『これは誰もが幸せになるロマンチックな物語』   作:綾瀬~><

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一葉落ちて天下の秋を知る

 

 ある日、三時のおやつに出したナツメヤシキャンディを食べたアナクサゴラスが爆弾発言をした。

 

 

「ブエル先生、悪いことは言わないので味覚検査してもらいましょう」

「どうして????」

 

 

 世界一美味しいナツメヤシキャンディを食べて何を言う?それと私の味覚は正常だ、ちゃんと甘さも辛さも感じる。

 

 落ち着いてアナクサゴラスの話を聞くに、どうやら甘すぎるらしい。そうか?とナツメヤシキャンディを齧るが、特別甘ったるいという訳でもない。

 やっぱり私はおかしくないはず……なんか不安になってきたな。次の黄金裔女子会にナツメヤシキャンディを持って行って、確認してもらおう。

 

 

 

 

 日を跨いで、黄金裔女子会にて。

 参加者はトリスビアス・アグライア・キャストリスだ。ケリュドラとセイレンスは時間が合わなくて不参加、ナツメヤシキャンディを届けに来て欲しいとのこと。閑話休題。

 

 私は三人に簡単な経緯を説明して、ナツメヤシキャンディを皆の前に置く。いつも通りのレシピで、いつも通りの味を持ってきたから公平な判断が下されるはず。

 

 

「ということがあって……私の味覚がおかしくないか皆に確認して欲しくて持ってきたの」

「これが、あのナツメヤシキャンディですか……」

「ルカちゃんのナツメヤシキャンディだ!久しぶりに食べる!」

「噂の先生特製ナツメヤシキャンディとはこれですか」

 

 

 約二名反応がおかしいけど、とにかくこれで私がおかしいのかアナクサゴラスがおかしいのか判明する。

 紅茶と共に全員がナツメヤシキャンディを齧る。

 

 

「んんん〜〜〜!美味ちい〜〜!ルカちゃんの作るナツメヤシキャンディが世界で一番美味しいよ!」

「……すごく美味しい、ですね。味が何層にも変化しているような、そんな味がします」

「初めは甘すぎると思いましたが、ナッツとの相性もよく、癖になりますね」

 

 

 満場一致の大好評。

 やっぱりアナクサゴラスの味覚の問題か?と思っていると、三人が顔を見合せて言った。

 

 

「「「ただ……」」」

 

「最初は甘すぎるかも?」

「齧ってすぐ、甘さにちょっと驚きました」

「初めに強い甘さがくるので、甘いのが苦手な方は好まないかもしれませんね」

 

 

 ナツメヤシキャンディの醍醐味である“甘さ”が問題だったなんて……。

 大量の砂糖とナッツを使ったナツメヤシキャンディは独特な強い甘さがある、それがナツメヤシキャンディの良さなのだが甘いのが苦手な人は確かに好みじゃないだろう。

 それじゃあ、アナクサゴラスには悪いことしてしまったかもしれない。あの反応からして甘いものが苦手なのだろうし。

 

 毎日の三時のおやつタイムはきっと苦痛だったのかも、帰ったら謝ろう。絶対に。

 

 

 

 家に帰り、さっそくアナクサゴラスに手を合わせて謝った。

 

 

「ごめんなさい、アナクサゴラス。甘いのが苦手なのに、ナツメヤシキャンディを食べさせちゃって……」

 

 

 困惑するアナクサゴラスに畳み掛けるように、三時のおやつタイムは辛くないか?辛いなら無くそうか?これからナツメヤシキャンディを出さないようにする。と言っていたら、突然、顔を鷲掴みにされる。

 

 突然の暴力。もしかして:今から殴られる。

 

 すると、アナクサゴラスがぽつりと小さく何か呟いた。あまりにも小さな声だったから、思わず聞き返すとムッとした顔をしたアナクサゴラスが叫んだ。

 

 

「あ、アナクサゴラス?」

「だから!別に嫌じゃないって言ってるんですよ!

ナツメヤシキャンディも、甘いのも、三時のおやつも嫌じゃないです!私の話も聞かずに勝手に無くそうとしないでください!!」

 

 

 あれはただ心配してのことで〜、と必死に弁明するアナクサゴラスに、なんだか面白くなってきて思わず笑ってしまった。

 なんです?と睨みつけられるが、赤くなっているせいで怖くもない。そっか〜、嫌いじゃなかったのか〜。

 

 

「今日の三時のおやつはパンケーキにするんだけれど、アナクサゴラスは食べる?」

「……バニラアイスもつけてください」

「イチゴは?」

「……いります」

 

 

 パンケーキは外カリ中ふわの二枚重ね、バニラアイスとイチゴ、それからたっぷりかけられたシロップはとても美味しかった。

 

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