ヒカルの碁:奈瀬明日美(中身:社畜おっさん)は、脳内のKataGo先生と最強のスローライフを目指したい 作:高山 虎
時は二〇一五年。
奈瀬明日美が進藤明日美となってから、すでに七年という歳月が経過していた。
初夏の爽やかな風が、都内の閑静な高級住宅街に建つ一軒家のカーテンを揺らしている。
「ヒカル、ミライを幼稚園に送る時間よ」
キッチンで手際よく朝食の片付けを終えた明日美は、リビングで上着に袖を通している夫に向けて声をかけた。
「ああ、わかった。行ってくるよ。ほらミライ、行くぞ」
「うんっ! パパ、いこー!」
かつては前髪だけを金髪に染めたヤンチャな少年だった進藤ヒカルも、今や二十代後半。落ち着いた黒髪に仕立ての良いスーツを着こなし、日本囲碁界の頂点たる五冠王として君臨する立派な青年へと成長していた。彼は愛娘のミライをひょいと抱き上げると、妻である明日美に向かって優しく微笑んだ。
「じゃあ、行ってくる」
「ええ、いってらっしゃい。気をつけてね」
玄関先で夫と娘を見送る明日美の顔には、穏やかな母性と妻としての深い愛情が満ち溢れていた。
かつて、この美しい肉体の中には、四十二歳のくたびれたサラリーマンの魂が宿っていた。会社と安アパートを往復し、安い発泡酒を飲みながら愚痴をこぼすだけの、冴えない中年男性の意識。
しかし、人間の精神というものは、器(肉体)と環境によっていかようにも変化し、適応していくものである。女性としての体で成長し、ヒカルという一人の青年と深い絆を結び、妊娠、出産、そして子育てという劇的なライフイベントを経験する中で、かつて確かに存在した「おっさんとしての自我」は、まるで水彩画が水に溶けていくように薄れ、今では完全に消え去っていた。
現在の明日美の心の中に、男性としての意識はほぼ残っていない。自分がかつて別の世界線でサラリーマンをしていたという事実は覚えているものの、彼女は完全に、夫を愛し娘を慈しむ一人の「女性」であり、「母親」であった。
なぜ、奈瀬明日美と進藤ヒカルは結ばれたのか。
その決定的なターニングポイントは、八年前にまで遡る。
当時、ヒカルの背後に憑依していた平安の天才棋士・藤原佐為は、明日美の脳内に宿る未来の超絶囲碁AI『KataGo』と幾度となく対局を重ねていた。
KataGoの理不尽なまでの圧倒的な効率性の前に、佐為は己の千年の経験と直感を総動員して挑み続けていた。互先(ハンデなし)ではまったく歯が立たないため、ハンデをつけ、徐々に減らしていき、ある夜、ついに『一子置き(定先)』——つまり、コミなしの黒番という条件で対局が行われた。
静寂の中、パチン、パチンという碁石の音だけが響き渡る。
その日の佐為の気迫は、尋常ではなかった。彼が放つ一手一手には、平安から現代に至るまで、彼が愛し、焦がれ、追求し続けてきた「囲碁の真理」のすべてが込められていた。KataGoの冷徹な計算を、人間の持つ泥臭い執念と、神がかった直感が上回ろうとしていた。
そして、二百三十手目。盤面がすべて埋まり、整地が行われた結果。
『……黒、一目勝ち』
KataGoのホログラムが、自らの敗北を告げた瞬間だった。
「さ、佐為……? 勝ったのか……! お前、あのバケモノに定先で勝ったぞ!」
ヒカルが歓喜の声を上げたが、佐為は静かに扇子を置き、満ち足りた、この世のすべてを悟ったような穏やかな微笑みを浮かべていた。
『……そうか。この碁を見せるために、私は……』
佐為の霊体が、足元から徐々に光の粒子となって溶け始めたのだ。
「えっ……? 佐為、お前、体が……!」
『ヒカル。奈瀬殿。……楽しかった。本当に、楽しかった』
神の一手という永遠の呪縛から解き放たれた彼の魂は、ついに本来還るべき場所へと向かおうとしていた。
「待てよ! 佐為! まだだ、まだ一緒に打てるだろ! 行くな!」
ヒカルの悲痛な叫びも虚しく、藤原佐為という偉大な天才の霊は、光となって完全に消え去ったのである。
