう言うことで。レイは夜勤になるだろうから、誰かに任せて上がっていいよ。」

 

「そうする。」

 

 

日もくれた頃、ルワンがいないので代わりに業務を片付けて出かける。オスカーからの報告に目を通してて、少し遅れてしまったが、まぁ許容範囲だろう。

 

「そぉじぃ〜。たまにはうちにも来てよぉ〜。」

「今日は一人かい。どう?」

「先代は元気か?退院したんだろう?」

 

街を歩けば知った顔に声をかけられる。父さんが作った信用は、今も自分にも向けてもらえている。かけられた言葉に一つ二つ返しながらイエローフラッグに入っていく。騒がしい店内は、結婚式の二次会を思い出す。カウンターに見慣れた三人と一人を見つけて、お邪魔する。

 

「ダッチ待たせたね。お疲れ様。ちょっと悪い知らせがある。あ、バオ。僕にはシンハーを。」

 

「聞いておこうか。ところで俺と僕を使い分けしてるのか?」

 

「仕事中は俺、オフは僕。こっちが本性かな?」

 

ダッチのグラスにシンハーをぶつけて一口飲む。

 

「で、悪い知らせは?」

 

「オスカーが旭日重工とE.O社が契約したのをキャッチした。そこのサラリーマンが想定外?」

 

「E.Oか。そりゃ美味くないな。それでキャクストンの旦那たちがここにいるってのか。」

 

「そう。この仕事を流したのはうちだからね。レヴィ、もっと後先考えてくれ。」

 

「そんなこと言うなら景気いい仕事回せよ‼︎総司のところ儲かってるだろ‼︎」

 

「がならないでよ。ここは酒場。」

 

「あんた、日本人かい?」

 

四人のうち、見慣れない一人に声をかけられる。やっぱり日本人だった。

 

「東郷総司だ。日本には行ったことあるけど、この街の生まれだ。刺青は父のを真似たんだ。」

 

「ロック、総司はこう見えてこの街を仕切る二代目だ。先代を継いで、この仕事をうちに流したのも彼さ。」

 

「え、じゃああんた…」

 

「ヤクザだよ。見えないかい?そう言えば日本で見たヤクザはみんなスーツだったね。僕は基本、アロハとカーゴだ。」

 

「くだらねぇ話より、そんなもん飲んでるなよ。ビールなんて小便、男ならラムだろ?」

 

「僕はやらないよ。温いビールは馬の小便だが、冷えたビールは仕事終わりに効く。やるならそっちの…」

 

「岡島緑郎、なぜかロックと呼ばれ始めて…」

 

「ロックとやってくれ。俺はベニーに少し話がある。」

 

「ちぇー…しけてんな。」

 

「ここは僕の奢りなんだ。文句つけるなよ。」

 

そう言ってレヴィとロックの飲み比べが始まり、店中が沸き立つ。カジノで胴元をやっている小太りの男が「賭けにしていいか?」と聞いてきたので、快諾した。ちなみに僕はロックに賭けた。日本のサラリーマンを舐めるな…いいセリフじゃん。

 

「で、ベニー。君の火遊びが原因で、アメリカから来客があった。問いただすつもりも、引き渡すつもりもない。が、問題になりそうな事は一言欲しかったね。」

 

「それは済まなかった。まだ追われるとは…思ってなかった。」

 

「ベニーの件はこっちも悪い。手間かけさせて済まんな。」

 

「しかも来たのがあのマクレーン…ナカトミの英雄だ。サイン貰っておけば良かった。」

 

「総司、茶化してるのか?」

 

「面白いじゃん、ジョン・マクレーン。会いたくて会える相手じゃない。」

 

先日の出来事で盛り上がっていると、キャクストンが耳打ちしてきた。腰からワルサーを引き抜いてスライドを引く。

 

「全員伏せろ‼︎敵襲だ‼︎状況開始‼︎」

 

キャクストンが叫ぶか、うちの連中がカウンターに飛び込むのが早いか、手榴弾が放り込まれた。

 

「グレネード‼︎物陰に隠れろ‼︎キャクストン‼︎全員排除だ‼︎」

 

「諒解‼︎死にたくない奴らは伏せてろ‼︎窓から応射だ‼︎」

 

店のボトルが弾けて、天井のファンが落ちてくる。AKの銃声と、キャクストンたちのMP5の音が混じっている。多分、敵は20人以上いる。

空になった、マガジンを抜いてリロードする。

 

「ダッチ、帰りついでに手伝ってくれ‼︎」

 

「OK。レヴィ、二丁拳銃は伊達じゃねぇってところ見せてやれ‼︎」

 

「おうよ‼︎キャクストンの旦那に加勢する‼︎」

 

「あ、バオ…ごめ…」

 

「おめぇら…何回俺の店壊すんだ‼︎ケツ穴溶接して新しくこさえてやるぞ‼︎」

 