その後数ヶ月間、ヒカルは深い絶望の淵に沈んだ。食事も喉を通らず、碁盤の前に座ることもできなくなり、ただ部屋の隅で虚空を見つめる日々。彼にとって、佐為は単なる師匠や幽霊ではなく、魂の半身そのものだった。
そんなヒカルを、明日美は決して見捨てなかった。
毎日ヒカルの部屋に通い、食事を作り、ただ隣に寄り添って背中を撫で続けた。ボロボロになりながらも必死に立ち直ろうと足掻くヒカルの姿を一番近くで見つめ続けるうちに、明日美の心の中に、確かな「愛情」と「女性としての母性」が芽生え始めていた。
「ヒカルくん……私がいる。佐為の碁は、君の中に生きている。そして、私の頭の中にある神の碁も、全部君にあげる。だから……一人にならないで」
泣き崩れるヒカルを抱きしめた、ある雨の夜。
そこから先は、なんやかんやここでは言えないような熱を帯びた夜を重ね、若い二人の距離は劇的に縮まり、深く結ばれることとなったのである。囲碁という共通の言語と、佐為という共有の秘密を持った二人が、互いの魂を支え合う伴侶となるのに、そう時間はかからなかった。
「さて、と。洗濯機を回しちゃおうかしら」
回想から現実へと戻り、明日美はエプロンの紐を結び直した。
現在、明日美はかつて思い描いた通りの、完璧な「スローライフ」を満喫していた。彼女が表舞台に立つのは、一年のうち、たったの「三回」だけである。
かつて彼女が棋院上層部とスポンサーを丸め込んで設立した『ワールド・チャンピオンシップ・チャレンジマッチ(通称:奈瀬杯)』。年に一度、日本、中国、韓国の各国から厳しい予選を勝ち抜いたトップタイトルホルダーが一名ずつ選出され、それぞれが明日美と三番勝負を行うという、世界最大の囲碁エキシビション興行である。
彼女の仕事は、この年に合計九局(最短で六局)の対局を行うことのみ。それ以外の三百五十日以上は、完全に自由な専業主婦としての生活を謳歌していた。
もちろん、対局となれば容赦はない。
世界中から「打倒・奈瀬」を掲げて挑んでくる各国のトッププロたちを、明日美は脳内のKataGoの100%出力で冷酷無比にボコボコにして粉砕し続けていた。
結婚し、出産を経た現在でも、エキシビションマッチにおける彼女の勝率は『一〇〇パーセント』。公式戦時代からの無敗記録は未だに途切れていない。
世間の人々、そして世界中のプロ棋士たちにとって、奈瀬明日美(進藤明日美)はもはや人間の枠を超越した「絶対に倒せない天上の神」として、畏敬の念とともに祀り上げられていた。彼女の対局が配信される日は、世界中で数億人がその神業に熱狂し、莫大な放映権料が彼女の口座を潤し続けている。
掃除機をかけ終え、ふとテレビの電源を入れた明日美の耳に、ニュース番組のアナウンサーの緊迫した声が飛び込んできた。
『——速報です。イギリスのAI開発企業が開発した囲碁の人工知能ソフトウェア【OmegaGo】が、韓国のトップ棋士であるイ・ソンドル九段と五番勝負を行い、結果、四勝一敗でOmegaGoが勝利を収めました』
「……えっ?」
明日美はリモコンを持ったまま、テレビ画面を食い入るように見つめた。画面には、青ざめた顔で記者会見に応じる韓国のトッププロの姿と、自信に満ち溢れた開発会社のCEOの姿が映し出されていた。
『……開発会社のCEOは、会見で次のように述べています。「AIはすでに、人間が勝利できる段階を突破しました。これからはAIの時代であり、人間はAIから囲碁の新たな真理を学ぶことになるでしょう」と——』
明日美は、ほうっと息を吐き出した。
「そうか……もう、そんな時代なのね」
二〇一五年。ついにKataGo以外の、自律的に学習を行った本物のAIソフトウェアが世に放たれ、人間のトッププロを打ち破ったのだ。
画面の向こう側の世界では、人類がAIに敗北したという事実に対して、悲鳴にも似た報道が繰り返されている。
しかし、日本を含む世界の囲碁界のプロ棋士たちの反応は、現実の歴史におけるそれとは少し異なっていた。イ・ソンドル九段が敗れた棋譜を確認したプロ棋士たちは、絶望や未知への恐怖というよりも、どこか奇妙な「既視感」に包まれていたのである。
『……おい、このOmegaGoの打ち回し……』
『ああ。ダイレクト三々に、星へのツケヒキ。序盤からの中央への肩ツキ……』
『これ、見たことがないわけじゃない。なんか……奈瀬先生の「奈瀬流」の一手に、そっくりじゃないか?』
そう、この世界のプロ棋士たちは、突如現れたAIの打ち筋に対して「無免疫」ではなかったのだ。
彼らは、奈瀬明日美という理不尽な天上の神が叩き出す『異常な棋譜』を、すでに十年以上にわたって血を吐くような思いで研究し続けてきた。人間が忌み嫌うような手をAIがいかにして効率へと変換するのか。その「AI流(奈瀬流)」の真意を解き明かすために、日中韓のトッププロたちは人生のすべてを捧げてきたのである。
だからこそ、OmegaGoの棋譜を見た彼らの感想は、「理解不能なバケモノ」ではなく、「奈瀬先生の劣化版……いや、奈瀬先生の背中を追いかけている途中のような碁だ」というものであった。
とはいえ、劣化版であろうとなんだろうと、人間のトッププロが圧倒的な計算能力の前に敗れたという事実に変わりはない。
「ヒカルは……大丈夫かしら」
少し心配そうな瞳で、テレビ画面を見つめる明日美。開発会社のCEOの傲慢ともとれる発言は、世界中の囲碁ファンとプロ棋士たちのプライドを深く傷つけたはずだ。
案の定、翌日のニュースはさらに世界を騒然とさせるものだった。
『OmegaGoの開発会社が、人類に向けて声明を発表しました! 「挑戦者求む。AIに勝たんとする、真のトップ棋士はいないか」とのことです!』
この挑発的なオープンチャレンジに対し、世界中の囲碁界は重苦しい沈黙に包まれた。
韓国のトップ棋士が敗れた事実は重い。プロ棋士たちはOmegaGoの手筋に既視感を抱いてはいたものの、「奈瀬流と似ているということは、人間には到底勝ち目がない計算のバケモノだ」という事実を誰よりも痛感させられていたため、ほとんどが及び腰になってしまったのだ。
しかし。
世界中が沈黙する中、ただ一人、堂々と立ち上がった者がいた。
日本棋院で緊急記者会見を開き、無数のフラッシュの雨を浴びながら、鋭い眼光で前を見据える青年。現在、日本の七大タイトルのうち五つを保持し、世界最強のプロ棋士の一人として君臨する男。
明日美の愛弟子であり、最愛の夫である、進藤ヒカルであった。
「オレがやります」
ヒカルは、テレビカメラに向かってはっきりと、力強く宣言した。
「OmegaGoがどれほど強いかは、棋譜を見てだいたい分かりました。……でも、悪いけど、オレはあいつよりも遥かに強くて、絶望的に完璧な『神様の碁』と、もう十何年も打ち続けてるんですよ。だから、機械の計算に人間の碁が劣っているなんて、絶対に認めない。オレがヤツの鼻を明かしてやります」
ヒカルの挑戦表明に、世界中は熱狂と不安の入り混じった渦に巻き込まれた。
「進藤五冠なら、あるいは……!」
「いや、やはり機械には勝てないのでは……」
議論が白熱する中、ヒカルはただ静かに、その日を待った。
十年間、誰よりも近くで奈瀬明日美の「神の碁(KataGo)」を肌で感じ、彼女の指導碁を最も深く吸収してきた男。さらに、ヒカルの碁の根底には、平安の天才・藤原佐為から受け継いだ「直感」と「執念」が息づいている。
AIの効率性と、人間の泥臭い閃きが融合した究極のハイブリッド棋士。それが、現在の進藤ヒカルであった。
挑戦表明から二ヶ月後。東京の高級ホテルに特設された対局会場は、世界中から集まったメディアと、歴史的瞬間を見届けようとする人々の熱気に包まれていた。
盤を挟んで向かい合うのは、進藤ヒカルと、OmegaGoの代打ちを務める開発者の男。
『世紀の対決、五番勝負・第一局が始まります!』
自宅のテレビでその中継を見守りながら、明日美は手を組んで祈るように画面を見つめていた。彼女の脳内では、KataGoがすでに猛烈な勢いで盤面のシミュレーションを開始している。
(いけるわ、ヒカル……! OmegaGoのバージョンは、確かに強い。でも、私の頭にいるカタゴ先生の完全体にはまだ及ばない。今のヒカルなら、絶対に互角以上に戦えるはず!)