「弁償する‼︎弁償するから‼︎だからそれは勘弁‼︎」

 

「店は包囲されている‼︎ギーン、退路を作れ‼︎」

 

キャクストンが叫ぶと三人が店の裏口へ回り、銃撃を始める。ダッチの指示で、カウンターから飛び出した。

 

「総司‼︎退路は確保した、ラグーンの連中は裏から出ていけ‼︎」

 

キャクストンたちが作った退路を辿って、四人が這いつくばって出ていく。

 

「ダッチ‼︎とりあえず退き口は用意してる‼︎どっか逃げてくれ‼︎」

 

「たまには命のかからない仕事がしたいもんだ。よし、ずらかるぞ‼︎」

 

「キャクストン、ワルサーの弾ない?」

 

「予備は‼︎」

 

「ごめん。マガジン二本しか持ってなくて…」

 

「落ち着いたら再教育だ‼︎甘い‼︎」

 

 

しばらくの銃撃戦の後、敵が退いていく。まばらな銃声も止んで、周囲を見渡す。

 

「キャクストン、被害報告と負傷者の手当を。外に転がってる連中は?」

 

店に転がっている民間人を手当するのを横目に見つつ、窓の外に目をやる。

 

「敵18名殺害、民間人の負傷者は9名、こちらはかすり傷程度、イエローフラッグは…修繕の必要あり。今、装備と所持品から素性を見てるが十中八九、E.Oだ。小銃はAKで拳銃はコルト、投げ込まれたグレネードはアップルに見えた。西側東側と統一性がない。HCLIは西側の装備を使うとオスカーの報告にあった。」

 

「報告通りだね。チャドから報告がなかったって事は陸路で来たんだろうな。」

 

「陸路で入られてはどうにも報告が遅れる。通信手段の再考が必要だな。」

 

「今後の課題にしよう。」

 

「今後の課題の前に俺の店だ‼︎先代の助言に従って、銃の持ち込みを禁止にしたら丸腰の人間めがけて強盗は来るわ、その息子は俺の店をアフガニスタンと勘違いするわ、お前ら親子はどうなってるんだ‼︎」

 

「そう言えばカウンターの防弾板、随分奮発したな。」

 

「50キャリバーまで行けるぜ。」

 

「総司、今後の課題と言えば再教育です。」

 

「うちの弁償もな。」

 

二人に問い詰められてたじろいた。すごすごと店の掃除に精を出して誤魔化す。

 

「弁償は早々に…請求書はうちに。再教育はその内…」

 

「レイが戻り次第、受けて貰う。襲撃の想定をしておいて、予備マガジンが二本とは平和ボケも大概だ。」

 

「大変だな二代目も。請求書回しておくぜ。」

 

こうしてE.Oの襲撃を退けたものの、ダッチたちの行方が気になる。多分一度、海に逃げたはずだ。

 

「ダッチの使ってる乾ドックに一個分隊回そう。多分、海に逃げてる。ドックに待ち構えてる連中がいるかも知れない。」

 

「諒解した。アンドラスを向かわせる。ラグーンの連中は?」

 

「逃げ先がわからない。海に出ているだろうから、そこら辺は自分たちで対応出来るだろう。ハシェクは?」

 

「ルワンに連絡を取りました。こちらに向かっています。」

 

「昼には決着するかな。」

 

「まもなく日付が変わる。E.Oの連中は今、追跡している。追撃するか?」

 

「街の外に出るのを確認したら、もう放置でいい。」

 

そこまで指示したところで、珍客が現れた。

 

「おいおいこりゃどう言う事だ?ここはモガディッシュか?」

 

「総司、銃撃戦があったと聞いてな…すまん。」

 

「ワトサップ、我が社の護衛対象が外部勢力により襲撃を受けた。我々は敵部隊を撃退、街の外に追い出すことに成功した。報告は以上だ。」

 

「そうか。それは災難だったな。であるなら…問題はなさそうだな。」

 

「問題ない⁉︎なに言ってんだ?この薬莢は5.45mm、こっちの痕跡はグレネードの炸裂痕でここにいる連中は短機関銃をぶら下げて、外には死体の山だぞ‼︎」

 

「俺にはド派手なパーティーをやったようにしか見えないね。マクレーン警部補、君の捜査権は探している人物に限られる。ここで起きた事は君には関係のない事だ。帰るぞ。」

 

ワトサップと、それに食い下がるマクレーンを眺めながらバオに振り返る。

 

「厄介事が絶えない。困ったもんだよ。」

 

「マクレーンって…ナカトミビルの?」

 

「それだ。ベニーを探しに来たらしい。近いうちに帰ってもらう。」

 

「総司も大変だな。」

 

憐憫の眼差しを背負って店を後にする。ダッチがうまく逃げてくれる事に期待するばかりだ。

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