第一局。
OmegaGoの放つ、人間には理解しがたい中央への巨大なボウシ。世界中のファンが息を呑む中、ヒカルは微塵も動揺しなかった。
(……こんな手、明日美との対局で嫌というほど見せられてきたぜ。……いや、明日美なら、もっと厳しくこっちの急所を抉ってくる。コイツの底は、見えた!)
ヒカルはノータイムで、OmegaGoの意図を完全に無力化する急所へと石を打ち下ろした。
パチン!
その小気味良い音が響くたび、OmegaGoの評価値グラフが細かく揺れ動く。
「おおおっ! 進藤五冠、OmegaGoの猛攻を完全に読み切っている!」
「AIの奇手に対して、まるで何十回も経験したかのように的確にサバキを見せているぞ!」
第一局は、ヒカルがOmegaGoの攻めを完璧にいなしきり、中押し勝ちを収めた。世界中から地鳴りのような歓声が上がった。
しかし、AIもまた学習し、進化する化け物である。第二局、第三局は、OmegaGoがヒカルのハイブリッドな打ち筋に対応し、恐るべきヨセの正確さを見せつけて逆転で連勝した。
「やはり、機械の計算能力には人間は勝てないのか……」
世界に再び絶望の空気が漂い始めた第四局。後がないヒカルは、ここで「佐為の遺産」を爆発させた。AIには計算しきれない、盤面全体に張り巡らされた「気合」と「手厚さ」の碁。人間の直感でしか見出せない、確率論の死角を突く『神の一手』に近いワリコミ。
OmegaGoの評価値が突如として急降下し、システムがバグを起こしたかのような悪手を連発し始めた。
「OmegaGoが……崩れた! 進藤五冠、執念の勝利で二勝二敗のタイに持ち込みました!」
そして迎えた、運命の最終・第五局。
この一局の勝敗が、人類のプライドと未来を決める。
ヒカルの顔には、極度の疲労が色濃く表れていた。AIとの連日の死闘は、人間の脳と肉体を限界まで削り取っていた。しかし、その瞳だけは、かつて佐為とともに盤面を見つめていたあの頃と同じ、純粋で強烈な光を放っていた。
序盤から、両者は一歩も引かない大乱戦となった。
OmegaGoが冷酷な確率計算に基づき、盤面を切り裂くような鋭いツケを放つ。対するヒカルは、明日美から教わったAI流(奈瀬流)のシノギの技術を完璧に駆使し、ギリギリのところで致命傷を避けながら、反撃の糸口を探り続ける。
五分五分。互いの勝率が激しく上下に揺れ動く、まさに死闘。
(頑張って……! ヒカル!)
テレビの前で、明日美は思わず立ち上がり、画面に向かって叫んでいた。彼女の視界に展開されるKataGoのホログラムも、ヒカルの放つ手がいかにAIの最適解に肉薄しているかを証明するように、青い光を点滅させ続けている。
百八十手目。
盤面中央での、複雑怪奇なコウ争い。OmegaGoが、その圧倒的な演算能力を以て、ヒカルを完全に追い詰めたかのように見えた。解説陣も「これは……進藤五冠、苦しいか」と沈黙する。
代打ちの男が、無表情で石を置く。だが、ヒカルはうつむいたまま、フッと笑った。
(……見えるぜ。お前の計算の、その先が)
ヒカルの背後に、一瞬、あの長い黒髪をなびかせた平安の天才の幻影が重なったように見えた。ヒカルは力強く碁石を握りしめ、盤面の右下――まったく関係のないように見える、何もない空間へと石を叩きつけた。
パァンッ!!
「なっ……! なんだ、あの手は!?」
解説室が騒然となる。しかし、明日美の視界のKataGoは、その手を見た瞬間、『勝率:85%』へと爆発的に数値を跳ね上げていた。
「……シチョウアタリ……いや、違う! これは、中央のコウ争いを引き延ばしつつ、右辺の白の眼形を根こそぎ奪う、一石三鳥の絶妙手……!!」
明日美は震える手で口元を覆った。
それは、AIの計算すらも欺く、人間の泥臭い執念と直感が生み出した、文字通りの『神の一手』であった。
その手を境に、OmegaGoの動きがピタリと止まった。
モニターの向こうで、開発者たちが青ざめた顔でキーボードを叩き、何事かを叫んでいる。システムの評価値が、急転直下で崩壊していく。
人間が、機械の限界を突破した瞬間だった。
さらに数十手が進行し、盤面の白地が完全に消滅したことが誰の目にも明らかとなった時。代打ちの男のパソコン画面に、一つのポップアップが表示された。
『OmegaGo resigns(OmegaGoは投了します)』
「…………勝った」
解説のプロ棋士が、震える声で呟いた。
「勝ちました……! 進藤五冠、OmegaGoに対し、三勝二敗で見事勝ち越しを決めました!! 人類が……AIに勝利したのです!!」
テレビの画面越しにでも伝わってくる、地鳴りのような大歓声。会場のカメラのフラッシュが、勝利の喜びに震えるヒカルの姿を白く照らし出す。
『人類の叡智は、AIを超えた!』
『歴史的快挙! 進藤五冠、機械の頭脳を打ち倒す!』
『これもすべて、長年にわたり人類に未来の碁を示し続けた、絶対王者・奈瀬先生の教えのおかげだ!』
ニュースキャスターが興奮気味に叫び、世界中が歓喜の渦に包まれていた。
SNSのタイムラインは「進藤ヒカル最強!」「奈瀬先生ありがとう!」という言葉で溢れ返っている。人類の希望は、まだ決して消えてはいなかった。
「……やった。やったわね、ヒカル」
明日美は、テレビ画面の中で無数のマイクを向けられ、疲労困憊ながらも誇らしげに笑う夫の姿を見て、ホッと安堵の涙をこぼした。
現実の歴史では、人類はAIの前に屈し、絶望的な敗北感を味わうことになった。しかし、この世界線では、明日美が持ち込んだ「未来のAI」という存在が、人類の進化を十年早め、AIの脅威に対する強力な抗体を作り出していたのだ。
「……さーて。世界を救った英雄の旦那様のために、今夜は最高に美味しいハンバーグでも作ってあげようかしら」
テレビを消し、明日美は鼻歌交じりにキッチンへと向かった。人類の未来を懸けた壮大な戦いが終わり、彼女を待っているのは、愛する家族とともに過ごす、温かで平和な日常である。
彼女の脳内に鎮座する神もまた、役割を終えたかのように、静かにスリープモードへと移行していった。
窓の外では、新しい時代の風が、初夏の青空を爽やかに吹き抜けていた。
物語はいよいよ最終回に向けてラストスパート!
本作は【全15話】。明日【20:11】の更新をもちまして、エタることなく綺麗に完結いたします!
最後まで安心してお付き合いください!
皆様の熱い熱い応援のおかげで、ここまで三冠王(総合1位)獲得し、走り抜けることができました。
本当にありがとうございます。
明日、最高の結末(グランドフィナーレ)を最高の順位のままで迎えるために、皆様からの「最後の一押し」がどうしても必要です……!
「奈瀬明日美の最強スローライフを最後まで見届けたい!」「おっさんTSの結末が気になる!」と思ってくださる方は、ぜひ今のうちに、【評価(☆)】や【お気に入り】をポチッと押して、最後に力を貸していただけると非常に励みになります!
皆様と一緒に、最高の結末を迎えられることを楽しみにしています!
明日もどうぞよろしくお願いいたします!